このページはスティーブ・カーミーン氏(Mr. Steve Carmean)がBMW600に関して詳述したページの日本語ミラーである。小生は氏の許諾を得て日本語化を行った。
第二次大戦後,BMWは深刻な財政危機に陥っていた。 資金はほんの少しで、爆撃によって工場も残って居ない状況では、メルセデスによって吸収されることが予測されていた。 収益性を改善するためにBMWはミラノに所有するイソ社(Iso SpA)で小さな自動車を製造していたイタリアの冷蔵庫製造業者レンツォ・リボルタ(Renzo Rivolta)に着目していた。 レンツォは彼のイセッタが普及することを望んでおり、そのためにフランスのベラム社(Velam)やブラジルのロミ社(Romi)と言った幾つもの製造業者にライセンスをあたえていた。 ベラムは小さなバブルカーを世に出し、また少数のスポーツモデルを作っていた。 そしてBMWは小型車の生産の主流となって世界を制覇した。 その生産期間を通して161,000台以上のイセッタが生産された。 しかし、その同じ時にBMWは「本物の自動車」を生産したかった。 そのような自動車を生産するだけの資源はなく、また地元の人々が大きな自動車を買ってくれると言う確証は無かった。 BMWはこの状況において600で究極のゴールを目指した。
600はそのフロントドアのせいでしばし間違ってイセッタと呼ばれている。 例えいくつかの否定しがたい類似性を有しているとは言え、600はバブルカーとは一線を画している。小さな片肺のイセッタとは違って、600は二つの気筒と格好いいとも快適だとも言えないが四人分のシートを有していた。 600は「リムジン」と呼ばれたが、私が思うにそれはイセッタと比較してのことだろう。 イセッタのチェインドライブはより一般的なトランスミッションに取りかえられ、ギアシフトはシフトレバーを押し込み、左手前に引くと入る後退付きのフロア四速となった。 600にはサキソマット付きモデルも用意されていた。 これらの車においてサンルーフはオプションであり、ほとんどの600にはサンルーフがついていなかった。 欧州向けモデルのバンパーは非常に小さなものだったが、米国向けモデルでは衝突事故の際に乗員を守るために車体の四つの角に"nerf bar"と呼ばれるチューブを備えていた。車には多くのリアエンジン車でと同様に役にたたないヒーターが備えられていた。 前席の左右に設けられた大きなポケットはグラブコンパートメントとして用いられ、またほとんどの人が身体を不必要にねじらないでも運転できる広々としたレッグスペースがあった。 後席の後ろの空は乗員が膝の上に雑貨を抱えなくてもいいように買い物袋の二つやそこいらは置けるようになっていた。 ステアリングホイールはイセッタのものと同じようにフロントドアにくっついていて、ドアが開いた時に邪魔にならないように二つの自在継手でつながっていた。 ドアを開いたまま運転することもできたが、閉じた状態で運転する様に快適にと言うわけにはいかなかった。 もともとのプロとタイプではサイドドアは省かれていた。 安全上の理由から、最後の最後になってサイドドアが設計に盛り込まれた。 しかしながら、サイドドアの品質はフロントドアほどよくはなかった。内装はビニール張りだった。 ホーンは小さくミーミーと鳴り、多くの笑いを誘った。 スペアタイヤはフロントドアに隠され、バッテリーは後席の下に置かれた。 この車はいくつかの点でスパルタンだったかもしれないが、まだシガーライターおよび灰皿を備える程度の余裕があった。 サスペンションはこのモデルで完全に新しくなり、また実際とても一般的になったので未だにいくつかの最近のBMWに見ることができる。 アルゼンチンには'デカーロ600'の名で600を生産していた工場があった。
| エンジン | |
|---|---|
| 気筒 | 2 |
| ボア | 74 mm. |
| ストローク | 68 mm. |
| 排気量 | 585 c.c. |
| ピストン面積 | 13.35 平方インチ(*1) |
| 道弁機構 | プッシュロッド OHV |
| 圧縮比 | 6.5 |
| エンジン性能 | |
| 最大出力 | 19.5 HP |
| 最大出力回転数 | 4000 RPM |
| 最大出力時のピストンスピード | 1790 ft/min(*2) |
| エンジン詳細 | |
| 気化器 | Zenith 28 KL-P |
| 燃料ポンプ | 無し |
| 点火プラグ | N3 (Bosch W225T2 long reach) |
| 燃料タンク容量 | 5 ガロン (23 リットル) |
| 冷却方式 | 空冷、ダクト付きファン |
| 電装系 | 12V 130W Dynastart |
| バッテリー | 31 AH |
| 駆動系 | |
| クラッチ | 乾式単板 |
| ギア | 比 |
| 4速 | 4.60 |
| 3速 | 6.90 |
| 2速 | 10.53 |
| 1速 | 19.25 |
| 後退 | 18.75 |
| 最終駆動系 | ディファレンシャルギア+露出したドライブシャフト |
| 車体詳細 | |
| ブレーキ | 油圧 |
| ブレーキドラム内径 | 67 平方インチ(*3) |
| フロントサス | コイルスプリング/ダボネット(Dubonnet) |
| リアサス | コイルスプリング/トレーリングアーム |
| ショックアブソーバー | テレスコピック |
| ホイール | スチール(プレス) |
| タイアサイズ | 5.20-10 |
| ステアリングギア | ワームギア |
| 寸法重量 | |
| ホイールベース | 5 ft. 7 in. (170 cm.) |
| 前トレッド幅 | 4 ft. 0 in. (122 cm) |
| 後トレッド幅 | 3 ft. 9.5 in. (116 cm) |
| 全長 | 9 ft. 6.25 in. (290 cm) |
| 全幅 | 4 ft. 7 in (140 cm) |
| 全高 | 4 feet 6 in (137.5 cm) |
| 回転直径 | 約 26 ft. (8 m) |
| 重量 | 1135 lb (515 kg) |
| その他 | |
| 価格 (1958年 米国) | $1398 (サンルーフ付き $1487)(*4) |
| 価格 (1959年 英国) | £486 |
| 最高速度 | 62 MPH(*5) |
| 燃費 | 47-63 マイル/ガロン(*6) |
| 全世界での販売台数 | 34,318台 |
| アメリカでの販売台数 | 約 1,500台 |
| アメリカに残って居る台数 | たったの 170台 |
| 販売年度 | 1957-59 |
| 0-60 MPH (0-100 km/h) | 58 秒 |
| シフトパターン | 1 3 __|__| | | | R 2 4 |
| インダッシュCDチェンジャー | 社外品のみ* |
| *ダッシュボード? | |
代表的な対米輸出仕様の BMW 600
アルゼンチン市場向けデ・カーロ
デカーロ600に関するちょっとした情報
世界の一部ではBMW 600はデカーロ600として知られている。 デカーロは数種類の自動車をライセンス生産していたアルゼンチンの企業だった。 カルロス・デカーロは近ごろBMW600のこの魅惑的な派生車種の歴史について書いてくれた。 時代背景を明らかにするために、彼の手紙は最後のパラグラフを最初にして表示される。
デカーロ社は1948年に工場のためのナットやボルトを生産したり、機械工具を供給するエンジニアリング会社として設立された。 デカーロ社に対するホアン・ペロン大統領の政府の高級官僚による未払いの負債は、同社を鉄道車両の再建という政府契約に導いた。 このことは同社を輸送分野へと導く成功した冒険だった。 デカーロ社は50cc、75cc、そして100ccのオートバイの組み立てと製造を始め、オートバイ市場が飽和したときには自動車の製造へと移行した。この車はアルゼンチンで製造され、アルゼンチンの自動車の有名なファミリーの一部となった。 最初の車は「ミニカー・デカーロ」と呼ばれ、デカーロ700へと続く次の車は「デカーロ600」と呼ばれた(どちらもBMWからのライセンスだった)。 デカーロ700の後にはデカーロSLおよびデカーロ1300が作られた。 いくつかの理由からデカーロ車の生産は1965年から1966年あたりに終焉を迎えた。
- アルゼンチンにおける経済および政治の不安定。デカーロ氏が政府によるニューモデルの認可を得られなかった。
- 獰猛なコンペティターであるところのFIATおよびSIAM DI TELLAによる政治的プレッシャー。
- BMWおよびその他の会社による援助が無かったこと。
敬具
C. デカーロ
BMW700の導入はBMWが再び自力で歩み始めたことを意味する。 短い時間でBMWはミニカーという外套を脱ぎ捨て、高品質、高性能の自動車のリーダーとなった。 今や、BMWの車は現金をいっぱい持った人々に買われるようになったので、自社のミニカーの過去を認めて最終的にはBMWは喜んでいる。 現在のBMWは今日の他の自動車会社と比べて健全な成功した企業である。 イセッタ、BMW600、BMW700は このすばらしいエンブレムが生き残るための名誉に値する。
あなたがBMW600や小型車全般についてもっと知りたいのなら、BMW Dave's 600 page、 Marc Sabatini's pageあるいはMicrocar and Minicar clubを試そう。 あなたが新旧の小型車に興味があるのなら、ミニカークラブをチェックしよう。 クラブは例えイセッタのためのように見えても、エンジンが1リッター未満のためのものである。 参加するためには小型車を持っていなくても構わない。 会費は年間20ドルだけど、見たらきっと入会するでしょう。 WebサイトにはBMW600やその手の車に関するページへのリンクが盛りだくさんです。
最後に、原文の表現をなるべく忠実に再現しようとはしましたが、訳者の力不足で変な訳が多々有るかと思います。ご批判、ご指摘はメイルか、小生の掲示板にてお願いします。