VTR250 初めてのバイクツーリング

 2003 春の男鹿半島へ PART1 

ゴールデンウィークの初日。空は青く晴れ渡り、初夏並の陽気だ。買っておいた全天候型?バイクウェアーに袖を通すと少し暑い。歩いて近所のバイク屋さんに注文しておいたバイクを取りに行く。ピカピカの新車VTR250とご対面だ。

遠出が好きなことは話して有ったので、店員さんが心配そうな顔をして、まさか今日出かけるのでは無いでしょうねと聞いてきた。「いやぁ〜家の周りで2,3日練習しますよ」「そうですね、車があまり通らない道で練習した方がいいですよ、教習車と感覚違いますし」などとフツーっぽい会話しつつ、心の中では・・・いや行くでしょ俺のことだし遠くまで、今から。

バイク屋は世田谷通りに面している。交通量が多くてデビューするにはちょっとイヤな感じ。初心者だし店裏の路地で乗ってみますか、という話も出たのだが、路地の道幅は凄く狭く車と対向するだけでも大変そう。どちらもイヤだなぁーと迷っている内にキーを渡されバイクに跨る。結局、いきなり世田谷通りでデビューとなった。

さんざん乗った教習車でさえ、おぼつかないのに、初めての公道と初めてのバイクでちゃんとスタート出来るのだろうか?(よく考えると、クラッチの具合も判らないのに、初心者には無茶な行為である)。緊張し口の中がカラカラに乾く。車の通りが出来る限り途切れるのを待ってアクセルをあおる。グィーンと吹け上がりちょっとびっくり。失敗失敗。バイク屋の店員さんが心配そうに眺めている(のだろうが、そちらを気にしている余裕はない)。もう一度慎重にアクセルを開け、クラッチを繋ぐ。おおっ!走った(当たり前だって)。

中型免許を取ったのが1週間前。免許取り立てのヘッポコライダーが果たしてどこまで行けるのだろうか?

川崎>関越自動車道>国道17号線>三国峠

家に戻って(その間エンスト2回位してしまったが)荷物をパッキングし、走り出す。初めての公道。1台だけちょっと無理な幅寄せされたが、意外に周りの車は近寄ってこない。初心者オーラ全開なのを察知しているせい?、皆さん正解です。

所沢インターから関越自動車道に乗る。目的地は男鹿半島にした。何度が訪れたことがあるから勝手は知っているし、とても好きな所だから。それに途中の国道7号線は日本海沿いの一本道で初心者に優しそうだし。

初めての高速は横風を除けば、どうという事は無かった。試しにアクセルを全開にしてもそれほど力強さは感じない。250だからこんなものか。初心者らしく一番左側の車線をゆっくり走る。慣らしということもあるが、高速でブレーキ掛けたことが無いのが問題だ。はっきり言って初心者に時速100kmから急ブレーキ掛ける技術は無い。

教習所では40kmから急制動かけるテストをするのだが、実はこれが一番難しいのだ。タイヤをロックさせて転ける人も時々いるらしい。ましてや時速100kmでパニックブレーキかけてフロントロックさせたら・・・、どうなっちゃうか見当もつかない。早くブレーキコントロール出来るようにならなければ。

高坂SAで小休止。まだ、かなり緊張しています。この後も関越を北上するが、風がどんどん強くなり、風よけだということで大型車の後ろにつく。大型車の後ろは乱流が酷い=バイクで走るもんじゃないという事を、この時の僕は未だ知らない。
群馬県に入り赤城山が正面に見える頃になると、風は更に強くなった。赤城降ろしの突風はあまりに強烈で、ドンと突き飛ばされたかのように流される。昔乗っていた原チャリでは台風の中を斜めになってバランスをとりながら喜んで走ったりしたものだが、その時よりずっと強烈、というか深刻だ。風にあおられた時にコントロールしきる自信が無い。隣りの車線まで流されたらどうしよう?それこそ今宵限りになってしまいそうだ。

ギブアップして高崎ICで降りてしまった。明るい内に新潟県入りして適当にキャンプする予定だったのだが、4輪では考えられないハプニングだ。(実は慣れればバイクで強風でもそこそこ走れるのだが初心者にはきつかった。なにしろバイクをコントロール出来ている実感がまだ全然無かったのだから)

仕方なく国道17号線を北上する。沼田で気温が14℃まで下がり、寒くなってフリースを着込む。三国峠を登るにつれて気温はどんどん下がり、トンネルを抜けると雨が降り出した。初めての公道峠越えは雨の夜となった。教習所のコーナーしか走ったことないのでどう走っていいか判らず、神経をすり減らす。寒さと疲労で確実に弱っていく私。

越後湯沢では気温8℃。3シーズンジャケットにフリースと冬装備なのだが寒くてもうダメ。で、湯沢の健康ランドに入ろうとしたが、よく考えるとこのリアに積んだ大荷物どうしたら良いのだろう?いくら不人気のVTR250とはいえ、買ったばかりの新車のバイクと荷物の盗難が心配で健康ランドには寄れずじまい。

六日町から再び関越に乗るが、寒くて走ることが出来ず、パーキングで暖を取る。

休憩室は閉まっていて自販機の置いてある部屋だけ開いていた。中に入ると自販機から出る熱が籠もっていてホカホカ暖かい。助かった、自販機の熱が涙が出るほどありがたい。自販機さまさまだ。


深夜のPA。誰もいない

しかし・・・、初めてのバイク。初めての峠道。初めての高速道路。夜の雨で視界は利かず、想像を超えた寒さで身体は冷え切っている。初心者にしては最悪の状態で数時間走り続け、気力、体力ともに限界だ。

今さら泊まるところも無い。場合によっては新潟駅周辺のビジホ(新潟駅周辺は安価なビジネスホテルが沢山有る)に泊まろうと思っていたのだがが、よく考えるとあの辺りの周囲は歓楽街でバイクが置きづらい・・・というか夜中にバイク駐輪しておけるような治安の良いところでは無いし、もう午前1時だ。どうしよう?

もう十数年間ツーリストを続けてベテランの域に達してもいいはずなのに、こんな状況に自分を追い込んで、いったい何をやっているんだろう。身体を暖めるためにホットココアをすすりながら考え込む。全くトホホだ。いや、考えてもしょうがないのだが。しばらく観察していると、深夜の新潟山間部の小さなPAを訪れる人はほとんど、いや全然いないようだ。これ幸いとばかりに外にあったベンチを引きずり込んで就寝。2時間程ウトウト。ただ、やっぱり落ちつかない。ちょっと体力回復して午前3時頃出発。


よく見ると車椅子マークがあるが他も空いていたので許して

凍えながら走り、新潟県から山形県に入る。

由良の港町で日溜まりの公園を見つけ小休止。日向ぼっこで身体を暖める。

しかし初心者がこんな過酷な条件で走っていいものだろうか?(←ダメです)

 

いつもなら笹川流れ(お勧め!)に寄るのですが、今回は余裕がなくすっ飛ばしてしまいました。国道7号線を北上して先を急ぎます。

道の駅鳥海・あぽん西浜・西浜キャンプ村

日は出てきたものの、身体は冷え切ったまま。温泉に入ってしばらくゆっくりしよう。そう思ってやってきたのが遊佐町の西浜エリアにある鳥海温泉郷。

「あぽん西浜」。建物は地味だが茶褐色のナトリウム−塩化物泉はいい湯だし、料金350円と安い。国道7号からすぐとロケーションも良く便利。休憩室のソファーでウトウト。ちょっと回復。

あぽん西浜の北に隣接してあるのが西浜キャンプ村。温泉には歩いて行けるし、松林を抜ければ海水浴場と、ロケーションも良い。前から国道7号線沿線で旅の拠点となるキャンプ場が欲しいと思っていたのだが、ここはなかなか良さげでは?

というわけでキャンプサイトをチェック。松林に囲まれ、下は芝生でいい感じ。広々としているのもGood!でもまだ昼過ぎだし、テントを張るにはちょっと早いか。とりあえずチェックだけして北に向かおう。

キャンプ場の外れまで来ると・・うわ!スゲー!
ドーンと鳥海山がそびえていました。元気が出てきました。

この地の雄大な鳥海山を眺める風景は、他の何処にも似ていない、いい感じ。実は西浜キャンプ場を訪れたのも、ここを通る度にこの風景が気になっていたからなのだ。

 

遊佐(ゆざ)から象潟(きさかた)へ

西浜から数百メートル。遊佐の十六羅漢という景勝地が鳥海山が最も海に近づくところだ。そこから海沿いの道を走る。

静かな日本海と誰もいない砂浜。時間がゆっくり流れている様だ。この道は昔、国道7号線だったのだが、山沿いにバイパスが出来たおかげで様変わり。すっかり静かな道に変わっていた。

国道7号線を北上する。鳥海山があまりにきれいだったので、ちょっと脇道に逸れてみた。

夕刻の男鹿半島で

初めてのオイル交換

男鹿半島の付け根にさしかかった時点で走行距離は700キロ近くなっていた。初めてのバイクでいきなり700キロ走っているのだがら無茶である。人間の方はかなり疲労している。まあ、走り慣れている道だから、なんとかなっている訳だが。それはともかくオイル交換である。バイクのオイルはエンジンオイルがギヤオイルを兼ねているので、最初の内は金属粉とか一杯発生していそうである。確か取扱説明書にも初回は1000キロでオイル交換しろと書いていたはずだ。気になる。仕方ない、オイル交換しますか!

巨大なホームセンターに立ち寄ると、ホンダの純正オイルとオイル処理箱が売っていた。車載工具ではドレンボルトが外れなかったのでメガネレンチも買い求め、駐車場の隅でオイル交換をはじめる。こんな所でオイル交換するなんて、人目がとても気になるところだが、巨大ホームセンターの駐車場はあまりにでかく、あまり気にせずに作業出来た。初めての事なので慎重に事を行う。バイクを直立させ、オイル点検窓で何度もレベルを確認する。少なすぎて油膜切れしたり、多すぎて揺れたとき油面が上がってクランクを回す抵抗になったり劣化したらどうしよう(←いや一寸位狂っていても大丈夫だって)などとしばし悩む。うーん、こんなもの(量)でいいのかな。今日は初めてづくしだ。疲れた。

男鹿半島の西岸を走る。景色はサイコーに良いのだが、疲れ切ってて、いや、でも、本当にいいなぁ。何度も来ているのだが、ここだけは別世界だ。なんか元気になってしまった。

ワインディングも素敵だが、初心者だからどう走ったらよいかさっぱり判らない。でも、それなりのペースで走り、結構おもしろかった。

暗くなる前ににテントを張ってしまおう、ということで桜島野営場にやって来た。隣にある男鹿桜島荘でキャンプ場の利用を申し込むと、まだシーズン前なので営業していないとの答えが返ってきた。がっかりしていると、でも、施設が使えなくてもよければ適当に野営してもいいですよと言って下さった。親切だ。売り物の露天風呂は使えないけど、トイレは公衆便所が近くにあるし、問題は無い。感謝して早速テントを張る。

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