はじめに


私は、平成3年度に1年間、京都教育大学で京都府現職教育職員長期研修生として勉強させてもらった。その成果を316ページの報告書にした。いわば、

私の教育相談の礎である。残念ながら、一部の人にしか見てもらえず、私の手元にも2冊しか残っていない。

あれから10年たった今、コンパクトにまとめ直し、少し加筆した。多くの人に見ていただければ幸いである。


まず生徒を取り巻く社会環境について考えた。

「日本社会の底流」では、日本社会の普遍的な問題に焦点を当て、タテ型社会と母性社会の特質から、日本型の管理主義や学歴主義について考察した。

「学校の位置」では、日本社会や家族の学校への期待と学校や教師の現実について考察した。

「逸脱の構造」では、社会学の観点から、非行や不登校や無気力など逸脱していく生徒の問題と、逸脱させる学校の問題について考察した。


次に生徒の内面について考えた。

「青年期の課題」では、青年期特有のアイデンティティの問題や、今日的なモラトリアム、アパシー、不登校の問題について考察した。

「人間のタイプ」では、ユングのタイプ論をもとにして、生徒の性格の類型とそれに応じた対応について考察した。

「現代の子どもの問題」では、日本社会の今日的な問題に焦点を当て、戦後民主主義、消費社会、情報化社会の観点から、社会の動きや、その中の子どもの状況について考察した。


次にカウンセリング理論や教育相談の現状について考えた。

「カウンセリングの基礎理論」では、ロジャースの理論のもとにカウンセリングの前提である相手との信頼関係について簡単に考察した。

「今日までの学校教育相談」では、生徒指導の流れの中で従来の生徒指導と教育相談の関係をとらえ、今までの学校教育相談の実態や研究についてまとめた。

「明日からの学校教育相談」では、カウンセリングとは一線を画した学校教育相談の独自性と、治療的教育相談から開発的教育相談へ向かう学校教育相談の方向性について述べ、その学校現場での定着化を模索した。


とはいえ、このホームページは進行形である。どのような展開になるか、私にも予測がつかないかもしれない。


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