アルバム「十弦」

創刊 昭和50年 7月 1日
終刊 昭和54年12月20日
(同人)
否鳥密(拾分の九号より「井並敏光」)
大橋秀明
川田由布子
小池光
志賀耿之
津神零人
長谷川富市
平野久美子
藤原 月彦(現在「藤原龍一郎」)
吉岡生夫
創刊にあたって
ここにささやかな同人誌がまたひとつうまれた。誌名を「十弦」という。一読すでに明らかなように雑居集団であり、従って華々しい宣言や高邁な運動論には無縁である。特徴とよびうるものがもしあるとすれば、同人を十人と限り、編集を各同人の持ちまわりとし、一人一号すなわち十冊目をもって活動を終る――ということのみであろう。季刊十号二年半という時間から何がうみだされることになるのか、今それを予見することはできまい。「我々」という言葉を使うことは何とも気恥しいし、また的を射ていない気がするのだが、ともかく、我々十人の異なる夢を語るひとつ床がこの雑誌であり、そしてその役割を精一杯担わせることによってしか持続させ得ぬのが、この十弦の実態である。表紙に第一号とせず十分の一号の表記を用いたのも以上の理由による。
一冊一冊へ賭ける同人のエネルギーの相互作用がいかなる総括書をつくりだすのか、ともあれ行為は今始まった。願わくば、この雑誌を手にとられるあなたがたへ、我々の雑誌の同伴者として、このエネルギーを見守るとともに、たとえ一行の反響でもお寄せいただけることを期待してやまない。
宣言にかえて、我々はこの小誌を作者と読者の全き架橋の場となすべく、また作者相互の自我の闘技場とすべく、決意と熱意をもって発行をつづけることを、今、未知のあなたがたの前に明らかにしたいと思う。(藤原月彦)
