期間限定

がんばれ青春! 兵庫県高等学校文芸部の皆さん

熱いエールを送ります

コンクール部門の短歌に懸かる審査員として関わらせて頂いている歌人・吉岡生夫の私設応援サイトです。
期間限定とは吉岡が審査員である期間を指します。
熱いエールは私自身の「高校文芸」体験からきています。
熱いエールは歌人・吉岡生夫を育てて下さった先輩方そして短歌への恩返しからきています。
そして何よりも短歌という五句三十一音詩に対する愛ないしは強い危機感を源とする使命感からきています。

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音声創作ファイル(『CeVIO Creative Studio』と『ONE -ARIA ON THE PLANETES)による朗読の試み 
『夫木和歌抄』の歌  吉岡生夫の歌  気になった歌 


友よ
岡林信康
YouTube


めざそう
 指折れば青春!

才能の結集が歴史を作る  
 全国高等学校文芸コンクール    
現代学生百人一首(東洋大学) 
 SEITO百人一首(同志社女子大学)
角川全国短歌大賞 
兵庫県選者を吉岡生夫が務めています
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神戸女学院高等学部      
*インターネットで検索した結果です。迷惑であれば削除します。逆に洩れているから掲載せよという申し出があれば歓迎です。
*県内には高校が400余、うち約90校に文芸部があるそうです。その活動がWEBを通して眺めることができるならば、大きな刺激になるのではないでしょうか。    
2015.3.26
ワークショップ
歌会を成功させるために



兵庫県高等学校文芸部会のリーダー研修会が3月26日(木)、下記の時程で行われました。参加者は県下13校から71名、顧問の先生15名、場所は海の見える神戸高校でした。
  9:30〜 9:50 開会式(科学館1F 視聴覚室)
 10:00〜11:30 吉岡による短歌のワークショップ(科学館1F 視聴覚室)
 11:30〜12:30 昼食・休憩
 12:30〜14:30 班別交流会:生徒相互の短歌のワークショップ(本館2F 学習室A・B・C)
 14:40〜15:30 閉会式など(科学館1F 視聴覚室)

                      
                  グラウンドをラガーは走る遠景に海が見えます神戸高校
                  孫でない子供でもない年頃にまじりて神戸高校の坂
    
スライドショー
「歌会を成功させるために」 
 
講演
指折れば青春! 現代語短歌のすすめ 
短歌という常識を疑え!
古典文法の呪縛から短歌を解放せよ!
耳順を過ぎて
響く
天の声。


*講師料は要りません。交通費も自己負担で馳せ参じます。
*県外については、交通費の負担のみ、よろしく御願いします。
*内容については下記のスライドショーに準じますが、引用作等は随時見直す予定です。
 スライドショー
「指折れば自分史〜現代語短歌のすすめ〜」
 



現代語短歌のすすめ、YouTubeなら3分15秒、見え方が少し異なります。


用語論〜文語体短歌から古典語短歌へ、口語短歌から現代語短歌へ〜 
 

掲示板 
 兵庫の短歌              イベントの予定等の書き込みを待っています。


参考文献   世に蔓延する
短冊短歌と応募原稿 
短歌は一行詩です。その中に句切れ・句またがり・句割れ・字余り・字足らずの技法が生きてくるのです。三句以下二行目しかも数段落としの悪弊を撃つ。 
狂歌を五句三十一音詩に回収する
狂歌逍遙録 
五句三十一音の定型詩は名称を変えつつ時代の波をくぐり抜けてきた。そこには先行する五句三十一音詩の衰退があり、それを受けた復活劇があった。この五句三十一音詩史に日本語の歴史を重ねるとき、必然としての現代語短歌が見えてくるのです。 
新書版
ゆたかに生きる 現代語短歌ガイダンス 
五七五七七、みそひともじ、五句三十一音詩、あるいは短歌とも和歌とも狂歌とも呼ばれてきた、その歴史に日本語の歴史を重ねたときの、正統にして標準的な歌のガイダンス。短歌再生の道しるべ。

王紅花氏評「短歌の入門書は数多いが大体は決まりきっていて、歌の核心に触れているようなものが少ない上に、冗長である。読み物としても面白い本書は誠に貴重であると思う」(「これだけは読んでほしい一冊」、「梧葉」2014年冬号)。
新書版
王道をゆく ジュニアと五句三十一音詩の世界
  『万葉集』の短歌は言語体、『古今和歌集』の和歌は言文一致体、言文二途の近世は言語体の狂歌に対して和歌は文語体、歌の原点を継承したのは名称の異なる狂歌であった。系譜でいえば半井卜養・豊蔵坊信海・黒田月洞軒・鯛屋貞柳・栗柯亭木端・仙果亭嘉栗となろう。通史的には和歌が否定した幻の短歌史、和歌史寄りなら柿本の和歌に対して栗本の狂歌となる。いわゆる天明狂歌とは時の戯作文学が生んだ異端の花であった。
 今後は言文一致歌を軸に据えた近現代短歌史の再構築が喫緊の課題となろう。

 未来は待ってくれない。 
応援団

 募集中!
ブログ
王道を行く〜ジュニア短歌の現在〜
王道とは万葉時代の話し言葉、平安時代の言文一致、近世の言文二途下における話し言葉、言文一致運動による現代語で結ばれる五句三十一音詩です。
ホームページ
草食獣・吉岡生夫の世界
初めて短歌を作ったのが昭和43年、16歳でした。しかし短歌に対する憧れと違和感、その違和感から解放してくれたのは狂歌と日本語の歴史でした。
結社制度の隘路を克服する志向、システムの
短歌人会
個人の集合体です。したがって先生はいません(系譜ではなく歴史の総体と真向かうということでしょう)。学生半額。添削希望の場合は5首で1000円。
高校時代と文学への憧憬〜回想の私的前史〜
 昔、「高校文芸」(東京出版センター)という月刊誌があった。
 掲載されると図書券がもらえた。はじめて投稿した俳句が佳作二席に選ばれた。昭和43(1968)年新年号、高校1年生だった。

   親子兄弟の如く蜻蛉(とんぼう)群れ飛べり
   星月夜いつもの山が遠く見ゆ

 撰者の手が入った作である。それでも200円の図書券はいっぱしの原稿料を受け取った気分である。
 2月号に入選三席である。

   ひややかに入日のあとの白い月
   霧はるる新停車場田圃の中

 俳句の入選は500円の図書券である。しかし嬉しくなかったのか、3月号は短歌を試みている。

   厳かに日の上らんとする冬の朝窓開け放ち深呼吸す

 入選である。手は加えられていないのだろう。二句から三句が落ちつかない。

   厳かに日の上らんとする冬の窓開け放ち深呼吸す

でよかったろう。初二句から「朝」は自明なのであった。
 同号には昭和45年、18歳で宇都宮大学農学部の屋上から墜落死する夭折歌人・杉山隆の作品を見ることができる。

   新潟へ想いは走る君の住む海辺の町硝子戸の家
   白米の芯の細さに譬えたる君の横顔のふとよみがえる
   君よりの手紙重たし胸にあて封を切らずに吾はまだ持つ
   木の葉のやうな歌集を吾は作らんと秋のこの部屋にガリ版を刷る
   白亜館今日の夕日の中にして蒼く冷たく硝子戸炎ゆる
   灯ともりし剣道場に冬の月歪みて昇る静けき宵ぞ

 明らかに才能が違っていた。その杉山隆が宮柊二の「コスモス」に入ることを知ったのも「高校文芸」だった。宮柊二は知らなかったが、大人の文芸に入っていったのだということは分かった。羨ましいとは思わなかった。短歌に対する考えも定まらない私には真似ができないことは分かっていた。真似をすれば自滅するだろうということも分かっていた。そして「高校文芸」に載る「短歌人」の広告に目が止まった。「新しく美しい抒情をめざすグループ」「短歌を勉強したい新人の参加をまちます/初心者に添削部あり」。判断保留の身を置くにはいいかも知れない。見本誌を取り寄せた。しかし斎藤茂吉の短歌をノートに筆写したり、自作を書き付けたりしながらも、実際の入会に踏み切るには至らなかった。
 兵庫県立伊丹高等学校で友人の吉永省三が思潮研究会を立ち上げたのは、この頃だった。その機関誌「ゆうとぴあ」(3号)に「受験教育について思う」を書いた(同学年で自殺が2件、また同級生の失踪が1件、自殺のおそれもあったのだろう。学年全員で山を捜索したことがあった)。5号(昭和44年10月)に「愛についての試論」を書いた(今となっては恥ずかしくて読めたものではない。臆病な青年もしくはモラトリアムな青年は、そのエッセイの中でアリストファネスの「男女(アンドロギュネス)」の話を持ち出している。プラトンの『饗宴』を読んでいたのだろう。思えば格好をつける必要などなかったのだ。ただこのときの思いは日本近代文学館編、中村稔・馬場あき子責任編集『恋うたの現在』収録の作〈はじめてのくちづけをへてあふぐときどこかでいつかみた空がある〉として、後日だが定型に閉じこめた)。
 こうして私の前史は終わる。
 短歌との再会は19歳の秋、見本誌を思い出して「短歌人」に入った。
 オーラに包まれた永井陽子(1951〜2000)がいた。後に同人誌「十弦」を共にする川田由布子・小池光・長谷川富市・平野久美子・藤原龍一郎といった人たちとの出会いがあった。そして第三歌集までを世話になる編集人・高瀬一誌(1929〜2001)がいた。

   葡萄牙と西班牙に牙あることの詩と真実を話せば長い     藤原龍一郎(『嘆きの花園』)
←「高校文芸」昭和43年3月号



昭和44年10月「ゆうとぴあ」5号→

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歌のスタンダードが文語体であるというのは近現代短歌について見れば、そのとおりである。しかし歌の発生からを視野に入れるならば口語体は動かない。現代でもジュニアといわれる世代の作品はすべて口語体である。もし歌のスタンダードが文語体ならば、彼らの作品はどうなるのか。つまりどこかで変わらなければならないことになる。オタマジャクシがカエルになるように、蛹が蝶になるように、羽化する蝉のように変態しなければならないことになる。しかしそうではない。文語体こそ特別ないし特殊な選択の結果なのである。(歌集『草食獣 第七篇』の「あとがき」より抄出)


ゆたかに生きる 現代語短歌ガイダンス 
は じ め に
目     次
第一章 五句三十一音詩の歴史        一、万葉集は言語体、往時の現代語であった
二、古今和歌集は言文一致体であった
三、貴族階級の没落と短冊の発生
四、言文二途の十四世紀〜阿仏尼とその子どもたち〜
五、狂歌の言語体、和歌の文語体
六、逆風の近代〜現代語短歌という小さなあかり〜
七、原点回帰〜短歌再生の道しるべ〜
第二章 現代語短歌と待遇表現   一、人代名詞
二、文末処理
第三章 現代語による表現の可能性を探る

 
ブイツーソリューション
平成24年2月20日刊

兵庫県の高等学校の先生と生徒の皆さんへ
自宅に眠る在庫のみですが、
ご希望の方には無料で『ゆたかに生きる 現代語短歌ガイダンス』をお分けします。メールで御連絡願います。

                        
一、話し言葉
二、書き言葉
三、方言
四、句切れ、無句切れ
五、句またがり、句割れ
六、字余り(音余り)
七、字足らず(音足らず)
八、破調
九、掛詞、押韻
十、リフレイン、対句
十一、挿入
十二、倒置法
十三、名詞(固有名詞、普通名詞)
十四、漢字
十五、カタカナ
十六、ひらがな
十七、蟹行文字(かいこうもんじ)
十八、記号
十九、数字
二十、比喩、見立て
二十一、オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)
二十二、仮想奇想空想幻想妄想
二十三、呪文呪禁呪言となえごと
二十四、回文
二十五、枕詞
二十六、序詞
第四章 歌の周辺
    
一、歌の起源〜大野晋〜
二、音律ということ〜坂野信彦〜
三、正統と異端〜茂吉と文明〜
四、自分史と短歌〜橋本義夫と色川大吉〜


短歌変質論 
 
私は尋ねたい
いわゆる「文語体歌人」のあなたに
なぜ古典文法なのか?

口語歌の万葉集から
平仮名が生まれ
言文一致の古今和歌集へ

やがて時代は
古代語から近代語へ
その過程である中世語の時代において
言文は二途に開かれ

明治大正昭和を経て
再び原点に回帰した
−読み書き話す−

ところで
あなたの短歌は
その変質した時代の五七五七七を良しとするのか?
いわゆる「文語体歌人」のあなたに

私は尋ねたいのだ 


王道をゆく ジュニアと五句三十一音詩の世界
はじめに
        目  次
第一章 名称を巡る考察

第一節 対抗軸にみる変遷もしくは同一形式のせめぎ合いの中で     第一項 『万葉集』〜短歌と長歌〜  
第二項 『古今和歌集』〜和歌と漢詩〜  
第三項 狂歌〜和歌の鬼子に救われる形式の危機〜  
第四項 近代短歌〜和歌と狂歌の行方を問う〜  
第五項 国歌〜国学の勃興とその影〜  
第六項 結語  
第二節 歴史を俯瞰するための名称を探る 第一項 三十一文字  
第二項 五七五七七   
第三項 五句三十一音詩 a 三十一言
b 三十一音 
c 歌か、詩か、その分岐点
第四項 結語  
第二章 ツールとしての言葉の歴史を俯瞰する


 
ブイツーソリューション
平成26年10月10日刊
第一節 言語体〜『万葉集』の時代〜    
第二節 言文一致体〜平仮名と『古今和歌集』〜 第一項 文語とは何か?  
第二項 試みに『土佐日記』を読んでみましょう  
第三節 言語体〜言文二途に見る狂歌の位相〜 第一項 狂歌人の歌論 a 由縁斎貞柳(ゆえんさいていりゆう)(一六五四〜一七三四)
b 栗柯亭木端(りつかていぼくたん)(一七一〇〜一七七三)
c 九如館鈍永(きゆうじよかんどんえい)(一七二三〜一七六七)
d 永日庵其律(えいじつあんきりつ)(一七二六〜一七六一)
e 山中千丈(生没年不詳)
f 二松庵万英(にしようあんまんえい)(?〜一七八〇)
g 仙果亭嘉栗(せんかていかりつ)(一七四七〜一七九九)
h 木室卯雲(きむろぼううん)(一七一四〜一七八三)
i 元木網(もとのもくあみ)(一七二四〜一八一一)
j 朱楽菅江(あけらかんこう)(一七三八〜一七九八)
k 唐衣橘洲(からごろもきつしゆう)(一七四三〜一八〇二)
l 大田南畝(おおたなんぽ)(一七四九〜一八二三)
第二項 狂歌の言語体  
第四節 周回遅れの言文一致体 第一項 スタンダードツール  
第二項 スペシャルツール  
第五節 結語    
第三章 ジュニアに学ぶ五句三十一音詩               第一節 古代語    
第二節 近代語    
第三節 現代語 第一項 現代学生百人一首(東洋大学) a 二〇一二年編纂 現代学生百人一首 
b 二〇一三年編纂 現代学生百人一首 
c 二〇一四年編纂 現代学生百人一首 
第二項 SEITO百人一首(同志社女子大学) a 31音青春のこころ2012 「SEITO百人一首」の世界 
b 31音青春のこころ2013 「SEITO百人一首」の世界 
c 31音青春のこころ2014 「SEITO百人一首」の世界 
第三項 契沖顕彰短歌大会(契沖研究会) a 第九回(平成二十四年二月四日) 
b 第十回(平成二十五年二月三日) 
c 第十一回(平成二十六年二月二日) 
第四項 ―ふれあいの祭典―兵庫短歌祭作品集(兵庫県歌人クラブほか)  
第五項 感じて短歌(加古川市中学校国語研究部会)  
第六項 兵庫県高校生文芸集(兵庫県高等学校文芸部会)  


『夫木和歌抄』の歌 
朗読  表記  作者  備考 
ONE          山家夏月
3345 山里はこやのえびらにもる月のかげにもまゆのすぢはみえけり 
 源俊頼『散木奇歌集』(318) 「こや」は蚕屋(養蚕をする家)、「えびら」は蚕薄(蚕を入れて繭を作らせる竹のかご)。「かげ」は影(光)、漏れてくるの月の光で蚕の吐く糸の筋まで見えるといっています。 


吉岡生夫の歌 
朗読 表記  出典  備考 
  サングラスかけて出づれば透明のわれかもしれず回転扉  歌集未収録   嶋岡晨『秀歌新選』(飯塚書店)  
  慰安旅行の写真のなかにまたしても笑はぬわれの顔が小さし 
  ガリヴァを絵本でよみし頃おもひ草食人種といふを念(おも)へり 
『草食獣』(1979年)

                                         
(半旗) 
  警官を犬と呼びたる長髪の友の弁舌さはやかなりし  (殺めしごとく) 
  ビラくばりながら入日をみてゐたり 父はヴェテラン鑑識課員   
  直腸に鉛沈めることもなく叛きたる身をさらす公葬   
  パトカーの中よりわれがみてをれば挙手をしてゐる警官の列   
  公務死をとげて勝ちたる亡父のためわれのてにある一輪の菊   
  ステージの父の遺影のまつられてあるところまで行かねばならぬ   
  明日死ぬぞ今日死ぬぞと叫びしが決して死なないデモの一群   
  父とわが呼びたる骨をひろはむとするに殺めしごとく崩れつ   
  うっすらと恥毛の生えてきしことを告げをり葡萄棚のベンチで  (友情論) 
  手長猿 たとへば電車の吊革をもちて遊べるこの半ズボン  (ストリップ劇場小景) 
  盲腸の跡がのこれる下腹部をさらす女もわれも敗者か   
  汗だくになりて艶技をつづけゐる京塚昌子のごときをどりこ   
  肩ごしに一面識もなき顔がちかづきわれは火を貸してやる   
  冷徹なまなざしなりき踊り子に迫る照明(ひかり)を受け持つアロハ   
  さやうなら 手を振りながら楽屋へと去るをどりこの私語がきこえる   
  労働といふはなつかしうつむきしわれはくつ先ばかりみてゐる   
 

どうにでもなれと屋台のラーメンの湯気よ 涙が出るではないか 

 
  同じその小屋でみかけし顔があり夜の電車の吊革をもつ   
 

切り株にわが脱ぎ捨てし制服が光あつめて讃歌のごとし 

(十六歳) 
  おもしろいことなどないか教室の窓より放つ紙の飛行機  (自殺) 
  奔放に生きたきわれを捨てがたし雨中に海をみてもどるとき  (エチュード) 
  妹は尿(ゆばり)してをりかたはらにさく竜胆の花はむらさき  (少年) 
  はじめてのくちづけをへてあふぐときどこかでいつかみた空がある   
  はくてうの歌さへあればなにもかもすぐにかたづくのにとおもひつ  (白鳥) 
  ああわれをまきこむやうな音ののちあがる遮断機のうへの青空   
  黄ばみし写真の叔父はいっせいにおこる歓呼に挙手をしてゐる  (八月十五日) 
  ひのまるのはたふりながらあこがれきをぢのきらりとひかるめのいろ   
  ちちははのいのりのごときうみなりのなかをゆくとき血こそかがやけ   
  海ゆかばみづくかばねとなるものを生かされてわがのる遊覧船   
  ああひとはうまれながらのかなしみをもつゆゑくらくほほゑみにけり  (汽笛) 
ONE  浴衣きてうつくしかりし日のことをわすれず 忘れたしとつたへよ  
  きみよそのみどりご抱きて撮られゐる青葉地獄のなかの一齣  (達磨) 
  定年の日まで勤める庁舎かとみあげて夜の襟を高くす   
 

梯子車のはしごがのびてゆくまでをみてをりひとら口あけながら 

 
  外套の雪を払ひて立つしばしスコット大佐にわれはあらぬを  (無精髭) 
  草野球みてゐるわれは囚人のごとし外野のネットをつかみ  (百獣の王) 
  万歳の腕のかたちをかなしめり頭(づ)よりセーター脱ぐときの闇  (妖精) 
 

無頼にもなりきれざれば右の肘するどく曲げて突く赤き玉 

 
  よひざめの水はうましとのみながらあふむくときはおもふ溺死を   
  頸のみをうつして足れりネクタイを朝ごと締める柱の鏡   
  さりげなくコップに花の挿してある部屋あかるくてきみ娶りたり 
『続・草食獣』(1983年)
                     
 
  チエホフに疲れて昼を眠るかな「小役人の死」をかほに被せて   
  電話するひとの視線はゆきどころなしとて宙に据ゑられてをり   
  兄よりの手紙に母はさりげなく老眼鏡といふをかけたり   
  垂れてくる髪をしきりにかきあげるそのたのしさに振る指揮の棒   
  世の中に背中むけるといふ意味よ浮浪者ねむれば胎児のかたち   
  隠微なるたのしみあらむ背をむけてカルテになにか医師は書き込む   
  食堂に遅き昼食とるわれは一部始終をみられてをりぬ   
  はめられし壁の鏡を歩みゆくひとりをわれと知るまでのとき   
  孫たちに手をふりゐたるその手もて老婆みかんをむきはじめたり   
  椰子を背に妻と肩くむ写真ありて遺影とおもふまでにほほゑむ   
 

また負けてきたる力士は名を変へて戦はすのみ紙相撲ゆゑ 

 
  さりげなくヒモが空より垂れてゐてひけどもひけども限りがあらず   
  父が逝き兄去り祖母となりし母この十年を括りていへば   
  そのかみの亡父(ちち)が坐りてゐし場所を占めて一年経にけるわれか   
  刺客なき一世(ひとよ)寂しむぬるき湯に義朝おもひマラーをおもひ   
  車窓よりテニスたのしむ少女みえとりとめもなく思ふ「階級」   
  この人も選民意識もつならむしきりと使ふ「民衆」の語を   
  亡父(ちち)よりも長く生きゐる伯父のことふとも憎しむ電話を切りて   
  一人の女の運命を狂はせしことさへなくてバスに揺らるる   
  無表情に立つ駅員は杭のごとしそこより分かれひと流れゆく   
  上の子を幸男いへり下の子を幸子といへれ心中の記事 
『勇怯篇 草食獣そのV』(1988年)

                         
 
  歴代の会長ならむ健在のひとり、ふたりも額の中なる   
  消しゴムのある鉛筆は書きて消し書きては消してまた書くものぞ   
  犯罪を匂はすごとしトランクにゴルフ・バッグをつみこむが見ゆ   
  一男と一女の父となりしかば降る蝉しぐれ挽歌のごとし   
  連休の終はる夕べを無精髭のびし顎まで湯につかりゐる   
  はだざむくなるまで呆と立ちゐしがネクタイはづす電気をつけて   
  タワリシチと叫ぶことなき半生の雨にぬれこしからだを拭きぬ   
  すれちがふ子らの背負へるランドセルまことおもたき勉学ならむ   
  「タンポポ」ときけばさておき通学の道に面してゐしラブホテル   
  さてもをどりの名手といはむ鉄板のお好み焼きにふる花がつを   
  妻と子と母がすわれば空をとぶかたちとなりぬ電気カーペット   
  印影の徐徐に大きく太くなりすなはち件の決済終はる   
  沿道に「大売り出し」と染め抜きし幟はためく合戦の今   
  新聞をひろげる視野のかたすみにまた組み変へるOLの脚   
  ワン・タッチの傘をひろげてゆかむかな男の花道には遠けれど   
  神のごとわれは立ちたり円型の蛍光燈を頭にいただきて   
  ブラインドのかげがあたりて人物をだるまおとしのごとくに見する   
  サブマリン山田久志のあふぎみる球のゆくへも大阪の空   
  負けてこそヒーローならむふりかぶるときの江川の耳はピクルス   
 

ふきさらしの下りホームにこの夜ふけ人畜無害の身を立たしむる 

 
  愛愛愛愛愛愛と八月の波打ちぎはを走るカニたち   
  さかだちをしたる天使の性別に話題は移るキャラメルむきて   
  世間さまが黙つてゐないといふときの婆が世間にみえてくるなり   
  男にうまれてきたるよろこびはヘア・トニックを髪にふるとき   
  たとへばこのマイルドセブンのセロハンのほそき封切るときの快感   
  さすたけのきみがつまみし冠の草をのぞきし苺の部分 
『草食獣 第四篇』(1992年)

                        
 
  水中にありておもはゆ目も鼻も口もうごきてゐむふくわらひ   
  それはこんな顔だつたかいとふりむきし女のやうな茹卵むく   
  バスタオルは雫たれをり白鳥の首のやうなる手ごたへかこれ   
  ブーイングの嵐おこらむデュエットの水に毛深き脚の立ちなば   
  みづからの尾よりのみこみはじめたる蛇のすがたのあとかたもなし   
  富士山の周囲三六〇度富士見のあらむここまた富士見   
  あーちやんがわたしになりし下の子を父親われはあーちやんと呼ぶ   
  膝までを水につかりて釣る人の影は流れに逆らふごとし   
  その中の闇もろともに流れゆく空缶たのし浮きて沈みて   
  子供用のネクタイ締めてやるときの首やはらかし危めたきまで   
  ふたりして歩くことまれ八歳の上の子われの手をにぎりたり   
  記帳して「吉岡生夫」その生はシンメトリーをはつか乱しぬ   
  ちかづくにつれてみえくるアベックのそのはばからぬ行為うるさし   
 

もどりきてだれもをらねばはじめたるファミコンなれど子らがのぞきぬ 

 
  ネクタイを持ちて水屋のガラス戸にうつりしわれを妻の消しゆく   
  関ヶ原をつはものどもがゆくあとは人馬の糞のさはにありけむ   
  一口を食ぶればなかの黄味がみえ二口たべてゆでたまご好き   
  神さまも裏側ゆゑにせはしくて縫目のあとのしるき陰嚢   
  ロビンソン・クルーソーならむうつぶせに朝をめざめて渚のごとし   
  なまたまごわれはおちゆく炎熱の地獄のフライパンの底へと   
  ふくらませすぎてわれたる風船のパンツのごときを床に拾ひぬ   
  明日よりは生きむ四十も水槽の鮃と鰈ほどの差ならむ   
  うつくしく日本国憲法ありし世を伝へおかまし秋のつばくろ   
  幽界の汀すなはち電車くるときホームに散る波の花 
『草食獣・第五篇』(1998年)
                 
 
  ペコちやんを遠くみてゐしポコちやんの暗く切なき少年の季(とき)   
  蓮華もてすくひし南無阿弥豆腐(なむおみどうふ)には徳島産の柚子のかをりを   
  ポケットよりやをらをとこの取り出しぬ位牌のやうな携帯電話   
  なつごろもうすくなりしとかこちつつ十筋右衛門(とすぢゑもん)は育毛剤を   
  押しピンも錆びたる壁の世界地図はソビエト連邦を今に残しぬ   
  永年勤続表彰受くる身となりぬ「以下同文」のごとき人生   
  新渡戸稲造ひとりなれども派遣しぬエジプトに木を植うる基金へ   
  計四回頭を下げて窓側の三人掛けの席にもどりぬ   
  親指と人差し指でつかみたる蛇のあたまに似るコンセント   
  初期化されしわれの記憶をたどるとき一番星の輝き増しぬ   
  職場復帰をつゆうたがはぬ妻子らと夕餉かこめば箸おもたけれ   
  日のさせばうらうらとして夢みをりあるいは錯覚としての晩年   
  すでにして生命保険の勧誘の対象外の身体と知りぬ   
  書き写す「天声人語」右ならば四〇分、左ならば一時間   
  書き写す「天声人語」ぐわんばつて右三〇分、左四五分   
  ハードルとなりゐし父の享年を兄越えわれはつまづきて越ゆ   
  死んでゆく最明寺川みづあまく螢とびかふ六月の夜 
『草食獣・隠棲篇』(2005年)            
 
  硝子戸のガラスは均等ならずしてそこばく歪む大正の庭   
  たいざうかいたいざうまんだら湯に入りて荒井注氏のおもむくところ   
  朝夕のわれのかひなをはなさざるテルモ電子血圧計嬢   
  城として機能してゐし頃ならば仰ぐほかよりなき天守閣   
  北海道増毛郡増毛町舎熊のごとく髪のはえこよ   
  手にかこふほたるのひかりなかぞらに尾をひくひかり草生のひかり   
  秋風にすわれば風がわたりをりこれだけの生これだけのこと   
  をのこまたをみなおなじく水泳のガッツポーズの脇に毛のなし   
  うしなひし歳月たとへばふたり子のいとけなかりし日の秋の空   
  ぷらすちっくの豚のそこひゆたちのぼるベープマットの夏はきにけり   
  わゐうゑを胴の低くてつぶれたるかんばせみせてくるブルドッグ   
  アルミ貨に黄銅貨まじり青銅貨ちらばる地蔵尊のあしもと 
『草食獣・第七篇』(2010年)       
「和歌と狂歌と短歌、五句三十一音の定型詩は名称を変えつつ時代の波をくぐり抜けてきた。そこには先行する五句三十一音詩の衰退があり、それを受けた復活劇があった。/ただ明治に入って散文の世界では言文一致運動が成果をあげるが、短歌の世界は少し事情が異なっていた。王政復古による揺り戻しは国歌大観を生み、文語体のスタンダード化が推し進められた。しかし今その文語体が綻びを見せているのは付論で眺めたとおりである。/ともあれ私の口語体への参入は第八歌集に持ち越されることになった。/グッド・ラック! 吉岡生夫。グッド・ラック! 草食獣。」(「あとがき」より) 
  をとこらの専用車両あらばこそこころやすかれあしたゆふべに 
  男にうまれてきたるかなしみはヘア・トニックをふる髪のなさ 
  舌圧子もちひて医師がのぞきこむをみなののどにあるのどちんこ 
  焼酎の一升瓶が十日へてまだあることをほめられてゐる 
  映写機のひかりの粒子あらくして神さぶる原節子伝説 
  ゴキブリを紙に包めば触覚の二本がはみでて動くしばしば 
  告白をするなら顔を洗はずに歯を磨かずにゆふぐれがきた 
  海苔フィルム外して巻いてゆくときのさみしきさみしき音を聞かしむ 
  剥くにしても剥きにくからう洋なしの腰のくびれのやうなところは 
  恍惚の顔としおもふ泣きさうな顔ともおもふ歯石とらるる 
  レシートをまず置き釣りを落としたり不可触賤民の手に返すごと 
  買つてみたい気にさせるのは参道のテキ屋のよもぎもちのやきもち 
  回転の寿司こそよけれ軍艦もイクラをのせてイラクへいかず 
    第七篇、以降  遅まきながら現代語短歌へ移行しました
       
  ページから出ているところ短くてストレスたまる栞紐です     



気になった歌、今篇    
朗読  表記  出典  コメント 
すずきつづみ いつまでも笑つてゐたい輪になりてクラスメイトを蹴るもつと蹴る  加部洋祐『亞天使』   81頁「チョ・スンヒ氏銃乱射せるのち自死すいよいよ深し葉桜の色」、もちろん肯定はできないが…。 
さとうささら 蹴られたり殴られたりはイヤだから教室の床舐めにけるかも 
タカハシ  広辞苑にかうあるなどと広辞苑を辞書代表のやうに言ふなよ  寺松滋文『爾余は沈黙』  電子辞書といえば広辞苑、そんな背景もあるのでしょうが、中型の一辞書にすぎません。 
タカハシ そのときはそのときのことと思はずに再稼働などと言ふはずはなし  寺松滋文『ことば』   そのとき俺は外れているからさ…、てか? 
気になった歌、昔篇    
すずきつづみ     羈中
ふみまよひとへど互ひにことばさへわからぬひなの長路くるしき 
西隣亭戯雄『狂歌新三栗集』 「羈中」は旅行中。「ひな」は鄙。※岡本雅享「言語不通の列島から単一言語発言への軌跡」