Panasonic NV-DE3

■概要

実はというか、もちろんと言うべきか、これは純粋なデジカメではない。デジカメ機能を持ったデジタルビデオカメラである。それ百も承知で、私はデジタルビデオとしてではなく、デジカメとして試用した。デジカメとしては大きく重く、それだけのために使うのはばかばかしいのだが、デジタルビデオの60分テープに500枚もの静止画が記録できるという魅力は侮れない。それに、もちろんビデオカメラとしても使えるわけだから、なにかと便利である。
価格帯はもちろんデジタルビデオカメラのものなので、一般的なデジカメの、ん倍ということになる。

■大きさ・重さ・外装

基本的なデザインはSHARPのビューカム系で、本体背面の大きな液晶画面と、本体左側のカメラレンズを保持する回転アームを特徴としている。全体的に突起部や湾曲をできるだけ抑えた直線的なデザインだが、本体正面の丸い枠が一種のアクセントになっている。これは、一見すると一眼レフカメラなどのレンズカバーのように見えるが、この中にはビデオテープカセットが収まっているだけで、これはその蓋の部分の飾りに過ぎない。丸い枠の一部が透明になっていて、中のテープの有無と、リールの回転が確認できる。
本体サイズは、幅161×高さ89×奥行き44mmで、重量はバッテリを除いて530g、リチウムイオンタイプのバッテリを含んで640gである。
底部以外は、全体がチタンカラー仕上げとなっていて、メタリックな雰囲気の中に落ちついた高級感がある。材質はレンズアーム部がプラスチック、本体の大部分はアルミ合金製である。

■メモリ

特に静止画用のメモリを持っているわけではない。デジカメモードでは、ボタンを押した瞬間の映像を約7秒間ビデオテープに記録する。60分テープをSPモードで使ったとすれば、1本のテープに計算上約500枚の静止画を記録できることになる。

■画質

静止画として記録した画像は、圧縮されていないBMPファイルとしてWindowsパソコンに転送される。したがって、圧縮にまつわる画質の悪さは無いのだが、元々の設計がNTSCのビデオ信号を前提にした画質のため、解像度も640×480ドットのみなど、おのずと限界はある。
撮影時の機能はなかなかすごく、光学的な10倍のズームレンズに加えて、デジタルズーム機能を使って最大100倍のズームが可能。これは、文句無く、デジカメとしては世界最大のズームだろう。

■インタフェース

本体がほぼ直方体なので、構える際の持ち易さなどは、ほぼ想像通りといったところ。ビデオカメラとしての録画ボタンとは別に、「フォトショット」ボタンという静止画の記録専用のボタンも供えている。
一般的なRS-232Cインタフェースは、本体にポートリプリケータのようなユニットを付けることによって、使えるようになる。
オプションで、静止画をPCに取り込む専用のソフトが用意されている。これは、テープに記録されている静止画を自動的にサーチして次々に取り込むソフト。取り込まれた画像はBMPとなるので、大量に取り込むと、容量が爆発してしまうという問題がある。

■動作速度・消費電力

動作速度の評価は、一般的なデジカメとはまったく異なるものとなるが、例えば、1コマ撮影してから次のコマを撮影できるようになるまでの時間を考えてみると、前述したように、これは最低でも7秒となるから、かなり長い方となってしまう。
ばってりはもちろんリチウムイオンなので、信頼性が高い。しかも標準のバッテリ1個で連続約75分も使用できる。これはデジタルビデオカメラとして連続使用した場合の数字だが、デジカメとして使用しても、機構上特に違いはないので、同等の時間は使えるだろう。一般的なデジカメから比べると、これだけの機能と大画面の液晶ディスプレイを装備してのこの数字は、むしろ驚異的と言うべきかもしれない。

■その他特徴

画像転送用のインタフェースとしては、RS-232Cの他にFireWire、つまりIEEE-1394を本体に備えている。残念ながら、これを活かすことのできるシステムは、まだない。

■結論

デジカメを買おうとして、この機種を選ぶ人はいない。やはり、静止画撮影機能はデジタルビデオカメラの1つのおまけなのだ。そういう点を考慮して、こんどはデジタルビデオカメラとしてこの機種を選ぶかどうかだが、機能や性能で考えれば、これはかなり有力な候補となる。ただし、デザイン上の面白味や、持っていることの喜びという面では、点数は低くならざるを得ない。質実剛健、機能重視というひとには薦められる。
私はたぶん買わない。これより小さなビデオカメラと、デジカメを別々に持ち歩く方がいいような気がする。

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