母性社会と父性社会


河合隼雄の『母性社会日本の病理』を参考にして、日本社会の特質について考える。

母性社会       父性社会      
★「包合する」機能によって示される。
★すべてのものを、良きにつけ悪きにつけ包み込んでしまう。    
★「切断する」機能にその特性を示す。
★「場」の平衡状態を維持することを最も高い倫理とする。      ★「個の倫理」である個人の欲求の充足や成長を最も高い倫理とする。
★所属する人間は、個性や能力とは無関係に、絶対的な平等性を持った存在として扱われる。       ★所属する人間は、能力差や個人差を前提として扱われる。
★階級がはじめから「与えたもの」として存在する社会である。
★上昇は許すけれど、そこには「資格」に対する強い制度をもち、能力差、個人差の存在を前提としている。              
★能力差や個人差の存在をあまり意識せず、競争に破れたという惨めさを味わうことなく、与えられた地位や立場に安住し安定した生き方ができる。              ★自分の能力の程度を知り、自らの責任において、自分の能力に見合った地位を獲得することができる。
★肯定的な面は生み育てる可能性を持つことである。         ★肯定的な面は強いものを作り上げていく建設的なところである。  
★否定的な面は呑み込み死に至らしめる危険性を持つことである。
★否定的な面は切断の力が強すぎると破壊に至る危険性があることである。              
★課題は、母性の中に取り込まれた自我を解放し、自立性を獲得することである。            ★課題は、社会や文化の規範に挑戦し、改革することである。    
★母親殺しは、自我が無意識の力に対抗して自立性を獲得するための 戦いである。           ★父親殺しとは、文化的社会的な規範との戦いである。       

タテ社会=母性社会=日本社会、ヨコ社会=父性社会=欧米社会という図式が成立する。


もどる