詩作「東京ラプソディー」
・ 雨の匂い
秋風が 残していったのは
あなたの 愛のにおい。
一日を 気だるく 過ごして
昼頃に目覚めて クロワッサンの
ブランチをして コーヒーは エスプレッソで
やっと 夜の残り香を消す。
そんな 日々の中に あなたがいた。
雪が 置いていったのは
あなたの 別れのことば。
毎日を 背を向き 諫かって
夕暮れの帳の中で クローゼットの
スーツをとり トランクに 詰め込んで
すっと 家のドアーを閉めた。
そして 夜が来て あなたはいない。
春先に あなたがいたのは
いつもの 喫茶店。
太陽が 輝きを 増し始め
朝の光を受けて カウンターで
グラスを手に ジャワティーとティラミスで
きっと 朝を過しているの。
そんな あなたが 素敵にみえた。
夏が来て わたしは言ったの
あなたが欲しいのと。
一日中 燃えて 求めて
お互いを貪って ベッドの中で
ライターをつけ エクスタシーとメモアール
じっと 今を感じていたの。
それが とても 気持ちよかった。
そんな 日々の中に あなたがいた。
・ファッションマッサージ
君は 真っ白な肌をして
陰毛は 真っ黒だ。
はにかむように 笑って
「アパートの家賃は 十二万円」と言った。背筋はまっすぐで 良いスタイルをしている。乳房は 十代の娘の張りで 乳首は小さく、尖っている。
それを背中に押し付けて わたしを刺激する。
わたしは 太い腹をして
息子は まっすぐだ。
耐えきれなくなって
「今日のポコチンは 百万円」とうめいた。仰向けになって 重なり会っていると
陰唇が アワビのように動いて 真っ赤な口を大きく開けた。
それを口に含んで わたしは射精した。
君は 馬乗りになって
下半身を ぬぐい
ほっとして ため息をつき
「きょうは これで 四本め」といった。
背筋をまっすぐにして すくっと立ち上がる。
乳房は 十代の娘の張りで 乳首は小さく、尖っている。
それを背中に押し付けて わたしを刺激した。
・ソープランド
「いらっしゃいませ」とあいさつをして 先に立った君は 個室に入ると
すぐに 生まれたままの 姿になって
スケベ椅子へと 招いた。
両手で チン洗いをすると
息子は すぐに元気になって
筋を立てて 怒った。
「こんなに 大きくなって」と
いとおしそうに 撫でながら
あなたは 後ろに回って 胸の乳房を
背に押し付けて 上へ下へと擦りつけた。
湯船の中で 君は 再び息子を探って
口一杯に 頬張った。
「入れますか」と聞かれて 肯いた
僕を 跨いで まさぐって、目を瞑って
中へ 招くと
君は 腰をつかって 必死に頑張った。
「まだ行かないでね」といって 腰を離すとこんどは マットを横たえて、泡踊り。
激しく乳房と陰毛を擦り付けられて、僕はすっかり 奇麗になった。
「くつろいでね」と 言われて ベッドに横になった僕に ライトを消して
寄り添った君は 全身に キスの舌を這わせふたたび 息子を 含んだ。
大きくなったそれを 執拗に貪って
「上でいい」と聞いてから
いきり立ったモノを 腰をゆすって
導いて すっぽりと 咥え込み まるで
素人のように 顔をしかめた。
懸命に腰を動かす僕に
「上になる」と聞いて、体を入れ替えた
君は 両脚を 大きく開いて、右手で
モノを導いた。
激しい運動。目を閉じる君。
左に寄ったり、右に揺れたり、
浅くなったり、深くなったり、
円を描いて、右回り、左回り
一、ニと浅く、三で止め。
「今度は、バックで」と言う僕に
「いいわ」と肯いて、四つんばいになる君。桃の形の尻を 両手で押さえて
下からあてがう熱い棒。
左手を 両脚の間から 差し出して
剥き出しの 秘部へ導くあなた。
一、ニ、三のリズムで 差し入れ、差し込み君は 腰をひねって 僕の棒を受け入れる。
乳房をつかみながら のしかかるように
果てた僕。
熱い壺の中で リズミカルな痙攣。
しばしの 静寂の後、僕のモノを外して
避妊具を取ったあなたは
熱いシャワーで 自分のモノを 洗った。
一時の恋人。ひとときの命。
夢つなぎ、夢与え、
いつもあなたは 待っている。
・ピンクサロン
黒服の男に 導かれて 狭い店内に
入ると
ボックス席が 並んでいて
女たちが 生まれたままの姿で
胸の谷間に 男の頭を埋めさせていた。
暗い長椅子に あなたが来て
数本のお絞りを 置いた。
「飲み物は」と聞かれて、
「ウーロン茶」と答えた。
「それでは、入ります。下げてください」と言うのは
ズボンのことだ。
あなたは 薄いペチコートを 脱ぎ捨て
切れ上がったレースの パンティーも外して僕の股間に 顔を埋め
お絞りで 先端をぬぐって
口に頬張った。
僕は右手で 君の谷間を探り
生温かく湿った 泉を見つけ、
その上のベルを鳴らす。
君は笛を吹き続け 僕の縦笛を
べとべとに濡らした。
たまには玉に 唇を下ろし
皺を伸ばして、また竿をなめる。
僕は泉のぬくもりと 君の唇のぬめりとに陶然となって 硬直し、
容赦のない 口唇術の刺激を受けて
射精した。
君はそれを 口内に受け
「失礼」と言って 席を立ち
お絞りの中に 吐き出し
精液を 始末した。
「たまには飲んでしまうの」という君はもうどれほどの量を 胃袋に入れたのか。
そのあとの 世間話が 楽しく、むなしい。決まったように 身の上話をしても、
半分はうそだろう。
でも、残りの半分は 本当だ。
それを信じて サヨナラをした。
・ストリップ
耳をつんざくようなスピーカーの音楽
目がくらむようなライトの光の中で
あなたは白い裸体をくねらせていた。
ぎら付いた男達の 舐めるような
視線を
生まれたままの 無防備な剥き出しの 体に受け
あなたは リズムに乗って踊る。
わずかな幕間の間に
舞台に 敷かれたセンベイ布団。
薄く透けるようなベビードール姿で
現れた君は 手に下げた小物容れから
天狗の面を掴むと
いとおしむように その長い鼻に
唇を這わせ しっとりと濡れそぼらせて
胸の谷間に 挟んだ。
身もだえしながら そのモノを
いとおしむように 下へと這わせ
漆黒の森に導き その奥の熱い裂け目に
ズブリと差し込んだ。
右手で面を支え 腰を回転させながら
長い鼻を 入れたり 出したり。蜜のように滴る愛液が 鼻を濡らす。
その規則的な動きに合わせ
「あー、あーん」とよがり声をもらし続けるあなた。
汗の玉が肌を照らす。何度かの痙攣を
演技して迎える クライマックス。
ぐったりとしたあなたは 舞台の上で
しばしの休止符をとり
やがてゆっくりと 身を起こし 濡れきった陰部を そのままに 形だけの衣を羽織って深々と頭を下げて 舞台の袖に引っ込んだ。
再度の暗転の後、現れたあなたは
薄い衣一枚で 客席を回る。
「さあ、ラスト」の掛け声にあわせ
惜し気もなく 女の一番恥ずかしい部分を
熱い男達の視線に 晒す。
中央に張り出した舞台の上で
片足を高く上げ その付根を
むき出しにする君。
四つんばいになって 尻を突き出し
その奥の 赤い部分を 手を添えて開き
奥の奥まで 開いて見せる君。
テカテカに光る その部分から 女の甘い
体臭が 匂う。
また、一度の暗転の後
さっきの天狗を 手にしたあなたは
最前列の客に それを渡し 腰を降ろして
秘部を突き出した。天狗を拝むようなして持ち 厳かに差し入れる客に
「はいどうぞ」と精一杯の明るさで応じる姿は やはり いつも すこし恥ずかしげだ。 何人もの客に こねまわされて
君の陰部は ただれている。その異常な赤さは ライトに照らされた 傷跡のようだ。 大陰唇が肥大して、なかの洞穴が開いたままになっても 君は踊り続けるのだろうか。 若い踊り子のその部分が 採り立ての
サクランボのように 奇麗なピンク色なのに比べ
ベテランのお姉さんたちの部分は すっかり色が濃くなり タルタルステーキのようなのを 彼女たちは どう思うのだろうか。
桜色から血の色まで いくつもの 貝の肉を晒して ステージはフィナーレを迎えた。 細く滑らかな 張りのある裸体と
堂々とし熟れきった 蒸れた裸を
ありがとう。
舞台に 客を上げて 本番をしていた
あの娘は 今は 何をしているのだろう。
舞台の上で自分の体を通りすぎていった 男達の数を 覚えているだろうか。
・一日一膳
一日に一膳のカユを食し
一日に一善を為す
心地良きかな
・心の虹
君の笑顔を見ると
僕の心に虹がかかる
水煙が陽光を受け
プリズムが光を分析するように
僕も君の心を
のぞきたい
・新しい風
風が吹いている
東の空が白んできた
カッコーが、鳴いている
冷気がほほを刺す
さあ、もう一度、眼を開けて
太陽とともに歩み出そう
・手の中で
君の心を手の中に入れて
やわらかく、ひそやかに
包み込んでしまいたい
いつも、するっと通り抜けてしまう
水のような君の心を
手の中に入れて
包み込んでしまいたい
・最高の日々
昨夜、夢を見た。
老人が豆を食べていた。
豆には粉砂糖がまぶしてあって、
老人は、菓子袋から、
一粒ずつ、取り出しては、口に運び、
そのたびに、
・「デパート・ガール」
わたしは、昔、デパート・ガール
カード使って、借金しまくり、
ローン地獄で、のたうち回り
とうとう、体で、カネ返す
そうして、二年になりました
いまでは、すっかり、慣れきって
一本、二本が、十本、二十本
毎日、数をこなすうち、体もすっかり
こなれてしまい、そろそろ足の洗い時
それでも、ちっとも、借金は減らずに
むしろどんどん、増えていく
そのうち、金ができたなら
耳を揃えて返してやるわ
わたしの体が、続くうち
わたしは、昔、銀行ガール
手形振り出し、借金しまくり、
ローン地獄で、のたうち回り
とうとう、体で、カネ返す
そうして、二年になりました
いまでは、すっかり、慣れきって
一本、二本が、十本、二十本
毎日、数をこなすうち、お口もすっかり
爛れてしまい、そろそろ足の洗い時
それでも、ちっとも、借金減らずに
逆にじゃんじゃん、増えていく
そのうち、借金返せたら
赤井ルージュを塗りまくり
大口おんなで化けて出る
わたしは、昔、エア・ホステス
外国旅行で、買いまくり
ローン地獄でのたうち回り
とうとう、体で、カネ返す
そうして、二年になりました
いまでは、すっかり、慣れきって
一本、二本が、十本、二十本
毎日、数をこなすうち、演技もすっかり
身について、そろそろ卒業迎えるばかり
それでも、ちっとも、借金減らずに
むしろどんどん、増えていく
そのうち、借金返せたら
コスプレ・プレーを突き詰めて
見事な役者になってやる
わたしは、昔、女医だった
患者に貢いで、捨てられて
ローン地獄で、のたうち回り
とうとう、体で、カネ返す
そうして、二年になりました
いまでは、すっかり、慣れきって
一本、二本が、十本、二十本
毎日、数をこなすうち、乳房もすっかり
崩れてしまい、そろそろ、足の洗い時
それでも、すこしも、借金減らずに
逆に、ますます、増えていく
そのうち、借金返せたら
ホテル通いの経験生かして
行かせる女医になってやる
・海を駆ける少女
海を駆ける少女
君はどこへ行くのか
君は空へ行くのか
それとも白い雲に乗って
はるかかなたの
地平の果ての
見知らぬ国へ
行こうというのか
風のような少女
君はどこへ行くのか
君は山を目指すか
しっかり煙る霧の中で
はるかかなたの
地平の果ての
見知らぬ国へ
行こうというのか
・上り下り
川の中 上り下り
三匹の猫 一緒に泳ぐ
助け合い 支え合い そして時々小突き合い
向こう岸へと 流れていく
道の上 上り下り
三匹の猫 一緒に走る
押し合って 引き合って そして時々いがみ合い
向こう街へと 走っていく
人生の 上り下り
三人の子供 一緒に歩む
慕い合い 伝え合い そして時には忍び会い
安息の日へと 進んでいく
・小さな鉛筆
小さな鉛筆 残りは少なく
あと何日 書けるかな
ずっと 思い出 書いてきた
残りは少し ほんとに少し
インキ壺に 残ったインキ
もう使わない これでお終い
使い切ってしまわないうちに
私の恋も終わりそう
乾いたペン先 光が鈍く
あと何日 書けるかな
ずっと気持ちを綴ってきた
もう使わない 乾いたペン先
「再デビュー」
あんなに 憧れた人なのに
子供が二人 大学生と高校生
育児疲れも 感じない
肌の艶と 瞳の輝き
かわいた唇 赤く光らせ
香りまき散らして 再デビュー
あれほど 思った方なのに
子供が二人 大学生と高校生
ゴルフ疲れも 思えない
焼けた額と おでこの皺と
乾いた唇 きりりと結び
光輝かせ 再デビュー
・我呼ぶ人々
我呼ぶ人々 旧き人々
思いたぎらせ 思い出の人々
遠き峰々 降り注ぐ光
昼の川面に 跳ねるアユ
我呼ぶ人々 幼き日から
君ら呼ぶ我 旧き人々
青春の日の 数々の思い出
夏の太陽 裸足の浜辺
波の彼方へ 泳ぐ我
我呼ぶ人々 旧き人々
過ぎ去りし日の 思い出の人々
遠き峰々 渡り行く風
空の彼方を 泳ぐ鳥たち
・忘れ話
別れ話はすぐ飽きる
こころにしみる話とは
あなたと会った時のこと
こころ奪われ 身を捧げ
一つになれたと思い込み
ここまで来ては みたけれど
別れ話になりました
忘れ話をしてみたい
こころに残る話とは
あなたを別れた時のこと
心別れ 身も離れ
二つに別れて生きていく
悲しいことになったけど
忘れ話はしたみたい
思い出話はすぐできる
心にのぼる話とは
あなたと暮らした時のこと
心合わせ 身を砕き
家族になれると思い出し
いろいろやってみたけれど
思い出話は すぐできる
・空
茜空に 鳥飛ぶ
青き空 消えし
晴れ行く 夏の日
一羽の 黒き鳥
天上に ありて
急に 降下す
落ちて消える
入道雲に トンボ群れ
白き雲 消えし
晴れ登る 秋の日
群れる トンボ
空に ありて
常に 漂う
集まり 動きぬ
・二人雨
涙雨 忍び雨 通り雨
雨にも いろいろあるけれど
私とあなたが 相合い傘で
濡れていくのは 二人雨
行き交う人が 笑顔を寄せて
しっとり 歩いて行く先に
愛の巣があり 夢がある
隠し夢 思い夢 楽し夢
夢にも いろいろあるけれど
私とあなたが 心に思う
明日の暮らしは 二人夢
手と手を繋ぎ 前だけ向いて
ゆっくり 歩いて行く先に
愛の巣があり 恋がある
・世界の歌
皆で 歌おう 世界の歌を
手を繋ぎ、肩を抱いて、輪になって 踊ろう
さあ 歌おう 世界の歌を
声を合わせて、空まで届け
平和を祈り、融和を誓い、
世界の歌を 輪になって 歌おう
皆で 歌おう 世界の歌を
足踏んで、身を寄せ会って、輪になって 歌おう
さあ 高く 世界の歌を
声を合わせて 宇宙に飛ばそう
幸福願い、健康祈り
世界の歌を 皆で 歌おう
・空の女神
「あの空から悪魔が来る」
少年は言った。
「どんな悪魔だね」
老人が聞いた。
「僕の父さんや、母さん殺した恐ろしい鳥たちです」
「鳥が、殺したのかい」
「そうです。黒い鳥です」
「それは、鳥じゃない。爆弾という人間が作った悪魔の手先だ」
「人間が作ったというのですか、あの大きな空を飛ぶ鳥を」
「そうじゃ。人の心には、大きな悪魔が住んでいる。その悪魔の囁きが、大きな鳥を作らせた」
「なんで、僕たちの空を飛ぶんです」
「空は、皆のものだ。だから、勝手に飛んでくる」
「それなら、悪魔が女神になったら」
「この乾燥した台地に、恵みの雨をもたらすだろう」
「悪魔が女神に変わるためには、どうすればいいんです」
「人の心が変わればいい」
「それには、どうすればいいんです」
「恐れの心を取り去ることだ」
「恐れの心ですか」
「人を思いやり、慈しみ、愛する心だ」
「簡単じゃあありませんか」
「だが、難しいのだ」
「僕たちは、そうして生きている。なおに、どうして悪魔が降るんです」
「悪魔の代理が、いるからだよ」
「なら、女神の代理に代えればいい」
「女神は、遠くにいってしまった。この土地に女神は来ない」
「でも、僕は、求めつづますよ。どこにいこうとも」
「わしも若いころは、そう思ったものだ。ずっとそう思っていたが・・・」
少年は空を見た。
まだ、空は青かった。黒い鳥は、まだ、来ない。
ずっと、来ないで欲しい。
少年は、老人を見た。
その目は、暗く、遠くを見ていた。
・アポロ
あの分厚い胸に抱かれて
死んでしまいたいと
あの子は言うけれど
あの胸の中には
悪魔が宿っていると
母は知っている
それでも、母は、父のない子の思いを
叶えてやろうと
その男の前に立つ
男は母に頭を垂らさせ
「願いを聞くが、条件がある」と答える
母は、男の顔を見上げ
「なんでもします」と懇願する
「お前を欲しい」と男は言う
あの子のためなら
何でもできる
母は静かに身を横たえて、目を瞑る
それを見て、男は言う
「もうよい、わかった」と
母は立ち上がり、遠くを見た
「わが子よ、願いは叶えられた」
子は無邪気に、遊んでいる
「あの人が、僕の父さんならいいのに」
願いは叶えられた
アポロは全ての彷徨える孤児たちの父として
いま、蘇った
母の献身を受けて
そして、戦争が始まった
・外人街
不夜城は、あいつらに占拠された
あいつらは、船でやって来て、居座り
仲間を呼び寄せては、増えていった
町の一角は、彼らの城と変わった
そこでは、言葉は通じない
身振り手振りで、会話を交わす
それが、この地のきまりごと
あの町に、同胞は居ない
あるのは喧騒と酒の臭い
この町が忘れていた夜のさんざめき
それをやつらは生き返らせて
あの町を占拠している
パラダイスは、あいつらに占領された
あいつらは 船でやって来て、帰らず
仲間を呼び寄せては、増やしていった
俺の町は、やつらのものになった
そこでは、ハートが物を言う
体と体で、気持ちを通わせ
生き延びていく 異国の町で
あの町に、同胞は居ない
あるのは喧騒と酒の臭い
この町が忘れていた夜のさんざめき
それをやつらは生き返らせて
あの町を占拠している
・ハルマゲドン
ハルマゲドンは
昼間毛丼
降る髷丼に
なる髷丼
いつまでたっても
塗る曲げ丼
タクラマカンは
鱈馬泣かん
田鎌羅漢に
句多摩羅漢
どこまで行っても
詰まらな勘
コマネチは
独楽ねっ血
妻ねっ血に
球ねっ血
いくらたっても
東風招き
言葉遊びは面白い
面白言って
尾も白い
ああ、
まったく、
浅はかな
・夢現
夢を見たのは一度だけ
あなたと別れた夜のこと
幸せ薄い私でも
何時かは添えると願いつつ
過ごした日々が思われて
泣いていたのは一夜だけ
どうしてこうも辛いのか
どうして裂かれにゃならないの
あんなに愛していただけに
辛い一夜の夢でした
夢を忘れてそれからは
必死であなたの面影を
消そうとしてきた私です
何時かは消えると願いつつ
過ごした日々が辛くって
泣いていたのは一夜だけ
どうしてこうも泣けるのか
どうして涙が続くのか
あんなに愛していただけに
辛い毎日、続きます
うつつのことはそれとして
あなたを忘れず生きるのは
幸せ求めているからか
何時かは再会願いつつ
過ごしているのは思い出を
壊してしまいたくはない
そういう思いが強いだけ
どうすりゃあの日に戻れるか
それだけ祈って生きている
夢を抱えた私です
・花の歌
花よお前はなぜ美しい
あの日の温みを
乱れに撒いて
ちらちらと散る桜花よ
花よお前はなぜ乱れ散る
花よお前はなぜ咲き狂う
あの陽の盛りを
花弁に留め
満開なりしヒマワリよ
花よお前はなぜ咲き誇る
花よお前はなぜささやかに
野原の隅に密やかに
隠れるように姿を見せる
コスモス群れ
その面影の儚さよ
花よお前はなぜ降りつのる
あの日の寒空を
更に曇らせて
ひらひら落ちる冬の花
雪よお前はなぜ悲します