学校教育相談とは何か
個人面接の技法
ロールプレイ
インシデント・プロセス法(簡易版)
 
 
学校教育相談とは何か


1)カウンセリング・マインドとは? 
  • カウンセリングの定義は、言語的、非言語的コミュニケーションを通して、相手の行動や考え方の変容を援助する人間関係。
  • 学校現場で「カウンセリング・マインド」といえば、「受容・共感・自己一致」。
    • 「受容」とは、相手のあるがままに受け入れること。
    • 「共感」とは、相手の気持ちになって聴くこと。
    • 「自己一致」とは、聞いている自分が一致して安定していること。
  • これは、カウンセリングのベースであるが、ロジャースの来談者中心療法の基本的な考え方でもある。
  • だから、カウンセリング=ロジャースという図式が出来上がった。
  • この療法は、非指示的で、あくまでクライエントの自己治癒力を信じて、ひたすら相手の話を聴いて、それを引き出そうとするので、時間がかかる。
  • しかし、学校では三条件が満たせないことがある。
  • また、教師は元来指示的で、時間も制約がある。
  • 教師がカウンセリングマインドを持つといっても、すべての教師がカウンセラーのようになることはできないし、なってはいけない。
  • 学校にあったカウンセリング、つまり「学校教育相談」を考えてみる。
2)学校教育相談の4つの領域 
 
健全な
内向
 
予防的教育相談
 
 
開発的教育相談
外向
 
治療的教育相談
 
 
訓育的教育相談
 
病的な
 
  • 簡単な治療的教育相談                             
    • 従来言われてきた「いわゆる教育相談」                   
    • 保健部。不登校などの非社会的行動傾向の生徒と面接する。          
    • しかし、重度の生徒には教師では対応する知識や技術や時間がない。 
  • 問題の早期発見としての予防的教育相談                   
    • 担任。ちょっと気になる生徒と面談する。                  
    • 心理テストもあるが、見方が難しいし、その後の利用法も問題がある。      
  • 生徒指導に活かす訓育的教育相談                        
    • 生徒指導部。非行などの反社会的行動傾向の生徒と面接する。         
    • 怠学が心身症か見分けがつかないボーダーの生徒が増えている。        
    • 一喝したり、説教したりの従来の方法の方がいい場合もある。ただ、行き詰まったら教育相談的な手法も参考にしてみる。                  
  • 学級経営に活かす開発的教育相談                        
    • 担任、進路部、教科。LHRや授業などで集団を対象に指導する。       
    • 多くのフツーの先生が使える教育相談である。                「育てるカウンセリング」として今後注目する。 
       

 



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個人面接の技法
 
レベル1.問題を聴く技法
傾聴的態度 距離・角度・姿勢・視線・話す速さ・声の大きさ
始まりの言葉 「よく来てくれたね・どうですか」
うなづき 相手の話を理解したことを伝え、最小限の励ましをする。
短い言葉 「ええ・そう・それから・他には・もっと続けて話して下さい・具体的には」
短い繰り返し キーワードを1〜2語、そのまま繰り返し、何を聴き取ったかを伝える。
開かれた質問 相手に自由な発言をうながす質問。 
「どんな・どのように・なぜ・〜してくれませんか」
閉ざされた質問 相手の応答が限定されていて、「はい・いいえ」で答えられたり、1語か2語で答えられる質問。
レベル2.問題を明らかにする技法
内容の明確化 相手の表現しようとした内容を的確に自分の言葉で言い換え、事実内容に焦点を当てる。話の内容を明確にし、問題に気づかせたり、内容を整理させたり、話が具体化するのを助けたりする。  「言い換えると、〜となるのかなぁ」  〔例〕生徒「今、まったくやりたいことがわからないんです。何か別のことをやりたいとも思うんですが、まず、クラブを続 けるかどうか決めなければならないと思うんです」  教師「君が今決めなければならないのは、何をやっていくかだと思っているのですね」

感情の明確化 相手の話や態度の中で、感情に関わる部分に焦点を当て、最もよく言い表している言葉を選んで伝え、自分の感情に気づかせる。  「私には、あなたは〜と感じているように見えるけど」 

〔例〕生徒「いつも明日から絶対に勉強しようと思うんですよ。でも結局全然やらないんです。意志が弱いというか、手につかないんです」 
教師「私は、あなたが、いつもやらなきゃと思って焦っているように感じます」

要約 相手の長い話や話題の終わりに、話の要点を簡潔に表現する。  「今までの話をまとめると〜」
レベル3.解決をはかる技法
ゴール・セッティンイグ 相手に直接、どういう状態になれば問題が解決したことになるのか、その感じも聞く。解決像は、小さく、具体的に、肯定形で。  「どうなっていればいいんだろうなぁ」
スケーリング・クエスチョン さまざまな事柄を数値に置き換えて表現させる。  「最高の状態を10点、最低の状態を0点として、今の状態は何点ぐらいかなぁ」  「今の状態から3点上げると、どんなふうに違う状態になるかなぁ」
例外探し すでに起こっている解決の一部や、例外的に存在している解決の状態を探す。  「すでに起きていることはありますか」「最近こうした事がなかったのはいつですか」
サバイバル・クエスチョン 問題がさらに悪化していくのを食い止めている何かを探す。  「こんな状態の中でどのようにしてやってきたのですか」
ミラクル・クエスチョン 解決した未来の状況を具体的に描写させる。  「もし、奇跡が起こって問題が解決したとして、どんなことから問題が解決したことがわかるのでしょうか」
説得 非論理的な思い込みを、論理的な考えに改めさせる。(論理療法)
ビデオ・トーク ビデオで見ているように具体的な形でありありと写実させる。
スモール・ステップ 具体的で小さな目標を1つずつ解決し、その結果大きな目標を達成させる。
系統的脱感作 
 
簡単なことから始めて徐々に難しくしていくプログラム化した刺激を与え、過度の不安を軽減したり除去したりする。
行動契約 生徒の責任と決意を確認させるために、目標の達成や実行を約束させ、結果を報告させる。
 
 



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ロール・プレイ 
 
位置調べ @2人1組になって、向かい合って座る。 
A椅子の位置や角度を変えて、感じ方の違いを話す。 
BAが無言で、Bの前に直立したり、背後に立ったり、肩に手をかけるなどしてみる。 
CAとBの役割を交代する。 
D感想を話し合う。
観察と想像 @2人1組になって、向かい合って座る。 
AAがBについて事実を観察して、「私が観察するのに、あなたは○○です」という文で7個言う。 
 「私が観察するのに、あなたは眼鏡をかけています」 
 「私が観察するのに、あなたは赤い靴下をはいています」 
BBも同じようにする。 
CAが観察を基にしてBについて想像し、「私が想像するのにあなた は○○のように思います」という文で7個言う。 
 「私が想像するのに、あなたは疲れてるように思います」 
 「私が想像するのに、あなたは長男のように思います」 
DBも同じようにする。
.レベル1  
問題を聴く   
@Aが現在自分が気にしている生徒になって、2分間話す。 
ABはレベル1の技法を使って、問題を聴く。 
BAとBの役割を交代する。 
C感想を話し合う。
レベル2  
問題を明らかにする
@Aが先程の話の続きを3分間話す。 
ABはレベル2の技法を使って、問題を明らかにする。最後に要約をする。 
BAとBの役割を交代する。 
C感想を話し合う。
レベル3  
解決をはかる
@BがAの問題の解決をはかる技法を使って、3分間話す。 
AAとBの役割を交代する。 
B感想を話し合う。
 



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インシデント・プロセス法(簡易版)
 

1) インシデント・プロセス法の特徴 

@参加者一人一人が発表者の立場でなく、問題解決の当事者の立場で考えられるので、主体的、積極的  な研修ができる。 
A事例の資料が短くてすむので、発表者の負担が少なく誰でも引き受けることができる。ただし、事例につ   いて、参加者の質問に答えられる事実を知っている必要がある。 
B質疑応答を受容的な雰囲気の中で行い、他の人の質問や返答をよく聞く訓練になる。 
C参加者も発表者も、系統的な質問の方法、問題点の探索、問題の解決についての情報を集める質問の   方法や考え方が学習でき、新たな気づきになる。 

2) インシデント・プロセス法の進め方 
 

インシデント(事件あるいは出来事)を調べる。(5分) 

発表者がインシデント(事件・出来事)を発表し、参加者は内容を把握する。      
背景となっている事実を集め、まとめる。(50分) 

参加者は発表者に質問し、自分なりに事例を組み立てながら、問題の解決に関係があると思われる事実を集める。            
問題点を探り、対応について考える。(10分) 

参加者はインシデントと集めた事実を総合し、自分なりの事例の全体像を作り、問題点を探り、今後の対応について考える。               
当面の問題に対してどうしたらよいか、話し合う。(20分) 

似た考え方の参加者が集まり、対応とその理由について話し合い、まとめる。発表者は実際の対応とその後の経過を発表する。         
何を学んだか、この研究会がうまくいったかを検討する。(10分) 

事例全体を振り返って、この事例から、また参加者相互から何を教訓として学びとることができたかを考える。  
      
 
3) 参加者の動き 
 

 
1) インシデントの内容を把握する。 
2) 何が問題か、仮説を立てる。 
3) 何を手掛かりに情報を集めるか、質問の傾向を考える。
1) 自分なりに事例の全体像を組み立てながら質問する。 
2) 発表者に対して、批判的にならない。 
3) 印象や推測でなく、事実について簡潔に質問する。 
4) 大まかな質問(例「病歴は?」)をしないで、具体的な質問(例「大きな病気はしなかったか?」)    を質問する。 
5) 発表者の今後の対応については原則として質問しない。 
6) 他の参加者と重複した質問をしない。また、他の参加者と協力して組織的に関連した質問をする  (そのために他の人の質問と回答をメモしておく) 
7) 質問を独占しない。
1) インシデントと集めた事実を総合する。 
2) 自分なりの事例の全体像を明確にする。 
3) 当面の問題点を探る。 
4) 自分なら、誰に、どのように対応するか、その理由を書く。
1) グループリーダーを決め、自由に話し合い、グループとしての対応と理由を固める。 
2) グループ毎に対応と理由を発表する。
1) 事例全体を振り返って、この事例から、参加者相互から何を教訓として学んだかを話す。
 
4) 発表者の動き 
 
1) インシデントを、板書か口頭で発表する。 
2) 長さは1分ぐらいで読め、3分以内で内容を検討できる程度のもので、事例全体の手掛かりにな   るものや背後に重大な問題があることがわかるもの
1) 事実をありのままに簡潔に回答する。 
2) 質問からそれた事柄や余分な回答はしない。 
3) 推測、意見は原則として言わない。推測で答えなければならない場合は、推測であることを明確   にし、根拠になった事実や理由を簡単に説明する。 
4) 今後の対応は言わない。 
5) 途中で、質問されていない重要な事実を補足してもよい。
1) 自分が考えていた問題点と、参加者の質問から明らかになった問題点を比較検討しておく。
1) 好きなグループかに入って話し合う。ただし、自分が実際にとった対応は話さない。 
2) 参加者の発表した対応と、自分が実際にとった対応を比較検討しておく。 
3) 実際の対応とその後の経過を発表する。
1) 言い残したことや、事例研究の経過について感想を述べる。
 
私の対応策
               
氏名                                       
 
 
本人に 保護者に その他
担任が      
他の教師が      
専門機関が      
その他      
         
具体的に                                     
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理由                                       
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