ジャズと音楽の部屋2004


マスターが見に行ったライブレポです。

INDEX

チャーリーヘイデン&ケニーバロン 竹内直カルテット 宮下博行トリオ"MNT" 川嶋哲郎JAZZ ACOUSTIC !!
CO2 深井克則BANDA CALIETE GRANDE 野本晴美トリオ 宮下博行・能勢英史Duo
ケイ赤城トリオ 森山威男セッション 矢野沙織カルテット 渡辺貞夫クインテット
ケイコリーwithドキドキモンスターズ 増尾好秋セッション 板橋文夫サマージャズタイム 熱帯JAZZ楽団
本田竹廣 THE PURE ケイ赤城トリオ×2 みちよんトリオ+1 小杉敏スペシャルセッション
秋山一将セッション 中村達也JAZZカルテット 林栄一PLAYSミンガス&モンク ケイ赤城トリオ+峰厚介
クロードボリング ジャズトリオ&工藤重典 稲垣貴庸BIG BAND 矢野沙織カルテット+1 横濱ジャズプロムナード2004
オスカーピーターソン&上原ひろみ 山田穣トリオ 峰厚介スペシャルグループ 新潟中越震災救援チャリティコンサートat新宿DUG
東京中低域 ジュニアマンスクインテット 津荷裕子with井上智NYカルテット STRING OF PEARLS
山下洋輔忠臣蔵セッション

山下洋輔忠臣蔵セッション

平成16年12月14日(火)

新宿Pit Inn

パーソネル
山下洋輔(p)梅津和時(as,ss,cl)片山広明(ts)吉野弘志(b)堀越彰(ds)
松本治(tb,arr)YUKARIE(ts)

曲名は聞き取りにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
組曲ジャズマン忠臣蔵より「松の廊下」「切腹」
2nd
組曲ジャズマン忠臣蔵より「一力茶屋」「討ち入り」
<アンコール>
「切腹」より辞世の和歌


ひさびさに山下さんを聴こうと思ったのは、フロントが梅津・片山という大咆吼サックスコンビだったからだ。新宿ピットインの山下洋輔2DAYSの1日目だ。ちなみに2日目のフロントは川嶋哲郎アニキであるが、それはおいといて、仕事もそこそこにピットインへ向かった。着いたのは開場20分位前で今日は餃子屋に寄る余裕はなかった。地下のピットインに降りて行くと順番待ちの椅子席がまだ空いている。予約しなかったが、これは意外に空いているのかも・・・、と思ったのだがこれが大間違い、開場時間になると地下の通路は人で一杯。要するに山下さんのライブを聴く人はほとんどが予約組ということなのであった。リハが長引いたので若干遅れて開場。この日のピットインは椅子テープル共通常設置であったが、ほぼ満席の入りで、僕も一人だったので、隅っこだったが前から4列目位に席に座ることができた。
ライブに先立ち、山下さんが出てきてなんだと思ったら突然「前説」を始めた。来年1月に20年ぶりに忠臣蔵をやるが、今回は前回と違いお芝居版ではなく音楽版であること。今日は討ち入りの日なので、そのリハーサルといってはなんだが、コンボ版を演奏する。ちゃんと泉岳寺にお参りしてきた。メンバーは当初告知のメンバーに加え、今回アレンジを手がけたtbの松本治と今回初顔合わせのtsのYUKARIEが加わったこと、本番の時には筒井康隆さんのト書きがところどころで出ること等をしゃべくって、山下洋輔トリオが舞台に登場となった。
第一楽章は「松の廊下」である。ホーンセクションは客席側からフリーに吹きながら舞台へと上がっていく、かなりどしゃめしゃとフリーの演奏。舞台の面々はバラエティに飛んでいる。フロントでは梅津・松本のスキンヘッドが2人揃って、山下を入れれば3人の坊主頭が揃っておりなかなか怖い(笑)。リズムセクションの堀越・吉野は長身痩躯のなかなかよいイケメン風である。そしてtsのYUKARIEさんは長身スレンダーな美女である。片山さんとのテナーコンビは美女と○○か(爆)。このメンバーはそのまま1月の本番でも舞台にあがるのだ。
梅津・片山のサックスの掛け合いは吉良・浅野のやりとりの言葉のようでおかしい。がんがんしたやりとりのパートに続いては、にぎやかな「バイバイブルース」。梅津さんはクラリネットを吹いている。彼はこの日、アルト、クラにソプラノまで吹いていたが、ただ普通に吹くだけでなく、ソプラノをマウスピースを付けずに吹いたり、逆にマウスピースの部分だけで音を出したり、クラリネットり開いた先の部分だけを外して、ラッパのワウワウのように吹いたりしていた。
「ストーミーウェザー」も流れていたが、これは「切腹」の場面だったかしらん。切腹のパートで忘れていけないのは、辞世の句を詠むくだりである。この短歌のフレーズをリフで繰り返すのはハナモゲラ以来山下音楽の独壇場であろう。
休憩後は「一力茶屋」の楽章から。まず「ダンシングインザダーク」。そして「どんちゃん騒ぎ」とスタンダードのフレーズとオリジナルを適所に配置させながら茶屋の場面が続く。スレンダーな美人であるYUKARIEさんは結構泥臭いトーンのテナーを吹くのだが、そのギャップがなかなかカッコイイ。
そして、最終が「討ち入り」山鹿流の陣太鼓になぞらえた堀越さんのパワフルなドラムから入る。堀越さんは昔山下トリオで聴いて以来だったが、森山さんに通ずるパワフルさ奔放さをもちあわせたわりと好きなドラミングである。討ち入りだらそれこそどしゃめしゃと派手な演奏だ。山下さんのピアノもフリー時代を彷彿させるフレーズ連発で楽しかった。
アンコールは、このメンバーで出来る曲が他にないということで「辞世の句」のパートを再度演奏した。
実は忠臣蔵が聴けると思っていなかったので実にラッキーだった。ピアノの横には泉岳寺で買ったのかでんでん太鼓が立てかけてあった。厄よけなのかなあ。いずれにせよった。1月の東京オペラシティホールでの演奏が楽しみなコンボ版忠臣蔵であった。(2004.12.18記)

STRING OF PEARLS

平成16年12月11日(土)

西新井Cafe Clair

パーソネル
STRING OF PEARLS(Susan Halloran(vo)Jeanne O'connor(vo)Holli Ross(vo))
ジャニス・フリードマン(p)山下弘治(b)滝幸一郎(ds)

曲名は聞き取りにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.?
2.Song For My Father(Horace Silver)
<以下ボーカル入る>
3.?
4.?
5.All Of Me(Seymour Simmons)
6.If It Ain't Got That Swing(Duke Ellington)
7.?
8.?
9.?
10.?

(アンコール)On The Sunny Side Of The Street(Jimmy McHugh)

レポはしばらくお待ちください。

津荷裕子with井上智ニューヨークカルテット
津荷裕子ファーストCD "ドリームズ・オブ・ラヴ"[WNCJ-2137] リリース記念ツアー

平成16年11月29日(月)

新橋SOMEDAY

パーソネル
津荷裕子(vo)井上 智(g)百々徹(p)マーク・チューリアン(b)トミー・キャンベル(ds)

曲名は聞き取りにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.?(井上智4)
2.55(井上)(井上智4)
<以下ボーカル入る>
3.All The Things You Are(Jerome Kern)
4.East Of The Sun And West Of The Moon(Brooks Bowman)
5.Fly Me To The Moon(Bart Howard)
6.You Must Believe In Spring(Michelle Legrand)(p,voデュオ)
7.?
8.But Not For Me(George Gershwin)

2nd
1.Pennies From Heaven(Artur Johnson)(井上智4)
2.カリプソエニィウェア(井上智)(井上智4)
<以下ボーカル入る>
3.?
4.Mood Indigo(Duke Ellington)
5.Star Eyes(Don Rae&Gene Depaul)
6.In A Sentimental Mood(Duke Ellington)
7.Just One Of Those Things(Cole Porter)
8.Love Is Here To Stay(George Gershwin)

(アンコール)Lullaby Of Birdland(George Shearing)

NY在住の新進ピアニスト百々徹さんの来日ツアーもこの日が最終日。残念ながらこの日のメインはボーカルで、彼はサイドマンとしての出演だったが・・・。でも、この日のリズムセクションはなかなか興味深かった。NY在住の日本人2名に日本在住の米国人2名という逆転現象のカルテット。率いるは昨日のジュニアマンスのグループで来日していたギターの井上智さんである。
1set目、まずはカルテットで2曲演奏。1曲目はスタンダード(曲名不明)、2曲目はヤンキースの松井に捧げた5拍子の曲。3曲目からこの日のメイン、津荷裕子さんが登場。彼女もNYで唄っていたそうだが、現在は三重県あたりにお住まいとのこと。普段のライブはピアノとかギターとのデュオが多いということで、豪華なカルテットをバックに従え少々調子が違ったようだが、お馴染みのスタンダードを白人ボーカルっぽくわりとアカヌケした感じで唄っていた。6曲目のミシェルルグランのナンバーは百々さんのピアノとのデュオ。バラードピアノがなかなか素晴らしかった。
2set目も井上カルテットの演奏から始まった。スタンダードの後、井上さんのオリジナルでソニーロリンズに捧げたカリプソナンバー。井上さんのギターは昨日のジュニアマンスのグループでは緊張もあったのかやや大人しい感じだったが、今日はリラックスした良い演奏を聴かせてくれた。そして、またまたボーカルの津荷さんが登場。エリントン、ガーシュイン、コールポーターと名曲を次々と唄った。この日一緒に聴いていた後輩はジャズはズブの素人だったのだが、「フライミートゥザムーン」とかたまに知っている曲が流れたので喜んでいたから、そういう選曲も大事である。アンコールも有名な「バードランドの子守歌」。ベースのマークさんが、イントロからソロをとってなかなか素敵でした。ドラムはナベサダさんのグループでもお馴染みの背がもの凄く高いトミーさん。この日はさすがにアヒルや木魚?みたいなパフォーマンスは少なかったが、演奏はさすがだった。
この日の観客は圧倒的に女性が多くびっくりした。誰のファンが多かったのかなあ。(2004.12.9記)

ジュニアマンスクインテット

平成16年11月28日(日)

NHK505スタジオ

パーソネル
ジュニアマンス(p)ジェシーデービス(as)アールメイ(b)ジャッキーウィリアムス(ds)井上智(g)

曲名は聞き取りにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1.C Jam Blues(Duke Ellington)
2.Jubilation(Junior Mance)
3.「女王組曲」よりTHE SINGLE PETAL OF A ROSE(Ellington - Strayhorn)(pソロ)
4.Old Folks(Willard Robinson)
5.Take The "A" Train(Billy Strayhorn)
6.Work Song(Nat Adderley)

またまたNHK-FMの公開録音に行って来た。今日はジュニアマンスクインテットである。集合時間の10分ほど前に集合場所に着いたのだが、さすが来日ミュージシャン、もう結構並んでいる。結局、この公開録音は立ち見がかなりでる大入り満員となった。
ジュニアマンスは、1928年生まれで1940年代後半からジャズシーンで活躍を始めた超ベテランだが、通が好む地味目なピアニストだったと思っていたのだが、日本人好みなのか来日は結構多い。でも僕は情けないことに彼のリーダーアルバムはおろか、サイドマンのアルバムもたぶん1・2枚しか持っていないのだ。今回の来日メンバーはレフティのベーシスト、アールメイ位しか知らないが、NY在住の井上智さんというギタリストが参加している。なんでも井上さんはジュニアマンスの生徒だったのだそうだ。
演奏は、この番組のテーマ「C Jam Blues」から始まった。普段はサビだけの演奏が多いが、彼らはワンコーラスしっかり演奏した。リチャードロジャースの曲をはさんで、彼のオリジナル「Jubilation」を演奏。アルバムも持ってない僕もよく知っている曲だったと思ったら、アートファーマーの「モダンアート」で演奏されていた曲だった。次の曲は、なんとエリントンの「女王組曲」からピアノソロ。次はasをフィーチャーした曲。そして「Aトレインで行こう」はドラムのジャッキーウィリアムスををフィーチャー。彼はなんと手ドラムどころかタンバリンを使ってドラムを叩いていたのであった。さすがジャズの国アメリカ、ドラムソロもいろいろあるのだ。ラストの「ワークソング」はアンコール用に用意した曲だったようだったが、演奏がどんどん進んだため、収録に組み込まれた。
ジュニアマンスのピアノは思った以上にファンキーでソウルフルで、年を感じさせない華麗でハッピーな演奏は地味目ピアニストという先入観を払拭してしまった。今回の来日ツアーのラストでの公開録音だったが、メンバーの息のあったプレイには感心した。また唯一の日本人、井上智さんもジムホールにときどきウェスの奏法もとりまぜながら、明るいトーンのギターを聴かせてくれた。
なお、この演奏は平成17年1月16日(日)22時からNHK-FMの「セッション505」で放送される予定です。(2004.12.6記)

東京中低域

平成16年11月23日(祝)

NHK505スタジオ

パーソネル
水谷紹(bs,vo.)吉田隆一(bs)後閑好宏(bs)鬼頭哲(bs)川口義之(bs)小田島亨(bs)鈴木広志(bs)柴野曜(bs)

曲名は聞き取りにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1.第三の食卓
2.ハイソ・サイテイ
3.エンセアモア
4.昔語り
5.乙女参観日〜少女の問いに答えて
6.サンフランシスコと違う街
7.欲することは可能である
8.Kiss Me おばあさん 二度と起きないで

毎年恒例のNHK-FMオールディジャズリクエスト。今年は11月23日勤労感謝の日の開催である。今年のリクエストテーマは「エッジの効いたジャズ」ということで、普段かかることのない珍しい選曲で度肝をぬかれたのだが、生ライブの方も今年はエッジを効かせたのか、第一部はバリトンサックス8名だけのグループ「東京中低域」第二部は切れ味鋭いピアニスト南博さんと水谷浩章さん(b)外山明さん(ds)のトリオだった。僕はそのうち第一部の方を505スタジオで観覧した。
セッション505の時とは違う集合場所なので場所がわからず焦ったのだが、なんとか集合時間までに到着、連れて行かれたのは結局いつもの505スタジオ。司会も小川もこさんなのであるが今日は録音ではなく生ライブである。失敗してもそのままON AIRされてしまうのだ。東京中低域は本来10名のバリトンサックスの集団なのだそうだが、今回は欠席者が2名おり、8名がスタジオへ登場。でも生ライブということで、キリがよいところまでステージ上でしばし待機状態。演奏もせず観客と向かい合うというのはお互いどう対処してよいのか難しい。
予定より5分遅れの15時35分にライブ開始。8人のバリトンサックス奏者はクラシックのように半円形に座り、ソリストが1〜2名前に出て演奏するという形態であった。1・2曲目のもこさんの曲名紹介のMCには爆笑。まずリーダーの水谷紹(あきら)さんが前に立ち指揮。彼もともとロックギタリストだったのだそーだ。この集団の演奏曲も彼のオリジナルが多い。ただ曲名と曲調の相関性はあまりないようだ。1曲目はわりとゆっくりめ、おどろおどろめの曲2曲目はテンポよいリズムの曲だった。3曲目は1960年代にフランスの女性歌手が唄っていた曲を小田島さんがアレンジした5拍子の曲で彼がメロディを吹き、後のメンバーが伴奏をしたのだが、なるほどこれはちゃんと曲になっている(笑)。4曲目は、僕のHPとリンクしていただいている吉田"スーパーマリ吉"さんのオリジナルで元々和琴のために書いた曲。けだるい感じのテーマの後に吉田さんのソロがかなりフリーに炸裂。まわりのバリトンも猫の喧嘩のごとき不協和音を形成させて応戦するという不気味な展開であったが、なかなかよかった。バリトン8本のうち吉田さんのバリトンだけは漆黒のバリトンでカッコイイ。つぎの曲からはまた水谷ワールドで、短い不思議なバリトンアンサンブルの曲が続く。「サンフランシスコと違う街」は冒頭に「サンフランシスコと違う街、チャイナタウンと違う街」という意味不明の全員のボーカルが入るジンタ風の楽しい曲。そして、ラストの曲は水谷さんのボーカル曲で、歌詞だけ聴けばなんとも不謹慎極まりなく、ここに書くのもはばかられるような、よくNHKで流れたものだと驚くしかないような詞なのだが、曲はなんとも爽やかなのでそのギャップが爆笑を誘ったのであった。
彼らは別にジャズのつもりで演奏しているのではないと思うが、なかなかユニークな音楽なのである。
バリトンフェチの僕にはたまらないライブでした。(2004.11.27記)


BARITONE SAXES & VOICE ONLY ENSEMBLE"TOKYO MID / LOW FREQUENCY BAND LIMITS"東京中低域のHPはこちら


新潟中越震災救援チャリティコンサート at 新宿DUG

平成16年11月15日(月)

新宿DUG

パーソネル
塩田哲嗣カルテット:塩田哲嗣(b)Wess Anderson(as)大坂昌彦(ds)吉岡秀晃(p)
<ゲスト>中村誠一(ts)池田篤(as)太田剣(as)野本晴美(p)田鹿雅裕(ds)吉岡大輔(ds)三木俊夫(ts)
Black Bottom Brass Band 他

新宿DUGで行われた塩田哲嗣さん(b)プレゼンツ、新潟中越震災救援チャリティコンサートに会社の先輩後輩と3人で行って来た。会場のDUGは昔、新宿駅近くのビルの4Fにあった頃は、新宿へ出た時の休憩時ジャズ喫茶感覚でよく寄ったりしたお店である。写真家の中平さんがオーナーのオシャレな店で、一時期夜のライブも頻繁に行っていたが、今の店になってからは週末のみライブをやっている。キャパは45名ほどの店なので早めに予約したのだが、翌日には予約が一杯になってしまったようで、当日電話をしたら予約しても早めに行かないと座れないと言われた。それであわてて会社から出かけてライブ45分前くらいに店に着いたのだが、もう席はほとんど埋まっており、奥の隅の席にかろうじて座ることができた。その後もお客さんは多数訪れ、開演前には立ち見でびっしりの状態になった。壁際の席の前にはテーブルが置かれ、サービスの乾き物が並べられていたのだが、立っている人にとってはお邪魔だったろう。だって料金は同じなのだから(笑)。テーブルを出したり思い切ってオールスタンディングにしたり、ゴザでも敷いて全員を座らせるという手もあったかもしれない。入れ替え制という手もあったが、どうやら想定外に人が集まったのが原因のようだし、手作り感覚のライブで、物理的にテーブルを出す場所もないようだったので仕方がなかったのだろう。僕も2セット目は女性に席を譲って立って聴いていた。
さて、演奏の方だが、まずメインの塩田さんのカルテットが4曲ほど演奏した。asのウェスアンダーソンさんは、ウィントンマーサリスのBIG BANDで活躍するソリストで、演奏もビバップ系のわりと伝統的なジャズだ。塩田さんのベースは音も堂々としており指もよく動く。ウェスのソロは音のぬけもよくさすがだったし、吉岡さんのピアノのタッチも抜群だ。大坂さんのドラムはいつもより少し大人しい感じだったが堅実に叩いていた。その後、中村誠一さん池田篤さん太田剣さんが入り4saxになった。saxは最大5本くらいが並びsaxが4バースチェンジは実にかっこよかった。休憩時間には、Black Bottom Brass Bandというニューオリンズスタイルのブルース・ゴスペル・バンドにウェスアンダーソンが入ってまた盛り上がった。2部も塩田さんのカルテットから始まって、ピアノが野本さんに代わったり、dsが大坂さんの弟子軍団が代わる代わる叩いたり、アマチュアや外人の飛び入りもあったりして、にぎやかなライブでした。演奏曲はA列車でいこう、コンファメーションなど大スタンダード大会でした。またこの日は新潟の八海酒造のご好意により18本の清酒「八海山」が無料で振る舞われ、オーナーの中平さんは、自分の写真集を半額の2,500円でチャリティ販売してました。また、当日秋田出張かせ駆けつけた小川もこさんが収益金を直接新潟まで持っていってくれることになりました。長とお会いするのでお渡しして、被災地にお渡しいただくことになりました。ました。塩田さんみなさんこのライブが中越地震の被災地のみなさまに届くといいですね。中平オーナーによると有料入場者は89名とのことで、必要経費をひいたチャリティ金額や塩田さんがライブで募金した金額を合わせて総額約40万円のチャリティが集まったそうです。もちろんこの日出演したミュージシャンは全員ノーギャラでした。詳細は小川もこさんのページにも掲載されていますのでご覧ください。
(2004.11.27記)

峰厚介スペシャルグループ

平成16年11月7日(日)

NHK505スタジオ

パーソネル
峰厚介(ts)林栄一(as)渋谷毅(p)

曲名は聞き取りにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
Opening C Jam Blues(Duke Ellington)
1.Lost in the Stars(Kurt Weill)
2.Kai(林)
3.Ellen David(Charlie Haden)
4.ラヴユーマドリー(Duke Ellington)
5.Mr.Monster(峰)
6.My Old Dream(渋谷)

(アンコール)Looking Glass(Duke Ellington)

NHK-FM「セッション505」公開録音に行って来た。出演は峰厚介(ts)スペシャルグループ(林栄一(as)渋谷毅(p))。峰さんの新作「RENDEZVOUS(ランデブー)」と同じメンバーの2sax、b・dsレスのトリオである。この編成で聴くのは初めてである。1曲目はアルバムの1曲目に入っているクルトワイルの印象的なナンバー。CDで聴いた時にはtsとasの判別がしづらいところがあったのだが、こうやって目の前で聴いてみると、思った以上というか明らかに違うのに納得。だからライブに行かないとわからないことがあるのだ。このアルバムについては峰さんのサイト経由で発売前試聴させていただいき峰さんのサイトに言いたい放題のレビューを書いたのでだんだんヤバイ気持ちになってきたのだが、もちろんCDもライブもそれぞれ素晴らしいのだ。2曲目はこれもアルバムの7曲目に入っている林さんのわりと軽快な曲。クルトワイルの次に演奏されても違和感は全然ない。このトリオはテーマを終えると林さん、峰さん、渋谷さんがソロを回していくというジャズの伝統的なスタイルをとっているのだが、渋谷さんのピアノはどちらかというと伴奏に徹しており、それでいて、曲全体の雰囲気は渋谷さん風のほのぼのとしたスタイルとなっているところがなんとも良い。3曲目はこれもアルバムの2曲目に入っているチャーリーヘイデンの曲でtsとasのデュオ。峰さんは司会の小川もこさんとのインタビューの中で、「もともとはここ数年リリースされていない峰クインテットの新作を出したかったのだが、いろんな経緯でこのトリオでのアルバムになってしまった。」というようなことを苦笑いしながら語っていたが、確かにそうだろう。このアルバムは峰さん名義になっているものの、演奏は三者対等の形に聞こえるからだ。この日の演奏もオリジナルはおのおの1曲ずつ演奏されていた。でもこういうアルバムも僕は好きである。4曲目はエリントンのナンバー。オープニングのCジャムブルースとアンコールを入れると、この日演奏した8曲のうち半分の4曲がエリントンナンバーなのである。そんなところも渋谷さん好みの選曲といえるだろう。5曲目にやっと峰さんのオリジナル。アルバムの9曲目に入っているこの「Mr.Monster」という曲は新宿ピットインの前の店長に捧げた曲名なのだそうだ。難しい感じの曲が多い峰さんの曲にしてはわかりやすい。ただちょつとおどろおどろしいところがある曲である。ラストはアルバムの8曲目に入っている渋谷さんの曲。モンク風のメロディラインがおもしろい。放送ではこの曲の最後の方が若干切れてしまうかもしれないのが残念である。アンコールは放送中とうって変わって渋谷さんの流麗かつ極上のピアノが炸裂したエリントンナンバーが聴けた。ピアノのソロからテナーとのデュオそしてアルトが入ったリラックスした良い演奏であった。なんだかんだいってもやっぱり録音って緊張するものなのだなあ。なお、このレポでは触れなかった3人の演奏のディテールは12月12日(日)22時からNHK-FMの「セッション505」で直接お聞きくださいね。(2004.11.27記)

山田穣トリオ

平成16年10月24日(日)

西新井カフェクレール

パーソネル
山田穣(as)池田潔(b)正清泉(ds)

曲名は聞き取りにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.In Your Own Sweet Way(Dave Brubeck)
2.?
3.Trinkle Tinkle(Thelonious Monk)
4.All The Way(Jimmy Van Heusen)
5.Blues ・・・???

2nd
1.Pannonica(Thelonious Monk)
2.Who Can I Yurn To?(Anthony Newley,Leslie Bricusse)
3.Very Early(Bill Evans)
4.Embraceable You(George Gershwin)
5.What You Call?
6.テーマ

(アンコール)Bye Bye Blackbird?

ひさびさに聴くヤマジョーさんである。今日はカルテットの予定だったがピアノレスのトリオだった。山田穣さんといえばSJ誌の日本ジャズメン読者人気投票アルトサックス部門でここ数年ベスト3以内が常連の人気モダンアルト奏者である。この日の演奏もスタンダード、唄物をクールな音色とイマジネーション溢れるアドリブで易々と吹いていた。ベース、ドラムスは現在のレギュラーのようで、僕は初めて聴いたのだが、正清さんはブラシが多かった割に元気なドラムで、ベースの池田さんもアドリブは口ずさみながらの熱い演奏を聴かせてくれた。ピアノがいなかったせいもあってか、ベース、ドラムが前に出て三位一体に近い演奏となったのではないか。モンクのナンバーやラテン風味の演奏もあり、なかなかおもしろかったが、やはりヤマジョーさんレベルになると、巧さだけではなくて、オリジナルナンバーを聴きたいという気がする。「これがヤマジョーの演奏だ!」という「何か」をライブで示してくれるとうれしいと思うのは僕だけか。正統派モダンジャズ奏者で、演奏をしてないときにもアルトを手にしている求道者のような雰囲気のヤマジョーさんを見ていると、こういう贅沢も言ってみたくなるのだ。(2004.10.28)


オスカーピーターソンin Japan2004
Opening Act 上原ひろみ


平成16年10月12日(火)

東京国際フォーラム ホールA

パーソネル

上原ひろみトリオ
上原ひろみ(p,syn)トニーグレイ(el-b)マーティンヴァリホラ(ds)

オスカーピーターソン カルテット
オスカー・ピーターソン(p)ウルフ・ヴァケニウス(b)ニールス・ペデルセン(b)アルヴィン・クイーン(ds)


レポ記載の曲名は聞き取りにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。

僕が一番始めに好きになったジャズピアニストがオスカー・ピーターソンである。その昔、絶賛派いソノてルヲ氏と否定派鍵谷幸信氏たちがピーターソンは是か非かみたいな論争をわりと派手にジャズ雑誌で行っていて、まあ当時からその位完璧なテクニックと大衆性をもったジャズピアニストであったのだが、時の流れとはいえ隔世の感がある。かく言う僕もピーターソン、ミルト・ジャクソンあたりのグルービーでハッピーな演奏を聴いてジャズファンになったくちなのだが、生の演奏に接するのは1981年以来である。その時のメンバーとはギター(ジョー・パス)とドラム(マーティン・ドリュー)が異なるものの今回と同じギターを入れたカルテットであった。1925年生まれのピーターソンは来年は80歳であり、1993年に脳溢血で倒れてから奇跡の復活をとげたものの、最近は車椅子での写真を目にすることが多いので、もうそう何度も来日はできないかもしれない。それに今年はオープニングアクトに世界を股に掛けて活躍している驚異の新人ピアニスト上原ひろみが出るという。そんなことで今回はなんとしても聴きに行かねばと思ったのであった。
僕が見に行ったのは、今回の日本ツアーの最終公演。当初の公演がSold outだったため、追加で組まれたものだったが、広い東京国際フォーラムは会場はほぼ満員。外人のお客さんもチラホラ見受けられた。僕の席は1階25列目という真ん中の通路からやや後ろのところのSS席9,500円で、通路に面したまあまあの席であったが、たまたま隣りが空席だったので気兼ねせずに聴くことができた。ただこの位置では演奏者の表情や指の動きを見るのはちと辛い。このホールも綺麗なのだが、試写会なら許せるが一丁前の料金をとるのであれば、席間はもう少しあった方が良い。あと席数の割にトイレの数が少ないような気がする。特に女性トイレの行列はちょっとかわいそうに思う位であった。

さて、オープニングアクトは、上原ひろみトリオである。彼女はデビューアルバムの「アナザーマインド」を買って聴いたが、いろいろやりすぎてちょつと散漫な印象だった。その後、テレビ東京の「たけしの誰でもピカソ」で彼女の特集をやったのを録画して見たが、こちらでの演奏はなかなか見事であった。2003年にバークリーを主席で卒業し、直ぐさま世界のジャズ界の第一線で活躍している女の子の好きな言葉は、「努力!」「根性!」「気合!」なのだそうだ。
1曲目は、アルバムの1曲目に入っていたパワフルでインパクトのある早弾きの曲「XYZ」。フォークタッチやルパン三世のサントラのような曲等彼女はトリオで4曲演奏(MCがなく曲名は不明)。もう少しジャズっぽくてもいいかなあという感じがしたのだが、アンコールで出てきた彼女がオスカー・ピーターソンに捧げると言ってソロでピアノを弾きだしたのが凄く良いのでビックリ。曲はおそらく「マイワンアンドオンリーラヴ」。ピーターソンっぽく弾いたというわけでもないのだろうが、テクニックとピーターソンへの尊敬の念が曲に見事に乗り移った見事な演奏であった。

オスカー・ピーターソン・カルテットは1人ずつ名前を呼ばれて演奏し出すというオープニング。最後にピーターソンがちゃんと1人で歩いてステージ中央のピアノへ向かう。ピアノは上原ひろみとの時とは別のピアノである。ピアノの横になんか文字が書いてあるが読めない。ベーゼンドルファーかもしれない。ちなみに上原ひろみはYAMAHA音楽振興会所属だから確認できなかったがおそらくYAMAHAのピアノを弾いたのだと思う。1曲目は、軽めのバップナンバー。2曲目はわりと静かな曲で、3曲目は「Kクロック」とかいうアップテンポのブルースだった。ピーターソンは曲の間に何回かMCをしてくれた。口調は年を感じさせないほどしっかりしているのだが、英語がからきしの僕には曲名はいまいち判然としない。4曲目は「ウェスサマーカウンス」とか聞こえたがオリジナルナンバーのようだ。5曲目は「サテンドール」。6曲目は「ラヴバラード」という曲。7曲目は「バックヤードブルース」。8曲目はピーターソンのよくやる作品。たぶん「自由への讃歌」とかいう曲だったと思う。9曲目はレイ・ブラウンやジョン・ルイスに捧げた「レクイエム」というオリジナルを弾いて、最後に快活なスタンダードで締めた。全10曲をぶっ続けで演奏。魔術か機関銃かと思うようなきらびやかな装飾音こそ少なくなったものの、指の動きは並の一流ピアニストとは比較にならないし、演奏のスケールの大きさは20数年前と比較しても遜色がないほどで、和音の乱れというか多少ワイルドな感じの音使いはみられたものの、しっとりとした情感のある演奏はさすがの年輪が感じられ、心は人間国宝を見ている雰囲気で興奮状態。失礼ながらもう少し衰えていると思っていた僕を良い意味で裏切ってくれた感動のピアノであった。バックの3人は、広いステージの中でピーターソンに寄り添うような感じで彼の近くに配置されていたが、ウルフ・ヴァケニウスのギターが結構早弾きで個性が目立っていた。ちょっとうるさいくらいな気もしたが、元々ピーターソンのピアノはギターと相性が良いので、常時鳴っていてもそう悪い感じはしなかった。ピーターソンとは長年つれそっているニールス・ペデルセンのベースは思ったより控えめだったが、時折みせるソロはさすが巨匠の風格。またアルヴィン・クイーンのドラムもやや古くささを感じたものの、スウィングタッチで的確にサポートしつつ盛り上げるところは盛り上げていた。最後は上原ひろみも出てきての花束贈呈。会場は全員が立ってスタンディングオベーションでオスカー・ピーターソンを称えた。ピーターソンはみんなに支えられるようにして歩いてステージから去っていった。しばらく全員で立って拍手をしていたがアンコールは無し。でもちょっと感動のコンサートでした。たぶんこのコンサートは新聞、雑誌でコンサート評が出ると思うので、ここでは雰囲気だけということで、まともなレポはそちらを見てください。(2004.10.18記)

横濱ジャズプロムナードのレポはこちらをご覧ください。

矢野沙織カルテット+1

平成16年10月3日(日)

西新井 カフェクレール

パーソネル
矢野沙織(as)井上祐一(p)上村信(b)小松伸之(ds)
ゲスト 宮崎勝央(as)


曲名は聞き取りにつき一部違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.Ah-Leu-ChaCharlie Parker)
2.砂とスカート(矢野沙織)
3.Lover Man(Roger Ramirez,Jimmy Sherman)
4.酒とバラの日々(Henry Mancini)
5.レッドハウス(ジミーヘンドリックス)

2nd
1.Moose The Mooche(Charlie Parker)
2.アイシャルビーリリースト(ボブディラン)
3.Crazy He Calls Me(?)
4.?
5.ハートオブメイク(?)

<アンコール>Straight No Chaser(Thelonious Monk)

今年2度目の矢野沙織さんである。今回のライブはかつて矢野さんが教えを請いていたこともあるというアルト宮崎勝央さんがゲスト。アルトバトルが期待できる。早速1曲目から宮崎さんが入り、パーカーの曲を演奏。曲名はMCがよく聞き取れなかったが「Scrapple From The Apple」かもしれない。パーカー派のアルトバトルはのっけから全開モード。今日は最初正面付近の席で聴いていたが、矢野さんのアルトは音量もあり、あまりメカニカルにもならずストレートに吹ききる演奏スタイルは好感が持てた。
この半年ばかりで日本ツアーでライブを相当をこなし知名度は飛躍的にアップ、容姿の方も、今日は髪をアップに纏めぐっと大人っぽくなった。演奏も見違えるように堂々としてきているがMCはあいかわらず年齢相応の初々しさがあるところがほほえましい。
2曲目からはカルテットの演奏となり、矢野さんのオリジナルのボサノバと定番の「Lover Man」、バラードの「酒バラ」と続く。今日のピアノはいつもの今泉さんでなく井上祐一さんだが、素直にバップしている陽のピアノでベースの上村さんドラムの小松さんもガンガン弾いて、リズミカルで軽快なリズムセクションを形成していた。バラードのバックもいやに元気がよい(笑)。
1セット目のラストは再び宮崎さんが入って、なんとジミヘンの曲をブルースでやった。2セット目の最初の曲もクインテットでパーカーナンバーから入った。2曲目はボブディランの名曲を4ビートでやったが、僕のようなフォーク世代には懐かしい曲を矢野さんがジャズで演奏するというのもなんとも不思議な感じがする。3曲目から再び宮崎さんが加わり、バラードとサンバを演奏。矢野さんはパーカーナンバーもよいがこのようなサンバも似合う。元気なリズム隊も絶好調で小松さんのソロが冴え渡った。ラストはカルテットでしめ、アンコールはクインテットでモンクの曲をやった。
矢野さんは前回聴いた時よりも格段に巧くなっており、宮崎さんとのバトルでも全く引けを取っていなかった。まあ年頃の乙女にはいろいろあるだろうが、ビバップをベースにどんな方向に音楽性を伸ばしていくのかが楽しみである。(2004.10.6 横田記)

稲垣貴庸BIG BAND

平成16年9月21日(火)

新橋 SOMEDAY

パーソネル
稲垣貴庸(leader,ds)
鈴木正則(tp)依田武之(tp)岸義和(tp)菊池成浩(tp)
フレッド・シモンズ(tb)三塚知貴(tb)筒井弘之(tb)高橋英樹(tb)
沢田一範(as)今尾敏道(as)
竹野昌邦(ts)庵原良司(ts)井出慎二(bs)
井上祐一(p)村上聖(b)


パーソネルと曲名はtotoさんのサイトを参考にさせていただきました。
(聞き取りにつき一部違っているかもしれません。ご容赦ください。)

1st
1.Groovin' Hard
2.Ya Gotta Try
3.In a Mellow Tone
4.Juicer is Wild
5.Alfee
6.Willow Crest
7.Norwegian Wood
8.West Side Story Medley

2nd
1.Love For Sale
2.Time Check
3.Machine
4.Goodbye Yesterday
5.Rush Life
6.Basically Blues
7.Keep the Customer Satisfied
8.Good News

<アンコール>Cute

映画「スイングガールズ」を見て以来、BIG BAND JAZZの楽しさもなんとなくわかってきた僕は、BIG BAND JAZZの聖地、新橋SOMEDAYへ出かけた。今回は#&♭のドラマーでもある稲垣貴庸さんのBIG BANDである。稲垣さんのこのバンドは、アーティ・ショウ、トミードーシー、ハリー・ジェームスや自己の楽団で活躍したBIG BANDドラマー、バディ・リッチ(1917〜1987)の演奏した曲を中心に演奏するのだそうだが、そもそもハードバップコンボ派の僕はバディ・リッチの演奏をほとんど聴いたことがないのであった。この日の演奏曲は必ずしもバディ・リッチの曲というわけではなく、デューク・エリントン、バート・バカラック、サミー・ニスティコ、バーンスタインのウェストサイド物語のメドレーもあればビートルズの曲もありという多彩な17曲とてんこ盛りの演奏であったが、美しいアンサンブルの曲が多く、あらかじめ決まっていたような感じのソリストもそれぞれなかなかのソロを聴かせてくれた。特に若手のテナー庵原君やトランペットのベテラン岸さんのソロは良かった。totoさんお気に入りの鈴木さんはソロはほとんどとらなかったがさすがのハイノートトランペットを聴かせてくれた。リーダーの稲垣さんも派手なソロはほとんどとらなかったが、あまりバトルはないおとなしめなアレンジだがスイングから明らかに脱皮したモダンなビッグバンドという感じの演奏は心地よいものだあった。こういうスタイルがバディ・リッチ・スタイルというものかもしれない。(2004.9.27記)

クロードボリング ジャズトリオ&工藤重典

平成16年9月15日(水)

初台 東京オペラシティコンサートホール タケミツメモリアル

パーソネル
クロード・ボリング(p)ピエール・マングー(b)ヴァンサン・コードレッド(ds)
工藤重典(fl)
ゲスト 鈴木大介(g)

曲名(一部違っているかもしれません。ご容赦ください。)

1st
1.ギターのための協奏曲より第2楽章(claude Bolling)
<鈴木大介ソロ>

2.ギターとジャズ・ピアノトリオのための協奏曲より
ヒスパニックダンス/アフリカ風(claude Bolling)
<クロード・ボリング ジャズトリオ+鈴木大介>

3.フルートとジャズ・ピアノトリオのための組曲 第1番(claude Bolling)
バロック&ブルース/センチメンタル/ジャワ風/フガース/アイルランド風/移り気/ヴェローチェ
<クロード・ボリング ジャズトリオ+工藤重典>

2nd
ジャズ・アラカルト<クロードボリング ジャズトリオ>
1.スウィート・ジョージア・ブラウン
2.我が心のジューク・エリントン(claude Bolling)
3.テイク・ア・ブレイク(claude Bolling)
4.セントルイス・ブルース・ブギー(claude Bolling)

5.フルートとジャズ・ピアノトリオのための組曲 第2番より
ジャジー(claude Bolling)
<クロード・ボリング ジャズトリオ+工藤重典>

「ボルサリーノ」のテーマ(claude Bolling)
<クロードボリング ジャズトリオ>

3.フルートとジャズ・ピアノトリオのための組曲 第2番より
いたずらっ子(claude Bolling)
<クロード・ボリング ジャズトリオ+工藤重典>

(アンコール)SF PV ブギー(claude Bolling)
<クロードボリング ジャズトリオ>

SJ誌のプレゼントで当たって行って来ました。1st setはクラシックより、2nd setはジャズ風の演奏であった。やはり2nd setの方が好みでした。レポはSJ誌11月号の読者通信(233-234頁)に掲載されましたのでご覧ください。

ケイ赤城トリオ+峰厚介

平成16年9月10日(金)

新宿 ピットイン

パーソネル
ケイ赤城(p)杉本智和(b)本田珠也(ds)
スペシャルゲスト 峰厚介(ts)
飛び入りゲスト 丹羽剛(ss)

曲名は記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.Dolphin Dance(Herbie Hancock)
2.Spin Cycle(Kei Akagi)
3.Lament(J.J.Johnson)
4.Litha(Chick Corea)
2nd
1.Ad Lib On Nippon(Duke Ellington)
2.Solar(Miles Davis)
3.Day's End(Kei Akagi)※
4.Vertical Fragments(Kei Akagi)※
※3〜4はメドレー
*
(アンコール)Some Other Time(Leonard Bernstein)

今年に入って4度目のケイ赤城さんである。あまり執着心のない僕としては、好きなミュージシャンのライブも1年に2度も聴けば良い方なのだがこれは特記すべきことなのだ。ケイさんの日本ツアーの締めは新宿ピットインということが定番化しつつある(今年は9/12に福島県でもう1本ライブがある)が、最終ライブということなのかこのピットインという場がそうさせているのかわからないのだが、毎年このピットインではエキサイティングなステージを聴かせてくれる。
今回は大阪からring-rieさんが東京在住の後輩と聴き来られるということで、初対面のring-rieさんらお2人と一緒に元気餃子でミニオフ会のようなものをやってからピットインに入った。
さて、僕にとって今回の目玉は何といってもかねてより渇望していた峰さんを交えたカルテットでの演奏が聴けるということだ。このメンツでは2001年リリースの「PALETTE」という過渡期というかいろんな組み合わせのメンバー制作されたアルバムの中で「Once Upon A T」という1曲だけ演奏があるのだが、ピアノトリオ以外のフォーマットでケイさんのトリオがどう変わるのとても楽しみだった。
1セット目の1曲目はトリオで新しいアルバム「MODERN IVORY」からハービーの「ドルフィンダンス」とお馴染みの選曲だが、早くも1曲目から攻撃的な3人の演奏になにか異様な熱気が感じられた。2曲目から峰さんが入ってカルテットでの演奏。まずはケイさんのオリジナル「スピンサイクル」。結構クセのある曲なのだけれども峰さんが入っても違和感がないというか、なんか一体感があるのにはちょっと驚き。3曲目はJ.J.ジョンソンの名曲だが、ケイさんと峰さんのデュオから入った。1セット目のラストはこれも新しいアルバムからチックの曲。ここでは珠也さんのドラムソロがフィーチャー。珠也さんは一昨日この店で聴いたばかりだが、今日はその時以上に叩く叩く。ドラムセットを隅から隅まで縦横無尽に叩きまくっているのだが、ビートはちゃんと保たれているのだから凄い。リンとか小道具も使って繊細かつ大胆なドラムには脱帽だ。
休憩の間、ring-rieさんがサインをもらう前にケイさんと初めてお話をした。NHKでの公録がピタッと終わった話しをしたら、「あれは本当にギャンブルだった。」とのこと。アンコールの曲もリクエスト特集でかかるようハガキを出しておかないと。
2ndセットは、またトリオでの演奏。ケイさんはピアノに座らず珠也さんからスティックを受け取って、壁やら何やらを叩きだすのもピットインのライブではお馴染みの光景になった。今回のアルバムではピアノの先人たちの曲を取り上げ、ライブでも弾いてきたのだが、初めのうちのライブでは、ピアニストのオリジナルということでそのピアニストの手癖というか、先人の演奏をなぞるような演奏だったのが、今日のケイさんは、鍵盤を華麗に行き交う指使いも絶好調で、演奏中もほとんど半立ち状態で弾いていた。いつもはテーマに入る前に個性的なアプローチで聴かせるケイさんだが、今日は前フリだけではなく演奏全体が完全に自由なケイさんワールドになっていたのだ。
2曲目は峰さんと、ケイさんの学校の後輩で遊びに来ていた丹羽剛さん(ss)を入れた2管での演奏。ソロは峰〜丹羽〜杉本〜入り乱れての8(4)小節交換という感じ。今日の峰さんはケイ赤城トリオの音の迫力に誘発されたのか、後半かなりアグレッシヴなテナーを負けずに吹きまくっていた。ケイさん本田さん峰さんの大音量で少々わりをくっていたのは杉本さん。ガンガンベースを弾いているのだが、音量的に負けていた。PA的にもっとベースの音をあげてくれれば4人の音がもっと入り乱れてより凄かったのではと思ったのは僕だけか。
次の2曲は曲名のMCは無かったけどケイさんのオリジナルをメドレーで。ここではケイさんがマイクをとってラップじゃないけどそんな感じで英語でボーカルをとったのにちょっと驚き、ここでも珠也さん、峰さんがケイさんのピアノに負けじともの凄いソロを聴かせてくれた。
アンコールは再びトリオでの演奏。ビルエヴァンスの「Waltz For Debby」での演奏が印象に残るバーンスタインの曲でした。ピットインは立ち見も出るほぼ満席状態だったが、とにかく凄い演奏だったので、ピットインには珍しくお客さんもかなり興奮して万雷の拍手を送っていた。僕が今年聴いたいろいろなライブの中で間違いなく表彰台にあがっているエキサイティングなライブであった。ケイさんツアーお疲れさまでした。ありがとう。(2004.9.12記、2004.9.15曲名等修正)

林栄一PLAYSミンガス&モンク

平成16年9月8日(水)

新宿 ピットイン

パーソネル
林栄一(as)竹内直(ts)井野信義(b)本田珠也(ds)

曲名は記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.Bemsha Swing(Theionious Monk)
2.Worry Later(Theionious Monk)
3.Brilliant Corners(Theionious Monk)
4.Peggy's Blue Skylight(Charles Mingus)
2nd
1.Boo Boo's Birthday(Theionious Monk)
2.Goodbye Pork Pie Hat(Charles Mingus)
3.Better Grt Hit In Your Soul(Charles Mingus)
4.Played Twice(Theionious Monk)

ここのところピットインばかりに来ている。今日はいつもの大阪王将が満席だったので隣りの元気餃子に入り焼き餃子、マーボ豆腐に生ビール。マーボ豆腐がなかなか出てこず緑茶ハイまで飲んでしまった。緑茶はなんとペットボトルの伊右衛門を注いでいた。餃子の値段はこちらの方がやや高めだが、味はこちらの方がおいしいかな。しかし、料理に少し時間がかかるので、時間に余裕がない時は王将がおすすめである。
さて、林さんの企画物といってよいのか今日のライブ。林、竹内、井野の3名の共演は昨年西新井のカフェクレールで聴いている。その時はドラマーの海老沢一博さんがリーダーのセッションで、他にもミュージシャンが何人か出ていたのだが、「You Don't Know What Love Is」の1曲だけ林、竹内、井野、海老沢のカルテットで演奏して、それが凄く良かったのだ。今回のドラマーは若手実力派の本田珠也さん、ご存じ本田竹廣さんのご子息であり、ケイ赤城トリオや菊池雅章ON THE MOVEのレギュラードラマーである。メンツからいうと若干異質なドラマーかもしれない。
さて、今回のライブはセロニアスモンクとチャールズミンガスのナンバーだけを演奏するということで1セット目はモンクの曲を3曲演奏した。1曲目のBemsha Swingは正確にはモンクとドラマーのデンジルベストとの共作。ソロはas-ts-b-dsとノーマルな進行。井野さんのベースソロがいきなり個性的である。2曲目はよく知らない曲。ソロはts-as-bのあとアルト、テナーとドラムの4バースがかっこいい。3曲目もモンクの有名なアルバムナンバーだが、他の人の演奏はあまり聴かない。テーマの後bとdsのデュオからtsとasのソロとアンサンブルそしてdsのソロが続く。1セット目のラストにやっとミンガスが登場した。2セット目の1曲目はまたもやモンクのよく知らない曲。林さんも竹内さんもなんとなくたどたどしい演奏だったが林さん自身演奏後「よく知らない曲なので次回はもっとうまくやる」みたいなMCをしていた。2曲目のミンガスの曲はさっきの挽回というかasとtsのアンサンブルも息があって良かった。ソロはas-ts-bとdsのデュオ。ここでは珠也はブラシをまるで森山威男さんのごとく親の敵のように叩きまくっていた。3曲目はモンクのナンバを林さんが紹介したのだが、井野さんのベースソロから入ってみるとなんかミンガスの曲のようだ。林さんが竹内さんに楽譜を示しながら耳打ちしていると、すかさず珠也さんのドラムがあわせてきた。ソロはb-テーマ-ts-asとtsのデュオ-as-b。ラストナンバーはさっきやる予定だったモンクのナンバー。林さんのアルトが速いソロを吹いた後、直さんはゆったりとしたソロがらだんだん速度をあげていった。そして珠也さんのドラムソロ。珠也さんの反応は天才的で2本の手は千手観音のように自由自在である。林さんも直さんも1セット目はソロもやや硬かった2セット目は2曲目以降双方の持ち味をよく出した素晴らしいソロやアンサンブルを聴かせてくれた。井野さんは個性的なソロとともにウォーキングベースでのバッキングが秀逸であった。店内は満員とまではいかなかったが、約50名程度は入っており、熱心なファンが多くソロにも拍手やかけ声がかかったりしていた。ミンガスの曲のファンとしてはこのユニットの次回のライブも聴いてみたいと思った。(2004.9.10記)

中村達也JAZZカルテット

平成16年9月3日(金)

新宿 ピットイン

パーソネル
中村達也(ds,バラホーン、スチールパン他)清水末寿(ts)上野"テリー"輝明(p)原田"サイレント"和光(b)

曲名(MCがなく記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。)

1st
1.The Sticks(Cannonball Adderley)
2.Summertime(George Gershwin)
3.Thank you very much Mr.Monk(Don Pullen)
4.My one and only love(Robert Mellin,Guy Wood)
5.Caravan(Duke Ellington)
2nd
1.?(中村さんのソロ(バラホーン&スチールパンのアンサンブル))
2.?(同上)
3.?(同上)
4.Work song(Nat Adderley)(中村、上野、原田のトリオ)
5.?
*
アンコール
St.Thomas(Sonny Rollins)

ジョージアダムスのファンとしては彼と何枚もの共演盤を残したJAZZドラマー、中村達也さんはおさえておくべきミュージシャンなのである。今回は夏の東日本ツアーを終え、秋の西日本ツアー、それに続く国際交流使節でのセネガル、モロッコ、トルコのツアーの壮行会を兼ねたライブである。いつものように大坂王将に寄り道をして生ビールと焼餃子、ネギ塩焼きそばの夕食をとってピットインへ入ったのだが、中はほぼ満員、わずかに空いている席を探して、後ろの右端の席にやっと座れたのだが、ここからでは中村さんの演奏する姿は左半分位しか見えないのであった。ピットインは混み具合によって、@通常のテーブル椅子にガラスコップ、A通常のテーブル椅子にプラコップ、Bテーブル無しの椅子のみでプラコップという風に対応が変わるのだが、今日はAのパターンだあった。開演の少し前に入ったためわからなかったが、壮行会ということで中村ファンの予約がだいぶはいっていたようだ。それに店内にはビデオカメラが数台配置されているのにも驚いた。DVDでも作るのだろうか?中村さんは楽屋から出てきていなかったが、テナーの清水さんは入り口付近で誰かと談笑している。席からは遠かったのでよくわからなかったが、どうやらドラマーの小山彰太さんのようだ。そういえば小山さんと清水さんき一緒に活動していた時期があったようだ。ただ開演近くには立ち見もかなり出て、その後小山さんらしき人の姿は見かけなくなったので挨拶だけして帰られたようだ。
さて、中村さんのカルテットは昨年もピットインで聴いたのだが、今回はピアノがレギュラーのテリー上野さんになっている。僕は2001年に青森で中村トリオの演奏を聴いたのだが、その時もピアノはテリーさん、ベースはサイレント原田さんで、僕的には無名だったテリーさんのピアノに度肝を抜かれた思い出があるので今回の演奏は楽しみだった。
さて、演奏の方は、中村さんの新しいアルバム「ベサメムーチョ」の1曲目に入っているキャノンボールアダレイの「The Sticks」から始まった。清水さんの豪放なテナーサックスが心地よい。ちなみに清水末寿さんは中村さんと同じ1945年生まれで中村さんが日本で最も信頼しているテナーである。1975年にヒノテルさんのアルバムでレコーディングデビューして以来、若い時は鉄工所で働きながらジャズを続けていたという根性の男である。というようなことを池田芳夫(b)さんの「Sketch Of My Life」のライナーでう内田修さんが書いていた。ファラオサンダースやドンプーレンとも共演歴があり、今は広島在住の大地の咆吼を感じさせる土着派テナー奏者である。
1曲目からソロをテナー、ピアノ、ベースと回してドラムと4小節や8小節交換をして盛り上げていく伝統的なモダンジャズの演奏であるが、メンバー1人1人の力の入った演奏で、いつもはソロに拍手も疎らな厳しいピットインのお客も熱気づいている。2曲目はお馴染みのスタンダードだがズズチャチャのリズムでの演奏が変わっていてよい。3曲目にジョージアダムスの盟友、ドンプーレンの曲を前回に引き続き演奏してくれたのがとってもうれしい。今、アダムスやプーレンの曲を演奏してくれるグループなどほとんどないだけに、僕にとって中村さんのグループはとても貴重なバンドなのである。4曲目はバラード。1set目のラストはこれも新しいアルバムに収録されている名曲をかなり高速で演奏。テリーさんのピアノがガンガン鳴って最高の出来であった。テリーさんのピアノは、ちょっと手クセがおもしろい独特のアプローチをしてくるので僕はとても好きである。曲が終わり休憩を告げた中村さんのMCの声は熱血演奏の連続で疲れ切っていたのか完全に声が裏返っていた。
2部は、3曲目まで中村さんがソロでセネガルから伝わったというバラホーンという木琴の原型のような゜楽器とそれにキーを合わせて特注したスチールパン(スチールドラム)を使って一人でばら・パンのアンサンブルを聴かせてくれた。3曲目は聴いたことのある曲だつたが曲名は思い出せなかった。
4曲目はトリオで、これまた新作に入っているナッドアダレイの有名な曲。ベースのサイレント原田さんの太く力強いベースのテーマが抜群である。5曲目からはまた清水さんが加わりカルテットでの演奏。曲名は忘れたがブルースのような感じの曲であった。
一旦楽屋へ下がった後、鳴りやまぬ拍手に答えてアンコール。中村さんはシャンベというアフリカの楽器を叩きながら客席と「ゴーイントゥアフリカン」<イェーイ・イェイ・エイ>と掛け合いながらドラムに座り直してロリンズの「セントトーマス」を演奏した。
中村さんはドラマー、パーカッショニストとして、常に創造性に溢れ、狭い日本に止まらず世界に打って出ていった音楽家であるが、近年の活躍を見いてると、一見奔放でパワフルなのだが、ドラムセットの特性をきちんと把握して実に正確にきちんと強く叩くことのできるまさにモダンジャズのお手本のようなドラマーなのだなあと今更ながら感心した。その辺が長年に渡って熱心なファンの心を引きつけて、この日も実に年齢も多彩な人たちで大入り満員になったのだと思う。新しいアルバムを持ってきてサインをお願いしようと思っていたのだが、あまりの混雑に断念した帰ったのだが、西日本・海外の演奏旅行のご無事をお祈りしたい。そしてできればジョージアダムスの入った古いリーダーアルバムをぜひ再発してもらいたいものである。(2004.9.5記)

秋山一将セッション

平成16年8月31日(火)

新宿 ピットイン

パーソネル
秋山一将(g)石渡明廣(g)峰厚介(ts)上村勝正(b)古澤良治郎(ds)+(飛び入り)清水くるみ(p)

曲名は不明です。ごめんなさい。

ほぼ1ケ月ぶりのライブ。今日のメンツは秋山さん率いるQuiet StoRmのbとdsが変わったというか、峰クインテットのベースが替わって大口さんのピアノの代わって石渡さんのギターが入ったというか、渋谷オーケストラのピックアップメンバーに秋山さんが入ったバンドというか、もっというとフロントを峰さん1人に代えてツインギターの2人もも総入れ替えした新生デガショーとか、まあとにかくそういう感じのお馴染みのくせ者メンツ勢揃いという感じなのである。
いつものように腹ごしらえは近くの餃子屋。今日は大坂王将で生ビールと焼き餃子とガーリックチャーハンであった。
ピットインへは開店してほどなく入ったが、入りはちょっと寂しい。だからかどうか知らないが楽屋のドアは開けっ放しで演奏者はほとんど客席の後ろの方にたむろしていた。ピアノの清水くるみさんも来ているようで先日渋オケが出た山形県天童でのおみやげをもらったとかもらってないとかという話しをメンバーとしていた。
演奏に入る前に秋山さんのMC今日のバンドはQuiet StoRmというか「台風一家」だと言っていたが大型台風が通り過ぎたのに引っかけたシャレなのかどうかはよくわからなかった。1セット目は長め曲を3曲、2セット目は5曲ほど演奏したか。秋山さんの短いソロからテーマに入る曲はどの曲も峰クインテットとはまるで違う音楽だ。ますます仙人のような風貌となった古澤さんの独特なシンバルワークと軽快に走るビートにちょっと痩せたジャイアンのような体型からは信じられない、よりそうように流れる上村さんのファンクっぽいエレベ、エフェクターをガンガンかけた2台のギターが醸し出す対照的な音。短音というよりコード主体の石渡さんの金属的で鋭角なギターに一音一音を確かめながら訥々と粘っこく弾く秋山さんのギターはどちらも凄く個性的である。秋山さんは1曲目ではスキャット?のような口アドリブも披露していた。そしていつになくウェインショーター的な峰さんのテナーはこういう4ビートではないフォーマットで実に生き生きとした音を聴かせてくれた。特に2セット目に入ると峰さんのテナーと2本のギターが合奏するリフが延々と続きそれが実にかっこよかった。2セット目の2曲目からは遊びに来ていた清水くるみさんのピアノが加わりセクステットに。男たちは、ステージで思い思いに飲み物を摂取したり煙草を吸ったりしながらリラックスした感じだったが、お互い勝手知ったるメンツの阿吽の呼吸の演奏はよくまとまっていた。1セット目の3曲目はバラード風の曲。2セット目の4曲目は聴いたことがある曲なのでおそらくスタンダードだろう。4ビートでもフュージョンでもフリーでもない不思議なビートの音楽は、楽器構成は全然違うがなんかウェザーリポートを聴いているような気分になった。2セット目の方がそれぞれの熱いソロが聴けてよりよかったように思う。(2004.9.3記)

小杉敏スペシャルセッション

平成16年7月29日(木)

新橋 SOMEDAY

パーソネル
小杉敏(b)高瀬龍一(tp,cor)沢田一範(as)元岡一英(p)横山和明(ds)

曲名(記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。)

1st
1.ジョニーケィウエートリー(Billy Strayhorn)
2.フォーオールシー?(?)
3.Social Call(Gigi Gryce)
2nd
1.ビティリデーズ(Thad Jones)
2.Cherokee(Ray Noble)
3.ドリームイスビル(?)
4.ERONEL(Thelonious Monk)
5.セイゴーズスイートハート?
6.Everything Happens to Me(Matt Dennis)
7.Cool Struttin'(Sonny Clark)

新橋、虎ノ門地区では7月に「Jazz in Tokyo」というジャズイヴェントをやっている。(詳細はhttp://www.jazz-in-tokyo.com/をご覧ください。)要は、サラリーマンと酔っぱらいの街、新橋でジャズライブをやって盛り上げようというものなのだが、それに賛同したというわけでもないのだが、僕も普段あまりJazz等聴かない会社の同僚を地元新橋のライブハウスへ誘うこととしたのである。場所はリーズナブルな値段で質の良いJazzが聴けるので人気の老舗SOMEDAYである。この日のライブは1948年生まれのベーシスト、小杉敏(b)さんのリーダーセッション。ピアノが1950年生まれの盟友で渡辺文男(ds)の同僚、元岡和英さんで後は若手のメンバーである。驚いたのはドラムに渡辺貞夫のコンボのレギュラードラマー、高校を卒業して間もない若き俊英、横山和明君だったことである。彼は以前、渡辺さんとの仕事がない時には浜松かどこかのライブハウスに勤めていたと聞いていたが、東京に出てきて仕事をするようになったのか。小杉さんの経歴を調べると静岡出身とあるので、静岡つながりで呼ばれたのかもしれない。
このバンドは標準的な2管編成でビバップ〜ハードバップあたりの演奏を聴かせてくれた。ちなみに酔っていたので演奏曲名はかなりいいかげんである。1セット目の2曲目はアルトが抜けカルテットによるバラード、高瀬さんはコルネットかフリューゲルホーン(たぶんコルネット)に持ち替えて吹いていた。3曲目の「ソシアルコール」は知的なアルトプレイヤー、ジジグライスのナンバー。「WHEN FARMER MET GRYCE」(1954-55,Prestige)という品良く粋なモダンジャズアルバムに入った印象的な曲である。2セット目の3曲目もバラード、4曲目のモンクはピアノトリオでの演奏だった。僕の知らない曲もあったが、「チェロキー」や「クールストラッティン」などジャズ初心者に嬉しい名曲も演奏してくれたのは今回連れてきた観客には最適であった。ハードバップ系の演奏は一番聴きやすいので、同僚にも違和感は無かったようだが、バラードよりノリの良いアップテンポの曲の方が聴きやすいと言われたのには、そんなものかと思ってしまった。
ベースの小杉さんは背が小さいのでベースを傾け、ベースに掴まるような格好で時々アルコを交えながら弾いていた。ピアノの元岡さんはスキンヘッドで一見怖そうだが、端正なピアノを弾く。フロントの2人ではtpの高瀬さんのソロが見事であった。ドラムの横山君はあまりソロはまわってこなかったが、ブラシワークなどバップ系の緻密なドラムミングはさすが渡辺貞夫さんが抜擢するだけのことはある。若干おとなしさを感じるが、諸先輩との演奏では致し方ないのだろう。ひさしぶりの純正バップジャズでアンサンブルや4バースチェンジもお決まりむながら心地よいのであった。若干空いていたせいもあったが厳しいマスターも心持ち優しげでありました。(2004.7.31記)

みちよんトリオ+1

平成16年7月25日(日)

西新井 Cafe Clair

パーソネル
松下美千代(p)吉木稔(b)斉藤良(ds)竹内直(ts)

曲名(記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.Just Squeeze Me(Duke Ellington)
2.ワンセイユーイズバド?(Bud Powell)
3.Groovin'High(Dizzy Gillespie)
4.Estate(Bruno Martino)
5.ジーロ(熱情)?(Michiyo Matsushita)
2nd
1.ワーストバーストバースト?(Michiyo Matsushita)
2.Monk's Dream(Thelonious Monk)
3.I Mean You(Thelonious Monk)
4.Darn That Dream(Jimmy Van Heusen)
5.Afro Blue(Mongo Santamaria)
*
(アンコール)I Thought About You(Jimmy Van Heusen)

久々のカフェクレールである。今回は松下美千代(p)さんのトリオに竹内直(ts)さんが加わったカルテット。1セット目の1曲目はトリオでの演奏。で2曲目から竹内さんが入った。竹内さんの演奏はカフェクレールで何回か聴いているが、その音色はスムーズでもゴリゴリでもブヒョブヒョでもヘロヘロでもない、ちょっと形容しがたいが敢えて言えば、音を絞り出す職人と行った感じの独特の音色を放出する印象的なテナーサックス奏者である。滝澤マスターの一押しテナーなのでこの店での登場回数もわりと多い。2曲目のバドパウエルの曲はメロディが込み入っていてちょっと吹くのに難渋していた気配もあったが、竹内さんはだんだんエンジンがかかってくるタイプだ。3曲目はおなじみの名曲をラテンタッチにアレンジしたのがおもしろい。4曲目はボサノバ。5曲目はブラジルを題材にしたおそらく松下さんのオリジナルの曲。
2セット目の1曲目も松下さんのオリジナル。続いてモンクの曲をメドレーでやったが、最初はtsとdsのフリーっぽいデュオがなかなかだった。この日の演奏で白眉だったのは最後の2曲。4曲目のバラード、5曲目のコルトレーンで有名な曲、共に竹内さん松下さんのソロが実に素晴らしかった。今回の曲目はヴァライティに富んでおり、松下さんのピアノも多彩でベースの吉木さん、ドラムの斉藤さんとも息ががピッタリで素敵でした。
なお、演奏写真は西新井カフェクレールのサイトをご覧ください。(2004.7.31記)

ケイ赤城トリオ

平成16年7月25日(日)

NHK 505スタジオ

パーソネル
ケイ赤城(p)杉本智和(b)本田珠也(ds)

曲名(記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1.Dolphin Dance(Herbie Hancock)
2.Ad Lib On Nippon(Duke Ellington)
3.Ivory Silhouette(Kei Akagi)
4.Some Other Time(Leonard Bernstein)
5.Vertical Fragments(Kei Akagi)
*
(アンコール)Rhythm-A-Ning(Thelonious Monk)

NHKFM日曜22時からの「セッション505」の公開録音に参加した。ケイさんのトリオは金曜のBody&Soulから2日ぶりだったが日を追うごとに良くなってくるのがよくわかった。55分間の番組であるが、ケイさんは事前に54分何秒で終えればよいのですね。と申告していたとおり時間内に全ての曲をピタっと収めたようだ。演奏曲はBody&Soulで演奏された曲が3曲とその他が3曲。どの曲も見事に濃縮され鳥肌が立つ演奏。この日は「アドリブオンニッポン」の楽譜すら持たずの演奏であった。僕は一番前の列の珠也さんの目の前の席で聴いていたのだが、珠也さんのドラムはBodyの時より迫力があり感動した。アンコールで演奏された「リズマニング」がまた凄かった。ケイさんファンのフロア・アシスタントのノブさん、司会の小川もこさんも感激の面持ちであった。「リズマニング」はリクエストすればセッション505のリクエスト特集の時にかけてもらえるようなのでみんなでリクエストしようね。(2004.7.31記、2004.8.5一部修正)

ケイ赤城トリオ

平成16年7月23日(金)

南青山 Body&Soul

パーソネル
ケイ赤城(p)杉本智和(b)本田珠也(ds)

曲名(記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。)

1st
1.Spin Cycle(Kei Akagi)
2.Dolphin Dance(Herbie Hancock)
3.Stick Figures(Kei Akagi)
4.Turn Out The Stars(Bill Evans)
5.Litha(Chick Corea)
2nd
1.Silent Partnar?(Kei Akagi)
2.Ad Lib On Nippon(Duke Ellington)
3.I Got It Bad(?)(Duke Ellington?)
4.Some Other Time(Leonard Bernstein)
5.Well,You Needn't(Thelonius Monk)
*
(アンコール)Donna Lee(Charlie Parker)

ケイさんのトリオは、今春、レコーディング前のリハーサルセッションを聴いて以来である。モダンジャズのピアニストたちにリスペクトした「MODERN IVORY」(「IVORY」とはピアノの(象牙の鍵盤)ことを指すスラングなのだそうだ)は素晴らしいアルバムであったが、演奏する度に素晴らしく変容していくケイ赤城トリオの恒例の日本ツアー、前半の東京での2Daysの1日目をケイ赤城サイトの管理人ヤマゲンさんと一緒に聴くことができた。仕事の都合で行けるかどうかわからなかったので、店に2人分の予約を入れたのが18時ちょっと前、案内された席はケイさんのピアノの真後ろのテーブル席で、楽屋のすぐ横。ピアニストは指の動きが見れる最高の席だが、ケイさんは完全に後ろ姿しか見えないのであった。開演が22時30頃と遅い都会のど真ん中の老舗ジャズクラブBody&Soulだが、開演直前には予約の人たちも来店してほぼ満席。今回の演奏曲は新作「MODERN IVORY」からは5曲だけで、後は過去のアルバムからのオリジナルとスタンダードという構成で1stセットの1曲目は2002年リリースの「VIEW POINT」から、3曲目は2001年リリースの「PALETTE」から、2ndセットの1曲目は初リーダーアルバムである「PLAYROOM」からの選曲であった。ケイさんたちの演奏はテーマに入る前に長いインタープレイがひとつの特徴であるが、この日もいずれの曲もこのインタープレイの時間が長かった。チックコリアのLithaではこれもケイさんの得意技「ピアノ叩き」を披露。2ndセットの1曲目でも杉本さんのベースソロに珠也さんの手ドラム、ケイさんのピアノ叩きに弦押さえなど、リハーサルライブ時とひと味もふた味も違うライブパフォーマンスを魅せてくれた。えんどの曲も十分時間をとってれはあるケイさんのデビューむの曲を演奏していた。2ndの3曲目では珠也さんのドラムが炸裂。見事なバラード「Some Other Time」、えらく急速調の「Well,You Needn't」での珠也さんのドラムソロの最中で僕は時間切れで帰ったのだが、その後のアンコールも急速調の「Donna Lee」だったとのこと。いつもながら埼玉県人にこの店のライブ時間は恨めしいのである。この調子でツアーを回るとラストの新宿ピットインがやはり見逃せなくなってきたのであった。(2004.8.1記)

本田竹廣 THE PURE

平成16年7月22日(木)

高円寺 JIROKICHI

パーソネル
本田竹廣(p) ダミオン(per) 小澤敏也(per) 谷山明人(per) 橋本信二(g) 宮崎イカキン健(g) 吉岡大典(b) 永原元(ds)辰巳光英(tp) 後藤篤(tb) 森田修史(ts) 鈴木道子(vo)


(曲名はちょっと不明です。ごめんなさい。)

写真は青森のヤマゲンさんからのご提供です。ありがとうございました。

中央線JAZZが好きな僕であるが、東北人の性か、帰省するのに東京都を横断しなければならない東京の西側に住むという発想がなく、埼玉県人なって以来、帰りが遠い中央線沿線のライブハウスには足を踏み入れてなかった。今回は青森で大変お世話になったヤマゲンさんにひさびさにお会いできるということで、20数年ぶりで高円寺の老舗ライブハウスJIROKICHIに出かけた。仕事を早めに終えて19時過ぎに店に入るとわりと小さな店内のテーブル席はほぼ満席で相席をさせてもらう。しばらくしてヤマゲンさんが現れて、結局そのテーブルを譲ってもらうことに。昔のJIROKICHIは学校形式のベンチシートの観客席だったような気がしたが、今は普通にテーブルがあり、料理も出てくるお店になっている。そのためキャパは実質座れるのは30人というところか。。店の雰囲気は思っていたのとだいぶ違っていたが、店内になぜかあるビール等の自販機は相変わらず健在であった。この日は店内には本田さんの出身県である岩手のテレビ局からの取材カメラが入っていた。近々岩手でネイティブサンの限定復活ライブがあるのでその取材なのだそうだ。
THE PUREは一昨年くらいに横浜ジャズプロムナードで見て以来である。その時はかなり荒削りのパフォーマンスで本田さんも指揮が忙しくてピアノを弾くところではなく、ちょっとがっかりしたものだ。本田さんのバンドに限らず、板橋文夫さんのオーケストラなんかでも、なかなかリーダーのピアノを堪能することができないのである。
さて、ひさびさのTHE PURE、MCはボーカルの鈴木道子さんが務めていた。メンバーは総勢12名だが、フロントはtp・tb・tsの3本だけなのにパーカッションはdsを加えて4名もおり、ギターもリードギターとリズムギターの2本編成というリズム重視の編成で、リードギターの橋本信二さんやパーカッションのダミオンさんを除けば若手中心のメンバーなのが特徴である。
1曲目からソウルフルなナンバー。ソロはts・tb。tsの森田君はリズムアンドブルース系のなんのてらいのない気持ちの良いテナーを吹く若者だが、少々気が弱い感じが見え、ステージでおどおどしているのが気になる。狭い店内でマイクも使っているので音量がもの凄く耳が痛くなるほどだ。2曲目は「月の砂漠」のフレーズから入った中近東風?ラテンナンバー。ソロはp・tp・tb・橋本・ダミオン。本田さんはオルフェのフレーズなども使いながらガンガン弾いている。3曲目はギターの橋本信二さんをフィーチャーしたナンバー。シンプルだが泣きの入ったギターの音色が良い。4曲目は
ゴスペル風のナンバーで鈴木さんのボーカルをフィーチャー。ソロはtb・p。ジョージアオンマイマインドなどのフレーズも出てきた。1stセットのラストも鈴木さんのボーカルがフィーチャーされた郷土色強い?曲。本田さんの故郷「宮古」のことをかけ声で唄っているのかしらん。
2ndセットも1曲目から強いリズムの洪水が店内を席巻。2曲目はファンク色が強いナンバー。3曲目はブルース。4曲目は本田さんのピアノソロから始まった曲はビートルズの「レットイットビー」のようだが、ここから一気にサンバのリズムになった。ここではダミオンさんのソロが圧巻。太鼓の皮の裏側に竹ひごのようなものが付いていて、それと太鼓の皮を指で調節しながら人間の声のような音を出す「クイーカ」という楽器を使い「ワンノートサンバ」や季節はずれの「ジングルベル」等で笑いをとったり「タンバリン」や常用している「スルド」でのソロは相変わらず見事である。次の曲はdsのソロがフィーチャー。途中R&B風になりまた元のテーマに戻るという風な構成の曲であった。ラストナンバーはほぼ全員のソロを入れたお祭りナンバー。どんたくとか河内音頭の系統の曲といってもよいだろう。
前に聴いた時より本田さんがソロをとることが多く、グループとしての完成度はあがっていると思う。ジャンル無用の本田ワールドの表現も若手を忍耐強く育成してきた成果を感じた夜であった。(2004.8.1記)

熱帯JAZZ楽団
「熱帯JAZZ楽団[〜The Covers〜」発売記念公演


平成16年7月10日(土)

東京 九段会館大ホール

パーソネル
カルロス菅野(bongo,perc,vo)、コスマス カピッツァ(conga)、美座良彦(timbales)、
森村献(p)、高橋ゲタ夫(b)、神保彰(ds)、
佐々木史郎(tp)、鈴木正則(tp)、奥村晶(tp)、松島啓之(tp)、
中路英明(tb)、青木タイセイ(tb)、西田幹(b-tb)、
近藤和彦(as,ss,piccolo)、藤陵雅裕(as,ss)、野々田万照(ts)、宮本大路(bs,fl)

スペシャルゲスト・ヴォーカル:スリービックリーズ

(曲名)

1st
1. Dear Mr.Jones
2. I Wish
3. 007
4. Cherry Pink and Apple Blossom White
5. Bitter Sweet Bomba
6.Lupin The Third

2nd
1. Mission Impossible
2. I Want You Back
3. 荒野のならず者
4.
Celebration
5.今夜はドント・ストップ
*
アンコール
・Getaway
・Turn The Beat Around

世界的なサルサバンド、オルケスタ・デ・ラ・ルスの元リーダー、カルロス菅野さんが結成したラテンJAZZ BIGBAND、熱帯JAZZ楽団も来年で10周年なのだそうだ。僕が熱帯のライブを聴くのは2000年の南郷ジャズフェス以来である。会場の九段会館ホールは試写会などでたまにくるホールだが、元々は1934年に竣工した軍人会館という施設だっそうだ。帝冠様式という洋風なビルにお城のような瓦屋根をのせてしまう和洋折衷の建築はその当時の国粋主義的背景を感じるが、デザインとしてはなかなかおもしろい。ただ古いホールなので内装のレトロっぽさはともかく席間が狭く座るとかなり窮屈なのが辛い。座った席は2階の真ん中2列目でバンドを上からばっちり見渡せる絶好の席であった。
少し早めに開場したので、ロビーで今回ご一緒したtotoさんととりあえず缶ビールで前祝い(?)。こちらのエンジンも暖まったところで定刻の18時に開演。1曲目はレイモンドバー主演の「鬼警部アイアンサイドのテーマ」で始まるクインシージョーンズのヒットメドレー、「愛のコリーダ」なんて大ヒットしたなあ。いい曲ばかりだし、掴みはOKだ。次はよく知らなかったがスティービーワンダーの曲だった。続いて超有名な007ジェームズボンドのテーマ。森村さんのピアノのソロが聞き物だった。4曲目はカルロスさんのムーディなボーカルをフィーチャーしたナンバー。ミラーボールが会場を照らし、宮本大路さんのとろけるようなフルートソロが花を添える。5曲目は懐かしのオールナイトニッポンのオープニングテーマ。そして1stステージのラストはルパンV世のテーマでした。とにかくなんでもかんでもラテンになってしまうのだ。ソリストいっぱいアレンジャーもいっぱいいて、実に贅沢なバンドである。
2ndステージは、「スパイ大作戦」のテーマから始まった。次の2曲はスペシャルゲストの女性コーラストリオ、スリービッグリーズをフィーチャーしたごきげんなナンバー。ラスト曲は大路さんのバリトンサックスをフィーチャーした曲。1人だけ3回もお召し替えして、鬼ヘヤーにアイマスクという変態ファッションの大路さんのソロはエマニエル〜スモークアンドウォーター〜真っ赤な太陽から〜山本リンダのうららーうららーうらうららーときたもんである。真っ赤な太陽では森村さんのピアノも合わせてますます増長し、実に楽しかった。アンコールはスタンディングオベーションの中、スリービッグリーズも加わり2曲演奏したが、それが終わってもしばらくアンコールの拍手が鳴りやまず、会場のアナウンスも2回も帰りを促すほどであった。演奏はほとんどが昔懐かしい青春時代の愛聴曲であるし、ラテンへのアレンジは斬新、ホーンアレンジと強烈なラテンリズムはこのバンドの真骨頂である。宮本大路ささん高橋ゲタ夫さんのお笑いコンビも健在だし、隠し玉スリービッグリーズもお笑い系で楽しかった。ただ、ロビーにアンコール曲目まで書かれていたのはやや興ざめ。やはりホールでは観客には熱気もいまひとつ不完全燃焼ぎみだったかも。なお、このライブの模様は9月にMUSIC ON TVにてON AIRの予定とのこと。(2004.7.13記)

板橋文夫サマージャズタイム
〜スタンダードと日本の曲を中心にお届けするジャズピアノコンサート〜

平成16年7月3日(土)

草加市文化会館ホール

パーソネル   板橋文夫(p)立花泰彦(b)小山彰太(ds)おーまきちまき(vo)

(曲名)

1st(ピアノトリオ)
1. Stella by starlight
2. There will never be another you
3. Summertime
4. 星に願いを
5. All the things you are

2nd(おーまきちまき(vo)加わる)
1. かんぴょう
2. カチューシャ
3. 七夕
4.
見上げてごらん夜の星を
5.ひらいたこらいた〜かごめかごめ
6.おふねの子守歌(おーまきちまき)
7.蘇州夜曲
8.私の青空
9.ヘイヘイブギ
10.サバンナ(板橋文夫)
*
アンコール
・海〜渡良瀬(板橋文夫)(pソロ)
・For you(板橋文夫、おーまきちまき)(全員)

僕が住んでいるせんべいの街草加市になんと板橋文夫さんがやってきて大ホールでコンサートをやった。
コンサートがあることは板橋さんのHPで知ったのだが、草加市内にコンサートのポスターはほとんど貼られておらず、チケットも直接ホールまで行って購入したのだった。
ホールのお姉さんから全席自由席なので当日は並びますから早めにお越しくださいといわれ、開場30分前に会場の草加市文化会館に着いたのだが、まだ10数人ほどの列であり、余裕で一番前の板橋さんのピアノの正面の席に陣取ることができた。
ロビーでいつものようにマネージャーさんがCD等を売っていたので、買っていなかった「林栄一×板橋文夫〜Live at Shijuku PIT INN〜」と「クリスマス亀山音楽祭〜板橋文夫 MIX DYNAMITEスペシャルバンドライブ」のDVDを購入する。
第1部はピアノトリオでスタンダードの演奏だった。今回は入り口で演奏曲名を記載した紙をいただいているので曲名に悩む必要がない、と思っていたら1曲目??。プログラムで記載した1曲目と2曲目を入れ違えて演奏したのだった。ここのところ聴いていた板橋さんの演奏というとオリジナル中心で、1曲目は即興の曲が多かったのだが、今回は「星影のステラ」を珍しく普通のモダンジャズっぽく演奏したので、さすがコンサートホールだと端正にやるものなんだと思っていたらそれはちょっと違っていたようで、そのまま続けて演奏はじめた「There will never be・・・」ではいつものゴリゴリした板橋節になっていた。3曲目の「サマータイム」は立花さんのアルコと彰太さんのドラムのデュオをフィーチャーした曲。次の「星に願いを」はひさしぶりに板橋さんのリリカル(といっても片鱗程度)なピアノを聴いた気がする。1set目のラストは板橋さんの飛び跳ねるようなピアノが印象的な「オールザシングスユーアー」。板橋さんと彰太さんの4〜8小節交換が爽快であった。
第2部は神戸からみえた、おーまきちまきさんのボーカルをフィーチャーした日本のスタンダード?特集。まず1曲目は板橋さんが自己のアルバム「The Mix Dynamite 游」の中でもインストで取り上げていた「かんぴょう」である。僕は前にもののけ姫の米良さんがコンサートでこの曲を唄っていたのを聴いたことがあるが、とてもトリッキーで楽しい歌曲である。ボーカルのおーまきさんという方は全く存じあげないのだが、ジャズボーカリカストではなく神戸在住のシンガーソングライターのようである。いつもはアコーディオンを演奏しながら唄っているようだが、今日はハンドマイク片手に唄のお姉さんのように身振り手振りをまじえながら唄っていく。日本の曲だからもちろん全て日本語で唄った。4曲目の「見上げてごらん夜の星を」は森山威男Gでもよく演奏されるナンバーだが、ピアノとボーカルのデュオで始まり、後半ベースそした最後にドラムが加わった演奏であった。彰太さんもシンバルをマレットでやさしく叩きながら曲を盛り上げていくのだが、森山さんと違っていかにも控えめである。6曲目の「おふねの子守唄」はおーまきさんのオリジナルである。8曲目あたりから会場も手拍子に包まれ「ヘイヘイブギ」では観客との掛け合いもあった。最初控えめだった板橋さんのピアノもこの辺になると歌伴奏というより、ボヘカル入りジャズの雰囲気が濃くなってきて、いよいよ最後の曲、板橋さんのオリジナル「サバンナ」が始まった。これも考えれば日本の楽曲にほかならないのだ。板橋オケの定番曲で板橋さんもピアノの上の太鼓をバチで叩きまくる。ちなみに彰太さんのドラムは板橋さんのオリジナルになると俄然輝きだす。ここでの渾身のドラムソロは見事でドラムが盛り上がる度に何度も会場は拍手に包まれた。この曲には歌詞はないのだがおーまきさんはホーンセクションというかスキャットで加わっていた。
そして、アンコール。最初は板橋さんがひとり現れてソロで「海は広いな大きいなあ・・・」のフレーズを弾きだした。ソロが進む中、曲は海から淡水に代わり大名曲「渡良瀬」へ。板橋さんの指が縦横無尽に鍵盤を嘗め回す小突き回す。板橋さんのピアノはいつ聴いても水の表現が素晴らしい。大海原の波間から渡良瀬の渓流から大河の感じにしびれてしまう。僕が板橋さんに心酔したのも「渡良瀬」を聴いた頃だった。そして、全員が揃ってはじめたのは、最近の名曲「For You」である。しかも、おーまきさんがこの曲で唄い出したのには驚いた。でも「For You」に該当する歌詞がなかったぞ?何でもこれは、おーまきさんが自ら付けた歌詞だそうで「For You」に独自の歌詞を付けて唄う歌手は結構いるのだとのこと。こんなに密度の高いアンコールはひさしぶりである。板橋さんのピアノに狂喜乱舞していた頃にちょっぴり戻れた気がした。ひさびさに板橋さんのスタンダードを堪能し、おーまきさんの唄に元気を貰ったよいコンサートだった。
惜しむらくは、こんな素晴らしいコンサートなのに、1,000以上入れる大ホールに2割程度しかお客が入っておらず空席がめだったことだ。箱が大きすぎたといってしまえばそれまでだが、子供は無料にしていたようだし、学校関係などにもう少し宣伝をすれば親子づれで半分程度人は集まったのではないかなあ(まあ子供が飛び交うコンサートも限度はあるが)。我が地元だけに少し寂しい思いがした。 (2004.7.3記)

増尾好秋セッション

平成16年6月29日(火)

南青山 Body&Soul

パーソネル   増尾好秋(g)岡田勉(b)村上寛(ds)
<ゲスト>本田竹廣(p)峰厚介(ts)

(曲名)曲名についてはほとんどMCもなくわからなかったので
増尾好秋サイト管理人のKacoさんのご協力を得ました。ありがとうございました。
曲順、曲名は記憶なので間違いはご容赦ください。

1st
1. Have You Met Miss Jones
 2. エミリー

3. ドルフィンダンス
4. Wet Dog
5.Who Can I turn To
6. Small Steps

2nd
1. マスカレード・イズ・オーバー
2. Shohola Love Song (ショホラ・ラブ・ソング) by Bill Mays
(※ビル・メイズは、増尾さんが最近よく一緒に演奏するピアニストです。)

3. トリステ
4.It's You or No One
5..E.J.
6.Wee?
*
アンコール
・You are My Everything
Ain't Tell You A Good Way But

ソニーロリンズのグループのギタリストだったことで有名な米国在住の増尾好秋さんが約3年ぶりに来日してツアー行うというので、南青山の老舗ライブハウスBody&Soulへ出かけた。実はこの店へ行くのは恥ずかしながら初めてで、1人では敷居がたかすぎたのだが、幸い増尾サイトの管理人Kacoさんも見に行かれるというので、はれて公園ならぬBody&Soulデビューと相成ったのである。この店はライブの開始が20時30分頃と遅く、ライブの終了も0時を回ることがよくあるようで、その後のアフターアワーズも期待できるという都会の大人向けのライブハウスなのである。今回のセッションは岡田さん村上さんとの増尾トリオにゲスト格で本田さんと峰さんが加わる形のツアー2度目のライブだったが、さすがベテラン実力者揃いなので店は満員状態。客層はやや中高年よりだが、店の格からいってそうなるだろう。幸運にも僕はほぼ真正面のカウンター席で聴くことができた。
1セット目はまずトリオでのから始まった。スタンダードのような曲を2曲やったが、初めて生で聴く増尾さんのギターは意外なほど柔らかな音色だった。岡田さんは相変わらず口ずさみながらソロをやっている。村上さんのドラムはひさしぶりに聴くが最初からかなり強めに叩いており、全体的にまだアイドリングといった感じの演奏であった。3曲目から本田さんのピアノが入るが、この曲はややギターとピアノがかみ合わずちょっと心配になった。
ところがである。4曲目に入りテナーの峰さんが入ると俄然このグループの演奏にまとまりが出てきたのだ。この曲は増尾さんの新曲らしいが実にファンキーな曲で本田さんのピアノソロからds〜ts〜gと回す8小節交換が実に格好よかった。5曲目はバラードでソロはp〜ts〜g〜pといった感じだった。最後はおそらく増尾さんの曲で1998年の復帰第一作「Are You Happy Now」の1曲目に入っている曲である。tsとgがユニゾンで奏でるテーマ部分が増尾さんの真骨頂だと思う。ソロはts〜g〜p。
2セット目もトリオの演奏2曲から始まった。トリオ演奏はこちらのセットの方がよかったと思う。1曲目のソロはg〜b。3曲目は再び本田が入ってジョビンのボサノバ。このカルテットの演奏はリラックスして実によかった。エルビンジョーンズに捧げた4曲目はやはり「Are You Happy Now」に入っている曲。本田さんのブルージーなピアノが冴える。p〜ts〜gの4小節交換も息もぴったりという感じだ。ラストの曲はビバップのナンバー。おそらくダメロンの曲ではないかな。
アンコールも2曲やったそうですが帰りの電車の関係で僕はアンコール1曲目の途中で泣く泣く店を出ました。ざんねーん。
後で聞いた話ではこの後やったJIROKICHIではこのグループの演奏は実に決まっていたそうだ。後になればなるほど一体感がでてくるのはその通りだが、Body&Soulでの演奏も後半だいぶのってきた本田さん、相変わらずパワフルな村上さん、ソロはあまり取らなかったが腹にひびく重厚なベースの岡田さん>最年長で全体の接着剤的役割を果たした峰さんという1944年〜1948年生まれというほぼ同世代のメンバーの暖かいサポートを得て、増尾さんのギターもどんどん調子を上げていったと思う。特にホーンと絡むととてもいい感じの増尾さんのギターを再認識させていただいた。(2004.7.3記)

横浜ジャズ市(いち)旗揚げコンサート
ケイコ・リーwithドキドキモンスターズ


平成16年5月29日(土)

横浜 関内大ホール

パーソネル   ケイコ・リー(vo.,p)吉田次郎(ac-g,el-g,chorus)野力奏一(p,key)坂井紅介(b)渡嘉敷祐一(ds)

(曲名)当日はMCでの曲紹介はありませんでした。
曲名はケイコ・リーさんの大ファンであるAkiraさんのご好意で記載しました。ありがとうございました。

1st
1. Day Dream
2. Route 66
3. Human Nature
4. Love Is All There Is
5. Diamonds In The Snow
6. Time After Time

2nd
1. The Moment Of Love
2. The Flame
3. Stella By Starlight
4. Closer To One
5. Street Life
6. Come Rain Or Come Shine


アンコール:
1. Pink Cadillac
2. If It's Love
 

ケイコ・リーさんは今年デビュー8年目。リリースされるアルバムも多数の日本のトップジャズボーカリストである。昨年はハービー・ハンコックさんプロデュースの東京JAZZ2003にも出演し、僕も横浜のShidaさんと見に行った。今回、Shidaさんも参加しているヨコハマ・ジャズを楽しむ会が立ち上げた「ヨコハマジャズ市(いち)」の旗揚げコンサートとして、ケイコ・リーwithドキドキモンスターズがセレクトされたのは興味深い。ケイコ・リーさんはなんか浜っ子みたいな雰囲気もあるのだが、彼女の本拠地はご存じの通り名古屋であり、意外なことに自己のグループを率いての横浜公演はこれが始めてなのだそうだ。ジャズフェスも多く、有名ライブハウスも林立するあの横浜が、である。今回の会場は横浜ジャズプロムナードで何度も足を運んでいる関内ホールの大ホールの方である。18時開場だったが僕が到着したのは18時半近く。なんでも16時から整理券を配ったそうで、朝から待っていた人もいたそうだ。もぎりの所にスーツ姿もばっちりきまったShidaさんがいたので挨拶をしてホールに入ると1階席の前半分はほぼお客で埋まっている。1人で来たのだが結局座ったのはミキサーよりも後ろの列であった。2階は開放していなかったが、最終的に1階席の7〜8割程度は埋まっていたようだ。
主催者挨拶の後、ステージが始まった。まずはしっとりとした「ディドリーム」で幕開け、紅介さんベースソロと吉田次郎さんのアコースティックギターが印象的だ。2曲目は手拍子に乗って有名な「ルート66」。野力さんと吉田さんがソロをきかせた。3曲目は東京JAZZ2003でも演奏した曲。ケイコ・リーさんと次郎さんのデュエットするところが美しい。4曲目はリーさんがピアノに座って弾き語りの曲。続いてはボサノバリズムの曲、リーさんのスキャットが素晴らしい。1stステージの最後はスタンドマイクの前でスタンダードをきかせてくれたが、堂々とした唄いっぷりはさすがトップジャズシンガーの貫禄である。
2ステージ目もスタンドマイクでのボーカルから始まった。彼女はスタンドマイクで唄う場合とハンドマイクで踊りながら唄う場合と弾き語りの3パターンがあってそれぞれ別の魅力をみせてくれるのだ。「ステラバイスターライト」はなかなかおもしろいアレンジで彼女は1コーラス唄うとステージへ引っ込み、ドキドキモンスターズの各人がソロの見せ場を作る。その間に彼女は黒のシックなジレスからパンツルックへ変身だ。彼女はセクシーに腰を振り振りさせたりしてステージを踊ったり、ソロの最中もメンバーと小声で話しながら笑っていることが多かったが、結局、メンバー紹介以外は、曲紹介はおろか、挨拶もお話もなく、唄一本で攻めてきた。これはいつものことらしい。
「クローサートゥワン」「ストレートライフ」とアルバムに入っているナンバーを演奏して、ラストはよく知っているスタンダードのようだったが曲名は失念してしまった。長いアンコールの拍手の後も、2曲演奏してきれて、最後は観客がスタンディングオベーションするほどの盛り上がり、リーさんも貰った花束をホームランのぬいぐるみのように客席に投げたりして、かなりハイテンションのうちステージは終わった。
リーさんのステージの音楽は4ビートジャズというよりも、ロックやソウル、ラテン、ポップスなどの色々な音楽をごちゃまぜにしたようなところがあるが、どんなジャンルの音でもリーさんの太いボーカルが入るととたんにジャズっぽくなるところがおもしろい。リーさんのボーカルにかぶさる吉田さんのコーラスとのハーモニーもとても美しい。かなりロック色が強い曲もあったが、どこまでもウッドベースで攻める紅介さん、小さい体でいろいろな音色を出していた野木さんなどドキドキモンスターズの演奏もよかった。
また、この日のケイコ・リーさんは、1stステージはマリンブルーっぽいトップに同系色で深いスリットの入ったロングスカート。2ndステージは最初はシックな黒のドレスで途中からトップが白でボトムがジーンズ風のパンツルックに変身し、1ステージで3変化とビジュアル的にも魅せてくれました。
ひとつ気になったのはステージの明かりが消えてから、ミュージシャンが登場するまでが、何かの間違いかと思うほど長い時があったのと、アンコールの拍手を鳴らしている時間も結構長かったのにはちょっと不安になりました(笑)。MCがないのはリーさんのライブだから仕方ないのかもしれませんが、プログラムに演奏予定曲みたいなのが書いてあると、はじめて聴く人には親切だつたかもしれません。曲がわかれば会場で販売していたアルバムなんかの売り上げもちょっと増えるかもしれないし。いずれにせよケイコ・リーの魅力はボーカル音痴の僕にも十分伝わりました。関係者のみなさまありがとう。また、次回を期待します。(2004.5.31記)

渡辺貞夫クインテット

平成16年5月21日(金)

新宿 ピットイン

パーソネル   渡辺貞夫(as)小野塚晃(p)中村健吾(b)横山和明(ds)ンジャセ・ニャン(perc)

(曲名)当日の演奏曲名はほとんどが聴いたことのある貞夫さんのオリジナルでしたが、曲名はわかりませんでした。
もしわかる方はご教授ください。他の曲名も記憶なので間違いはご容赦ください。

1st
1.?
2.ドナリー
3.?
4.ディープインナドリーム
5.?
6.?
7.?
2nd
1.?
2.?
3.?
4.?
5.?
6.?
7.?
8.オレンジエキスプレス
アンコール
ハランベ
.
今年の渡辺貞夫さんのツアーのラスト。新宿ピットインの2DAYSの最初の日に行って来た。昨年は100番台の整理番号で苦しい立ち見を強いられたが、今年は66番ということで、前から6列目だが真ん中の通路横の席に座ることができた。金曜というのに会場は3重4重の立ち見客がいる。昨年はステージの後ろにお客を座らせた貞夫さん。今年はステージ右側に椅子席を設置してしまった。貞夫さんの呼びかけに勇気ある人が6名ステージ横での特等席で座ってみれたのである。
1stステージはおそらく貞夫さんの曲から始まった。ソロは小野塚さんと今回のツアーにNYからかけつけた中村健吾さんのベースが短くとったが、中村さんの野太いウォーキングベースの音が印象的であった。2曲目はビバップの曲。3曲目も聴いたことのあるスタンダードをかなり早いテンポで演奏した。小野塚さんのソロが素晴らしい。貞夫さんのアルトの後、横山さんのドラムと4バースチェンジをやった。最初バタバタしていた横山さんのドラムもこの辺から落ち着いてきたようだ。4曲目はバラード。5曲目は先頃死去したドラムのエルビン・ジョーンズに捧げての演奏だった。6曲目からセネガルのパーカッション奏者、ンジャセ・ニャンさんが入りクインテットでの演奏。ニャンさんがジャンベという民族楽器でソロをとってテーマへ、貞夫さんのオリジナルで明るいマーチっぽい曲である。7曲目もCMなどでおなじみの貞夫さんの曲。ジンタ風のリズムに乗って貞夫さんのアルトが気持ちよく流れているのは幸せな気分だ。
2ndステージは最初からクインテットでの演奏。まずは貞夫さんのハッピーな曲。続いてはブルース。3曲目はアフリカンリズムの曲。4曲目はバラードと続く。5曲目は哀しい感じの曲。6曲目もマイナーなテーマ゜をもった貞夫さんおなじみの曲であるが、どれもこれも曲名が思い出せないというのは、僕の記憶力も相当ひどいものである。7曲目はビバップ風の曲でラストは会場全体の手拍子の中、貞夫さんも踊りながら懐かしい「オレンジエキスプレス」でしめた。
そしてアンコール。いつものように「ハランベ」である。貞夫さんが唄い、会場全体が大合唱となった。この日の貞夫さんは、とてもご機嫌なように見え、フルートは聴かせなかったものの、いつもより豪快な感じで吹いており、アルトもよく鳴っていたようだった。バックは小野塚さんが、伝統的バップから、テクニックを駆使したソロまで縦横無尽に弾いていたのがよかった。中村さんは、チョッパー風の高等な奏法もみせたが、全体的には、低音をよく響かせたしっかりとしたベースでさすがNYでもまれているだけのことがあるベーシストといった感じであった。ドラムの横山君は、後半かなり落ち着いてきた。もっといろいろな形式のバンドで叩くと引き出しが増えていいような気もする。パーカッションのニャンさんが入った今年は去年より活気がある演奏で良かった。やはり貞夫さんはパーカッションと相性がよいなあ。さすが天下の渡辺貞夫さんという感じでジャズ通も初心者も満足できるライブになっているところはさすがであった。(2004.5.31記)

矢野沙織カルテット

平成16年4月25日(日)

西新井 カフェクレール

パーソネル   矢野沙織(as)今泉正明(p)上村信(b)小松伸之(ds)

(曲名)記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.K.C.ブルース(Charlie Parker)
2.スクラップル・フロム・ジ・アップル(Charlie Parker)
3.エブリシング・ハプンズ・トゥ・ミー(Matt Dennis)
4.酒と薔薇の日々(Henry Mancini)
5.ハイデン(矢野)
2nd
1.ハウ・トゥ・メイク・ア・パール(矢野)
2.イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー(Ralph Rainger)
3.ラバー・マン(Roger Ramirez,Jimmy Sherman)
4.ボヘミア・アフター・ダーク(Oscar Pettiford)
5.ビリーズ・ホリデー(矢野)

ひさしぶりに矢野さんを聴いた。カフェクレールは満員御礼。矢野さんを応援している滝澤マスターを取材のため、TVカメラも入っていた。ドラムスの小松さんが遅れたため、開始は20時をまわってだいぶたってからだった。まずチャーリーパーカーのブルースナンバーから始まった。矢野さんのアルトはかなり上手くなっていたのに驚いた。2曲目もパーカーナンバー、続いてスタンダードを2曲やって、1セット目のラストは矢野さんのオリジナル、おなじみのハイデンであった。
休憩中、いつもミュージシャンが座っているカウンターもお客で一杯だったので、矢野さんたちは2階の楽屋?にいたようだが、矢野さんだけは客席を回って一人一人に挨拶をしていた。たどたどしかったMCもだいぶ様になってきたが、相変わらず敬語の使い方がぎこちないのが愛嬌である。
2セット目は1stアルバムに入っているもうひとつのオリジナルから始まった。スタンダード、矢野さんが尊敬するビリーホリディのナンバーと続き、次はボヘミアアフターダークだった。ラストナンバーは矢野さんの新しい曲。オキナワ音楽風のテーマがおもしろいボサノバリズムの曲である。メンソーレと叫びたい軽快な曲である。
バックのレギュラー3名の内ではピアノの今泉さんが抜群によかった。オスカーピーターソンが乗り移っていたような指使いでノリノリのピアノであった。ベースの上村さんも強力だ。
ドラムの小松さんはややうるさいほどぶっ叩いていたが、若い矢野さんさんにはこの位元気があるほうが良いのかもしれない。
矢野さんのアルトは、リーダーとして実に堂々とした吹きっぷりで感服しました。こりゃ新譜でのエリックアレキサンダーとのバトルを聴くのが楽しみになってきた。(2004.4.28記)

森山威男セッション

平成16年4月10日(土)

横浜 Dolphy

パーソネル   森山威男(ds)井上淑彦(ts)田中信正(p)坂井紅介(b)

(曲名)田中信正さん公認の応援HPに書かれていたanneさん曲名を参考にさせていただきました。
記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。

1st
1.Birth of Life(井上)
2.Waltz for Forest(井上)
3.Nancy(井上?)
4.Flood(井上)
2nd
1.Yoshi-Ga-Daira(芳ケ平)(井上)
2.Michi(道)(井上)
3.Exchange(板橋文夫)
4.Sun Rise(板橋文夫)
5.Gratitute(井上)

怒濤のパワードラマー、森山威男さんは一時期体調を崩されていたが、元気になって以来、毎月のように東京・横浜方面でライブをやられるようになった。今月は横浜のDolphyで2Daysをやり、1日目はレギュラーグループだったが、2日目は以前森山グループのホーン奏者だった井上淑彦さんとのセッションだった。後のメンツはピアノが田中信正さん、ベースが坂井紅介さんであり、ホーンとベースが替わった森山グループというか井上さんのグループfuseのドラマーがつの犬さんから森山さんに替わったというか、とにかくそんな合体グループが聴けるのはなかなかないと思い、Dolphyの常連であるShidaさんにお願いして初めて行くことにした。なんと今回はアフターアワーズのおでんやでの飲み会も期待をしてのお泊まりなのである。1日目は20時から始まったので19時30分位に入ればよい、とのShidaさんのアドバイスもあり、オデオン座近くのホテルにチェックインしてからラーメン屋でラーメンとビールで腹ごしらえして、押っ取り刀でDolphyへ向かう。入り口は2階なのだが、下の入り口では井上さんや紅介さんらがたむろしているところを通って店内に入ってビックリ!思ったよりこじんまりした店内ではあったが、なんと早くも超満員状態で、通路もほとんどない状態なのだった。Shidaさんが予約した面々はどこかと探したらドラムの正面の大きなテーブルのところにK.Kurodaさんを発見。座っている人をかき分けながら空いていた椅子2つのうち1つに座らせてもらったが、遅くきてこの待遇はちょっと気が引けた。聞くところでは今回Shidaさんが予約したのは全部で9名とのこと。ほとんどお顔を知らない人ばかりだが、K.Kurodaサイトの常連江戸のS子さんや向かいに座ったanneさんが声をかけてくれ、周りの何人かを紹介してくれた。そしてドラムのかぶりつきでマックのキーボードを叩いているのは森山サイトの管理人、香先生であった。今回も名古屋方面から森山支援部隊がちゃんと遠征しているのである。しかし、とにかく店の中はもの凄い熱気で気分が悪くなるほどで、周りの人への挨拶どころではなく、酸欠の金魚のごとく口をパクパクしている僕であった。事前のメールによるとShidaさんは仕事で何時に来れるかわからないとのこと。そして、Shidaさんが現れないうちに1セット目が始まった。
今回の選曲は井上さんの曲が中心ということで、まずはfuseの2ndアルバム「Grasshopper」に入っている「Birth of Life」(生命の誕生)という曲から始まった。ピアノとサックスのリリカルなイントロから堂々としたテーマに入るところがなんともよい曲なのだが、森山さんのドラムは早くも全開モードであった。2曲目に入る前に森山さんのMCが入る。僕はほとんどライブハウスでの森山さんは聴いたことはなかったので、森山がどんなことをしゃべるのか興味しんしんだったのだが、今回の名言は「音楽は勝ち負けだ。どっちが勝ったか」とか「やはり聴いているより演奏している方が良いのだということがよくわかった。」極め付きは「このグループでやってもいいくらいだ。サックスとベースの人には内緒だけど(笑)。」)などであった。それはともかく2曲目は森山さんのために井上さんが作ったワルツ形式の曲。なぜに「フォレスト」の後に「マウンテン」が付かないかというと、誰とでも演奏できるようにだ、と言ったのも森山さんでした。3曲目はバラード。宇宙人ピアニスト田中信正さんが一転リリカルタッチのピアノを聴かせ、そして今日は(も)紅介さんのベースが素晴らしくよい。1セット目最後の曲はdsとtsのデュオがあるかと思うと今度はpとbがデュオったりとなかなか構成がスリリング、そして掟破りの森山さんのパワフルブラシ奏法が炸裂して終わりました。3曲目4曲目はよくわからずanneさんに教えてもらったけどやはり忘れてしまった。Shidaさんがいないとこういうとき困ります(笑)。
休憩時間も森山さんが登場して、先のライブのお知らせとドラムの皮にサインしたもの争奪ジャンケン大会が始まりました。こんなのはいつものことだそうですが、大御所なのにこのサービス精神は驚きです。休憩時間はクールにしているだけじゃドンバはやっていけねーぞと森山さんが言っているよーでした(言ってないけど(爆))。
2セット目の前にやっとShidaさんが登場。はじめの2曲はたぶん井上さんの曲。後半の3曲はほとんどアンコール的な演奏で森山グループ定番の井上さんがいた頃のピアニストだった板橋文夫さんの名曲「Exchange」と「Sun Rise」で店内は最高潮。板橋さんのピアノも津波のようで好きだったけど、田中さんも負けず劣らず鍵盤のうえを指が狂喜乱舞させて人間業と思えないソロを叩き出していた。それから紅介さんのソロも森山さんがお持ち帰りしそうなほど良かった。そしてラストは井上さんの大名曲「Gratitute」。かすれそうなほど静かに奏でる井上さんのテナーを聴くと50%の人は即泣けるでしょう。いやあわざわざ埼玉県人がお泊まりで聴きにきたかいがあった素晴らしいライブでした。
そしたら、5月16日(日)はやはりDolphyで、板橋文夫(p)さん、林栄一(as)さんという旧メンバーと森山さん望月英明(b)さんのカルテットでの再会セッションがあるとのこと。これもぜひ聴きたいけど、日曜じゃお泊まりできんよーお(泣)(2004.4.13記)

ケイ赤城トリオ


平成16年4月8日(水)

深沢 Maple House

パーソネル   ケイ赤城(p)杉本智和(b)本田珠也(ds)

曲名(記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。)

1st
1.ドルフィンダンス(ハービーハンコック)
2.ウェルユニードント(セロニアスモンク)
3.2003 No.2.4(ケイ赤城)
4.タウンアウトザスターズ(ビルエヴァンス)
5.フォーキャット・ストラット(ケイ赤城)
2nd
1.ペレシーナ(マッコイタイナー)
2.極東組曲(デュークエリントン)より
     アドリブオンニッポン
イスファサーン
3.スイリッシュペースティ(バーニーケッセル)
4.ピース(ホレスシルバー)
5.ライザ(チックコリア)
アンコール
グロリアズステップ(ビルエヴァンス)

ケイ赤城さんが新しいアルバムを録音するため来日してリハーサル中にライブをやるというので、リハーサルをやっているという深沢のメイプルハウスというライブハウスに出かけた。等々力の駅から15分ほど歩くのだが、狭いながらもバス通りなのでわりと簡単にわかった。店内に入ると、増尾好秋さんのサイト管理人Kacoさんが来てくれていたので、同じテーブルで聴かせてもらうことにした。このライブハウスはマスターの垣内さんにお聞きすると1年位前からジャズのライブをはじめたとのことだが、普段はロック系のライブが多いそうで、店を手伝っている2人の息子さんのバンドもここで演奏をしているそうだ。そんなことで、ステージと客席の間には鋼管足場のようなもので仕切られていたり、僕たちのテーブルもよく見るとケーブルのドラムを横にしたものだったりと、なかなかワイルドな作りである。でも音響は良かった。
リハーサルライブということで、お客さんは20名もいなかったが、もったいないことだ。
やがてケイさんベースの杉本さんドラムスの本田珠也さんが登場。珠也さんのバスドラムには大きなミッキー柄のタオルケットみたいなのが掛けてあったのだが、大柄な珠也さんがドラムセットに座るとるのが妙に似合わなかった。
今回のアルバムは、今までのオリジナル中心の選曲と変えて、ジャズの名ピアニストの作品を録音するとのことでまず1曲目と2曲目は続けてハービー・ハンックとセロニアス・モンクの曲を演奏した。いつもながらイントロの演奏が長く、テーマが出てきて初めてなんの曲かわかるといった具合の演奏である。ハービーのドルフィンダンスは7拍子の曲だったが次のモンクの曲はやたら早いテンポで演奏して度肝を抜かれた。3曲目はケイさんのオリジナルだがまだ題名も決まっていない未完成曲である。テンポや曲の切れ方がいかにもケイさんの曲らしい。4曲はビルエヴァンスの曲でバラード演奏。1セット目の最後は再びケイさんのオリジナルで「View Point」というアルバムの冒頭に入っている元気な曲。
2セット目の1曲目はガーシュインの曲をマッコイ・タイナーっぽく弾いているなあと思っていたら、なんとマッコイ・タイナーの曲なのであった。そして2曲目はデューク・エリントンの組曲シリーズのうち「極東組曲」から「アドリブオンニッポン」と「イスファサーン」を演奏した。日本の旋律のイメージを巧みにとらえた「アドリブオンニッポン」を聴いたのはずいぶん昔のことだが、この曲をほぼ原曲に忠実にピアノトリオで演奏したのには驚いた。3曲目は息抜きじゃないがアルバム外からバーニー・ケッセルの曲を演奏した。そして続いてホレス・シルバー、チック・コリアという新旧の巨匠の曲を演奏して終わったが、アンコールに応えてビルエヴァンスの曲をもう1曲演奏した。ケイさんそれぞれ偉大なピアニストに敬意をはらいつつ、中腰になりながら作曲者のオリジナル演奏のイメージを十分とらえた演奏だった。ベースの杉本さんは今回は音も前に良くでていたし、珠也さんのドラムもバスドラはどちらかというと控えめでリズムに柔軟性を増した演奏だった。新しいアルバムが待ち遠しいリハーサルライブでした。(2004.4.13記)

宮下博行・能勢英史Duo

平成16年3月17日(水)

新橋 Red Pepper

パーソネル   宮下博行(p)能勢英史(g)

曲名(記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。)

1st
1.Triste(Antnio Carlos Jobim)
2.The Moon Song(Johnny Mandel)
3.Moomglow(Will Hudson,Eddie De Lange,Irving Mills)
4.Fly Me To The Moon(Bart Howard)
5.いそしぎ(The Shadow Of Your Smile)(Johnny Mandel)
6.恋のチャンスを(Taking A Chance On Love)(Vernon Duke)
7.For Heaven's Sake(Don Meyer,Elise Breton,Sherman Edwards)
8.Eleanor Rigby(Lennon-McCartney)
2nd
1.That's All(Bob Haymes)
2.Estate(Bruno Martino)
3.When Lights Are Low(Benny Carter)
4.Long Ago And Far Away(Jerome Kern)
5.?(バラード)
6.My Funny Valentine(Richard Rogers)
7.I Fall In Love Too Easily(Cahn Styne)
8.My Wild Irish Rose(Traditional)

関西在住の宮下博行さん(p)と能勢英史さん(g)のデュオが東京で2度目のライブを行った。前回は聴きにいけなかったが、今回は僕の勤務する新橋での演奏だつたので、開演は20時ということなのでなんとか仕事を終わらせて、地下道を汐留方面に駆けてなんとか開演前にRed Pepperに入ることができた。僕が到着したとき、お店の中にはまだ妙齢の女性がお二人のみで、こりゃ仕事をやめさせても会社の人間を連れてくるべきだったと思ったが、その後だんだんお客さんがやってきて、最終的に10数名の観客になった。この店はあまり広くないのに、カウチのようなおおきなソファーとかがやたらあって、アベックなら大喜びでも場所わとる座席構成なので、このくらいの人数でもほぼ埋まったと表現してもよいほどである。空腹の僕がひとりピザをビールで胃の中に流し込んでいるとギターの能勢さんが登場、しばらくして宮下さんもステージにあがり演奏が始まった。
前に聴いたことがある宮下さんのトリオ"MNT"が演奏するのはオリジナルばかりなのだが、このデュオではオリジナルではなくスタンダードばかりを演奏する。この日演奏したのは2人のアルバム「CONVERSATION」の全8曲の他にスタンダードを8曲の計16曲である。1回のライブにしては曲数が多いが、宮下さん曰く、関西のライブは30分の3set位が普通だそうで、東京のような1時間2setというのはだいぶ長く感じるのだそうだ。どうやら東京の長さが気になっていきおい曲数が増えたように思えた。
1・2曲目はアルバムでの曲順通りなのだが、これらの演奏はこのデュオの音楽的な資質をよく現している。こころもちゆっくりとしたテンポで聴く者をスイングさせるというよりヒーリングをしてくれるような演奏なのである。ただ1曲目なので宮下さんの指の動きもここなしか硬かった。能勢さんのギターは生で初めて聴くのだが、一般的なギブソンのジャズエレキギターをつま弾いてもカッティングしても弦を緩く張っているのかと錯覚するほどに音が軟質系である。ただこの店の音響が多少影響していたのかもしれない(また弦が緩いのは変則チューニングかもしれない)。
2〜4曲目は「ムーン」つながりということで、3曲目の「ムーングロウ」は宮下さんのピアノがストライド風というかラグタイム風といった演奏で楽しい。超有名な4曲目はバラード風である。この辺になると宮下さんのピアノもエンジンがかかってきて、うなり声すら発してアドリブを奏でていた。1セット目はビートルズの曲で終わった。2セット目は元気がよくて僕も好きな「That's All」から始まった。2曲目は一転静かなボサノバ。その後スタンダードが3曲続き、ビルエヴァンスとジムホールがこれ1曲で「UNDERCURRENT」を名盤にしてしまった「マイファニーヴァレンタイン」を演奏。ゆったりとしたテンボで優しい演奏だ。7曲目は一転はアドリブ合戦で原曲がほとんど不明という硬派な演奏。最後はアルバムでもラストに入っている美しいトラディショナルの曲で終わった。スタンダードと言っても、どちらかというと一般の人が知っている曲というより、知る人ぞ知るという渋い選曲だったので、僕も知らない曲がわりとあって赤面物だったが、宮下さん能勢さんは資質が似ている感じがして、音の対決というよりその演奏は聴いていてすがすがしい気持ちになる音楽であった。(2004.3.20記)



野本晴美トリオ

平成16年2月29日(日)

西新井 カフェ・クレール

パーソネル   野本晴美(p)秋田紀彰(b)紺野智之(ds)

曲名(記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。)

1st
1.Just In Time(Jule Styne)
2.サンセット アンド モッキンバード(Duke Ellington)
3.?(Roland Kirk)
4.ベリーダ(野本)
5.Haitian Fight Song(Charles Mingus)

2nd
1.?(Duke Ellington)
2.ブルースフォーユウコ(野本)
3.Nutty(Thelonious Monk)
4.Lover(Richard Rodgers)
5.All Blues(Miles Davis)

僕の撮った演奏写真とレポが西新井カフェクレールのphotoのページにアップされています。ぜひご覧ください。

深井克則 BANDA CALIENTE GRANDE

平成16年2月19日(金)

新橋 SOMEDAY Tokyo

パーソネル   深井克則(p,pianica,ldr)佐々木史郎(tp)木幡光邦(tp)鈴木正則(tp)小林太(tp)
中路英明(tb)橋本佳明(tb)溝田聡(tb)堂本雅樹(b-tb)
近藤和彦(as)多田誠司(as,fl)竹野昌邦(ts)佐藤達哉(ts)宮本大路(bs)
高橋ゲタ夫(el-b)外山明(ds)大儀見元(perc)

曲名(よくわからないものはtotoさんと通りすがりのバンカルファンさんの曲名を参考にしました。お二人に感謝!!)
記憶なので間違っているかもしれません。ご容赦ください。
1st
1.Snow Monster
2.Lima
3.Suite Sandrine Part 1(Michel Camilo)
4.Manta's Island
5.From Within(Michel Camilo)

2nd
1.Nutville(Horace Silver)
2.Jardin del Amor(深井)
3.On Fire(Michel Camilo)
4.Yemaya(Getao Takahashi)
5.Caravan(Duke Ellington,Juan Tizol)
6.Morning Coffee

(アンコール)The Chicken(Alfred James Ellis)

ラテンベースの巨匠、高橋ゲタ夫さんが出るライブは昨年1月の銀座モンテカルロ以来なのでホントひさしぶりである。新橋に勤務していながらここSOMEDAYに来るのは初めてである。なんでも1981年の開店以来3回の移転を繰り返し、昨年神楽坂から新橋へやってきたのだ。そして、今月は2月12日から25日まで日曜は除く12日間ぶっ続けの日替わりでBig Bandだけをかけるという「創立23周年記念 BIG BAND FESTIVAL」を開催中なのである。そしてこの日が7日目。深井克則(p)さん率いるラテンテイストのBig Bandのベースがゲタ夫さんだったのだ。この店はオープンが18時45分、1stステージが19時45分なのだが、僕が店に到着したのは19時を少しまわった頃。入り口でtotoさんとそのお友達ちづるさんと合流して店内に入ったらもはや満席状態。ありゃりゃと思ったが時既に遅しである。なんでもこのBig Bandの演奏は年1回くらいしかやらないとのことで、深井さん自体をよく知らない僕が甘くみたのが失敗であった。それでも後方のトイレ近くのカウンターと厨房出入り口の間の席とはいえない空間を確保して、補助の丸イスを出してもらって3人は座ることができた。なんとかオーダーを済ませステージの方を見ると、人の隙間から僅かにゲタ夫さんの顔が見える程度である。どちらかというと目の前のガムテープがよく勧賞できる位置である(笑)。そして、視界の半分以上を占めるのはなんと厨房なのであった。この店はオーダーを受けるとカウンターの上に伝票を一枚一枚つり下げておき、マスターがそこから、同じ料理がいくつあるかを別のノートに転記していき、それを見ながら、ビシバシ料理を作っていくのだ。ここの店主の森茂信さんという人は初めて会ったが、ジャズ喫茶のマスターにいそうな強面かつダンディな人で、とにかく伝票がきれいに無くなる22時くらいまで、一心不乱に料理を作り続けていたのだ。ちなみに厨房の打ち上げは伝票がなくなった22時だったが。演奏が終わる23時頃になると今度は会計を待つ長蛇の列のお客の前で目を三角にしながら1時間以上一心不乱に電卓を叩いているのであった。
さて、肝心の演奏の方であるが、佐々木さん木幡さん、中路さん、多田さんはじめとしてリーダークラスのソリストが揃った豪華バンドでそれぞれソロをとらす順番が大変といううれしい悲鳴状態。1曲目では佐藤さん多田さん、2曲目では木幡さん、3曲目では大路さん、4曲目では竹野さんなどとそれぞれ素晴らしいソロを聴かせてくれたのだが、顔が見えないのでソロの順番を確認するのも一苦労である(笑)。演奏曲は深井さんのオリジナルとミッシェルカミロの曲が3曲と多かった。最初の曲なんかはジャズっぽかったが、後半は難しいラテンリズムに合わせて手拍子が鳴り響いた。なかでも盛り上がったのは後半の4曲目でゲタ夫さんが得意の即興歌詞でのうまへたボーカルを聴かせたところ、ラストの曲ではみんなを立たせてスペイン語?の歌唱指導を実施、約150名の吐く息で会場は酸欠状態となったのであった。リーダーの深井さんは達者なピアノに加えてピアニカも披露。岩瀬立飛さんのかわりにドラムに座った外山さんもいつもの半立ち状態でパーカッションの大儀見さんとあわせて強烈なラテンのリズムを叩き出していた。アンコールはジャコパストリアスの名演で有名な「チキン」で締めくくった。年末からBig Bandづいている僕だが、このところ見たBig Bandのライブがどれも大盛況だということには驚いている。この時期にこういうフェスを開催するSOMEDAYのマスターはちょっと怖い感じだが、ただ者ではないなあと感心したのであった。厨房はもうわかったので、今度はもう少し空いている時にゆっくりステージを見てみたいものである。(2004.2.22記)

CO2

平成16年2月18日(木)

新宿ピットイン

パーソネル   片山広明(ts)林栄一(as)早川岳晴(el-b)芳垣安洋(ds)

曲名
曲名はMCなし。記憶たよりにつき間違っているかもしれません。ご容赦ください。
1st
1.unite(林)
2.?(林)
3.?(林)

2nd
1.tejinashi no rumba?(早川)
2.after you?(片山)
3.hallelujah?(cohen)

(アンコール)asian blues?(加藤)

2月18日の産経新聞の1面トップは「CO2排出削減目標 都、事業所ごとに義務化」だったが、このバンドが出るライブハウスはかなり危ない状態だといわざるをえない(笑)。この日はワールドカップ一次予選、日本対オマーン戦があったのだが、新宿ピットインはほぼ満席の入りであった。僕はいつもの餃子屋が満席だったので、いつのまにか隣にできていた大阪王将新宿店のカウンターに座り、餃子2枚と生ビールを頼んだ。その時カウンターの左の方に女性がひとり食事をしており、その人は僕より少し前に勘定を済ませ出ていったのだが、僕がピットインに入ると彼女もそこにいたのであった。やはり「ピットイン餃子の法則」というのはあるのかもしれないのだなと一人納得したのであった。ところで王将の勘定は800円だったのだが、レジで餃子1人前無料コインをもらったので実質600円である。さすが大阪商法。安い!。
このCO2というグループ、90年代後半から年に何回かライブを行っているグループなのだが、最近は監督官庁の規制が厳しいのかあまりライブをやっていない。片山広明(ts)林栄一(as)の2管フロントのグループとしては、今は活動していない「デガショー」に続くもので、CDも僕が知っているかぎり98年の「ZERO」(Natya)と2000年の「tokai」(Studio Wee)という2枚のアルバムを出している。ts,as,g,,dsとデガショーとほとんど同じ楽器構成であるが出てくる音はかなり違う。デガショーが「陽」とすればCO2は「陰」、デガショーはかなりポップなジャズファンクという感じなのだが、CO2はよりアヴァンギャルドかつフリーな感じがするのだ。この違いは一言でいえばギターの違いであろう。デガショーの松川純一郎、酒井泰三というツインギターの轟音もかなりぶっとぶほど凄いのだが、CO2の加藤崇之のとてもギターとは感じられない変態的な音には土下座脱帽するしかない。ここまで変態なギター音のもとでは片山さんのいつもにたにた笑っている顔もおのずと真剣になってくるのだ。ドラムの芳垣さんは今や売れっ子ドラマーで基本的には古澤さんに似たドラミングをする人なのだが、4ビート禁止の奔放なドラミングでも、一定のビートをかなり強力にキープしているので、フロントやギターが暴れてもかなり聴きやすい音楽になっている感じがする。モダンジャズのドラマーではないが手数足数では現在日本最強ドラマーの一人だろう。ベースの早川さんは自己主張が強いベーシストではないが、全体的に暖かなビートがとても心地よい。1セット目は曲名はMCの片山さんもよくわからんなどと言っていたが、全て林さんの曲だったそうだ。1曲目はお囃子のようなリフが特徴的な「unite」だとわかったが、後はちょっと思い出せない。片山さんと林さんがテーマをほとんどユニゾンで吹くところが気持ち良い。僕が座ったのは後ろの方だったので座っている加藤さんの指使いまでは確認できなかったが、加藤さんは弦をいじっているよりエフェクター?のつまみをいじっている時間の方が明らかに長いようであった。その出てくる音は、スチールドラム風の音やらほとんどノイズに近い音やらさまざまで、ギターの弦を弾くというより<叩くといった感じで弾いていたようだ。演奏は長く30分はやっていただろう。2曲目はフリーっぽいバラードのような曲、3曲目はブルースっぽい曲で片山さんのいつにない真剣なテナーが素晴らしかった。2ndステージもあいかわらず曲名紹介は無かったが、1曲目は早川さんの「手品師のルンバ」だったような気がする。ここでは加藤さんが珍しく普通のギターソロを聴かせた。2曲目は片山さんの曲っぽい。3曲目はおそらく「ハレルヤ」。ここで冒頭早川さんのベースがフィーチャーされたが力が入ったソロをやっているうちエレベの上から2番目の弦が切れてしまった。それでも何事もなかったようにソロを奏で続けた早川さんはさすがであった。(アンコールではさすがにもう1本持ってきていた5弦のエレベを弾いていた)林さんの泣きのアルトも今日はたっぷり聴けた。相変わらずソロをとっても拍手がならないという新P独特の観客も後半はめずらしく拍手も出るくらいの白熱の演奏でアンコールもやってくれてひさびさに大満足のライブでした。(2004.2.22記)


川嶋哲郎 JAZZ ACOUSTIC !!

平成16年2月7日(土)

埼玉県八潮市 八潮メセナホール

パーソネル   川嶋哲郎(ts,ss,fl)石井彰(p,perc)

曲名
1st
1.ラメンテーション(川嶋)
2.Mirage(川嶋)
3.Amazing(Steve Swallow)
4.Thaw(川嶋)
2nd
1.初恋(越谷達之助)
2.荒城の月(瀧廉太郎)
3.見上げてごらん夜の星を(いずみたく)
4.浜辺の唄(成田為三)

<アンコール>
この道(山田耕筰)

県展に展示されたという我が娘はるやん、みいやんの美術の作品が中央公民館に展示されているというので、家族で見に行った。みいやんの絵だけしか展示されてなかったのだが、そこにあったチラシを見て、今日八潮市で川嶋哲郎&石井彰のコンサートがあるというのを思い出し、あわてて会場に電話したら当日券があるというので、家族を家に送り届けるとそのまま車で会場の八潮メセナホールへ向かった。八潮というのは高速のインターがあること位で知られている東京近郊の小都市なのだが、鉄道の駅がないので、通勤には結構不便な町である。ただもう少したつと「つくばエキスプレス」が開業し八潮にも待望の駅ができるのだ。そんな八潮へは僕の家から車を5分も走らせるともう入ってしまうのだ。目指すホールまでも車で15分ほどで着いた。ホールの受付て全席指定のチケット4,000円也を購入すると、でてきたチケットはなんと2列目のほぼ真ん中の席である。そういえばもうすぐ開場だというのに、待っている人は10人ほどしかいない。なんか今後の展開に非常な不安がよぎった。なにせ会場は小なりとはいえ、200名近くは入ろうという立派なホールなのである。開場10分前に来て、前から2列目が空いているということは・・・。とにかく陸の孤島のような町でのジャズコンサート。しかもこのホールの独自企画なのである。勇気があると称えてあげたい。思い出して来た僕も表彰ものだ。などとどうでもいいことを考えていると開場。おそるおそるお客の数を数えると50名も入っていない感じだ。それが、大きな会場にポツリポツリと座っている。指定とはいいながら奥ゆかしいのか後ろの方に座っている人が多い。信じられないことに2階席に陣取っている人も2名ほどいたのだ。僕のいる2列目は僕をいれて7名。1列目もそのくらいだったが、前はきがひけるのか、わざわざ後ろの方に席を移動する人も出る始末である。僕の目の前のかぶりつきには、女子高生が2名、席のそばには金管楽器のようなケースが置いてあるのでブラバン関係か。まあ、小さなライブハウスなら満員御礼といってもよい人数は入っているのが、なにせ会場が大きいのだからステージの2人はがっかりするかもしれないなとまたいらぬことを考える。
開演の16時を15分ほどまわった頃ステージに2人が登場、最初の曲はもの悲しげな川嶋さんのオリジナルバラード。僕の唯一持っている「EMOTION」というアルバムのオープニングチューンだ。川嶋さんはサックスでいろんな音を出すことにかけては日本有数だと思うが、何よりテナーのテナーらしいといってもよいだろう胸のすくようなストレートな音色に僕は魅力を感じてしまう。「EMOTION」でも共演している石井さんは、ここ数年、ヒノテルさんのレギュラーピアニストとして活躍している人気ピアニストだが、ここではクラシックのソナタを聴いているような荘厳ささえ感じさせるピアノでテナーにあわせていた。2曲目、川嶋さんはソプラノに持ち替えて一転フリーフォームの演奏。ここではソプラノとピアノが対話をしているように音のかけあいが刺激的な曲である。これもオリジナルで、川嶋さんの出身地、富山にちなんだ曲のひとつで魚津という地方にみられる蜃気楼をイメージした曲だそうだ。川嶋さんはソプラノをときにはラッパのように高くあげながら吹いているのが印象的だ。2曲目が終わって少ない観客をみまわし、「よくこんなマニアックな演奏に来ていただき・・・」と川嶋さんがMC(笑)。3曲目は「That Early September」という石井さんとスティーヴ・スワロウ(b)のデュオアルバムに入っているスワロウの美しい曲。1部のラストは再び富山シリーズから「Thaw」という雪解けをイメージした曲。川嶋さんの美しくも激しいソプラノと石井さんの情感あふれるピアノの対比がよい。
15分の休憩後、第2部は、現在川嶋さんがライフワークにしているという日本の唄をモチーフにした演奏がくりひろげられた。以前、京都のこずえさんのサイトで川嶋さんの京都町屋ライブが紹介されていたが、その時とほぼ同じような選曲であった。
2ステージ目に入り、川嶋さんがフルートを持って登場、いきなり吹き出す。しばらくフリーインプロビゼーション続け、やがてメロディラインに入っていく、2部の各曲は概ねこういったアプローチであった。まず最初の曲は石川啄木の短歌に曲をつけた「初恋」という曲。この曲は僕はよく知らず、MCで曲名を言われわかった次第。川嶋さんはフルートも上手い。ドルフィーのさえずりに似た雰囲気がある。2曲目はソプラノのソロから始まった。ピアノの反響板?に向かって川嶋さんがソプラノを吹くと、残響音が返ってきて、川嶋さんの音にかぶさってくるところがとても新鮮だった。これもマイクを使わぬ生音のせいかもしれない。3曲目はテナーにもちかえ、森山威男さんなんかもよく演奏をしている「見上げてごらん・・・」。朗々と流れるような川嶋さんのテナーがよい。この曲を聴くと、御巣鷹山で非業の死ほとげた坂本九さんの霊むがよみがえってくるような気になってしまうのは僕だけか。4曲目は石井さんの手拍子に合わせて会場も手拍子をはじめるなか、川嶋さんが「浜辺の唄」を吹き出した。石井さんがソロをとると今度は川嶋さんが手拍子を先導する。原曲とかけ離れたリズムの中で「浜辺の唄」が演奏されていき、会場の雰囲気は最高潮に達した。アンコールは「この道はいつか来た道・・・」という山田耕筰の曲。昔、田舎で家に帰る時間になるとよく流れた懐かしい曲でコンサートは終わった。アンコールの前に川嶋さんが「もう少しお客が入ってくれると、もっとうれしかったが(笑)、今日は少なくてもレベルの高い「さくら」じゃないお客さんが真剣に聴いてくれ、石井さんもスタンウェイのフルコンを弾けてとても満足している」といったことをしゃべっていたが、今のご時世、海外のトップジャズミュージシャンですらホールを一杯にすることは難しい中、昨年の11月頃からこういうコンサートを企画してくれた八潮メセナホールの関係者の方々のご努力に感謝したい。ライブハウスと違った雰囲気の中で、お酒抜きでも、川嶋さん石井さんそれぞれががちゃがちゃとうるさくない一音一音を大切にした、しかも情感あふれる演奏で実に心にしみるよいコンサートだったと思う。会場にいた人たちも同じような気持ちだったようで、ライブ後、ホールロビーでCD購入者へのサイン会が開かれたが、川嶋さん、石井さんは会場を訪れた人の多くに長い間囲まれていた。(2004.2.8記)

宮下博行トリオ"MNT"

平成16年1月27日(火)

新宿 Pit Inn

パーソネル   宮下博行(p)西垣昌也(b)高野正明(ds)

曲名(2nd-3を除き宮下さんのオリジナル)
1st
1.Near The Spring
2.Tune which is casual
3.Rest of Yours Tears
4.It's Blue
5.Speak in The Absutruct
2nd
1.Reflect in The Mirror
2.Looking for The Stars
3.La Felicidad in Estimable(Masaaki Takano)
4.It calls to Stop
5.The Awaking
6.As Floting Water
2nd-3のみ宮下-西垣のDuo

アンコール A NewYork Point


昨年に引き続き関西を拠点としたピアニスト・コンポーザー宮下博行さんのトリオ"MNT(ミント)"の東京ツアーが新橋レッドペッパーと新宿ピットインで行われた。僕は2日目のピットインに出かけた。昨年レッドペッパーのライブに同行し、MNTを気に入ってくれたK君も一緒である。いつものようにピットインのとなりのビルにある餃子屋で飲み食いしてからピットインに入ったのだが、いつのまかいつもの餃子屋のとなりも餃子屋になっていたのだった。
今回も入り口でプログラムを渡される。今日演奏する曲目と1曲1曲に宮下さんのコメントがついているのだ。レポをする身には大変重宝なものなのはもちろんだが、この辺がその場の気分でエイヤーと演奏してしまう(ように見えるのかもしれないが)普通のピアノトリオとちょっと違うところである。また、"MNT"に限っていえば、ファンでなければなじみのない自分たちのオリジナルでしか勝負しないというところにもこだわりを感じさせるグループなのである。そして、宮下さん、西垣さんは結構真剣に楽譜を見ながら演奏していく、というところもなんかジャズっぽくない雰囲気を漂わせているのだ。
19時30分、定刻に3人が登場。演奏が始まった。今回は前回のツアーの時と大幅に曲を変えており、ほとんど新曲なのである。1曲目は西垣さんのベースがフィーチャーされた曲。西垣さんのベースが奏でるメロディはとても音が綺麗なのだ。彼のベースはとてもクリーンでまじめさがよくでており、ベースがあまりメロディをとると鼻につく場合もあるのだが、彼のベースではそれを感じない。1、2曲目は宮下さんのピアノはなぜかなでるように優しく弾いているのが印象的であった。3曲目は新曲とのことだが、ここにきて俄然宮下さんのピアノに力強さが宿ってきた。ドラムの高野さんは今回は手ドラムは見せなかったが、パーカッション感覚でパワフルさも持ちつつカラーリング重視の繊細なドラミングだった。4曲目は少し古い曲で阪神大震災直後に書かれた曲。もの悲しいというより、トリオの演奏は凛とした美しさを感じさせる曲であった。
2ndセットは2曲目に、あまり最近やってなくて、よく間違える等といいながらMNTのアルバムのタイトル曲「Looking for The Stars」を演奏した。いつ聴いても名曲であるが、僕にはとてもリラックスした演奏に聞こえた。3曲目は珍しく宮下さんではなくドラムの高野さんの曲。ここでは作曲者の高野さんがステージを降りて、ピアノとベースのデュオでの演奏だったが、西垣さんのベースが奏でるメロディがとてもよい美しい曲だった。今回演奏の曲は初めて聴く曲が多かったが、どれも優しさと美しさを兼ね備えた曲ばかりで、こころが洗われるようだった。普段は激しくなにが起きるかわからないようなライブを好む僕であるが、MNTの演奏のオリジナリティはこれはこれで独自の道を行っていると思うので、評価している。新しいCDが待ち遠しい。
1部2部ともお客さんは10数名とちょっと寂しい感じがしたが、それぞれ熱心なファンな方たちのようで、11曲全て演奏を終えると、僕の斜め後ろの女性2名からすかさず「アンコール!」との黄色い歓声が上がった。宮下さんは、「アンコールは珍しい」などといいながら楽屋へ楽譜をとりにもどり、アルバムにも入っている「A NewYork Point」をトリオで演奏した。すっかり堪能した僕ら2人はそれぞれ宮下-能勢のDuo、ドラムの高野さんのリーダーアルバムを買って、しっかりサインをしてもらい。暖かな気持ちで帰途についた。(2004.1.30記)

竹内直カルテット

平成16年1月18日(日)

西新井 カフェ・クレール

パーソネル   竹内直(ts)清水絵理子(p)工藤精(b)江藤良人(ds)

曲名
1st
1.イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー(ラルフ・レインジャー)
2.スイートジョージアブライト(チャールズ・ロイド)
3.デニス・チャールズ(竹内直)
4.白と黒の肖像(アントニオ・カルロス・ジョビン)
5.マイルス・モード(ジョン・コルトレーン)

2nd
1.オール・オア・ナッシング・アット・オール(Jack Lawrence&Arthur Altman)
2.ステップス・フォー・ジョイ(竹内直)
3.?
4.イースト・オブ・ザ・サン(ブルックス・ボウマン)
5.トンプキンズ・スクエア・パーク・セレナーデ(竹内直)

僕の撮った演奏写真とレポが西新井カフェクレールのphotoのページにアップされています。ぜひご覧ください。

 
チャーリーヘイデン&ケニーバロン

平成16年1月10日(土)

青山 ブルーノート東京

パーソネル   チャーリー・ヘイデン(b)ケニー・バロン(p)

曲名 不明(5曲やりました)

(最初にお断りしておきますが、今回の駄文は、ライブレポというより、ブルーノート体験記としてお読みください。)
今年最初のライブは天下のブルーノート東京なのである。青森のまーさんが信奉するピアニスト、ケニー・バロン様がチャーリー・ヘイデン(b)とのデュオで出演するというのでわざわざ聴きにこられたのにお相伴することになったのだ。ライブは19時からの1セット目の予約をとったのだが、予約はとれても早い者順の自由席ということで、15時からの整理券を取りに行くため、銀座で14時に待ち合わせ、地図をみいみいなんとか15時頃に店へ到着すると早くも長蛇の列である。でもなんとか39番目の整理券をゲット。しかし、今度は開店する17時30分に来ていないと整理券順もパァになってしまうのだ。それまで約2時間という中途半端な時間、慣れぬ南青山の地で流浪する2人であった(爆)。なんかこういうときのワンパターンで餃子屋でビールとしっかりすぎる味のついた餃子をつまんで再び店へ。整理券順に呼ばれると、まーさんはなるべくピアノに近い席を所望したが、正面は埋まっており、ピアノの斜め後ろの席に案内された。これではバロン様の顔は拝めないが、仕方がない。とりあえず開演までまだ1時間ちょっとある。メニューを見てコストパフォーマンスの高そうなハイネケンのピッチャー(1.5L)と安くて量のありそうなスィンギィングポテトを注文する。途中、トイレに行くと、ケニーバロンらしきスキンヘッドで耳にピアスをつけた大柄な黒人がブランデーグラスをもってバーカウンター付近をたむろしているのを発見。席に戻って、まーさんにご注進したが、その時はもうどこかに消え失せていた。さて、今日この2人について、僕は語るべきものをあまり持ち合わせていない。ケニー・バロンは、フレディ・ハバード(tp)の佳作「バラの刺青」で趣味の良いピアノを弾いていた位しか印象がなくて、最近「アートオブスリー」のアルバムを買ってあらためて聴いた程度だし、チャーリー・ヘイデンも有名なリベレーションオーケストラや最近のグラミー賞受賞作などは未聴で、「ミンガスダイナスティ」の最初のアルバムでベースを弾いていた位だからよほど反骨の士なのだろうなあと思った位である。彼のベースといえば、キース・ジャレットトリオの初期の快作「サムホエア・ビフォー」に針を落とすと1曲目の「マイバックページ」がヘイデンの暗くもっさりとした感じのベースではじまることを思い出したのであったが、それ以外はあまり印象がないのであった。
ライブは、ほぼ19時の定刻に始まった。まずヘイデンがマイクを取り、なにやらしゃべる。観客のみなさんはおいしい料理でお腹いっぱいでしょうが、私たちの音楽がデザートになるといいのですが、みたいなことを言っていた気がしたが、くわしくは英語に慣れているまーさんのレポをどうぞ。1曲目は曲名は忘れたが、聴いたことはあるのでスタンダードのようだ。後は最後まで、MC無しで、ぶっ続けに5曲ほど演奏した。ピアノとベースのデュオというと、一番好きなのは、パブロから出た大御所デューク・エリントンとレイ・ブラウンのデュオだ。それから、スティープルチェイスから出たケニー・ドリューとニールス・ペデルセンのデュオも癒し系で良かった。さて、ヘイデン、バロンのデュオはいかがか?と聴いてみたのだが、ピアノとベースを交互に演奏しているという印象で、なかなか白熱したインタープレイに持ち込まれない。曲もミディアムスローの曲が多く、曲によるメリハリにも欠けていた。ヘイデンのベースは大きくベースを揺らしながら弾くのが特徴のようだが、これも持ち味なのかもしれないが、テンポ強弱ともあまりないベースを淡々と弾いている。対するバロンもどちらかというとリリカルといった優しいタッチでピアノを奏でており、しーんと静まった会場の雰囲気とあいまって、一種クラシックの演奏会のような状態にやや息が詰まったのであった。さすが両者とも演奏は良かったのだが、さしたる盛り上がりもなく、1時間ちょっとで5曲終えて、またヘイデンが、この大変な世情のおり、よくもまあ聴きにきてくれてありがとさーんというような感じの、シニカルなスピーチをして演奏は終わった。結局バロンは一言も口をきくことがなくステージから降りたのだが、バーカウンター付近でファンと会話しているのを見つけ、またまたまーさんにご注進。まーさんは脱兎のごとくバロンさまのもとにかけつけ、言葉を交わせたのであった。ただ、その後バロンはすぐ楽屋に引っ込んでしまい、ヘイデンだけが愛想よくファンに囲まれていたのが印象的であった。まーさん曰く、この日のバロンはあまり本調子ではなかったようだが、演奏から得たものはいっぱいあったとのこと。僕は技術的なことはわからなかったが、もう少し激しい演奏も聴いてみたかった。いずれにせよ、入れ替え制のライブは少し悲しい。空のピッチャーとかなり残ったフライドポテトをテーブルに残して若干後ろ髪を引かれつつ、ブルーノート東京を後にする2人であった。(2004.1.11記)

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