山月記
中島敦
詩人になりそこなって虎になったあわれな男が、残り少ない人間の心でいられる時間に、親友に自分の思いをの語る内に、自分が虎になった理由に気づいていく。最初は虎になった運命を嘆き、次に詩への未練を語り、詩人になれなかった理由に気づき、最後に虎になった理由に気づく。そして、自分を罰し未練を断ち切るために、今まで隠していた醜い姿を親友にさらして、人間と決別する。最初は第三者の視点から李徴のプロフィールが語られ、袁惨と出会う経緯が語られている。
李徴は非常に優秀であり、天宝の末年に役人になる。しかし、協調性がなく、自信過剰な性格は役人には向いていなかった。小役人として無能な上司に仕えるのに我慢できず、また詩人として有名になることを夢見て退官し、故郷で詩作に耽る。
しかし、詩人としても認められず、生活が苦しくなる。妻子を養うためという表面的な理由と、詩人としての才能に半分絶望した内面的な理由から、再び役人になる。
しかし、昔鈍物として相手にしなかった連中の命令を聞かねばならないことが自尊心を傷付け、不満が募る。そして、一カ月後に旅先で発狂して行方不明になる経緯が第三者の視点で語られている。
翌年、同年に役人になった唯一の友人の袁傪に出会う。駅吏が人食い虎が出ると警告したのは袁傪との出会いの伏線である。それでも袁傪が出発したのは勅命に対する忠誠心である。突然虎に襲われ、喋りだした虎の声を聞いて袁傪だと即座にわかった袁傪はただ者ではない。袁傪も襲いかかった時は虎だったが、その瞬間人間に戻って袁傪だとわかったのも親友ゆえだろうか。袁惨は温和な性格で、今は監察御史に出世している。一方、李徴は険しい性格で、今は虎に身を落としている。李徴は、あさましい姿を友に見られたくない気持ちと懐かしさの相反する気持ちで、姿を見せずに話を交わすことを求める。
李徴のモノローグが始まる。第一段落で第三者の視点で語られた発狂して行方不明になった経緯が李徴の視点で語られる。夜半急に顔色を変えて寝床から起き上がって訳のわからないとを叫びながら闇の中に駆け出したのは、我が名を呼ぶ誰かの声を聞いて「誰だ」と叫びながら追いかけたからである。「覚えず」「無我夢中」「知らぬ間」「気が付くと」と無意識の内に虎に変身する。当然信じられず夢と思いたかったが、現実を認めねばならずどんなことでも起こり得ると懼れる。運命の不条理を感じ死を決意する。しかし、兎を見た途端に虎に変身して兎を食い殺してしまう。死ぬことも許されないのだ。人間の心で虎としての行為や自分の運命を振り返る時が恐ろしい。人間に戻る時間も短くなり虎になっていくことも恐ろしい。完全に虎になれば苦しまなくて済むのでしあわせになれるが、人間だった記憶がなくなることが恐ろしいという矛盾する気持ちになる。
李徴が袁惨に託した一つ目の依頼は、詩の伝録である。一人前の詩人面をしたいのではなく、李徴という人間がこの世に存在したという証拠を残しておきたかったと言う。
袁傪はその詩を聞き、確かに素晴らしいが第一流の作品になるのには微妙な点で欠けていることに気づく。それは、後で述べられる人間性であり、家族への愛であり、自分の才能に対する不安である。
旧詩を吐き終わった後、突然自嘲的になる。先程は詩人面がしたいわけではないと言ったが、今でも詩人として有名になることを夢に見る。そして、今の心境を即興の詩で述べる。「自分は精神病によって虎になった。かつて袁傪とは名声を分け合ったが、今では自分は落ちぶれて虎になってしまったが、袁傪は出世をしている。そんな自分を哀れんで月に向かって吼えることしかできない」と。
李徴は、虎になった理由について考え語り始める。自分は自ら人との交わりを避け、人から尊大だと思われた。しかし、それは「臆病な自尊心」であった。詩によって有名になろうと思いながら、才能の不足を暴露することを恐れて、努力することをしなかった。また、「尊大な羞恥心」から、自分の才能を半分信じているので、凡人の仲間になることもしなかった。この相反する気持ちは猛獣であり、自分を損ない、家族を苦しめ、友人を傷つけ、自分を虎に変身させた。
僅かな才能を専一に磨いて詩人になればよかったと後悔するが、虎となった今は不可能である。その悲しみを分かってもらおうと月に向かって吠えるが、誰一人分かってくれない。それは、人間だった時に傷つき易い内心をだれも理解してくれなかったのと同じである。
二つ目の依頼は、自分は死んだと妻子に伝え、経済的な援助をしてほしいということであった。それは妻子に心配をかけたくないことと、自分が恥ずかしいからである。
その直後、再び自嘲的になる。李徴は自分が虎になった本当の理由に気づいたのだ。妻子のことより自分の詩業を先に考える人間性の欠如が虎になった理由だと。
三つ目の依頼は、自分が完全に虎になって襲うかもしれないので、帰路にはこの道を通らないでほしいこと。四つ目の依頼は、虎になった姿を見てほしいこと。人間としての最後の自尊心を捨てて、人間であることに決別する。そして、「さらば」と咆哮して、叢に躍りいる。その後李徴を見た者はないという最後の視点は李徴ではなく第三者に戻っている。
導入
1.【指】形式段落番号1〜21を打たせる。
2.【指】6つの意味段落に分ける。
1)1はじめ
2)2翌年、監察御史〜5
3)6今から一年程前〜
4)7袁傪はじめ一行は〜13
5)14なぜこんな運命〜
6)15ようやく辺り〜21
3.【説】教師が範読する。
4.【指】10分間で、一番ひかれた箇所と理由、疑問に思ったことを書かせる。
第一段落(1)
李徴の人物設定がされている。難しい漢字や語句が多く出てくる。生徒にとっては何が書いてあるのかわからない。しかし、ここをしっかり抑えなければ次の展開がわからなくなる。時間をかけて古文のように読解していく方法もあるが、生徒の興味を損ないかねない。深読みもできるが、それは李徴のモノローグに譲るとして、ここでは大切なポイントを抑えるまた、格調高い文章なので、文章のリズムを感じさせたい。
1.【指】「学習プリント」の漢字の読みと語句の意味を確認する。
博学 才穎 狷介 賤吏 潔し 帰臥 下吏 焦燥 容貌 秀で 豊頬 面影 堪えず 赴き 既に 鈍物 歯牙 夜半
2.【指]語句の意味を確認する。
博学=知識が豊富なこと。
1)才穎=知恵が非常に優れていること。
5)狷介=かたくなで人と融和しないこと。人づきあいが悪い。
6)自ら恃む=自負する。自信がある。
賤吏=身分の低い役人。
甘んずる=与えられたものをそのまま受け入れる。しかたがないと思ってがまんする。
潔しとしない=恥ずべきことと考え、それに従わない。
帰臥=役人を辞めて故郷に帰り、静かに暮らすこと。
下吏=身分の低い役人。
膝を屈する=強いものに服従すること。
焦躁=いらだちあせること。
登第=試験に合格すること。
節を屈す=信念を曲げて人に従う。
鈍物=才能のない者。
歯牙にもかけない=問題にしない。無視する。
往年=昔。
自尊心=自分をえらいものだと思う気持ち。プライド。
13)狂悖=狂って道理にさからうこと。
3.【指】ペアで一文交代で音読させる。。
4.【説】簡単な訳をする。
5.【説】「天保の末年」の説明をする。
・唐の玄宗皇帝の時代。安禄山の乱で、玄宗が長安から西に逃れた戦乱があった。
○読解プリントを配布する
6.(1)【L1】李徴の才能や性格をまとめる。
・博学(知識が豊富)才穎(知恵が優れている)
・狷介(頑固で協調性がない)
・自ら恃むところすこぶる厚い(自信過剰)
5.(2)【L2】李徴のプロフィールをまとめる。
*官吏登用試験・役人について知る。
1)若くして進士の試験に合格し役人になる。
2)まもなく、役人をやめ、詩作にふけった。
3)数年後、地方の役人になる。
4)一年後、旅先で発狂する。
*【説】官吏登用試験について。
・「科挙」という最も難しい試験。
・暗記力だけでなく、詩を作る才能も試される。
・高齢になって合格する人も多く、若くして合格するのは非常に優秀であった。合格者の平均年齢は三十六歳。五十歳で進士になるのは若い方といわれた。
7.(3)【L1】なぜ、役人をやめ、詩作にふけったのか。
*役人と詩人の違いと共通点も考える。
・下吏となって俗悪な大官に膝を屈するより。(下級役人として馬鹿な上司の命令に従いたくない)
・詩家としての名を残そうとした。(詩人として有名になる)
*【説】役人と詩人について
・役人は、現在の高級官僚。当時の最高の仕事。エリート中のエリート。
年功序列で、有能なものが出世できるわけではない。
上意下達。上の命令は絶対で、下は意見を言えない。協調性がないと勤まらない。
江南尉は長江下流の地方の警察官。長安からすると遠く離れた地方になる。
天保の末年は政治が乱れ、役人も腐敗していた。
俗悪な大官とは、身分は高いが、権力欲、物欲、名誉欲が強い。
・詩人は、人に夢や感動を与える仕事である。
漢詩からもわかるように、当時の最高の文学。
協調性は不要で、実力次第で有名になれる。
「詩」を残そうとしたのでなく、「名」を残そうとした。
・役人と詩人の共通点は、当時最高の地位である。
つまり、李徴は仕事の内容より、最高のものを求めていたことがわかる。
*【W】「あなたは上司とうまく付き合えるタイプか」チャートをする。
9.(4)【L1】退官後の生活の様子をまとめる。
・詩人としての文名は容易に揚がらない。
・生活は日を追って苦しくなる。
・焦燥にかられてくる。
10.(5)【L1】なぜ、再び地方役人になったのか。
*「半ば」に注意する。
・妻子の衣食のため。
・己の詩業に半ば絶望したため。
*【説】「半ば」について
・「詩才」ではなく「詩業」である。詩人の才能ではなく、詩人として名を残せないこ とに半ば絶望したのである。
・半ば絶望したのだから、もう半分は絶望していない。
・詩への未練はあったが、妻子の生活を優先させた。
・あるいは、妻子の生活を詩人をあきらめる口実にした。
12.(6)【L1】復官後の1)気持ち、2)その理由、3)生活の様子をまとめる。
1)自尊心を傷つけられた。
2)鈍物として歯牙にもかけなかった同輩の命令をきかなければならないから。
3)怏々として楽しめない。(不平不満に言う)。
狂悖の性が抑え難くなった。(凶暴な性格)
13.(7)【L1】旅先で発狂し行方不明になるまでの経過をまとめる。
*第三段落の記述と比較する。
1)急に顔色を変えて起き上がる。
2)訳の分からないことを叫んで飛び降りる。
3)闇の中に掛けだす。
*別冊宝島『珍国語』のパロディ「木曜スペシャル風山月記」の週刊誌の記事のパロディを読ませる。
・山月記を身近な問題として考える。
14.【L4】あなたは李徴の生き方をどう思いますか。
・二〇〇字原稿用紙を配布して書かせる。
・グループで交流する。
15.【説】板書する。
・李徴の才能や性格
・博学才穎
・頑固で協調性がない
・自信過剰
1.若くして進士の試験に合格し役人になる。
│・下級役人に満足できない。
↓・詩人として有名になる。
2.まもなく、役人をやめ、詩作にふけった。
│・文名は揚がらない。
│・生活に困窮する。
│ ↓
│・妻子の衣食のため。
↓・詩業に半ば絶望
3.数年後、地方の役人になる。
│・自尊心が傷つく
↓・不平不満
4.一年後、旅先で発狂する。 |
第二段落(2〜5)
李徴と袁惨の出会いを通じて、二人の相違点を押さえながら、二人の友情の深さを理解する。
1.【指】「学習プリント」の漢字の読み方と語句の意味を確認する。
勅命 駅吏 叢 躍り出た 翻して 恐懼 漏れる 懐かしげ 久闊を叙す 故人 畏怖嫌厭 傍ら 消息
2.【指】語句を確認する。
・勅命=天子の命令。
・あわや=危険などがその身に及ぶ寸前であるさま。あやうく。
・恐懼=おそれおののくこと。
・17)久闊を叙す=長い間会わなかった相手にあいさつする。
・おめおめ=恥ずべきことと知りながら、そのままでいるさま。また、恥とも思わないで平気でいるさま
・19)畏怖嫌厭=恐れ嫌うこと。
・20)愧赧=恥じ赤面すること。
・消息=たより。音信。連絡。
3.【交】ペアリーディングさせる。
○読解プリントを配布する
4.(1)【L1】「月」を使った表現は。(2)
・残月の光をたよりに
*朝になっても残っている月。
*朝早く、夜明け前の、まだ暗いころ。
5.(2)【L1】【L3】袁傪が人食い虎が出るという駅吏の言葉を無視して出発した理由は。(2)
・供回りが多勢いたから。
・勅命を受けていたから。(任務に忠実な役人であった)
・虎になった李徴と出会う伏線。
6.(3)【L2】袁傪に襲いかかろうとした虎が身を翻した理由は。(2)
・李徴の中の人間の心がよみがえり、咄嗟に旧友の袁傪であると認めたから。
*李徴の友情の深さがわかる。
7.(4)【L1】李徴と袁傪の共通点は。(2)
・同年に進士の第に登る。(同期生)
8.(5)【L1】李徴と袁傪の、出身地、今の身分、性格の相違点は。(2)
|
李徴 |
袁傪 |
出身 |
隴西。乾燥草原の遊牧中心の土地。 |
陳郡。温暖な農耕中心の土地。 |
身分 |
虎 |
監察御史(出世コース) |
性格 |
峻峭(険しく、厳しい)
|
温和。 |
*隴西=草原の遊牧中心の土地。人々の性格は教育熱心で攻撃的。
陳郡=温暖な農耕中心の土地。人々の性格も穏やか。
*監察御史は、地方を回り、官吏を取り締まる役人。典型的な出世コース。
9.(6)【L1】李徴は李徴自身のことを何と呼んでいるか。(34)
・自分
10.(7)【L1】李徴が叢から出てこない理由は。(4)
・虎になったあさましい姿をさらしたくないから。=自尊心
・袁傪に恐怖と嫌悪の気持ちを起こさせるから。
*後で出てくる「自尊心」という言葉を引き出す。
11.(8)【L1】李徴の相反する気持ちは。(4)
・恥ずかしさを忘れるほど懐かしい。
*相反する気持ちは、『山月記』のテーマの一つである。
12.(9)【L2】袁傪の友情の深さがわかる出来事は。(25)
・一声聞いただけで李徴だとわかった。
・李徴が虎になったこと(超自然の怪異)を素直に受け入れた。
・急いでいる旅の進行をとどめた。
13.(10【L4】あなたは李徴と袁傪の友情についてどう思うか。
・宿題にする。
14.板書する
第二段落
|
李徴 |
袁傪 |
同年に信士の第に登る |
虎に落ちぶれた
峻峭な性格
一目で袁傪と気づく
↓ 友 情
浅ましい姿を見られたくない(自尊心)袁傪を恐怖させたくない
⇔
恥を忘れるほど懐かしい
|
監察御史に出世 温和な性格
一声で李徴とわかる
|
|
|
第三段落(6)
虎に変身する様子と、虎になってからの相反する心理を考える。
1.【指】「学習プリント」の漢字の読み方と語句を意味を確認する。
戸外 無我夢中 臨んで 映して 茫然 懼れた 所行 還る 経書 誦んずる 残虐 憤ろしい 経る 礎 悔い
・無我夢中=我を忘れて行動すること。
・茫然=ぼんやりしている様子。
・所行=行ったこと。
・21)経書=儒教の教典。易経、詩経、春秋など。
・誦んずる=暗記して言う。
・憤ろしい=腹立たしい。
2.【指】音読する。
○読解プリントを配布する
3.(1)【L2】虎に変身する過程をまとめる。(5510〜16)
*第一段落の李徴が発狂し行方不明になる様子と対比する。
*副詞的な表現の共通点に注意する。
1)ふと目を覚ます。(急に顔色を変えて起き上がる)
2)だれかが我が名を呼んでいる。(何か訳のわからないことを叫ぶ)
3)覚えず、声を追って走りだす。(闇の中へ駆け出す)
4)無我夢中で駆けていく。
5)いつしか山林に入る。
6)しかも知らぬ間に左右の手で地をつかんで走っていた。
7)なにか体中に力が満ち満ちている。
8)気が付くと手先やひじに毛が生えている。
9)既に虎になっていた。
【L4】2)「だれか」の正体は。
・運命、神。自分の中のもう一人の自分。無意識。
【L3】副詞の共通点は。
・無意識を表す副詞が多い。
・李徴が無意識の内に虎になった様子がわかる。
4.(2)【L2】虎に変身した後の心理の変化をまとめる。(5516〜5610)
*虎になった現実を受け入れたのはどの場面か。
*心まで虎になったのはどの場面か。
*副詞的な表現や接続語の共通点に注意する。
1)初め目を信じなかった。
2)次に、夢に違いないと考えた。
3)茫然とした。→現実を認めた。
4)そうして懼れた。
5)しかし、理由がわからない。(不条理)
6)すぐに死を思うた。(自尊心)
7)しかし兎を見た途端に自分の中の人間が姿を消した。→完全に虎になった。
8)再び人間が目を覚ました時、うさぎを食っていた。
【W】2)夢に違いないと考えた
・夢の中で夢だとわかる夢を見たことがあるか。
・心理テスト「」をする。
【L1】4)何を懼れたのか。
・どんなことでも起こり得ること。
・人間が虎になること。
【L3】5)「理由も分からずに押しつけられたものをおとなしく受け取って、理由も分からずに生きてゆくのが、我々生き物のさだめだ」を一言で言うと。
・不条理。
【L4】この考え方をどう思うか。
・後で選択して書かせる。
【L2】6)すぐに死を思ったのはなぜか。
・人間としての自尊心が許さない。
・虎として生きていくぐらいなら死んだ方がましだ。
【L2】現実を受け入れた場面は。
・3)茫然とした。
【L2】心まで虎になった場面は。
・7)兎を見た途端に自分の中の人間が姿を消した。
【L3】副詞や接続語の共通点は。
・順序や関係を表す副詞が多い。
・論理的にとらえている。
5.(3)【L4】思い浮かぶ順に3種類の動物を書なさい。また、( )の中にそれぞれ の動物から思いつく言葉を3つずつ書きなさい。
1)【 】( )( )( )
2)【 】( )( )( )
3)【 】( )( )( )
*1)自分がこうなりたいと思う人物像。
2)人からどう見られているか。
3)本当の自分。
6.(4)3つの「恐ろしさ」について、何を恐ろしく感じているのか。
1)【L1】「恐ろしく」(5614)
・人間の心で、虎としての残虐な行いを見て、運命を振り返ること。
2)【L1】「恐ろしい」(5616)
・今までは、どうして虎になったのかと考えていたが、
この間は、どうして以前人間だったのかと考えるようになったこと。
・次第に人間でなくなっていくこと。
3)【L1】「恐ろしく」(5809)
・人間だった記憶がなくなること。
・人間であることに未練があるから。
4)【L2】反対になぜ、人間の心がすっかり消えることが「しあわせ」(5808)なのか。
*李徴の相反する気持ちに注意する。
*李徴の本心はどちらにあるか。なぜ「しあわせ」に傍点があるのか。
・虎としての残虐な行為に悩まなくてすむから。
【説】本心は「恐ろしい」。「しあわせ」の傍点が本心でないことを表現している。
7.(5)【L2】1)「古い宮殿の礎」(5802)、2)「土砂」(5802)は何をたとえているか。
1)人間の心。
2)獣としての習慣。
8.(6)1)【L1】李徴を表す語を○で囲みなさい。2)【L3】どんな基準で使い分けているか。
・自分(5512〜5608。8個)=人間であるという意識。客観的、冷静。
・己(5613。2個)
・おれ(5616〜5812。9個)=虎に近づいている。感情的。
9.(7)【L4】次のどちらかを選んで、あなたの考えを書きなさい。
a)理由も分からずに押しつけられたものをおとなしく受け取って、理由も分からずに生きてゆくのが、我々生き物のさだめだ。(5605〜06)
b)いったい、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。初めはそれを覚えているが、しだいに忘れてしまい、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか?(5805〜07)
10.板書する。
1.虎に変身する。
・無意識
2.虎になった理由を考える。(1)
・生き物のさだめ。
3.自分の意志で死ねない。
4.人間の心→虎の行い
↓
しあわせ=恐怖の回避
⇔
恐ろしい=人間への未練 |
第四段落(7〜13)
《目的》李徴の一つ目の依頼と今の気持ちを理解する。
1.【確】「学習プリント」の漢字の読みを確認する。
業 遺稿 記誦 詩人面 巧拙 執って 朗々 格調高雅 意趣卓逸 岩窟 嗤う 哀れ 自嘲癖 狂疾 粛然 薄幸
2.【確】語句を確認する。
・息をのむ=一瞬、非常に驚く。
・名を成す=有名になる。ある事をなし遂げて声価が定まる。
・遺稿=故人がその生前に書いておいた未発表の原稿。
・22)記誦=覚え。そらんじること。
・巧拙=じょうずなことと、へたなこと。
・産を破る=財産を失う。破産する。
・朗々=声などが大きくはっきりして透き通っている様子。
・格調高雅=詩歌の品格や調子が、気高く優美であるさま。
・意趣卓逸=詩に盛り込まれた思いや趣向がひときわ高く抜き出て優れていること。
・自嘲=自分で自分を軽蔑し、あざけること。
・24)狂疾=精神病。
・殊類=異なる種類。
・27)長嘯=声の長く伸ばすようにして、詩を吟じること。
・28)嘷=ほえること。
・29)粛然=おそれ、慎む様子。
3.【交】音読する。
○読解プリントを配布する
4.(1)第一の依頼について、1)【L1】何を依頼したのか。2)【L1】その理由は。
*死後に何を残したいのかよく考える。
1)暗誦している漢詩の伝録。
2)×一人前の詩人面がしたいのではない。
○自分が生涯執着したものを後代に伝えたい。
【L3】李徴が死後に伝えたいものは何か。
・作品ではなく、名声である。
【L4】後世に伝えたいものはあるか。
・年をとるにつれ死が近づくにつれて、このような思いが強くなる。
・子ども、自叙伝、ホームページ・プログ。
5.(2)【L1】李徴の詩を伝録した袁傪の感想は。
*欠けている「微妙な点」とは何か。
・格調高雅、意趣卓逸。
・しかし、第一流の作品になるには、どこか微妙な点において欠けている。
【L3】「微妙な点」とは何か。
・作品より名声を残したいこと。
・臆病な自尊心と尊大な羞恥心。
・切磋琢磨して努力しなかったこと。
・家族よりも自分のことを優先する。
【注】後の部分で出てくるので、ここでは意見を聞く程度に留める。
6.(3)李徴の第一の自嘲について、1)【L2】自嘲した理由は。2)【L1】自分のことを何と言い表しているか。
1)あさましい身(虎)と成り果てても、詩集が評価されていることを夢に見るから。
(未練)
【説】「詩人面したいのではない」との矛盾に気づいた。
2)詩人になりそこなって虎になった哀れな男。
7.(4)漢詩ついて、訳は次のようになる。
・偶然、精神病によって異類のものになってしまった。
・災いが襲いかかって避けることもできなかった。
・今では、この爪や牙に誰が歯向かうだろうか、いや誰も歯向かわない。
・当時は、私も君も二人とも評判が高かった。
・私は虎になって雑草の下にいるが、
・君はすでに立派な馬車に乗って順調に出世している。
・この夕方谷山の明月に向かって、
・私は詩を吟ずるのでなく吼え叫んでいるだけだ。
1)【L1】a)詩の形式名、b)押韻、c)対句は。
a)七言律詩。
b)逃、高、豪、嘷。
c)頷聨(3、4句)と頸聨(5、6句)。
2)【L1】虎になった理由は。
・精神病。
3)【L2】「長嘯」と「嘷」の違いは。
・「長嘯」は人間の行い、「嘷」は獣の行い。
4)【L1】題名の「山月記」と関連する部分は。
・渓山対明月
5)【L2】李徴の心情を最もよく表している一句は。
・不成長嘯但成嘷
6)【L3】どんな気持ちを詠んでいるか。
・後悔、諦め、嫉妬。
7.【指】板書にまとめる。
1.依頼(1)
・詩の伝録
○生涯執着したものを後代に伝えたい。
×詩人面をしたいわけではない。
2.袁傪の感想
・微妙な点で欠けるものがある。
3.自嘲(1)
・詩に対する未練。
・「詩人になりそこなって虎になった哀れな男」
↓
・即興の詩 |
8.(5)【L4】あなたが、後世に残したいものを書きなさい。
第五段落(14)
《目的》李徴の語る虎になった理由と本心を考える。
1.【確】「学習プリント」の漢字の読みを確認する。
努めて 倨傲 羞恥心 就いたり 切磋琢磨 珠 刻苦 憤悶 塹恚 損ない 警句 弄し 怠惰 専一 哮って
2.【確】語句を確認する。
・倨傲=おごりたかぶっていること。
・尊大=たかぶって偉そうにすること。横柄。傲慢。
・羞恥心=恥ずかしいと思う気持ち。
・切磋琢磨=玉・石などを切りみがくように、道徳・学問に勉め励んでやまないこと。また、仲間どうし互いに励まし合って学徳をみがくこと。
・俗物=名利にとらわれてばかりいるつまらない人物。無学・無風流な人。
・伍する=仲間に入る。同等の位置にならぶ。肩を並べる。
・珠=才能。
・刻苦=心身を苦しめて、励み努めること。
・瓦=つまらないもの。=俗物。
・33憤悶=怒りもだえること。
・34塹意=恥じ怒ること。
・空費=むだに使うこと。
・警句=人生・社会・文化などについて真理を簡潔な中に鋭く表現した語句。
・危惧=あやぶみ、おそれること。
・専一=ある物事だけに力を注ぐこと。
3.【指】音読する。
○読解プリントを配布する
4.(1)【L2】「なぜこんな運命になったかわからぬと、先刻は言った」の該当部分は。
・「なぜこんなことになったのだろう、分からぬ」(6)5604)
5.(2)【L1】虎になった理由の2つのキーワードは。
*矛盾した意味の言葉の組み合わせを考える。
・臆病な自尊心
・尊大な羞恥心
【L2】「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」の矛盾は。
・臆病=気が弱く、ちょっとしたことにも怖がってびくびくすること。【−の行為】
・自尊心=自分をえらいものだと思う気持ち。プライド。【+の心理】
・尊大=たかぶって偉そうにすること。【+の行為】
・羞恥心=恥ずかしいと思う気持ち。【−の心理】
6.(3)1)【L2】《 》に「臆病・自尊心・尊大・羞恥心」を入れよ。2)「b)俗物」の同意語や対義語を抜き出せ。3)「d)己の珠なるべきを半ば信ずる」と同じ表現を第一段落から探せ。
*接続語に注意する。
a)6103詩によって名を成そうと思いながら《自尊心 》、進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨に努めたりすることをしなかった《臆病 》。
b)6105かといって、また、俗物の間に伍することも潔しとしなかった《尊大 》。
c)6108己の珠にあらざることを惧れるがゆえに《羞恥心 》、あえて刻苦して磨こうともせず《臆病 》、
d)6109また、己の珠なるべきを半ば信ずるがゆえに《自尊心 》、碌々として瓦に伍することもできなかった《尊大 》。
3)己の詩業に半ば絶望した5212。
【説】心理と態度の表現に注意する。
・思う、惧れる、信ずる=心理。
・しなかった、せず、できなかった=行為。
【説】接続語に注意する。
・ながら=逆接
・かといって=逆接
・ゆえに=順接
【L3】a)を詳しく説明する。
・詩の才能に自信があり(自尊心)詩人として有名になるためには修行をしなければならないのだが、師に就いたり詩友と交わった時に、師から否定されたり友の方が優れていたりして自分の才能がないことが暴露することを恐れるため切磋琢磨しない(臆病)。
7.(4)【L3】1)「臆病な自尊心」2)「尊大な羞恥心」とは何か。
1)自分の才能に自信がある(自尊心)→失敗して傷つけられるのを恐れる(臆病)→他 人を避けようとする。
2)自分の才能に自信がなく恥ずかしい(羞恥心)→隠そうとして偉そうな態度を取る(尊大)→人から離れる。
8.(5)1)【L1】「猛獣」(6115)とは何をたとえているか。2)【L1】李徴の場合は何だったのか。
1)各人の性情。
2)尊大な羞恥心
9.(6)【L1】「人生は何事をもなさぬにはあまりに長いが、何事かをなすにはあまりに短い」(6204)という警句の背後にある事実は。
・才能の不足を暴露するかもしれないとの卑怯な危惧。
・刻苦をいとう怠惰。
【説】警句の意味。
・人生は、才能がなく何もしない者には長く退屈なものだが、才能のあるものには短くて何事もできない。いずれにしても何もしない。
【L2】前者の言い換えは。
・己の珠にあらざることを惧れる(6108)
10.(7)【L2】どうすれば堂々たる詩家になれたのか。
*前の部分からも探す。
・乏しい才能を専一に磨く。
・進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨に努めたりする。
11.(8)「月に向かってほえた」(6214)について、1)【L1】どんな気持ちでほえたのか。2)【L1】周囲はどのように感じたのか。3)【L1】人間だった時との共通点は。4)【L2】毛皮が濡れた理由は。
1)胸を焼く悲しみを誰かに訴えたいから。
2)一匹の虎が怒り狂って、哮っているとしか考えない。
3)おれの傷つき易い内心をだれも理解してくれなかった。
4)涙を流したから。
*虎となった今も、人間だった頃と本質的には変わっていない。
12.性格タイプの心理テストをする。
1)自分の立場で回答させ、自分のタイプを考える。
2)李徴の立場で回答させ、タイプを考えさせる。
13.(9)【L4】「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」のような、あなたの中にある矛盾した二つのものについて書きなさい。
・宿題にする。
14.板書にまとめる。
1.虎になった理由(2)
・臆病な自尊心
・尊大な羞恥心
↓
各人の性情=猛獣=虎
2.乏しい才能を専一に磨く
↓
詩家
3.月に向かってほえる
↓
誰もわかってくれない=人間だった時 |
第六段落(15〜21)
《目的》虎になったもう一つの理由と、袁惨との人間との別れを告げる李徴の気持ちを考える。
1.【確】「学習プリント」の漢字の読みを確認する。
木の間 孤弱 道途 飢凍 計らう 恩倖 慟哭 欣んで 飢え凍え 堕とす 帰途 懇ろ 悲泣 咆哮
2.【確】語句を確認する。
・38恩幸=いつくしみ。
・39慟哭=号泣。声をあげてはげしく泣くこと。
・意に添う=気に入る。満足する。
・懇ろ=ていねいであるようす。
・咆哮=(猛獣が)さけびほえること。
3.【指】音読する。
○読解プリントを配布する
4.(1)1)【L1】時間のわかる表現は。2)【L1】それは李徴にとってどんな時か。
1)ようやく辺りの暗さが薄らいできた。
2)虎に還らねばならぬ時。
【説】「虎に還る」とは虎が本来の姿である。
5.(2)二つ目の依頼について、1)【L1】何を依頼したのか。2)【L3】そう依頼した理由は。3)【L3】李徴が慟哭した理由は。
*2)袁傪に姿を見せなかった理由と重ねて、家族の立場と李徴の立場から考える。
1)・死んだと家族に告げてほしい。
・道途に飢凍することのないよう計らってほしい。(家族の生活を援助してほしい)
2)・家族に恐怖と嫌悪感を起こさせないため。
・虎になったと知られると自尊心が傷つくから。
3)家族のことを思い出したから。
【説】2)袁傪と出会ったとき、袁傪に畏怖嫌厭の情を起こさせないことと、浅ましい姿を見られたくないから姿を見せなかった。
5.(3)【L1】第二の自嘲の理由は。
*第一と同じく依頼した後で自嘲的になる。
・先に家族のことを依頼すべきだったと気づいたから。
6.(4)【L2】虎になった理由は。
・妻子の生活よりも自分の詩を優先させるように人間性の欠如していたから。
【説】「人間性の欠如」と言う言葉を引き出す。
7.(5)三つ目の依頼について、1)【L1】何を依頼したのか。2)【L1】そう依頼した理由は。3)【L3】その依頼にはどのような意味があるのか。
*第二段落で姿を見せなかった理由の逆を考える。
1)・帰途にはこの道を通らないでほしい。
・丘の上から虎になった自分の姿を見てほしい。
2)・自分が虎になっていて袁傪と認めずに襲いかかるかもしれないから。
・醜悪な姿を示して、再び自分に会おうという気を袁傪に起こさせないため。
3)自尊心や羞恥心を捨てた。
【説】姿を見せなかったのは、自尊心があったから。
8.(6)【L3】二声三声咆哮した李徴の気持ちは。
・袁傪に会えた喜び。「ありがとう」
・人間への未練を捨て切った。「さらばじゃ」
【注】さまざまな意見を出させる。
10.(7)1)【L3】最後のa)「再びその姿を見なかった」とb)「再びその姿を見せなかった」の違いは。2)【L4】そう表現した意図は。
*主語を考える。
1)a)袁傪や作者の立場からの表現。
b)李徴の立場からの表現。
2)人間としての李徴が完全に消滅した。
11.板書してまとめる。
1.依頼(2)
・妻子のこと
2.自嘲(2)→虎になった理由(3)
・妻子より自分の詩業を優先。
・人間性の欠如
3.依頼(3)
・虎になった姿を見てほしい
↓
・自尊心を捨てる |
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山月記 学習プリント 第一段(1)
学習の準備
1.次の漢字の読み方を書きなさい。
博学 才穎 狷介 賤吏 潔し 帰臥 下吏 焦燥 容貌 秀で 豊頬 面影 堪えず 赴き 既に 鈍物 歯牙 夜半
2.次の語句の意味を国語辞典で調べて書きなさい。
博学 |
|
1)才穎 |
|
5)狷介 |
|
6)自ら恃む |
|
賤吏 |
|
甘んずる |
|
潔しとしない |
|
帰臥 |
|
下吏
|
|
膝を屈する |
|
焦躁 |
|
10)登第
|
|
節を屈す
|
|
鈍物 |
|
歯牙にもかけない |
|
往年 |
|
自尊心
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|
13)狂悖
|
|
学習のポイント
1.李徴の才能や性格を理解する。
2.李徴が退官した理由を理解する。
3.李徴の退官後の生活と心理を理解する。
4.李徴が再び地方官吏になった理由を理解する。
5.復官後の生活と心理を理解する。
6.李徴が行方不明になった様子を理解する。
山月記 学習プリント 第二段(2〜5)
学習の準備
1.次の漢字の読み方を書きなさい。
勅命 駅吏 叢 躍り出た 翻して 恐懼 漏れる 懐かしげ 久闊を叙す 故人 畏怖嫌厭 傍ら 消息
2.次の語句の意味を国語辞典で調べて書きなさい。
勅命 |
|
あわや |
|
驚懼 |
|
17)久闊を叙す |
|
おめおめ |
|
19)畏怖嫌厭 |
|
20)愧赧
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|
消息
|
|
学習のポイント
1.袁傪の身分と任務を理解する。
2.虎になった李徴に出会った袁惨の様子を理解する。
3.李徴と袁傪の関係を理解する。
4.李徴が袁傪の前に姿を現さない理由を理解する。
山月記 学習プリント 第三段(6) 組 番 氏名
学習の準備
1.次の漢字の読み方を書きなさい。
戸外 無我夢中 臨んで 映して 茫然 懼れた 所行 還る 経書 誦んずる 残虐 憤ろしい 経る 礎 悔い
2.次の語句の意味を国語辞典で調べて書きなさい。
無我夢中 |
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茫然 |
|
所行 |
|
21)経書 |
|
誦んずる |
|
憤ろしい |
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学習のポイント
1.李徴を呼ぶ「誰か」の正体を考える。
2.李徴が虎になる過程を理解する。
3.夢の中でこれは夢だと知っている夢について考える。
4.生き物のさだめについて考える。
5.「人間」に傍点がついている理由を理解する。
6.人間の心が還って来る時の気持ちを理解する。
7.李徴がどうして以前人間だったのかと考えることを恐ろしいと思うのかを理解する。
8.人間のもとは何だったのかを考える。
9.李徴の中の人間の心がすっかりなくなることをしあわせであると同時に恐ろしく感じ ている気持ちを理解する。
山月記 学習プリント 第四段(7〜13) 組 番 氏名
学習の準備
1.次の漢字の読み方を書きなさい。
業 遺稿 記誦 詩人面 巧拙 執って 朗々 格調高雅 意趣卓逸 岩窟 嗤う 哀れ 自嘲癖 狂疾 粛然 薄幸
2.次の語句の意味を国語辞典で調べて書きなさい。
息をのむ |
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名を成す |
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遺稿 |
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22)記誦 |
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巧拙 |
|
産を破る |
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朗々
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格調高雅 |
|
意趣卓逸 |
|
自嘲
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|
24)狂疾
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殊類
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|
27)長嘯
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嘷
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|
29)粛然
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|
学習のポイント
1.李徴の第一の依頼を理解する。
2.詩の伝録を依頼する理由を理解する。
3.李徴の詩を聞いた袁傪の感想を理解する。
4.李徴の詩の第一流の作品になるには欠けている非常に微妙な点を考える。
5.李徴が自嘲的になった理由を理解する。
6.李徴の即席の詩の意味を理解する。
山月記 学習プリント 第五段(14)
学習の準備
1.次の漢字の読み方を書きなさい。
努めて 倨傲 羞恥心 就いたり 切磋琢磨 珠 刻苦 憤悶 塹恚 損ない 警句 弄し 怠惰 専一 哮って
2.次の語句の意味を国語辞典で調べて書きなさい。
30)倨傲 |
|
尊大 |
|
羞恥心 |
|
切磋琢磨 |
|
俗物 |
|
伍する |
|
珠 |
|
刻苦 |
|
瓦
|
|
33憤悶 |
|
34塹恚 |
|
空費 |
|
警句
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|
危惧
|
|
専一 |
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学習のポイント
1.漢文調の風景描写を味わう。
2.李徴の語る虎になった理由を理解する。
3.尊大な羞恥心と臆病な自尊心の内容を理解する。
4.李徴の中の猛獣について理解する。
5.虎に近づいていく李徴の心情を理解する。
山月記 学習プリント 第六段(15〜21) 組 番 氏名
学習の準備
1.次の漢字の読み方を書きなさい。
木の間 孤弱 道途 飢凍 計らう 恩倖 慟哭 欣んで 飢え凍え 堕とす 帰途 懇ろ 悲泣 咆哮
2.次の語句の意味を国語辞典で調べて書きなさい。
学習のポイント
1.時間の経過の表現を味わう。
2.李徴の最後の依頼を理解する。
3.李徴が再び自嘲的になった理由を理解する。
4.帰途にここを通らないように言った理由を理解する。
5.最後に虎になった姿を袁傪に見せた気持ちを理解する。
6.最後の表現を味わう。
第一段落
1.【L1】李徴の才能や性格をまとめる。
・
・
・
2.【L2】李徴のプロフィールをまとめる。
*官吏登用試験・役人について知る。
1)
2)
3)
4)
3.【L1】なぜ、役人をやめ、詩作にふけったのか。
*役人と詩人の違いと共通点も考える。
・
・
4.【L1】退官後の生活の様子をまとめる。
・
・
・
5.【L1】なぜ、再び地方役人になったのか。
*「半ば」に注意する。
・
・
6.【L1】復官後の1)気持ち、2)その理由、3)生活の様子をまとめる。
1)
2)
3)
7.【L1】旅先で行方不明になるまでの経過をまとめる。
*第三段落の記述と比較する。
1)
2)
3)
8.【L4】あなたは李徴の生き方をどう思うか。
第二段落(2〜5)
1.【L1】「月」を使った表現は。(2)
・
2.【L1】【L3】袁傪が人食い虎が出るという駅吏の言葉を無視して出発した理由は。
・ (2)
・
・
3.【L2】袁傪に襲いかかろうとした虎が身を翻した理由は。(2)
・
4.【L1】李徴と袁傪の共通点は。(2)
・
5.【L1】李徴と袁傪の、出身地、今の身分、性格の相違点は。(2)
6.【L1】李徴は李徴自身のことを何と呼んでいるか。(34)
・
7.【L1】李徴が叢から出てこない理由は。(4)
・
・
8.【L1】李徴の相反する気持ちは。(4)
・
9.【L2】袁傪の友情の深さがわかる出来事は。(25)
・
・
・
10.【L4】あなたは李徴と袁傪の友情についてどう思うか。
第三段落(6)
1.【L2】虎に変身する過程をまとめる。(5510〜16)
*第一段落の李徴が発狂し行方不明になる様子と対比する。
*副詞的な表現の共通点に注意する。
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
2.【L2】虎に変身した後の心理の変化をまとめる。(5516〜5610)
*虎になった現実を受け入れたのはどの場面か。
*心まで虎になったのはどの場面か。
*副詞的な表現や接続語の共通点に注意する。
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
3.【L4】思い浮かぶ順に3種類の動物を書なさい。また、( )の中にそれぞれの動物 から思いつく言葉を3つずつ書きなさい。
1)【 】( )( )( )
2)【 】( )( )( )
3)【 】( )( )( )
4.3つの「恐ろしさ」について、何を恐ろしく感じているのか。
1)【L1】「恐ろしく」(5614)
・
2)【L1】「恐ろしい」(5616)
・
・
3)【L1】「恐ろしく」(5809)
・
4)【L2】反対になぜ、人間の心がすっかり消えることが「しあわせ」(5808)なのか。
*李徴の相反する気持ちに注意する。
*李徴の本心はどちらにあるか。なぜ「しあわせ」に傍点があるのか。
・
5.【L2】1)「古い宮殿の礎」(5802)、2)「土砂」(5802)は何をたとえているか。
1)
2)
6.1)【L1】李徴を表す語を○で囲みなさい。2)【L3】どんな基準で使い分けているか。
・
・
・
7.【L4】次のどちらかを選んで、あなたの考えを書きなさい。
a)理由も分からずに押しつけられたものをおとなしく受け取って、理由も分からずに生 きてゆくのが、我々生き物のさだめだ。(5605〜06)
b)いったい、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。初めはそれを覚え ているが、しだいに忘れてしまい、初めから今の形のものだったと思い込んでいるの ではないか?(5805〜07)
第四段落(7〜13)
1.第一の依頼について、1)【L1】何を依頼したのか。2)【L1】その理由は。
*死後に何を残したいのかよく考える。
1)
2)×
○
2.【L1】李徴の詩を伝録した袁傪の感想は。
*欠けている「微妙な点」とは何か。
・
・
3.李徴の第一の自嘲について、1)【L1】自嘲した理由は。2)【L1】自分のことを何と言 い表しているか。
1)
2)
4.漢詩ついて、訳は次のようになる。
・偶然、精神病によって異類のものになってしまった。
・災いが襲いかかって避けることもできなかった。
・今では、この爪や牙に誰が歯向かうだろうか、いや誰も歯向かわない。
・当時は、私も君も二人とも評判が高かった。
・私は虎になって雑草の下にいるが、
・君はすでに立派な馬車に乗って順調に出世している。
・この夕方谷山の明月に向かって、
・私は詩を吟ずるのでなく吼え叫んでいるだけだ。
1)【L1】a)詩の形式名、b)押韻、c)対句は。
a) b) c)
2)【L1】虎になった理由は。
・
3)【L2】「長嘯」と「嘷」の違いは。
・
4)【L1】題名の「山月記」と関連する部分は。
・
5)【L2】李徴の心情を最もよく表している一句は。
・
6)【L3】どんな気持ちを詠んでいるか。
・
5.【L4】あなたが、後世に残したいものを書きなさい。
第五段落(14)
1.【L2】「なぜこんな運命になったかわからぬと、先刻は言った」の該当部分は。
・
2.【L1】虎になった理由の2つのキーワードは。
*矛盾した意味の言葉の組み合わせを考える。
・
・
3.1)【L2】《 》に「臆病・自尊心・尊大・羞恥心」を入れよ。2)「b)俗物」の同意語や対義語を抜き出せ。3)「d)己の珠なるべきを半ば信ずる」と同じ表現を第一段落から探せ。
*接続語に注意する。
a)6103詩によって名を成そうと思いながら《 》、進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨に努めたりすることをしなかった《 》。
b)6105かといって、また、俗物の間に伍することも潔しとしなかった《 》。
c)6108己の珠にあらざることを惧れるがゆえに《 》、あえて刻苦して磨こうともせず《 》、
d)6109また、己の珠なるべきを半ば信ずるがゆえに《 》、碌々として瓦に伍することもできなかった《 》。
3)
4.【L3】1)「臆病な自尊心」2)「尊大な羞恥心」とは何か。
1)
2)
5.1)【L1】「猛獣」(6115)とは何をたとえているか。2)【L1】李徴の場合は何だったのか。
1)
2)
6.【L1】「人生は何事をもなさぬにはあまりに長いが、何事かをなすにはあまりに短い」(6204)という警句の背後にある事実は。
・
・
7.【L2】どうすれば堂々たる詩家になれたのか。
*前の部分からも探す。
・
・
8.「月に向かってほえた」(6214)について、1)【L1】どんな気持ちでほえたのか。2)【L1】周囲はどのように感じたのか。3)【L1】人間だった時との共通点は。4)【L2】毛皮が濡れた理由は。
1)
2)
3)
4)
9.【L4】「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」のような、あなたの中にある矛盾した二つのものについて書きなさい。
第六段落(15〜21)
1.1)【L1】時間のわかる表現は。2)【L1】それは李徴にとってどんな時か。
1)
2)
2.二つ目の依頼について、1)【L1】何を依頼したのか。2)【L3】そう依頼した理由は。3)【L3】李徴が慟哭した理由は。
*2)袁傪に姿を見せなかった理由と重ねて、家族の立場と李徴の立場から考える。
1)
2)
3)
3.【L1】第二の自嘲の理由は。
*第一と同じく依頼した後で自嘲的になる。
・
4.【L1】虎になった理由は。
・
5.三つ目の依頼について、1)【L1】何を依頼したのか。2)【L1】そう依頼した理由は。3)【L3】その依頼にはどのような意味があるのか。
*第二段落で姿を見せなかった理由の逆を考える。
1)
2)
3)
6.【L3】二声三声咆哮した李徴の気持ちは。
・
7.1)【L3】最後のa)「再びその姿を見なかった」とb)「再びその姿を見せなかった」の違いは。2)【L4】そう表現した意図は。
*主語を考える。
1)a)
b)
2)