NEC Picona

■概要

とにかく、携帯時の小型軽量が魅力的。ほぼ一般的なウォークマンサイズ。ただし、撮影時はディスプレイを開くので、実質的に大きくなる。スタイルは、SONYのデジタルハンディカムのパクリで、それをそのまま2まわりほど小さくしたような形をしている。液晶ディスプレイの位置も、開く向きも同じ。ただし、ディスプレイの角度は変えられない。
CCDは35万画素で標準的。
フラッシュはオプションで外付け。付ければ当然その分大きくなる。

■大きさ・重さ・外装

ディスプレイを折りたたんだ状態の本体サイズは、幅28×奥行き74×高さ102mm。重量は本体のみで185gであり、大きさも重量もウォークマン並み。軽くポケットに入れて持ち運びできる。液晶ディスプレイ内蔵としては、ほぼ極小に近いサイズ。仮にこれより小さくできたとしても、もっと使いにくくなると思うと、それはあまり望みたくない。
全体的にアルミカラーのボティは、小さく作ってあるだけに、さすがにきゃしゃな感じがする。メモリカードのイジェクトレバーなど、ちょっと無理をするとすぐに壊れそうだ。

■メモリ

この本体サイズでありながら、着脱可能なコンパクトフラッシュカードを採用している。アダプタに入れれば、PCカードとしてノートPCで読みとることができるので、パソコン側の画像転送ソフトは、無くても済んでしまう。これは嬉しい。
標準では2MBのカードが付属するが、オプションで4MBと15MBのカードがある。その他、この規格の市販品も使えるはず。
JPEG画像の解像度はすべて640×480ドットで、圧縮率の違いによってEconomy, Normal, Fine, S-Fineという4種類ものモードがある。2MBでの撮影枚数は、それぞれ75、35、20、および8枚。撮影枚数の開きが大きいので、4種類あってもまだ許せるが、やはり4種類は多すぎる。せめて3種類。ほんとうは2種類くらいでも良い。もともとそれほど大した画質でもないわけだし。
面白いのはJPEG圧縮しないで、WindowsのBMPファイルとして記録することもできる。この場合は2MBの標準メモリで、320×240ドット×256色で17枚、640×480ドットのフルカラーではたったの1枚が撮影可能。PC側でJPEGが読めない場合の措置だが、この画質とこのメモリ消費量ではあまり有り難くはない。今時JPEGの読めないPCを持っている人で、デジカメを買おうという人は、そんなに多くはないはずでしょ。

■画質

画質は意外といっては失礼だが悪くない。エッジの処理も適切で、ジャギーも目立たない。液晶の表示速度が遅かったり、ぶれたりで、画質的に良くないという印象を与えてしまうのは残念だ。
レンズの焦点距離は、4.9mmの固定焦点式で、35mmフィルムのカメラに換算すると35mmになる。コンパクトカメラの標準的な設定で、広角よりということになる。マクロ機能は、目的とする被写体のサイズに合わせて、A4あるいはレターサイズと、カードサイズの2段階から選べる。つまり、書類または名刺を撮る場合を想定したものであり、簡単なコピー代わりに使える。

■インタフェース

シャッターボタンの位置が、どうしてもしっくりこない。構えた状態で後部の上端にあり、親指で押す。片手で保持して撮るしかないので、シャッターは人差し指が適当だろう。親指だと、どうしてもぶれる気がする。
撮影中もモニタ画面のアップデートが遅いので、構図を決めるのに骨が折れるし、シャッターチャンスなどというものとは無縁だ。小さな液晶の周辺部に、色々な情報を表示してくれるので、肝心の被写体のモニタは、面積で半分程度になってしまう。シャッターボタンを半押しすると、その間だけ被写体が画面いっぱいに表示されるのがせめてもの救い。
パソコン用の画像転送ソフトは、私自身触らなかったのでノーコメント。

■動作速度・消費電力

はっきり言って動作速度は遅い。再生画面の切り替えや、撮影後の圧縮作業など、待っているのがいらいらする。撮影後の画像圧縮は、ノーマルモードで30秒もかかる。撮影済みのコマ数が少ないともっと速いとか、最近の製品は改良されて速くなったという話もあるが、私は確認していない。
電池は、単3アルカリ2本で30分程度しか使えない。付属の大型バッテリケースにすると、単3が4本入り、この場合は、なんと150分も持つことになっている。小電流で使うと長持ちするアルカリ電池の特性か。
オプションでニッケル水素型の充電池が使える。単3を2本束ねた形。連続使用時間は60分程度と、まあまあ長い。

■その他特徴

撮影した画像を、HTMLファイルに埋め込んだ形で出力する機能を、画像転送するパソコン用ソフト側ではなく、カメラ本体が持っている。何か機能的な特徴を出そうという苦労は分かるが、そんな機能をカメラ本体に求める人は、ほとんどいないだろう。そんなものを入れる余裕があるなら、もっと基本的な動作速度を速くして欲しい。

■結論

小さいだけに、操作性はかなり犠牲になっている。操作ボタンは、爪の先で押さなければならないほど小さい。ただし、液晶パネルを開くと現れるバックライトの輝度調整ボリュームだけは使いやすい。やはり画面表示のメニューなどにはない、機械的な操作方法のメリットだろう。
液晶ディスプレイを閉じたまま、ファインダを使って撮影できるような工夫が欲しかった。ファインダが来るべき位置には、なんとシャッターボタンがあったりする。
いかにもデジカメらしいデザインだが、オリジナリティには乏しく、基本性能も低いので、私はあまり買いたいとは思わない。

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