白日夢 第十四の幻 (平成十五年一月六日)
7Day's Oh!
新年お仕事一発目、取り立てて仕事もない初日は午後二時頃で作業が終了してしまった。 ストーブの前を占領して、ゆるゆると茶を飲み、社に置きっぱなしの本を読んでいた。社内にはラジオの某局がかけっぱなし。それまで、聞き流していたのだが、気になる言葉が耳に入った。 「今週のゲストは元聖飢魔IIギタリスト、現在はface to aceでご活躍中のACEさんです」 途端に、背筋を伸ばしてラジオに聞き入る。そ、そんな予定、何処にあったよ、公式WEBサイト!!何やってんのよ、公式WEBサイト!! ある番組中のコーナー。この番組のパーソナリティ(坂上みき さん)のお部屋にお客様を招いてお話をするというシチュエーションのトークコーナー。放送時間は僅か二〜三分。(いや、もっと少ないかも?)これが月曜日から金曜日の一週間続く。 新年早々、嬉しい〜♪ ●月曜日 お部屋に遊びに行く、という事なので、放送第一回目はドアチャイムの音から始まる。 ピンポーン♪ 「ACEさん、ですね。ようこそいらっしゃいました〜」 「あ、はい……」(ちょっとビクついてる?) 「どうですか、私のお部屋は?」 「いや〜いいですねえ」(やや棒読み) 「すごいでしょう?海とか山とか」 「ええ。……あの、僕ねえ。カレンダーをインテリアにするのってダメなんですよ。嫌なんです」(かなり強気口調) 「本当ですか?でも、スチュワーデスカレンダーとか飾ってたりして〜?」 「アハハハハ」(ちょっとツボに入ったらしい) 「コーヒーはいかがですか?あ、お砂糖やミルクは……」 「あ、ありがとうございます。あ、いや……」(ここ、二人の声が被ってしまった) 「ああ、ブラックで?」 「はい」 「今月発売されるアルバム『a new day』はどういった感じなんでしょう?」 「なんかこう……旅に出たくなる、というか。旅に出て、また戻って来て新しい日が始まる、と言うような、ね。『a new day』では僕と本田と半々で曲を、詩は殆ど僕がやってるんですけど、本田の作る音が、またそういうリリカルな曲なんで。」(本田さんに惚れ込んでいるのがよく分かる!) 「今日はお越し頂いてませんが、本田さんはどういった方で?いつからお付き合いがあるんですか?」 「そうですね、う〜〜ん……。結構僕と似ているトコがありまして〜。 あの〜、私、昔、聖飢魔IIってバンドでデビューしまして、その時の同じレーベルからグラスバレエっていうバンドもデビューして。そこのキーボードだったんですね、本田は。で、それ以来だから」 「ああ、じゃあ、もう結構長い……」 「ですねえ」 「女性だったら、絶対モノにしてる?」 「ええ!?え〜……はい」(一瞬止まったが一応肯定の笑い) うわ、今日はこれでおしまい! ●火曜日 お茶を飲みながらのお喋り、という雰囲気で。 「ところでACEさん。ACEさんが初めて買ったレコードは?CDじゃありませんよね?レコードですよね?」(どう見ても、「レコード買ったこと無いんです」って言う年齢の人じゃないでしょう、坂上さんってば!) 「(笑)はい、レコードです。ええっと、アルバムだと……“ミッシェルポルナレフ”かな?それか、“カーペンターズ”ですね」(ちょっと考える時間が長かった。どちらも同時期に聞き込んでいたんだろうなあ) 「それは、誰かの影響ですか?」 「いえ。ラジオですね」 「へええ、洋楽なんだ?」 「そうです。小6か中1くらい。親戚の小父さんにラジオを買って貰って、聞き込んでましたね。当時ね、ロックなど音程の曖昧なモノは聞けなかったんですよ」 「じゃあ、他には何を聞いていたんです?」 「クラシックですね。両親がオペラ歌手でしたので、ずっとクラシック。もうクラシックが生活音でした。生徒さんが入れ替わり立ち替わりレッスンしているのが、生活の音」 「え!?ご両親ともオペラ歌手?」(凄くビックリしている坂上さん)「それで、ご両親の音には行かなかったんですか?」 「行きません!!もう、スッゴイ反抗してましたもん。ピアノを無理矢理習わされた事もあったけど、反発して」 「はぁぁ〜……ご両親は聖飢魔IIのコンサートには、いらしたんですか?」 「ええ、そうですね」 うわ、今日はこれでおしまい! ●水曜日 部屋を移動。 「ACEさん、ここが映画とDVDの部屋です」 「うわ〜……すごいですね。羨ましい」(呆気にとられている感あり) 「何かお貸ししましょうか?」 「あー、じゃあ『アンタッチャブル』アルカポネが良いですねえ」 「あ〜『アンタッチャブル』それは織田哲郎さんに貸した!」 「ええ!?」(お二人で爆笑!) 「映画はお好きですか?」(この言葉の前にACEさんがだぁーっと俳優さんの名前を挙げていた) 「映画好きですねえ」 「先程、デ・ニーロが好きと仰ってましたが……」 「うん。デ・ニーロ好きですねえ。それとかショーン・コネリー良いですね。でも007の頃は脂ぎってて嫌!年を取ってからの方がイイ」 「あ!007の頃は嫌ですか?」 「ええ。年取ってからの方がイイ。良い年の取り方をしてますよね。ほかにはセガールもそう」(分かっていたけど、渋い趣味だね、ACEさん。ソレが好きなんだけど〜・笑) 「どういう映画を観るんですか?」 「余り考えないで、ポップコーン食べながら「ワーッ」っとして……」 「もう、「ワーッ」っと「バーッ」っと……」 「……の方が好きですね」(この時のお二人、ちょっと馬鹿っぽい勢いだった。ニュアンスで伝わる嗜好) 「あとはねえ、たまに、泣くぐらい感動するのがいい。でも、映画館じゃ泣かないけど」 「女優さんで好きな方はいますか?」 「えー、女優では、ジュリエット・ビノシュは可愛い。綺麗…?いや、またね、映像が綺麗。いいですね」 「はぁぁ、ジュリエット・ビノシュ。彼女は、恋多き人なんですよ」(この時の坂上さん、「ふふふん、これ知ってる?」って口調) 「そうなんですか?」 「色々ありでね。年下の人と子供作ってね」 「ええー!?」 うわ、今日はこれでおしまい! ●木曜日 話題は本へ変わる。本を収納してある部屋へ移動したといった風。 「うわ〜すごいなあ」 「も、どうぞお好きなのを読んで下さい。ゆっくり選んで下さい。何ならお泊まりになって……」(なんですと!?) 「はぁい、あの、ゆっくり見ます」(ななな、なんですと!?) 「読書はされますか?」 「はい。あ、でも今は読書の時間が無くて……」 「どういった物を読まれるんですか?」 「本来はミステリー。ショートショートやSFも好きで、以前良く読んでまして、その頃に都筑道夫さんの本に出会いまして……それで都筑さん――都筑先生の本はですね全部で120冊ぐらい持ってます」 「えー!!120冊!」 「都筑道夫さんの魅力は?」 「えーと、まずですね、理路整然としていて、間違ったことは書かないんですよ。疑問に思ったことが出てきたら、まず丹念に調べて、納得がいかないと文章が書けない、筆の止まってしまう人なんですね。読んでいる人を楽しませる人です。でも、人によっては理屈っぽいと思うかもしれない。特にショートショートは面白い!」 「お薦めのモノは、何かあります?」 「そうですね『悪魔はあくまで悪魔である』とか『黒い招き猫』なんかが」(『悪魔〜』は絶対言うと思った!) 「え?『悪魔は…』なに?(笑)」 「『悪魔はあくまで悪魔である』(笑)」 「都筑さんの文章、考え方が、自分の音楽に似ているところがあります。当てはめると似ている。音楽の感性から来る爆発するパワーって言うのは大事だけれども、それを支える理論も大事」 うわ、今日はこれでおしまい!……今日は放送時間に電話が掛かってきて(この時間はお仕事中!)きちんと聞けなかった。全然覚えていないよう!よって、今まで以上にかなりACEさんの言葉使いが変わっているし、内容も端折ってしまっている〜!ああ、悔しい!そんなら、録音するとかしたらいいのにね、ワタクシ…… ●金曜日 昨日の都筑話から発展して続きます。 「ACEさん、コーヒーのおかわりは?」 「あ、いただきます」(即答!) 「コーヒーはお好きなんですか?」 「はい!自分の部屋にサイフォンを置いてた事もあるんですよ。高校から大学くらいかな?部屋にサイフォンを置いて、友達呼んで飲ませて」(ACEさんが煎れたコーヒー、飲みたーい!) 「喫茶店みたいじゃないですか!そのサイフォンはまだ、お持ちなんですか?今でもお部屋に?……あ、ご実家の方に仕舞ってあるんですかね?」 「いや、今は……うん……実家に帰ればあるかも」 「色々な本を読まれるACEさんですが、本の中での好きな言葉は何かありますか?」 「う〜ん?いっぱい有りすぎて分からないです。え〜……なんだろう?都筑さんのとかね、あるんですよ、う〜ん??」(悩みまくりのACEさん) 「『アフリカの蹄』という本の中に出てくる言葉がとても印象に、心に残って……もう映像が、その情景が目に浮かぶこの言葉がね」(此処でACEさん、その心に強く残った文章を読み上げる) 「うんうん。ああ、ホント、目に浮かびますねえ。凄いですねえ」 「それが余りにも鮮烈だったので」 うっわ〜、もう終わっちゃったよ!これで本当におしまいだよ! ……本当、録音しておけば良かった。(涙)最終日だってのに、電話は掛かってくるわ、人が訊ねてくるわで(この時間は仕事中だから当たり前!)ロクに聞き取りが出来なかったよ〜! 後で、自分で調べたところ、『アフリカの蹄』は箒木蓬生(ははき ほうせい)さんの著作。ACEさんがお気に入りの言葉を頼りに斜め読みして確認できた!と、思う。ちくしょー!!公式サイトさん、放送の情報は早く明かしてくれよ〜!一度録り逃しちゃうと、萎えちゃう気性なもんだから、録音もや〜めた!ってなっちゃったし!!だから、この文章は全部、「確かこんな事言ってたの」という、ワタクシの記憶だけで書いてしまった。そんな中途半端な自分。最悪じゃん……、反省。 |