フレンド・サポートのわーく(4)
 
ベーシック・スキルの説明と演習とロールプレイ
 
1.ベーシック・スキルの確認と説明。
 1)「ベーシック・スキル」を配布する。
 2)アクティブ・リスニングで学習した、かかわり行動、うなずき、あいづち、はげまし、繰り返し、言い換え、質問を確認する。
 3)新たな技法として、感情の反映と要約を説明する。
 
2.ベーシック・スキルの理解を確かめる。
 1)「ベーシック・スキルの演習1」を配布する。
 2)自分で解答する。
 3)隣の人と答えの確認をする。
 4)正解と解説をする。
1.かかわり行動
1)姿勢
 Co. a.リラックスした姿勢で体をClの方に前屈みに向ける。
    b.背筋を真っ直ぐにして、Coらしい威厳をもって座る。
     c.リラックスして椅子に背をもたれて、脚を組む。
a Co.がかたくなるとCl.もリラックスできないが、くつろぎすぎると大切な話題を持ち出しにくくなります。
 
2)視線
 Co. a.Clの不安そうなまなざしを避ける。
    b.変化にとんだ自然な視線を相手に向けて関心を持っていることを示す。
   c.関心を示すために絶えず視線を相手の目から離さない。
b 眼差しを避けると不安は増すが、絶えず見つめられると当惑します。
 
3)声
  Co. a.(急にいそいで話しはじめて)どうしてそのようになったか思い当たることはある?
     b.(温かい声でゆっくりと)どうしてそのようになったか、思い当たることはある?
    c.(退屈した声で)どうしてそのようになったか思い当たることはある?
b Co.が性急な話し方をするとCl.もあまり時間がないとか、なおざりにされていると感じてしまいます。Co.は援助したいという気持ちをCl.に伝えなければなりません。
 
4)非言語メッセージ
 Cl.(下を見ながら)別に…………。
 Co. a.話してくれないとわからないよ。
      b.話を変えようか。
     c.話しにくいそうだね。
c Co.はCl.の非言語的なメッセージを観察していなければなりません。話を逸らしてしまうのもよくない。
 
2.はげまし・繰り返し・言い換え技法
1)Cl.今度のテストの結果はひどいもんだったよ。
 Co. a.次、頑張ればいいさ。 
   b.何が何点ぐらいだったの。
   c.そんなにひどかったの。
 c 安易に励ましたり、具体的なことを質問するより、相手が何を話したいかを探ります。
 
2)Cl.成績が落ちたのは、家の問題なんだ。
  Co. a.成績が落ちたのか。
      b.家の問題が原因なのか。
      c.家の中がゴタゴタしているのか。
 b どの部分を繰り返すのかが問題です。推測したり話の内容を無視したりせず、内容を正確に反映することによって、Clはしっかり聴いてもらっているという感じを受けます。
 
3)Cl.最近、毎晩のように夫婦喧嘩をしているんだ。
 Co. a.両親の喧嘩のことが気になっているんだね。
     b.両親に喧嘩してほしくないんだね。
     c.それはたいへんだね。
 a 感情に触れたり両親に焦点を当てたりせず、Cl.の話の認知的側面に焦点を当てます。
 
4)Cl.どうしたらいいのかなぁ。
 Co. a.両親の喧嘩も心配だけど、今は成績のことを考えた方がいいと思うよ。
    b.どうしたらいいか分からないんだね。
     c.成績が下がっていることも気になっているし、それが両親の喧嘩と関係があると思っているんだね。
 c ここまでの要約として、Clの話してきたことを並べ、Clがどの問題について話すか自分で決められるようにします。bのような安易なおうむ返しは真剣に聴いてもらっていない気になる。
 
3.質問技法
1)Cl.M君とうまくいっていないんだ。
 Co. a.いつから親友になったの。
     b.もう少し話してくれる?
     c.M君とは口をきかないのか。
 b 事実を引き出したり、「はい」か「いいえ」で答えられる閉ざさたた質問ではなく、開かれた質問で自由に話が続けられるようにします。また、「〜してくれますか」という尋ね方はClから幅広い柔軟な反応を引き出し、会話を進めやすくなります。
 
2)Cl.もう駄目だ。お互い口もきかないし。楽しくない。
 Co. a.どんなことがあったの。
      b.どうしたらいいのかなぁ。
      c.M君はどんな人なの。
 a 面接を進めるには話題に添った必要な情報を得なければなりません。ここではA君に関する「どんな(What)」を尋ねる質問によって事実に関する情報を知ることができます。同じ開かれた質問でも、bのように急ぎ過ぎたり、cのようにClの話したいことから逸れ  てしまう質問はよくありません。
 
3)Cl.この前も学校の帰りに声をかけたんだけど、無視されてしまった。
 Co. a.どうしてそんなことをするんだろうかね。
     b.耐えられないということについて、もう少し話してくれるかなぁ。
   c.どうしてM君があなたを無視したのかわかるかなぁ
 b 「どうして(Why)」を尋ねる質問はCl.を防衛的にし話しにくくさせるので、できるだけ避けたほうがよい。
 
4)Cl.自分ではもうどうしようもない。Mとは別れたほうがいいかなぁ。
 Co. a.どうして別れた方がいいと思うの。別れてどうするの。
     b.M君と別れてどうするの。
     c.別れてどうするの。また、別の友達を探すの。
 b 2つ以上の質問はCl.を混乱させます。また、閉ざされた質問を後にすると前の開かれた質問が帳消しになります。

4.感情の反映技法
1)Cl.僕が進路の話をすると、友だちは笑うのです。僕を馬鹿にしたように……。
 Co. a.どうして笑わないでほしいと言わなかったの。
     b.軽蔑された感じ?
     c.腹が立ったんだね。
 b 人に笑われたら自分ならどう思うかと置き換えてみるとよく分かります。aは開かれた質問であり、cは推測のしすぎで解釈になっています。
 
2)Cl.真剣に努力しているんだけど、なかなか成績が上がらないんだ。一生懸命やっても、いい結果がでるとは思えない。
 Co. a.絶望的な感じ?
      b.一生懸命やっても仕方がないと感じているんだね。
     c.ずいぶん気落ちしているようだね。
 c Clの情動的な言葉に注目します。aは過度です。強すぎる反映はClを脅かしたりイライラさせたりします。bは表面的すぎて話が深まっていきません。
 
3)Cl.彼が別れようと言われた時はとても腹が立ったけど、今は少し落ちつきました。
 Co. a.もう少したてばまた新しい彼氏ができるよ。
   b.はじめはとても腹が立ったんだね。
   c.今はようやく落ち着きを取り戻したんだね。
 c Clの話は現在から過去や未来に及ぶことがありますが、できるだけ現在の感情に対して反映することが効果的です。
 
4)Cl.試験が終わってホッとしたけど、出来は最悪。通知表を親に見せられないよ。
 Co. a.試験が終わって嬉しそうですね。
      b.悪い成績を親に見られるのが嫌なんだね。
     c.試験が終わったのは嬉しいけれど、悪い成績を親に見られるのが嫌なんだね。
 c 複合した感情が述べられている時はすべてを反映しないと、問題の一面にしか注意を示せないことになり、他に重要な面があっても見落とすことになります。
 
5)Cl.(椅子に腰掛けてモジモジして手を握りしめながら)久しぶりに学校に来たけどみんな温かく迎えてくれたよ。
 Co. a.みんな温かく迎えてくれてよかったね。でも何か心配があるようだが。
   b.学校に来れてよかったね。
    c.ずいぶん落ちつかないようだね。
 a Clが言葉で表現しようとしたことと行動で伝えようとしていることが一致していないこともあります。両方の感情を反映します。
 
3.デモンストレーションをする。
 1)クライエント役を募集する。
 2)教師がカウンセラー役になって、3分間ロールをする。
 3)他の生徒から意見を聞く。
 4)クライエント役の感想を聞く。

10
理解ができたか
興味が持てたか
役に立ちそうか


生徒の感想
1)限られた時間の中で初対面の人を相手に相手のことを知って、相手の求めている言葉を言うのは大変そうだと思った。仕事だと友だち相手に相談を聞いているのとはわけが違う。カウンセラー側もストレスがたまると初めて知った。▼2)簡単に一言で悩みをまとめるのもあかんし、聞く方も大変そうです。基本は聞いてあげることが大事なんやなと思う。▼3)スキルをまず理解しないと本番でどうしようか迷って、逆に相手に不安を与えそうで怖いです。じっくり身につけて行こうと思います。▼4)スキルの正解率すごく低かったです。軽く励ましとけば何とかなるみたいな気持ちが今まであったけど、それだけじゃホントの相談なんかにはならないのがわかりました。相手の気持ちになりつつ、なりすぎないのが大事かなと思いました。▼5)カウンセラーは話の聞き方を工夫しなければいけないけれど、それはとても難しいことだと思った。話の聞き方によってクライエントの答え方が変わってくるし、話が広がっていくと思う。▼6)見ててやっぱり難しそうだった。相談される側はあまりしゃべらず、相手の気持ちを聞くことが大切なんだなぁと思った。▼7)カウンセラーってやっぱり難しいなと思った。沈黙になったら何かしゃべらなければならない気がして、こちからしゃべってしまったけど、その沈黙の間にもクライエントは何かを考えているかもしれないから、悪かったなと思った。▼8)先生のカウンセラーを見て、繰り返すタイミングなど上手いなぁと思った。先生の意見は一つも入れないでも、相談は良い方向になって行ったし、すごいなぁと思った。▼9)技法を使ってカウンセラー役するのは難しいと思う。出しゃばっていらないことを言うんじゃなく、相手に話をさせることが大事なのかもしれないと思った。▼10)さすが、先生。みんな難しそうにやっていた。普段の話の聞き方ではちょっと無理な所があるなぁと思った。▼11)なかなかみんなの前だと深い所まで話せないかもしれない。やっぱり3人それぞれ聞き方とか態度と違う。それによって相談する内容も変わったし、すごいと思った。が▼12)相談に乗る時に自分の意見とか解釈し過ぎたりしてはいけないから、そこが難しそうだった。私は「私だったら〜」と話してしまいそうになる。▼13)話を正確に聞いてあげないとあアドバイスもできないし難しいと思った。

教師の感想
今日からカウンセリング実習です。円座になってロールプレイをして感想を述べ合うという本格的なものです。みんなの前でするのは勇気がいるけれども、勉強になると思います。2組した後で僕がデモンストレーションをしました。ドキドキしましたが、なんとか大役をこなせました。ビデオを見たり、紙上ロールではわからないことにいろいろ気づいてくれて、いい感想が多くでました。生徒の観察眼というか感性はすばらしいものがあると思いました。次回も楽しみです。                   



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