住宅のコンセプトを考える 千葉県市川市-麻生英之建築設計事務所


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市川市国府台の家

高齢者の住む築48年の木造住宅の改修工事です。
耐震診断を行い、耐震改修を行いながら愛着のある場所に可能な限り長く住める事を目標にしました。バリアフリーはもちろんですが、今まで行っていた日常の暮らしを大きく変えず、残すもの、少し変えるものを考えながら計画を行いました。

改修前-道路側外観

前面道路は4mで、知人や娘さん等が車で訪ねてきても長く駐車しておくことが出来ない状況でした。
建物の道路側はある時期に出窓状に増築を行っていて、基礎のある部分で耐力壁が無い状態でした。

改修後-道路側外観

道路側に増築してあった部分は撤去し、耐震補強を行いました。その部分のブロックとフェンスも撤去し道路側に開放し、来客用の車を置いても車が通行出来るように計画しました。
新しい窓が道路に開放されるので、その部分は面格子を施工し、通常よりも窓位置を高く施工しました。
道路との境界は御影石のピンコロを施工し、コンクリートの洗い出しで仕上げました。

改修前-庭アプローチ

和風の庭は座敷から見え趣がありました。
当然ですが、施主様は植物に水をあげる等の手入れをおこなっていました。
歩く部分は飛び石で、表面は少し丸くなっていて一般の人でも少し歩きにくい印象でした。
現実に水を撒くときに転んだこともあったようです。
改修後-庭アプローチ

改修時に飛び石は撤去し、歩きやすいように連続した土間を打ち、大磯洗い出しで仕上げました。
どの部分を土間にするかは庭の好きなお施主様の指示もあり、歩きやすく庭にも溶け込んだアプローチになったように思います。
改修前-和室6帖

和室6帖の北側床の間部分。隣の窓地袋とも450ミリほど奥行きがありました。
基礎があるのは、壁のない床柱の部分で、2階もその上に乗っている状況でした。築年数の経った家に多くみられる間取りで、奥の壁は耐震的には有効ではありません。
耐震補強を優先し、床の間及び地袋は撤去し基礎のある部分に耐震壁を設ける事としました。
改修後-和室6帖

和室で床の間が無くなるのは少し寂しいと思い、壁を軸が飾れる織部床にしました。
織部床とは、奥行きの無い壁を床に見立て、廻り縁下部に板(織部板という)を施工した床の間の事です。
杉の赤白の入った織部板に竹の軸釘及び壁中央部に花釘を設けています。天井の照明は地震でも揺れないシーリングに変更しました。

改修前-洗面、浴室

水周りは建てた当時のままでした。
浴室は段差があり、扉は狭く手摺はありませんでした。洗濯機の排水は浴室に流すタイプで、脱衣場も狭い印象でした。
改修後-洗面、浴室

水周りの改修時には床、壁、天井の撤去があるので、その部分の耐震改修は念入りに行いました。浴室の土台は予想通り腐食している部分もありましたが、その部分の交換も行いました。
ユニットバスは引戸、手摺をセレクトし、脱衣場から真っすぐに入れる動線としました。
洗面はサイドに収納を取付け、その並びに洗濯機を配置しています。


電動シャッター+面格子

和室6帖の北側窓改修部分です。以前の窓は雨戸があり、施主様が朝晩開け閉めを行っていました。
この窓を開けておくと南北に風が通りますが、北側の通路に面し、開放しておくのが防犯的にどうかと思いました。
面格子の施工を検討しましたが、夜は雨戸を閉めたいとの要望がありました。

最終的に計画したのが、電動シャッターの通風タイプに面格子を組み合わせたものです。
昼間は面格子があるので安心して開放出来、夜は電動でシャッターを閉めても通風が確保されます。
既製品ではないので、いろいろ検討し後付タイプの腕の長い面格子を施工してもらいました。
当初施主様も電動シャッターを使いこなせるか心配していましたが、リモコンでの開閉は全く問題なく、大変気に入ってもらえました。
内部建具のガラス変更

新築の内部ドアに使用されているガラス部分は強化ガラス等の割れにくい材料を使用している事が多いのですが、古い住宅は通常のガラスです。
転倒や地震時の事を考え、改修を検討しました。

愛着のある和風格子戸はそのままでガラス部分をポリカーボネートに変更しました。ポリカーボネートとはプラスチックのような素材で、ガラスのように透明、不透明があります。軽く丈夫で、仮に転倒して建具と一緒に倒れても割れる事はありません。
使用したのはタキロン透明両面すりガラス調マットという商品です。見本で確認し、この商品が今までのすりガラスに一番近いように感じました。
入れ替えたのが上の写真です。施主様も入れ替えた事が分らないと喜んで頂いたほど全く違和感がありませんでした。
玄関敷台及び手摺設置

玄関のタタキとの段差は30センチほどあり、施主様はかなり無理な体制で上り下りを行っていました。
段差の半分の高さの位置に敷台を設置しました。下には靴が入るようにし、ガタツキがないようにしっかりと固定してもらいました。
材料は手摺、敷台とも米松とし、汚れにくいように塗装をしています。
敷台の設置で、劇的に上り下りが楽になりました。後付の違和感もなく収まったように思います。

また玄関の照明スイッチはセンサースイッチに交換しました。以前は暗い中、靴を脱いで照明のスイッチをつけていましたが、玄関に入ると自動的に照明が点灯するようになりました。

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