つながりのわーく(3)
具体的につながりを感じ、コミュニケーションを深めるために、インプロのワークを2つする。
1.2組に別れて円になる。
2.「サークル・ボール」
・柔らかいボールを投げて回す。
○最初の人は、投げる相手にアイコンタクトをして、ボールを投げる。
・ボールを受け取った人は、同じように、投げる相手にアイコンタクトをして、ボールを投げる。
○ボールを2つにして、ボールを回す。
○円を1つにして、ボールを4つまで増やす。
3.「イメージ・ボール」
○1つの円のままで行う。
○架空のボールで行う。
○ボールに名前を付ける。例えば、「赤いボール」。
・最初の人は、「赤いボール」と言いながら、アイコンタクトをした相手に架空のボールを投げる真似をする。
・アイコンタクトされた人は、架空のボールを受け取り、同じように、「赤いボール」と言いながら、誰かにアイコンタクトをして投げる。
・途中で、ボールの大きさや重さや形が変わってもよい。
○新しい架空のボールを2つ3つと増やす。ボール以外でもよい。
・途中、ストップして、ボールがあるか確かめる。
○円の中でボールが回るように、人間関係のネットワークが張りめぐらされていることをイメージする。
「わたしのネットワーク」をふり返りながら、増田直紀著『私たちはどうつながっているのか』(中公新書)を参考にして、ネットワークについて考える。キーワードは、クラスター・スモールワールド・スケールフリーである。
1.ネットワーク
二者関係の多い外向的な人と、二者関係が少ない内向的な人を比較し、長所と短所を考える。
0)「ネットワーク」を配布する。
1)ネットワーク:二者関係の集まり
2)図のように、ハイパーグラフで、枝(二者関係の線)と点(人)で表すことを説明する。
3)図1−1、1−2を見て、外向的な人と内向的な人の、特徴や長所や欠点を考える。
外向的な人 図1-1 |
内向的な人 図1-2 |
多くの枝が集まっている。
多くの人と二者関係を築く。 |
枝が少ない。
二者関係が少ない。
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交遊関係か広い。
多くの刺激が得られる。 |
少数の友人を大切にする。
自分の趣味や人間関係以外の活動。 |
人との連絡に忙しく、気を使う。
自分の時間が削られる。関係が薄い。 |
交流範囲が狭い。
外部の新しい刺激が少ない。
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・クラスでは、HILのグループと、JKMのグループ、Nともつながっている。
・2つのグループや孤立している1人のつなぎ役になっている。
・直接関係のないK、JM、Gとも友だちを介してつながっている。
4)人間関係の選択肢を説明する。
・枝を増やすか、減らすか。
・人間関係に時間を使うか、自己開発に時間を使うか。
・たくさんの人と薄くつながるか、少数の人と濃くつながるか。
・前回書いた「私のネットワーク」の改善を考える。
・人間関係が少ないからといって悪くはないし、濃い人間関係がないからといって悪くない。
2.クラスター
より強い人間関係を結ぶために三角形を作る。
1)クラスター:3人が互いにつながっている三角形のコミュニティ。語源はブドウの房。
・コミュニティ:少数の同質な人の集まり。例えば、クラス、クラブ、家族、旧友、趣味。
2)●から次にできる新しい枝を考える。
・人間は、安心するために似た人、近くの人と群れたがる。
・新しい枝は、ネットワークの上の距離が近い人、類似した人の間でできやすい。
・図3では、誰との枝が最初にできるか。
・まず、Aの紹介でBとつながる。
・次に、CDEのグループとつながる。
3)面的な人間関係(図5−1)と線的な人間関係(図5−2)の違いを考える。
面的な人間関係
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線的な人間関係
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・クラスターが多い。
・コミュニティに頼る。
・安心感。
・閉鎖的である。
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・クラスターが少ない。
・コミュニティに頼らず生きる。
・精神的な緊張感。
・開放的である。
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4)クラスターの多いネットワークの頑健性を説明する。
・図4−1では、Dが抜けても、直接つながっていないHGともつながれる。
・図4−2では、確かに全員がつながっているが、Dが抜けると、DEFGHと分断される。
生徒の感想
1)最初のボール回しは目を合わせるのがちょっと……。ボールが増えてくるとその分いろんな所に目を向けなければならないからたいへんだった。ネットワークはこれだけ様々なつながり方があるのに驚いた。▼2)最初意味がわからなかったけれど、面白かった。投げるものが選択ミスやったかなと思った。自分は外向的だなと思った。▼3)ボール回しとても面白かった。特に先生が吹き矢をして時とかめっ茶笑った。人間関係とかちょっと難しかったけど、一緒に運動というか遊んだらみんな仲良くなれると思う。▼4)最初のボール回しの時、ただいつもみたいにボールを投げつけるだけでなく、私と相手との目での確認と了承があってからでないとボールが届かないし難しいなと思った。▼5)ボール回しは物体がある時はすごく回しやすかったけど、赤いボールがあると思って回すのは難しかったです。周りに気をつかいながらやる所までできませんでした。▼6)いろいろ深く考えてしまった。人間関係を築いていくことは難しいし、自分が動かないと広がらないと思った。▼7)ボールは人数が増えると目の合う回数が減ってちょっと悲しかった。人間関係ってフクザツやなと改めて思った。線とか面とか今まで考えたことのない新しい考え方が身についた。▼8)ボールが増えるに連れ、回していくのが難しくなりました。なんとなく言葉はキャッチボールという言葉が浮かんできました。▼9)自分はコミュニケーションを取っているつもりでも相手に伝わらないでボールが落ちたりしていた。改めて、口で発することの大切さやジェスチャーの大切さを感じた。▼10)ボール回しは何とも言えない雰囲気でちょっと微妙だった。人と人とのつながりは、考えてやっていることじゃないけど、自然とクラスターになっていた。▼11)ボール回しでアイコンタクトを取るのが何か恥ずかしかったです。何も持たずに持っているようにしていろんな物を回すのは、人によって想像しているものが違うから、手に持っている時の様子を見るのが面白かった。▼12)今日のボール回しでは、目がはっきり合わなくて意外と難しかった。アイコンタクトやコミュニケーションがしっかりとれていないんだと思いました。▼13)ボール回しは相手の目を見てアイコンタクトをとっていないとあまりボールが回って来ないし、自分が誰かに回すときも回しにくいことがわかった。コミュニケーションの大切さを改めて実感した。▼14)最初のボール回しはアイコンタクトで相手にパスするので少し難しいし、恥ずかしかったです。私は結構面的な人間関係が多いので良かったなと思いました。▼15)ボール回し面白かったです。でも私は人と目を合わせるのが苦手なので、人に回すときたいへんでした。
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理解ができたか |
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興味が持てたか |
1 |
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6 |
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役に立ちそうか |
1 |
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4 |
4 |
4 |
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教師の感想
サークルボールとイメージボールは、白けないか心配していたのですが、生徒は非常に面白がってくれました。しかも、こちらの意図もしっかり理解してくれました。アイコンタクトの大切さ、人への配慮など、いろいろなことを学んでくれたと思います。イメージボールは、赤いボールの他に、槍、大きな犬、人生が出ました。さすが人生は重かったですが、こんな抽象的で身近な物を投げるのは難しいけど面白かった。そのあとのネットーワークの説明もよく聞いてよく考えてくれました。前半は体を動かし、後半は頭を動かし、良いバランスの授業だと我田引水です。
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