横濱ジャズプロムナード2004に行って来ました
今年の横濱ジャズプロムナードは1日目台風22号の直撃を受け、屋外ライブや一部ライブは中止、交通機関もマヒしたために来たくても来れなかった数多くいました。それでもがんばって行った人は素晴らしいライブが待っていました。
根性のない(笑)僕は1日目は欠席して、2日目(10月10日)に出かけました。
横浜のスイングガールズ発見!(関内ホール前にて)
(撮影:マスター)
大友良英ニュージャズアンサンブル(関内大ホール)
パーソネル 大友良英(g)アルフレッド・ハルト(ts,bcl)津上研太(as)高良久美子(vib)SachikoM(サインウェーブ)水谷浩章(b)芳垣安洋(ds,tp)
演奏曲(聞き取りにつき間違っているかもしれません)
1.ハットアンドベアード(エリックドルフィー)
2.テイルズアウト(大友良英?)
3.ラヴクライ(アルバートアイラー)〜ユリーカ
僕が会場入りしたのは12時ちょっと過ぎていて、演奏は既に始まっていた。1曲目はエリックドルフィーの曲で名盤といわれる「アウト・トウ・ランチ」の1曲目に入っている曲である。僕はドルフィーのこのアルバムをかなり昔に買ったのだが、とっつきが悪かったのかほとんどまともにターンテーブルにのったことがない。今聴いてみると違和感がない。ライブにはLPラックに埋もれているLPの虫干しと再評価をさせてくれるという素敵な効用があるのである。大友さんのギターかには、あいかわらずのノイズと金属音が放射されている。ただ大ホールに埋まったこれだけの聴衆が「ピー」とか「ガー」とかスピーカーから発せられる音響をPAの故障とは理解していないところが彼のカリスマたる所以なのかもしれない。
2曲目は一転して静寂の美。高良さんのバイブらフォーンとSachikoMさんのサインウェーブのデュオから始まった。高良さんはマレットだけではなく、バイオリンの弓のようなものを鉄琴の共鳴部分にこすらせたりしてビミョーな音を出している。SachikoMさんのサインウェーブという楽器?は仕組みも演奏方法も音色すらよくわからない。サンプリング楽器なのかなんらかのイコライザーなのかしらん。とにかく透明感あふれるガラスのような旋律が続き、他のメンバーが入ってもその状態は続いた。大友さんの新しいアルバムの表題曲のようなので、興味がある方は聴いてみてください。
3曲目はいかにもアイラーというナンバー。他の人の曲も入ったメドレーのようだったが、僕には曲の区切りはよくわからず、最後までアイラーっぽい演奏に聞こえた。ここでの大友さんはわりとまともなギターを弾いていた。芳垣さんは最初tpを吹いていた。アルフレッドハルトさんは足をシェーの格好みたいにしながら吹いていた。なんか今はやりのデュークなんとかというウォーキングの先生を思い浮かべてしまった。僕はアイラーのアルバムは1枚しか持っていないのだが、結構ライブで彼の曲をとりあげる人も多いので、勉強のために揃えておきたいなあとふと思ってしまった。
大友さんは10月11日に同じメンバーで新宿ピットインに出演。来年はメンバーを拡大してBigBandに挑むのだそうだ。大友さんがJazzのフィールドでどんな展開をしていくのか楽しみになってきた。
ジェレミー・スタイグ・トリオ(開港記念会館)
パーソネル ジェレミー・スタイグ(fl)ヴィック・ジョリス(g)増根哲也(b)
演奏曲(聞き取りにつき間違っているかもしれません)
1.?
2.?
3.枯葉
4.ラバーマン
5.オールブルース
6.ナルディス
(アンコール)
・ストレート・ノー・チェイサー
ジェレミースタイグは2001年にエディゴメスカルテットで聴いて以来である。とにかくこの人はビルエヴァンスとの共演盤「ファッツニュー」での「枯葉」の名演で知られる人である。また彼は顔面の片側が不随で特殊なマウスピースを付けてフルートを吹いているとか、その過激な音色からいろいろ言われていたが、現在は完治したのか、大げさな噂だったのかわからないがとにかく今は普通に演奏しているようだ。今回はアコースティックギターとウッドベースというトリオでの出演。ベースの増根さんという人は日本人であった。
ちょっと早めに行って席を確保しておいたのだが、さすがに開港記念会館はほどなく満席になった。ステージ上ではそんなことにおかまいなく本番さながらのリハーサルをやっていた。とっかえひっかえ出演者が変わるこのジャズプロムナードでは、客席をオープンにしたままでセッティングの変更、サウンドチェックとリハーサルをてきぱきとやっていかなければならないのだ。
さて、演奏の方は1、2曲目はよくわからなかった(なにせMCも英語なもので、モンクの曲もやったかもしれない)が3曲目以降は有名な曲を選んでやってくれたので助かった(笑)。僕はフルート好きなのだが、彼のフルートは忌野清志郎のめちゃくちゃフルートに匹敵する過激さで、時にはフルートを吹きながら口でアドリブを奏でているようにも聞こえるのだ。その迫力満点である。ギターのヴィックさんもなかなかのテクニシャンでベースの増根さんも含め丁々発止のかけあいが良かった。
感動した僕は会場でジェレミーさんとヴィックさんのデュオアルバムを買い、ジェレミーさんにサインと握手をしてもらった。普通にサインした後、ちょっと考えたジェレミーさんは名前の最後の「g」を伸ばしてジャケットに写っているフルートのところに吹き口のところまで伸ばしたのであった。なんかおちゃめな人である。そういえばこのJPに合わせて有隣堂で彼の描いた絵の展覧会をやっているとのこと。彼のお父さんウィリアムスタイグは著名な漫画家なのだそうだ。
サインしてもらった「IMPROVISED」というアルバムは、もちろんサイン目当てで題名も見ずに買ったわけだが、実際聴いてみると24曲のうち22曲が短い即興演奏になっており、演奏は素晴らしいもののライブで聴いたスタンダードの余韻にひたりたかった僕は少しがっかり。やはりライブの感動は一期一会なのだ。
Minga Senegal+おおたか静流(情文ホール)
パーソネル 早坂紗知(as,ss,リコーダー)永田利樹(b)黒田京子(p)コスマス・ヤピッツァ(perc)ワガン・ンジャエ・ローズ(perc)イバ・ンジャエ・コーズ(perc)アブドゥ・バイ・ファル(perc,vo,舞踏)おおたか静流(vo)
演奏曲(聞き取りにつき間違っているかもしれません)
1.?
2.ルシファーズビバップ
3.エンニャーノーレン
4.ディアキッズ
5.わらびがみ
6.チルドレンチルドレン
7.明日船が出るセネガルへ帰ろう
ジェレミーを聴いた後に、Hagiさん、山形県天童市のジャズ喫茶「らぐたいむ」のマスターご夫婦が聴きに行くというので、情文ホールへ向かう。「らぐたいむ」のマスターご夫妻は昨日山形から新幹線で上京し、雨にも負けずライブを聴いていた組で松本から来たHagiさんは僕と同じく昨日断念して今日聴きにきた組なのである。横濱JPの楽しいところは、演奏もさることながら、普段インターネットの中で会話している日本中のジャズ仲間とライブ会場でオフ会ができることにあるのだ。Hagiさんはご主人、友人と、らぐのマスターのところは埼玉在住の息子さんまで来ていたのである。自分を棚に上げて言えば(笑)なんと親孝行なジャズフェスなのであろう。
早坂さんは女性リード奏者の先駆であり、僕にはフリー系のイメージが強かったが、今日はなんかほのぼのとしたライブであった。
1曲目は、セネガルのパーカッション3人組をフィーチャーしたセネガルリズムの曲。切り裂くような鋭い早坂さんのソプラノの音色が快感である。2曲目は永田さんの曲でこの曲からピアノの黒田さんが入った。3曲目にボーカルのおおたかさんが入る。4、5曲目はおおたかさん曲。わらびがみはパーカッション抜きでの演奏で早坂さんは短いリコーダーでやさしく吹いていた。6曲目は早坂さんの曲でパーカッシヴなリズムがこの編成に合っている曲だ。この辺でセネガルの踊り手であるアブドゥ君の踊りも登場。7曲目の前に、おおたかさんの振り付け講座。NHK教育の「日本語で遊ぼう」(?)とかでやっている「ピットンヘベヘベ」とかいう唄にあわせた振り付けをメンバー全員で熱演。その後にこのリズムでアブドゥ君が日本語で唄ったのが最後の曲である。この歌詞を客席と掛け合いしながら楽しい演奏で幕を閉じた。今日の演奏はパーカッション4人でとてもアフリカっぽいリズミックな演奏になったり、おおたか静流さんのほんわかした日本語の歌詞でひどく和製な音楽になったりして、不思議に楽しい音空間であった。黒田さんはきちんとピアノのおねえさんをしていたし、早坂さんはとても楽しそうにストレートに吹いていた。そのスレンダーな姿はなんかカッコイイ。僕は早坂さんのソプラノが好きだなあ。10月17日に西新井カフェクレールへ来るので、見に行こうCD持っていってサインして貰おうとミーハー心は強く思ったのであった。
板橋文夫「YOKOHAMA2004」(関内大ホール)
(1部)
パーソネル 板橋文夫(p)林栄一(as)
演奏曲(MCがないため推定です)
1.I mean you(セロニアスモンク)
2.?
3.?
4.?
(2部)
パーソネル板橋文夫(p)井野信義(b)小山彰太(ds)+片山広明(ts)田村夏樹(tp)
演奏曲(聞き取りにつき間違っているかもしれません)
1.七夕
2.EJブルース
3.?
4.ゴスペル21?
「渋さ知らズ」の出ない横濱JPのメインは板橋文夫というのが定番になりつつある。今年は17時30分からみっちり4時間近く、板橋ワールドを展開した。まずは林さんとのデュオ。そういえば彼らのデュオアルバムが今年発売になったのである。1曲目はアルバムにも入っているモンクの曲であったが後の曲名はよくわからなかった。林さんのアルトは大ホールで聴いても圧倒的に存在感がある。
続いてはトリオでエルビンジョーンズに捧げた演奏。ついで片山さんのテナーが入ってカルテットでの演奏。片山さんのテナーが無邪気に大音量で奏でるほのぼのとしたメロディが僕は大好きである。その次の曲はtpの田村さんが入って板橋さんの懐かしい曲。今日は田村さんのtpもよく鳴っている。板橋さんのピアノも相変わらずのスタイルだが、最近は鍵盤を縦横無尽になでつけるだけでなくて昔のようにもう少し繊細な演奏も聴きたくなっている今日この頃である。そんな訳で3部のオーケストラには後ろ髪をひかれつつ、大ホールを後にしたのであった。
井上淑彦FUSE(関内小ホール)
パーソネル 井上淑彦(ts,ss)田中信正(p)坂井紅介(b)つの犬(ds)
演奏曲(MCが無かったので推定です。曲順は自信ありません)
1.Little Tree(p,ss Duo)
2.North Rider
3.芳ケ平
4.Birth of Life
5.Grasshopper
(アンコール)
1.Fireworks
2.Gratitude
大ホールで板橋さんを2部まで聴いたところで小ホールのFUSEへ移動。やはりK.Kurodaさんをはじめとした名古屋からの遠征組も前の方に陣取っていた。Hagiさんたちも来ていた。こちらもほぼ満員になっている。
今日の井上さんは全然MCでの曲紹介が無く、メンバーも最後にさらっと紹介しただけで演奏に集中していた。よって曲目は記憶による推定だが、ほぼ「Grasshopper」というアルバムからの曲を演奏していたようだ。1曲目はピアノとソプラノのデュオ。4曲目と5曲目はキレ目無しでの演奏であった。しかし、早坂さんのソプラノと井上さんのソプラノの音色はなんと違うことか。早坂さんの直情的で太い音色に対し、井上さんはリリカルといってよい優しい音色である。森山グループの時の過激な雰囲気はこのFUSEではみじんもみられない。特にテナーでは極限まで音を絞りきった原酒のごとき深い音が一音一音、我々の心をとらえていくのが不思議である。バックでは紅介さんのベースソロが内省的でダンディにきまっており際だって良かった。猫背で大きめな白いシャツを来ていた信正さんのピアノもこのグループでは過激さをおさえたリリカルでどこまでも美しい旋律で癒してくれる。ドラムのつの犬さんもガンガン叩きつつも全体はくずしていない。ここでは忠犬ハチ公である。ああストイックでクールで都会的なサウンドがFUSEなのだなあと再認識させられたステージであった。
曲を終えてあっけなく袖に下がったがアンコールは2曲やってくれた。ラストはやはり名曲Gratitudeである。森山Gでの大向こうを唸らせる歌舞伎の見栄みたいな盛り上げはないが、地味ですが「天然素材一筋でやってます」みたいな素朴なGratitudeを聴いて帰れば心も安らかになり、台風にあったことも、チケットが無駄になったことも許せてしまい、優しい気持ちで帰れるのだ。そういう音楽どうぞ聴いてください。
ということで僕の横濱JPは大団円で終わり、その後、今回聴けなかったShidaさんらと居酒屋方面に去っていったのであったチャンチャン。