都市の要望


内田隆三


1.今日の都市空間は、「快適性」によって分節されている。
2.問題は、分節していく「欲望」にある。
3.現在の権力は、共同体を抽象化する社会的欲望と通底している。
4.問題は、現在の権力が、「共同体への志向」から「貨幣への欲望」に準拠点を移して いることである。
5.都市は、貨幣への欲望を肯定している。
6.欲望は、消費社会的な「主体化」の強制されている。
7.都市は、抽象的な視線を内面化した主体が住む場所になっている。
8.貨幣への欲望は、空虚だが、共通の形式である。
9.都市は、華やかさと虚しさの二重構造である。
10.資本と欲望の特異なプレートの上では、すべてのものが実在性を失う。


 今日の都市空間は、実際的な「快適性」によって分節されている。分節とは、一続きになっている全体をいくつかの部分に分けることである。都市空間は本来まとまりのある全体性を持っていて、人々はその中に自分の居住空間として住居を建てて生活している。都市を分節する「快適性」は、人間一人一人の「欲望」に準拠している。「欲求」は自分に欠如している何かを充足させようとする自己充足の行為だが、「欲望」は他者との関係の中に生じる社会的承認を求める行為である。つまり、ここで言う「快適性」とは、他人から快適であると思われるような快適性である。自己の欲求でないので、「ぼんやり」としている、不揃いである、個性はなくなり最大公約数的で凡庸なものになる。自分は充足していても、他人に承認されるために欲求の範囲が大きくなり、あれもほしいこれもほしいと無限に膨らんでいく。そうして多種多様な居住空間を造り上げ、都市は無限の迷路のような空間になる。
 こうした今日の都市空間を形成する支配的な力を抑制するために、行政権力の意志が都市計画の構想という形で働く。都市を秩序ある空間へと調整し、人と人のつながりである共同体という理念をもった快適性のある空間に修正しようとする。地域の人々が交流できるイベントを開催したり、地域の人が利用できる公共施設を作ったり、目に見えやすい理解しやすい共同体の空間としての都市を追求する。
 しかし、実際の現在の権力が設定しようとする共同性は抽象的なものである。本来の共同体とは、そこに住む人々の、血がつながっていたり(血縁)、昔から住んでいたり(地縁)、長年の交流による感情的なつながりがあったりという具体的なものを基盤にしている。現在の権力は、見せ掛けとして「共同体」という言葉を使いながら、本質は社会的な欲望と深い所でつながっている。利害を、その土地に長年住むことによって生じる具体的なものでなく、資本に準拠しているのである。イベントや公共施設のようなハードは作っても、そこで地域の人々がどのような交流をするかという具体的なソフトがなく、イベントに何人集まるか、施設がどれぐらい利用されるか、それによってどれだけの収益が上がるかという採算性に重点が置かれるのである。
 一般的に、都市のベクトルは二つある。一つは、土地とそこに強い結びつきを持つ人間が住む空間である「共同体への志向」である。これはそこに住む人々の人間関係を密接にすることで、都市の内と外を分けようとする。もう一つは、資本の力学と強い関係のある「貨幣への欲望」である。都市を投資などのマネーゲームの場として機能させるために、内と外の垣根を取り払い、自由に行き来できるようにする。
 ここでの問題は、前にも見たように、本来「共同体への志向」を追求すべき権力が、現在では「貨幣への欲望」へ準拠点を移していることである。だから、都市計画の段階から、また途中でも、「貨幣への欲望」が浸透してくる。その状態は、微分された小さな線分状態で、微分とは変化を示す線分の上での一点における微小な変化率で、ここでは、線分が貨幣への欲望、変化率は個人の欲望である。つまり、貨幣への欲望という流れの中で、一人一人の人間が自分の欲望を充足させようとしている状態である。
 今日の都市が、不可解ではあるが魅力的であるとするならば、それは「貨幣への欲望」を肯定しているからである。逆に言えば、個人が、今まで強く制約されていた血縁や地縁への結びつき、つまり共同体の力学から解放されたのである。そこで形成された土地や人とのしがらみを捨て、個人の金銭的な欲望を満足させるような方向へ舵をきることである。つまり、義理や人情に縛られたねっとりした人間関係から、すべてを金で解決するあっさりした関係を目指すことである。
 その代わりに、個人の欲望は、新しい規律訓練メカニズム、消費の主体となるようにシステムに組み込まれる。つまり、このシステムは、あらゆるものが商品化され、商品化されたものを消費することで成り立つ社会構造である。そこでは人をも商品化する。自分は人を含めた商品を消費する主体である。と同時に、奇妙な視線の構造が生じる。自分も消費の主体である他人から消費される商品の一つとして見られているのである。自分や自分の所有するものをどれだけ他の人が欲しいと思うか、つまり自分の商品価値を絶えず意識して生活している主体である。他人が住んでみたいと思うような家に住んでいることに価値があるのである。さらに進めば逆転して、他人が快適であると思うものを自分も快適と思おうとするようになる。ブランド商品がそうであり、「お宝」の価値がその物自体の価値で決まるのでなく、他人がどれだけ欲しがるかで決まるのと同じである。そうして収集したものには一貫性がなくなる。そこで媒体になるのが貨幣である。そうした行動は自分の意志で決めたのではなく、他人によって動かされているのである。消費社会がそうするように仕組んでいて、人々は知らず知らずの内に訓練されているのである。
 資本の力学を支えるのは貨幣への欲望である。しかし、その内容は空虚である。貨幣自体は単なる紙切れや金属片であり、価値のないものである。それどころか今日ではクレジットカードなどのように、貨幣の実態すらない。しかし、それによってあらゆるものを手に入れることができる。つまり、人々に共通しているのはより多くの貨幣を手に入れたいという損得の欲望だけである。貨幣によって手に入れるものは、多種多様な形状と機能をしていてもかまわない。欲しいと思うものは貨幣と払うことで結合して手に入れるし、欲しくないものは貨幣を払わず切断して手に入らない。すべてが金で解決するのである。それ以外は勝手である。
 だから、都市の消費生活は百花繚乱の華やかさはあるが、その根底にあるものは空虚である。この二重性が都市の本質である。共同体の願望はそれを抑制しようとする。しかし、貨幣への欲望は、それを無視して膨張する。
 資本と欲望は、特異なプレートになる。資本と欲望は、歴史の厚みがあるわけでもなく、平面である。それが平面であるがゆえに、すべての異質なものでも簡単に置くことができる。それらは軽い記号のように配置され、隣接している。しかし、プレートの上ではすべてのものが実在の感覚を失う。そして、共同体すら、一旦プレートに乗せられれば、重厚であったはずの実在感覚を失う。その都市の中に住む人間は微妙な感覚の狂いを感じる。そして、都市に対するさまざまな意見を述べる。しかし、もともと異質なものの単なる集合体の中での言説なので、それぞれが好き勝手な意見を述べているだけのことである。


導入

1.学習プリントを配布し、漢字と語句の意味を宿題にする。
2.学習プリントの漢字と語句の意味を確認する。
 79 表層 凡庸 形象 意匠 増殖 任せる 80 通底 準拠 露呈 81 微分
 不可解 捨象 負荷 82 媒介 83 疑似餌 担う 位相 虚しさ 投射 特異 覆う
 分節=全体をいくつかの区切りに分けること。
 理念=ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え。
 凡庸=平凡でとりえのないこと。
 ポストモダン=近代主義を越えようとする芸術上の思潮。近代の合理主義的傾向を否定する考え方。
 形象=表に現れているかたち。
 意匠=その形・色・模様・配置などについて加える装飾上の工夫。デザイン。
 アリバイ=現場不在証明
 通底=ある事柄や思想などがその基本的なところで他と共通性を有すること。
 準拠=あるものをよりどころとしてそれに従うこと。
 露呈=隠れていた事柄が表面に現れ出ること。
 相関=二つのものが密接にかかわり合っていること。
 ベクトル=大きさと向きを有する量。
 微分=変数の微小区間をとり、その極限での関数の変化率。
 不可解=理解しようとしても理解できないこと。
 捨象=事物または表象からある要素・側面・性質を抽象するとき、他の要素・側面・性質を度外視すること。
 負荷=任務を負うこと。
 媒介=両方の間に立って、なかだちをすること。
 疑似餌=本物の餌に似せて、プラスチックや金属などで作った釣りの餌。
 動員=ある目的のために、多くの人や物を集めること。
 還元=物事をもとの形・性質・状態などに戻すこと。
 位相=ある段階や場面。
 こまねく=なにもしないで見ている。
 投射=光をあてること。
 特異=特別に他とちがっていること。
 おびただしい=数や量が非常に多い。
 言説=意見を言ったり物事を説明したりする言葉。
 
3.小段落に番号を付ける。1〜10。
4.100字要約をさせる。
1)今日の都市空間は、「快適性」への志向によって分節されている。2)現在の権力は欲望と通底して共同体を抽象化している。3)都市は貨幣への欲望に準拠点を移し、4)資本の欲望に媒介された抽象的な視線を内面化した主体の住む場所になっている。


前半
 
1.「快適性」によって分節されている今日の都市空間について(第一段)
 1)冒頭文の主語と述語は。【抜粋】
  ・今日の都市空間は、分節されている。
 2)分節の意味を確認する。【確認】
  ・全体をいくつかに分けること。
 3)述語が受身表現になっているが【説明】、何によって分節されるのか。【抜粋】
  ・「快適性」
 4)「 」がついているが、どんな快適性なのか。【抜粋】
  【助言】「快適性」の修飾語を読み取る。
  ・消費社会の強制力である
  ・人々がぼんやり共有している
 5)分節した結果どんな空間が作られるか。【抜粋】
  【助言】4行目の「快適性」に注目する。
  ・不ぞろいで、妙に凡庸な空間。
 6)「不ぞろいで、妙に凡庸な空間」とは具体的に。【抜粋】
  ・情報も、〜かたち。
 7)その様子を図示しながら説明する。【説明】
  ・情報、利便性、ぬいぐるみやミニチュアを飾る出窓、和風瓦のマンション、ポストモダンの形象、南イタリアの風景、未来派の意匠、ガウディの公園。
  ・非常にいびつな都市が生まれる。
 8)この快適性と反対の快適性は。【抜粋】
  ・理念的な快適性。
 
2.分節していく「欲望」の問題について(第二段)
 1)「これらの分裂症的な形態」とは。【抜粋】
  ・不ぞいで、妙に凡庸な空間。
 2)問題は何か。【抜粋】
  ・欲望。
 3)「欲望」に「 」がついているが、似た言葉は。【拡大】
  ・欲求
 4)「欲望」と「欲求」の違いは。【拡大】
  ・欲求は、自分に欠如しているものを求める行為。
       自己充足。
  ・欲望は、自分だけでなく他者も求めるものを求める行為。
       他者承認。
 5)「欲望」と同じ意味で使われている表現は。【抜粋】
  ・「快適性」への志向。
 6)ということは、「欲望」の特性は。【深化】
  ・消費社会に強く影響されている。
  ・人々がなんとなく共有している。
 7)「欲望」に任せると都市はどうなるか。【抜粋】
  ・無限の迷路。
 8)「無限の迷路」状態と同じ内容の表現は。【抜粋】
  ・不ぞいで、妙に凡庸な空間。
 9)ということは、欲望の特性は。【深化】
  ・一貫性や統一性がなく、ごくありふれたものである。
 10)それを抑制するものは何か。【抜粋】
  ・行政権力の意志。
  ・都市計画の構想。
 11)これと同じような内容の表現は。【抜粋】
  ・理念的な快適性。
 12)これらの働きは。【抜粋】
  ・都市を空間化する。
  ・共同体的な理念によってカバーする。
 13)「都市を空間化」するとは。【深化】【課題】
  【助言】今まで使われていた「空間」とは意味が違う。
  【助言】「今日の都市空間」が「分裂症的な形態」になっているのとは異なる。
  ・行政権力の意志によって、都市計画の構想が計画され、都市を全体的な一貫性のある空間に作り上げること。(49字)
 14)「共同体的な理念」については、今後考える。【説明】
 15)「欲望」の特性を50字以内でまとめる。【課題】
  ・消費社会に強く影響され、人々がなんとなく共有している、一貫性や統一性がなく、ごくありふれたもの。(47字) 
 
3.現在の権力は、共同体を抽象化する社会的欲望と通底している。(第三段)
 1)「現在の権力」とあるように、権力には「現在」のものと「理念的」なものがある。【説明】
  ・第二段の理念的な権力とは異なる権力を設定している。
 2)現在の権力は共同体をどのようにするか。【抜粋】
  ・共同体を抽象化する。
 3)なぜ、そうなったのか。
  ・社会的欲望と通底しているから。
 4)理念的な権力の働きはどうなったのか。【抜粋】
  ・二次的な作業。
  ・一種のアリバイ。
  ・現実の重要課題ではなく、建前として、一応やっているような振りをしている。
 5)現在の権力と理念的な権力は、それぞれ何に準拠しているか。【抜粋】
  ・理念的な権力は、土地や空間。
  ・現在の権力は、資本。
 6)なぜ、共同体が抽象化するのか。【深化】【課題】
  【助言】欲望の特性を考える。
  ・現在の権力が設定する共同体は、一貫性のないぼんやりした人々の欲望を、単にまとめただけのものだから。(49字)
 
4.「共同体への志向」から「貨幣への欲望」へ。(第四・五段)
 1)2つの基本的なベクトルとは。【抜粋】
  ・共同体への志向。
  ・貨幣への欲望。
 2)それぞれ何に準拠しているか。【抜粋】
  ・共同体への志向は、土地と空間。
  ・貨幣への欲望は、資本の力学。
  【説明】互いに矛盾する。
 3)それぞれの都市に対する働きかけは。【抜粋】
  ・共同体への志向は、都市を空間として閉じる。
  ・貨幣への欲望は、都市をゲームの領域として開く。
  ・詳細は後で考える。
 4)問題は何か。【抜粋】
  ・現在の権力が、共同体の空間から、資本の領域に準拠点を移していること。
 5)だから、都市計画の初期から、あるいは途中でも、資本の力学が混入される。【説明】
 6)「微分された小さな線分の状態」とは何か。【深化】
  ・微分するとは、細部についてさらに細かく入り込むこと。
  ・線分とは、二点で限られた直線の一部分。
  ・ここでは、欲望が都市の細部についても入り込み、しかも、それがつながりのない単なる部分であること。
 7)都市のどんな点が不可解なのか。【抜粋】
  ・なんとなく不ぞろいで、妙に凡庸だから。
 8)なぜ、都市が魅力的であるのか。【抜粋】
  ・貨幣への欲望を肯定しているから。
 9)共同体と資本(貨幣)の働きの違いは。【抜粋】
  ・共同体は、土地や血縁の網の中で個人の存在を粘りつくような有限性でとらえる。
  ・資本は、個人の存在の厚さを捨象し、欲望の多様な線分に抽象化する。
 10)共同体の働きを説明する。【説明】
  ・個人を、地縁や血縁を最も重視し、個人を幾重にも土地や人に結びつける。
  ・面の世界。
 11)資本の働きを説明する。【説明】
  ・個人を地縁や血縁の煩わしいしがらみから解放する。
  ・さまざまな欲望を持った、一つのパーツに分解する。
  ・線分の世界。
 12)「都市を空間として閉じる」とはどういうことか。【深化】【課題】
  ・限られた範囲の中で、限られた人との関係を密接にする。


後半
 
5.消費社会的な「主体化」とは。(第六・七段)
 1)都市における欲望は、人々をどうするか。【抜粋】
  ・この種の共同体の力学から自由にする。
 2)「この種の共同体の力学」とは。【抜粋】
  ・土地や血縁の網の中で個人の存在を粘りつくような有限性でとらえる。
 3)その代わりに、人々をどうするのか。【抜粋】
  ・新しい規律訓練のメカニズムに組み込む。
 4)新しい規律訓練のメカニズムとは。【抜粋】
  ・限りない消費の主体となること。
 5)訓練であるから、意志や主体性より、身体で覚えることを重視している。【説明】
 6)「奇妙な視線の構造」とは。【深化】【課題】
  【助言】出窓の人形や庭の置物は、その住居に住む人間の意志で消費したものである。
  【助言】同時に、それらを含めた住居は、外部の消費者の視線にさらされている。
  ・個人の欲望を満足させるための空間領域が、「外部」の視線も意識して作られているという構造。(44字)
 7)公共的な施設も同様であることを説明する。【説明】
  ・使う者に役立つだけでなく、見られることを目的として作られている。
 8)消費の主体の詳細な言い換えは。【抜粋】
  ・資本の欲望に媒介された抽象的な視線を内面化した主体。
 9)それはどういうものか。【深化】
  ・他の消費者の欲望の対象であるあることを意識した消費の主体。
  ・他の消費者が認めた価値によって自分の消費の価値を判断する人。
 10)なぜ、この主体が疑似餌なのか。【深化】【課題】
  ・自分が主体であるという幸福な感覚を持っているように見せかけて、実際は消費社会に躍らされているだけの幻想的な幸福にすぎないから。
 
6.貨幣への欲望と都市は、限りない二重性の構造である(第八・九段)
 1)資本の力学を具体的な形でになう「貨幣への欲望」は、どんな欲望か。【抜粋】
  ・内容は空虚
  ・何でもあり得る
 2)言い換えると。【抜粋】
  ・空虚=共通の形式。
  ・何でもあり得る=全く異質な形状と機能を持った欲望の群れ。
 3)貨幣が空虚であるとは。【深化】
  ・貨幣をいくら持っていても、それだけでは価値は生じない。
  ・貨幣を使用して何かと交換して初めて価値が生じる。
 4)何でもあり得るとは。
  ・貨幣を使用すれば何とでも交換でき、多種多様な欲望を満たすことができる。
 5)この欲望が、都市を「ゲームの領域」(第四段)にする。【説明】
 6)生徒にほしいものを質問する。【発展】
  1)それらの関連性を考える。
  2)それらを手に入れる方法を考える。
   ・お金で買う。
  3)お金があれば何でも買える。
   ・外国では円は通用しない。
   ・大金を持って死んだら何もならない。
   ・インフレになればお金の値打ちは下がる。
  4)お金で買えないものはあるか。
 7)どのような構造になっているのか。【抜粋】
  1)異質な欲望は、互いに結合したり切断したりしている。
  2)結合と切断の地点では、貨幣という共通の形式に還元される。
  3)貨幣自身は、無内容な価値である。
 8)なぜ、「奇妙」なのか。【深化】
  ・多種多様な欲望を手に入れるために、無価値な貨幣を使うから。
 11)都市の構造は、どうなっているか。【抜粋】
  ・無限の華やかさと限りない「虚しさ」で通底している。
 12)都市の華やかさとは。【深化】
  ・貨幣によって交換された他者多様な欲望があふれている状態。
 13)虚しさとは。【深化】
  ・多種多様な欲望を実現するために、無価値な貨幣への欲望に奔走するから。
 14)この構造を一語で言い換えると。【抜粋】
  ・いい知れない二重性。
 15)都市は今後どうなるのか。【抜粋】
  ・中心や準拠点のない「無限」を内包する広がりになる。
  ・欲望の流れの結合や切断を通じて限りなく膨張する。
 16)これが、第四段の「ゲームの領域」である。【説明】
  ・華やかであるが空虚であり、欲望によって無限に広がっていく。
 
7.資本と欲望の特異なプレートの上では、すべてのものが実在性を失う。(第十段)
 1)プレートとは。【抜粋】【深化】
  ・平面的なもの。
   ・歴史などの厚みがない。
  ・受け皿。
   ・その上にものを乗せるもの。
 2)なぜ特異なのか。【抜粋】
  ・その上では無数の異質なものが軽い記号のように隣接するから。
 3)「軽い記号」の言い換えは。【抜粋】
  ・実在の感覚を見失う。
  ・実際にそこにあるという感じがしない。【説明】
  ・すべて貨幣価値に置き換えられてしまう。【説明】
 4)身近な例で説明する。【説明】
  ・昔は古本屋で歴史的価値などを鑑定して値段をつけた。
  ・ブックオフでは貴重本も新しいか綺麗か多くの人が求めているかどうかでで値段が   付けられる。
 5)共同体ですら、このプレートの上では実在性を抜き去られる。【説明】
  ・夕張市の破産など、地方自治体も採算が合わなければ、そこに住む人々の事情を全   く無視してつぶれてしまう。
 6)微妙な感覚の狂いとは。【深化】
  ・実在性の感覚がなく、すべてが貨幣価値に換算される抽象的な感覚。
 7)そこでは、自分自身の存在さえ、貨幣価値に換算されてしまう。【説明】
  ・人の価値がお金で量られる。
 8)都市が言説とは。【深化】
  ・新しく開発した住宅街を売り出すキャッチコピー。
 9)どんなコピーがあるか。【発展】
  ・ヨーロッパの町並みを思わせる街。
  ・小京都の風情のある町。
  ・アメリカナイズされた住宅街。
 10)これらの街はどんな感じがするか。【深化】
  ・薄っぺらな街。



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学習の準備
1.読み方を書きなさい。
 79 表層 凡庸 形象 意匠 増殖 任せる 80 通底 準拠 露呈 81 微分
 不可解 捨象 負荷 82 媒介 83 疑似餌 担う 位相 虚しさ 投射 特異 覆う
2.語句の意味を調べなさい。
 分節 理念 凡庸 ポストモダン 形象 意匠 アリバイ 通底 準拠 露呈 相関 ベクトル 微分 不可解 捨象 負荷 媒介 疑似餌 動員 還元 位相 こまねく 投射 特異 おびただしい 言説

学習のポイント
1.今日の都市を分節する「快適性」とは何かを理解する。
2.都市を分節する「欲望」とは何かを理解する。
3.現在の権力と社会的欲望の関係を理解する。
4.現在の権力が設定しようとする共同体はどのようなものかを理解する。
5.都市の存在を支える「共同体への志向」と「貨幣への欲望」の違いを理解する。
6.現在の権力の問題を理解する。
7.貨幣への欲望を肯定する都市の姿を理解する。
8.「消費社会的な主体性」とは何かを理解する。
9.抽象的な視線を内面化した主体とは何かを理解する。
10.貨幣への欲望の構造を理解する。
11.都市の二重性を理解する。
12.資本と欲望の特異なプレートの働きを理解する。