「雪解けの朝」あらすじ
 
 陸奥のY市に新米記者として赴任した僕は、ホ三年目の風薫る五月に、いつもバス停に寂しげに立っている女の子と知り合った。
 初めは名前も解らなかったが、デートを重ねるうちに、名前、住所を知り、暑い夏の日、二人は体を許し合った。秋になって、初めてその葉子の家に招かれた僕は、葉子が自宅への招待を渋っていた訳を知った。
 冬、クリスマス・イブに温泉地へ一泊旅行をし、二人の仲はより深まった。元旦を僕の家で二人きりで過ごした後、東京近郊の実家に連れていき、結婚の許しを得ようとしたが、両親は反対。葉子の出生の秘密がわかる。
 二度目の春を迎え、山菜採りに出掛けた二人を突然の雷雨が襲う。ずっと微熱が続いていた葉子は高熱を発し入院。僕は毎日、見舞いに行く。夏、幼友達が泊まりにきて、処女を捧げられる。十二月、葉子を残して僕は東京に転勤。クリスマスの五日後、葉子が死んだ、と知らされた僕を深い悲しみが襲った。