市民社会化する家族
今村仁司
家族の研究は、戦後日本の民主化の観点から、封建的家制度である大家族から近代的家族である核家族への移行を、肯定的に評価してきた。事実、政治的な民主化は進み、経済的な民主化も、経済生活の安定化と生産力の上昇に基づく高度産業社会が実現し、明るい歴史的展望を描くことができた。家族も、政治や経済と同様にデモクラシー化,モダン化してきた。経済的民主化によって大量消費社会や大衆社会が実現し、そうした市民社会の波は家族にも押し寄せてきている。戦後日本を、政治、経済、家族の3つの分野に分け、それぞれにおいて民主化(デモクラシー、モダニティ)が進行し、政治的には大衆社会、経済的には高度産業社会と大量消費社会、家族では核家族が成立した。
家族、市民社会(経済)、国家(政治)は、もともと互いに独立した領域としてあり続けてきた。それぞれの行動様式は異なっていて、互いに独自性を保存しつつ、全体としてバランスの取れた編成が組み立てられることが、近代の理想であった。発生の順序からすれば、まず、自然発生的に家族が生まれ、集団生活が始まり大きくなるに連れて国家が生まれ、国家が行き詰まると個人の自由を求めて市民社会が発生した。家族は血縁関係、国家は地域や民族や宗教などの関係、市民社会は個人の自由と利益を追究する契約関係に重点を置く。行動様式も、家族が血のつながりによる絆によって行動し、国家は共同体意識と権力関係によって行動し、市民社会は契約による権利と義務によって行動する。ヘーゲルも3つの領域がバランスよく組み立てられることを理想としていた。しかし、近代社会は理想を不可能にするように動く。逆に言えば、バランスよく動かないからこそ理想になるのである。
近代において最も注目すべき事態は、市民社会の突出である。社会的なものが異常に拡大し、家族や国家を支配し、動かしていく「社会化」である。「社会化」は家族や国家のような、それぞれの制度の支える精神や行動様式が社会的でないものでも、市民社会の鋳型に溶かし込んでいく。近代を理解する鍵は市民社会の中にあるというのは、市民社会が家族や国家という制度を消滅させるという意味ではなく、市民社会の精神や行動様式である経済原理を、家族や国家の隅々まで浸透させ、家族や国家という形態はそのままでも中身は全く市民社会になっていることを意味している。従って、家族を考える場合にも、近代市民社会との内面的連関を無視して、家族だけを抽出して共同体性格を強調することはできない。保守的イデオロギーがそうするのは、それは市民社会の家族への浸食に対する危機意識の表れである。だから、社会的領域の突出と肥大という特徴を手がかりに、家族と市民社会の関連を振り返ってみる必要がある。
近代家族の形成過程は、当事者の若い世代にとっては歓迎するだろうし、老年層は嘆かわしいと見なすだろう。客観的な基準はないが、ここでは、グローバルな包括的な視点から眺める。
近代を最もよく特徴づける制度は、市民社会の合理的な経済制度、市場経済、あらゆるものが商品化する制度である。市場経済が成立するには、共同体のメンバーや自然(大地)をアトム化、より小さいものへ分割することが不可欠である。人間がもともと住んでいた集団や土地から移動し、もともと住んでいた土地を手放し、土地の所有権が民法によって移動する。農村から若者が都市へ移動する。農家の家族制度が崩れる。農業が続けられなくなった農家は農地を手放す。地方から流入してきた人は大きな会社に雇用され再結合される。都市に出てきた人々は都会で結婚し新たな家族を形成する。彼らの住む土地を提供するために都市部の大地主が土地を手放す。農村部においても都市部においても昔ながらの共同体はどんどん消滅していく。そうして、バラバラになった人や物が、貨幣や資本の元で再結合され直す。大資本が土地の買い占めや、会社を作って労働者を雇用する。こうして市場経済、つまり資本主義は技術革新を繰り返し、経済成長を遂げていく。それによって貧困問題は大きく解決に向かった。それまで地域の中だけを対象にしていた商業活動の範囲が広くなり、大量に生産し大量に消費することができるようになったため経済活動が活発になり、収入も増え、増えた収入によって商品を購入するので生活も豊かになった。しかし、こうした市場経済の展開は、地域の共同体だけでなく、大家族もパラレルに崩壊させた。大家族から核家族への変化は家族の中に市場経済が侵入した現象といえる。資本主義化による人間関係の空虚を癒してくれる最後の場所であった家族をも解体しようとしている。
家族は、第一段階として、未開社会に見られる、老人が最高価値の権威を持つ親族システムから、第二段階として、老人の力がまだ大きい大家族制、第三段階として、老いの価値は零に近い核家族である。そして、第四段階として、家族の全面的消滅が予想される。その時、人間は老若を問わず完全な意味でアトム化され、市場的人間になり、資本主義は完成する。
今は消滅しつつある家族の段階にある。自然的・直接的に打算抜きで結合した共同社会であるゲマインシャフトの典型であった家族が、利益が成員の関心の中心になって結合した利益社会であるゲゼルシャフト化しつつある。親と子の関係は、生物的な関係をペースに、市民的関係になる。血のつながりよりも、個人として自立し政治参加の主体となる者として扱われる。子どもは小さい時から、小さい市民としてみなされ、大人ぶることを要求される。親たちもそうすることが近代化で進歩的であると考えている。
しかし、家族のモダン化やデモクラシー化は恐ろしいことである。家族関係が市民社会化することは、家族の中に市場経済の法則を貫かれることである。貨幣と資本の心理学が人間関係を先導する。市場経済のおきては、万人の万人に対する闘争状態が、家族の中に現れる。それは子どもの権利を重視しているようであるが、実は真の意味での子ども時代を経ないでいきなり大人になることを強要しているのである。子ども時代に純粋に自分を表現したり、人と協力しあったりする体験もなく、また、市民社会を生きる知識や体験も十分でないまま、いきなり闘争状態に置かれるのであるからその代価は大きい。子どもの問題が多発するのも当然である。
未開社会では、親子は緊張関係であるが、祖父と孫は冗談関係で、緊張関係を緩和する。親が子どもきつく叱っても祖父母は子どもを慰める役回りをする。しかし、老人の価値が零に近い近代家族では、市場経済の中で自分の利益だけを追求しようとする緊張関係から生じる人間関係の暴力化を抑える装置はない。
核家族化の動きは止めようがなく、家族の消滅も歴史的動向である。古い大家族を復活させることは不可能であるが、なんとかして、子どもを市民社会化から守る装置、育ち得る空間を保障しなければならない。
近代性とは、子どもたちを大人としての市民や老人に加速度的に仕上ることであると同時に、老人を社会から排除する。老人を排除しながら老人を加速度的に生産する奇妙なパラドックスがある。それは「若さ」を強調しながら老衰化を現出している。やがて、膨張した老人に押しつぶされる。また、膨大な老いの知恵を生かすメカニズムはどこにもない。
現代は、子どもや老人だけでなく、あらゆる世代にとっても幸せな時代ではない。社会生活の中心を担う世代も、加速度を増す高度技術に自己を順化するのに疲れ果て、順化できなければあっと言う間に若くして老衰化してしまう。市民社会の速度は家族の生活のリズムも速くする。本来あるべき理念としての家族は存立せず、市民社会による家族の植民地化は完成しようとしている。
人間が社会化することは本当に幸福な理想であるのか。すべての人間、人間の行為、人間の精神を社会状態に移行させることは、人間の不幸の根源ではないか。子どもや老人を市民として扱うこと、人間の生涯を一様に市民社会的人間に変えることは一種の暴力である。異質な生活のリズムが相互に異質性を保持したまま組み合わされるような生活世界の構想が求められる。市民社会化によって核家族さえも消滅するかもしれないが、社会化の圧力に抗する家族の論理や行動形式なしに、人間は十全に生きられない。核家族の消滅後に、市民社会化に抗する新しい家族が構成されるかもしれない。そういう市民社会化に抗する人間のあり方を思想的にも実践的にも構築すべき時代に私たちは直面している。
34封建的 | 上下関係を重視し、個人の自由や権利を認めないさま。 | ||||
ポジティブ | 肯定的な。積極的な。 | ||||
展望 | 社会の動き、人生の行く末などを見渡すこと。見通すこと。見通し。 | ||||
デモクラシー | 民主主義。 | ||||
モダニティー | 近代性。 | ||||
モダン | 近代的。 | ||||
大衆社会 | 政治・経済・社会・文化のあらゆる領域で、大衆が重要な役割を果たす社会。 | ||||
ひとわたり | ひととおり。一応。 |
35理念 | ある物事についての、こうあるべきだという根本の考え。 | |||
体系的 | 組織立っているさま。システマチック。 | |||
イデオロギー | 政治や社会のあり方についての思想や主張。 | |||
構図 | 物事を全体的にとらえたときのすがた・かたち。 | |||
下敷き | 創作・制作などの手本・基礎となるもの。 | |||
領導 | 始め導くこと | |||
鋳型 | 物事をはめこむ一定の枠。きまりきった形。 | |||
分泌 | 生体が細胞から特有の代謝産物を排出すること。 | |||
核心 | 物事の中心となる大切なところ。 | |||
文脈 | 物事の筋道。また、物事の背景。 | |||
抽出 | 多くの中からある特定のものを抜き出すこと。 | |||
保守 | 古くからの習慣・制度・考え方などを尊重し、急激な改革に反対すること。 | |||
常套手段 | 同じような場合にいつもきまって使う手段。 | |||
把握 | しっかりと理解すること。 |
37見地 | 物事を考えたり論じたりする場合の、よりどころとなる立場。観点。 | |||
グローバル | 世界的な規模であるさま。観点。 | |||
プロセス | 仕事を進める方法。手順。 | |||
市場経済 | 個々の経済主体は自由に経済活動を行い(自由競争)、社会全体の財の需要と供給は価格をバロメーターとする市場機構により調節される経済 | |||
共同体 | 家族や村落など、血縁や地縁に基づいて自然的に発生した閉鎖的な社会関係、または社会集団。 | |||
アトム | 原子。分割されないもの。 | |||
38パラレル | 平行。相応じていること。 | |||
ミクロ | 非常に小さい単位であること。 | |||
余地 | 事をなしたり考えたりすることができるだけのゆとり。余裕。 |
39ゲマインシャフト | 自然的・直接的に打算抜きで結合したもの。共同社会。 | ||||
ゲゼルシャフト | その団体に加わって得られる利益が、成員の関心の中心になって結合されるもの。 | ||||
市民 | 近代社会を構成する自立的個人で、政治参加の主体となる者。 | ||||
途方もない | 並はずれている。とんでもない。 | ||||
41パラドックス | 逆説。一見、真理にそむいているようにみえて、実は一面の真理を言い表している表現。「急がば回れ」など。 | ||||
メカニズム | 仕組み。機構。 | ||||
順化 | 環境などの変化に適応できるようになること。 |
41社会主義 | 生産手段の社会的共有・管理によって平等な社会を実現しようとする思想・運動。 | ||
顕揚 | 世間に威光や評判などを広め高めること。 | ||
抗する | 逆らう。張り合う。抵抗する。 |
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市民社会化する家族 一・二段 学習プリント
組 番 氏名 点検日 月 日
学習の準備1.読み方を書きなさい。・ 34 貢献 36 鋳型 分泌 抽出 常套手段 把握 2.語句の意味を調べなさい。
3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。 第一段 11)ひと昔前までの家族の研究がポジティブに評価してきたものは何か。 2)多くの学者たちが情熱を燃やしてきたものは何か。 3)一九六〇年代までの思想状況を助けてきたものは何か。 4)家族における封建制度とは何か。 5)並行すべきデモクラシーのレベルは何か。 26)モダンな家族とは何か。 7)同時的に成立するものは何か。 8)今、意味のあることは何か。 第二段 39)互いに独立した領域とみなされるものは何か。 10)それらの領域が持ち続けていたものは何か。 11)近代の理想とは何か。 412)しかし、実際には近代はどのように動いたか。 513)近代において注目すべき事態とは何か。 14)近代最大の特徴は何か。 15)この傾向を何と呼ぶか。 16)「近代を理解するかぎが市民社会の中にある」が意味することは何か。 17)近代家族を分析するのに必要なものは何か。 18)保守的イデオロギーの常套手段とは何か。 19)今、必要なことは何か。 学習のポイント 1.筆者の考える、戦後社会の三つの分野を理解する。 2.それぞれの分野で前進したものを理解する。 3.それぞれの分野で成立したものを理解する。 4.筆者の問題提起を理解する。 5.第一段落で、家族・市民社会・国家に対応するものを理解する。 6.それらを独立した領域と見なす理由を理解する。 7.近代社会の理想と現実を理解する。 8.近代社会の特徴である「社会化」を理解する。 9.近代家族の本質を把握するのに必要なことを理解する。 10.筆者のさらに焦点を絞った問題提起を理解する。 11.言い換えを確認する。 市民社会化する家族 第三段 学習プリント
組 番 氏名 点検日 月 日
学習の準備1.読み方を書きなさい。 37 見地 遂げる 39 老若 2.語句の意味を調べなさい。
3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。 620近代家族の形成過程を、この評論ではどんな視点から評価するのか。 721近代を最もよく特徴づける制度は何か。 22市場経済が成立するために不可欠な村落共同体の解体とはどうなることか。 23市場経済とはどんな制度か。 24市場経済の下でバラバラにされた人や物を再び結合し直すものは何か。 25市場経済を一言で言い換えると。 26核家族化とはどんな現象か。 27家族はどんな意味があったか。 828家族史の第一段階は何か。 29第二段階は何か。 30おおざっぱに言えばなんと言えるか。 31第三段階は何か。 932第三段階の向こうにあるものは何か。 34その段階では人間はどうなるか。 学習のポイント 1.この評論の近代家族の形成過程に対する立場を理解する。 2.近代を最もよく特徴づけるものを理解する。 3.市場経済の成立過程を理解する。 4.市場経済の定義や言い換えを理解する。 5.市場経済の成果を理解する。 6.市場経済と近代家族の関係を理解する。 7.核家族化の意義を理解する。 8.家族史の三つの段階を理解する。 9.各段階と老人の意義との関係を理解する。 10.完成した資本主義を理解する。 市民社会化する家族 第四段 学習プリント
組 番 氏名 点検日 月 日
学習の準備1.読み方を書きなさい。 39 経ない 40 抑制 抑える 措置 41 老衰 担う 2.語句の意味を調べなさい。
3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。 1035今、私たちはどの段階にいるのか。 36過渡的家族とはどんな家族からどんな家族になることか。 37親と子の関係は。 38家族のデモクラシー化とは何か。 1139家族関係が市民社会化するとはどういうことか。 40家族の中を市場経済の法則が貫くとはどうすることか。 41市場経済のおきては何か。 1242未開社会の親子関係は。 43祖父と孫の関係は。 44近代家族にない装置は何か。 1345今、私たちがしなければならないことは何か。それを言い換えている部分は。 1446近代性は子どもたちをどうするのか。 47他方、老人たちをどうするのか。 48奇妙なパラドックスとはどんな状況か。 1549現代はあらゆる世代にとって幸せな時代ではない理由は。 学習のポイント 1.過渡的家族の状態を理解する。 2.市場社会における子どもを理解する。 3.家族のデモクラシー化の恐ろしさを理解する。 4.祖父と孫の関係を理解する。 5.近代性のパラドックスを理解する。 6.現代があらゆる世代にとって幸せな時代でない理由を理解する。 7.家族の社会化を理解する。 8.家族の植民地化を理解する。 市民社会化する家族 第五段 学習プリント
組 番 氏名 点検日 月 日
学習の準備1.読み方を書きなさい。 41 顕揚 2.語句の意味を調べなさい。
3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。 1651ジャン・ジャック・ルソーの批判とは。 52私たちが現在確立しなければならないものは何か。 53どんな構想が求められているか。 54私たちはどんな時代に直面しているか。 学習のポイント 1.人間が社会化することが幸福な理想であるか考える。 2.現在私たちが必要とするものを理解する。 3.私たちが置かれている時代を理解する。 |
第一段落 板書 ・家族─┐ ・政治─┼─民主化、デモクラシー ・経済─┘ モダニティー、モダン ・政治 ・民主主義の成立 ・大衆社会。 ・経済 ・経済生活の安定化 高度産業社会の進展。 ・大量消費社会。 ・家族 ・封建的家族→近代的家族 大家族 核家族 ↓ ・近代家族のあり方を反省してみる 第二段落 板書 ・家族=家族────血縁関係による情愛=愛 ・市民社会=経済──個人の自由と利益を追求する契約関係=欲望 ・国家=政治────地域、民族、宗教=知 ‖ 独自の構成のしかたを持つ社会制度 ↓ 理想=独自性を保存 バランスのとれた構成 現実=一つが突出 他の制度を吸収・解体 ↓現代 ・市民社会の突出 ・家族や国家を支配し領導 ・社会化 ・社会化されえないものを急速に吸収 国家や家族 ・それらを「市民社会」の鋳型に溶かし込む 国家や家族 ・経済的市民社会が作り出し、分泌する「精神」や「行動様式」が社会制度の隅々まで浸透する ↓ ・近代を理解するかぎは市民社会の中にある ↓ ・近代家族は近代市民社会の文脈の中で分析 ・保守的イデオロギー ・家族と近代市民社会の内面的関連を無視 ・家族だけを抽出して、家族の共同体性格を強調 ↓問題提起 ・「社会的領域の突出と肥大」を手がかりに、家族と市民社会の関連を振り返る。 第三段落 板書 ・若い世代=核家族を歓迎する。 ・老年層=核家族を嘆かわしいと思う。 ↓ ・ここでは、グローバルな視点 ・村落共同体の解体 ・共同体のメンバーのアトム化 ・自然(大地)のアトム化 ↓ ・市場経済の誕生 ・あらゆるものが商品化する制度。 貨幣や資本の下で人や物を再び結合し直す ・資本主義。 ・技術革新、経済成長。 ・貧困からの解放。 ↓影響 ・近代家族(核家族) ・ファミリーの中に市場経済が侵入した現象。 ・資本主義化された人間の空虚さを癒してくれる最後の逃げ場。 ・家族史の段階 第一段階=親族システム。 老人は高い価値と権威を持つ。 第二段階=大家族制。封建的家族 老人の力は大きい。 第三段階=近代家族。核家族 老人の力は零に近い。 第四段階=家族の全面的消滅。 人間の完全なアトム化。 資本主義の完成。理想。 第四段落 板書 ・家族の変化 ・ゲマインシャフト=自然的な打算のない共同体 ↓ ・ゲゼルシャフト=利益のみに関心のある利益社会 ・市民的人間関係。 ・子ども=小さいときから市民として見なされる。 市民であることを強制される。 早くから大人ぶることを要求される。 ・大人 =モダンで進歩的だと考える。 ・家族のデモクラシー化 ↑恐ろしい ・家族の中を市場経済の法則が貫く ・貨幣と資本の心理学が人間関係を先導する。 ・真の意味での子ども時代を経ないで市民たることを強制される。 損得なしに考え行動する。 ・万人の万人に対する戦い。 ↓↑ ・祖父と孫の関係=冗談関係 家族全体の緊張関係を解消する装置。 ↓老人力が零に近い。 人間関係の暴力化を抑える歯止め装置がない。 ↓ ・子どもが子どもとして育ちうる空間を保障しなければならない。 ・市民社会の速度 ・子ども ↓加速度的に仕立て上げる。 ・大人=加速度を増す高度技術に自己を順化することに疲れ果てている ↓老衰化の速度が速い ・老人=社会から排除していく。 ・家族内のリズム ×理念としての「家族」 ○市民社会による家族の「植民地化」 第五段落 板書 ・社会化の是非 ・ルソー=すべての人間、行為、精神を社会状態に移行させることは不幸の根源 ↓ ・われわれ=子どもを市民として扱うことは暴力である。 異質な生活リズムが相互に異質性を保持したまま組み合わされるような生活世界 社会化に抗しうる新しい家族の論理 ↓ ・社会化の圧力に抗する人間のあり方を思想的にも実践的にも構築すべき時代。 |