白日夢 第七の幻 (平成十四年二月一日)
ハッピーバレンタイン?
シングル、アルバムも大好評。ACE氏もご機嫌な様子。ニコニコ笑顔で、「へへっ」とした口元からこっそり覗く八重歯がとっても可愛らしくて、ワタクシもご機嫌。 ……なんでか?実は、去る一月三十日に銀座・山野楽器にて発売記念イベントが開催され、それに参加したのだ。 当日は昼・夜と2回トークイベントが行われ、私は夜の部に参加。場所は山野楽器店内にあるJAM SPOTというミニホール。客席フロア前方には椅子が設置されていたが、既に満席。立ち見の人が多くて、ギュウギュウ詰め。会場は人の熱気で暑かった……。 ステージに司会進行役としてクラウンレコードの方が登場。「ACEさんの登場の前に『オルフェウスの朝』のプロモーションビデオをご覧下さい」……ちらほらと「はぁぁ〜(はぁと)」な声が漏れ聞こえてくる。さ、ACE氏ご本人の登場!……先程の「はぁぁ〜」とはちょっと違うニュアンスの声が漏れていたような、いないような(笑) 「色々取材を受ける中で、必ず言っていた事がありまして。それは本田海月のアレンジがいかに素晴らしいかという事をなんだけど。みんなさ、あんまりアレンジって何やってるか分かんないでしょ?それを、伝えられたらと思いましてですね〜。ちょっと凄いことをやっちゃいますよ。ミュージシャン生命に関わりますよ。ホント。」 なんと、ACE氏作のデモテープを本田氏に渡すとどう出来上がってくるか!デモテープと完成曲を聴き較べて、アレンジという仕事とは、本田海月氏の素晴らしさとはこうだ!と堪能しちゃおうというミュージシャン生命を賭けた企画!命賭けてます、燃えてます、ACE氏! まずは『QUIET SNOW』のデモが流れる。おや?この曲はCDと印象が変わらない。デモの印象をそのまま完成させた曲だそうで。 「この曲はねえ、去年の1月17日に作ったの。その日は大雪だったのよ。だからね、ま、こういった曲が出て来ちゃったわけで…」なんでもACE氏は、譜面に製作年月日・天気等ちょっとしたメモを残すそうだ。 続いて『SPIRAL STEP』。デモが流れ始めた瞬間から、ああ〜!やっぱりやらなきゃ良かった、こんな企画。って顔をしていたACE氏。 あれ?何で?う、う〜ん?確かに、特別フレーズが変わっているわけでもないのに、この印象の違いは何だ!デモの方は、ゆっくりダラダラ、気楽なお散歩ってカンジ。ずいぶんと柔らかい音。 「あちゃ〜…。もう、このね、ダルさ。だらしなさ。まるで風呂上がりのオヤジのようなね。これが本田の手に掛かると、こうなってしまうわけだ」既に耳に馴染んでいるCDの音。シャキシャキッとしたイントロ。う〜む。ホンの少し音の配分を変えただけで格好良さ倍増とは! お次はPVでも発売された『オルフェウスの朝』。これもまたデモ版は柔らかいというか〜……。結構ビックリする。あれ?この曲好きなんだけど、このデモのままだとあんまり良い印象にはならないなぁ。という印象を抱いてしまった。 ところが、さすがアレンジャー本田海月。耳に馴染んだ一聞き惚れをした曲になっている。う〜ん。ココまで印象を変えてしまうとは……。 「次はねえ。『IN THE MAZE』を聞いて貰うんだけど、気付いた人居るかな?この曲のイントロねえ、もう、まるで『ロンリーチャップリン』なんだよ。で、イントロ変えてもいいって、変えてくれって本田に渡したんだけど、「いや。コレでいきましょう」ってね。これぞ It's本田マジック!」 ってまたまたACEさん。あちゃ〜って顔で会場の失笑に耐えている。言われてみれば確かに『ロンリーチャップリン』と思えてしまう……。 進行役の方が「またベースがかっこいいですねえ。疾走感のある……」と呟き、ACE氏「そう!本田のね、ベースラインっていいよね。ホント上手いんだよ」 う〜ん確かに。『ロンリーチャップリン』じゃなくなっている。そうか、この辺がACE氏が惚れ込んだ本田さんのセンスなんだなあ。 「イントロの部分はね、ピアニカを使ってるんだよ。もうそのまま。よく、小学校の時に使ったアレ。で、忘れちゃったときに一番人から借りたくない楽器だよね、ピアニカって。掃除もあんまりしてないしさ。唾、溜まるし」 ACEさん……。(笑)しかし、レコーディングスタジオであーだこーだとピアニカを吹きまくっている本田さん、端から見たらかなり愉快な光景だろうなあ。 「え〜っとこのイベントってCDを買った人が来れますよね?で、どうしたわけか、そのチケットを何処かから入手してですね、何度も観にいらっしゃるリピーターがいまして……。ま、全体の数からいけばホンのわずかで気にならない程度なもんですが。リピーター対策としまして……」 と、もう一曲。『月夜のケモノたち』のデモ版と完成版の比較。この曲は、デモの時点からかなり疾走感を意識したらしく、先に聞かせて貰った四曲と較べると一番ハードでスピード感のある曲だった。 ところが本田海月氏は更にパワーアップさせて、より疾走感が強調された。す、すごいよ!本田さん!! 以上五曲のデモと完成品を聴き較べ、ACEさんと本田さんのことを、自分はいかに好きなのかと再確認が出来たこのイベント。 曲を聴く途中のお喋りもACEさんの人柄が伝わってくる。「先週は全国をキャンペーンで回って五十八本の取材を受けて、各地で好評を得て……」なんてほころぶACE氏。怒濤のキャンペーンスケジュールを都合して、その為に情報公開が前後して「申し訳ない」とか。回った先のプロデューサーさんに「曲も良いけど、声がイイねえ」と言われ「もぅ、天にも昇る気持ち」と浮かれ気味だったり。 「みんなにありがとう。前はそういうのなかなか言えなかったから」……こちらこそ、ありがとう〜♪こんなに素敵な曲を聴かせてくれて、かつ楽しいイベントを開いてくれて。ただただ喜んでいるうちに、イベントも終了。あとは握手を残すのみ! ゾロゾロと握手の列に連なって順番待ち。結構速いペースで列は捌けていく。ああ、こちらからこの楽しい気持ちを伝えるには……ああ〜!?手紙を渡している人が居る!そうか、そう言う手があったわなぁ。基本じゃん! (笑) 仕方がないので、意を決してその場で直接伝える。 「楽しかったです。また、こういうのやって下さい」 「あ、はい!」全開の笑顔。やったーーーー!!でも、疲れのせいか目は余り笑っていない。 疲れもするわな。一週間チョイで五十八本もの取材じゃあ。 |