ある日の暮方、一人の下人が羅生門の下で雨止みを待っていた。
羅生門は、朱雀大路にある以上賑わっているはずである。しかし、この二、三年、京都では災いが連続し、荒れ果てて、狐狸や盗人が住むだけでなく、死人まで捨てられる始末である。
下人は、右の頬に大きなにきびのある若者で、主人から四、五日前に暇を出され、雨に降りこめられて行き所がなく途方に暮れていた。
明日の暮らしという、どうにもならないことを、どうにかするためには、手段を選んでいる暇はない。選んでいれば、飢え死にをする。選ばないとすれば、盗人になるしかない。しかし、その勇気が出ない。
そこで、雨風を防げる、盗人などの人目にかかる恐れのない、一晩寝られそうな所として、死人しかいないはずの羅生門に登る。
しかし、羅生門の上では誰かが火を灯している。この雨の夜に、この羅生門の上で火をともしているという不合理な理由から、ただの者ではないと警戒する。
下人は死骸にの中にうずくまっている老婆を見る。ある強い感情、六分の恐怖と四分の好奇心で息をするのも忘れてしまう。
老婆が死人の髪の毛を抜くに従って、この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜いているという不合理な理由から、恐怖が消え、老婆に対する激しい憎悪、あらゆる悪に対する反感が強くなる。この時の下人なら、飢え死にを選んでいただろう。
老婆を捕まえると、老婆の生死を自分の意志が支配していると意識し、憎悪の心は冷め、安らかな得意と満足を覚える。
しかし、老婆の答えを聞いて、平凡なのに失望し、前の憎悪と冷やかな侮蔑が心の中に入ってくる。
そして、せねば飢え死にをするから仕方がないならば、相手の悪を許すことによって自分の悪も許されるという老婆の論理を聞き、老婆の悪を許すことによって自分の悪も許されると思い、盗人になるという勇気が出て老婆の着物を引剥ぎする。
極限状況に追い込まれながらも、正義感に燃えていた下人が、老婆の論理で現実的な選択をする。
表現面に注目すれば、a)洛中のさびれ方、b)羅生門の荒廃ぶり、c)「蟋蟀」やd)「にきび」の使い方、e)動物を使った比喩、f)色彩の対比、g)「雨は、羅生門をつつんで、遠くから、ざあっという音を集めてくる」の聴覚的表現、h)「門の屋根が、斜めに突き出した甍の先に、重たく薄暗い雲を支えている」の視点の違いなどが考えられる。
導入
1.「現代文ミニマム 小説の読み方」を配布し、説明する。
2.教師が全文を音読する。
・キーワードやキーセンテンスに線を引かせる。
・状況設定(5W1H)や主人公の心理の変化を表している部分である。
3.感想を聞く。
4.感想文を書かせる。
5.「学習プリント」を配布し、語句調べを宿題にする。
状況設定(はじめ〜いちばん下の段へ踏みかけた)
1.「はじめ〜重たく暗い雲を支えている。」を音読させる。
2.冒頭の2文を分析する。
・ある日の暮れ方のことである。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
・いつ────ある日の暮れ方。
どこで───羅生門。
だれが───一人の下人。
何を────雨やみを待っていた。
★冒頭の2文にすべての状況設定が書かれている。短編小説の定石。
3.場所(羅生門)について
(1)3文目以降の羅生門の記述を聞く。
・朱雀大路にある。
・荒れ果てた。
・狐狸が住む。盗人が住む。
・引き取り手のない死人を捨てに来る。
(2)朱雀大路について説明する。
1)図説の166ページの羅城門の復元図、折り込み6の平安京復元模型を参照する。
・平安時代のメインストリート。今の千本通り。
・羅生門は朱雀大路の南端にある。
2)メインストリートであるにも関わらず人がいないことを確認する。
(3)荒れ果てている理由は。
・京都には、地震や辻風や火事や飢饉などの災害が続いて起こったから。
(4)狐狸や盗人や死体がある羅生門には、誰も寄りつかないのに、下人がいることに注意 する。
(5)羅生門の象徴性を説明する。
★洛中と洛外の境目。
★下界と遮断された非日常的空間。
4.時間(ある日の暮れ方)について
(1)時代は。
・平安時代末期。
★時代の境目。
(2)季節は。
・晩秋。
・きりぎりす(コオロギ)がいる。
・火桶がほしい寒さ。(これは音読部分の後にある)
★季節の境目
(3)暮れ方の象徴性を説明する。
★昼と夜の境目。
5.人物(下人)について
(1)下人の身分を説明する。
・金銭で売買される奴隷。
・平安時代においては寺家、貴族、武士、名主等に隷属する家内奴隷的存在で、農耕、雑役、軍役等に駆使された。所領田畠や家屋、家畜と同様に譲与、売買、質入れの対象とされたが、土地を給与されることはなかったようである。下人のほうが所従より隷属度が強い。下人に子が生まれると、その子は母に付けて譲与、売買された。
★支配されるままで、主体性がない。
★盗人になる勇気が出ないこと、老婆の生死を支配した時の気持ちの伏線になる。
(2)下人の様子は。
1)にきびがある。→若い。十五〜十八才。
★子供と大人の境目。
2)四、五日前に暇を出された。
*暇を出す=使用人などをやめさせる。
・京都の衰微の余波である。
*衰微=おとろえ弱ること。
*余波=とばしり。あおり。影響。
・厳密に言えば、「元下人」である。
3)サンチマンタリスム(感傷的な気分)
(3)下人の名前について説明する。
・名前がない。
・下書きメモでは、「交野五郎」「交野平六」となっていたが、「一人の男」「一人 の侍」を経て、「一人の下人」になる。
6.行為(雨やみを待っていた)について
(1)正確に言い直すと。
・行き所がなくて、途方に暮れていた。
*途方に暮れる=手段がつきて、どうしてよいかわからなくなる。
(2)人の寄りつかない羅生門にいる理由を確認する。
7.「どうにもならないことを〜いちばん下の段に踏みかけた。」を音読させる。
8.下人の心理の変化について考える。
(1)板書し空欄を埋めさせる。
どうにもならないこと=明日の暮らし ←────┐
↓ │
どうにかする │
↓ │低徊
手段を選んでいるいとまはない
│
↓ │
選んでいれば ┌→選ばないとすれば=局所─┘
↓ │ ↓勇気がでない
飢え死にをする─┘ 盗人になる
★「選んでいれば」と「選ばないとすれば」、「飢え死にをする」と「盗人になる」が同じレベルにあることを気づかせる。
★答えが出にくければ、字数を指定する。
(2)「どうにもならないこと」とは何か。
・明日の暮らし
(3)「選ばないとすれば」から「盗人になる」に行けなかった理由は。
・勇気が出ない。
*かたをつける=始末をつける。
(4)これを「勇気」と呼べるのか。
・授業の最後にもう一度考える。
(5)「選ばないとすれば」が「局所」であることを確認する。
*局所=範囲が限られた所。
(6)再び、「どうにもならないこと」へ戻る。これを「低徊」ということを確認する。
*低徊=行ったり来たりすること。
9.下人が羅生門で夜を明かそうとした理由について
(1)悩むのをやめてくさめをして立ち上がることを確認する。
*くさめ=くしゃみ。
(2)羅生門で夜を明かそうとした理由は。
・雨風の憂えがない
・人目にかかる恐れがない
*憂え=心配。
(3)羅生門の様子を確認する。
・死体が捨ててある。
(4)死体があるにもかかわらず、羅生門を選んだ理由は。
・人が寄りつかないので、物を盗まれたり命を奪われる心配がないから。
・気味の悪さより、生命の安全を選んだ。
・ある日の暮れ方、一人の下人が、羅生門の下で、雨やみを待っていた。 2・場所 ・羅生門 ・朱雀大路にある。(メインストリート) ・荒れ果てた。 ・狐狸や盗人が住む、死人を捨てに来る。 ★洛中と洛外の境目。 ★下界と遮断された非日常世界。 3.時間 ・ある日の暮れ方 ★昼と夜の境目。 ・平安時代末期 ★時代の境目 ・晩秋(キリギリス、火桶の火がほしいほど寒い) ★季節の境目 4.人物 ・一人の下人 ・にきび(十五〜十八歳くらい) ★大人と子どもの境目。 ・下人(使用人。主体性がない) ・四、五日前に暇を出された。 ・サンチメンタリスム。(感傷的) 5.行為 ・雨やみを待っていた・行き所がなく途方に暮れていた。 6.下人の論理1 ・どうにもならないこと=明日の暮らし←────ー┐ ↓ │ どうにかする │ ↓ │低徊 手段を選んでいるいとまはない │ ↓ │ 選んでいれば ┌→選ばないとすれば=局所ーー┘ ↓ │ ↓勇気がでない 飢え死にをする─┘ 盗人になる 7.下人の行動 ・羅生門に上がる。 理由 ・雨風の憂えがない。 ・人目にかかる恐れがない。 ・盗まれたり殺されたりしない ★気味悪さより、生命を安全を選択する。 ★生きることへの意志を失っていない。 |
下人の心理の変化(それから、何分かの後である。〜とうに忘れているのである。)
1.「それから、何分かの〜おしのごとく黙っていた。」を音読させる。
2.場面転換に注目する。
・一人の男→短いひげ→にきびのあるほほ→下人
・クローズアップすることによって、下人に焦点を当てていくテクニック。
・読者は別の人間かと思って緊張する。
*息を殺す=息をつめて、じっと静かにしている。
3.ここから、下人の心理の変化を追っていくことを説明する。
4.上で火をともしているのを見た下人の心理について
(1)状況を確認する。
・誰もいないと思った、羅生門の上に火がともっている。
・その火が動いている。
・生きた人間がいる。
(2)どんな人がいると思ったか。
・ただの者ではない。
*たかをくくる=大したことがないと見くびる
(3)「ただの者ではない」と思った理由は。
・この雨の夜に、この羅生門の上で、火をともしているから
★後で同じ表現があるので注意しておく。
(4)ただの者でなければ何か。
・鬼、妖怪、……。
(5)「この」にはどんな意味が込められているか。
・明確に指示内容があるのではない。
・気味が悪い。
・人が寄りつかない。
5.「下人は、それらの死骸の〜髪は手に従って抜けるらしい。」を音読させる。
6.老婆を見た下人の心理について
(1)状況を確認する。
・死骸の中に老婆を見た。
(2)老婆の様子は。
・檜皮色の着物を着た
・背の低い
・やせた
・白髪頭の
・猿のような(=顔がしわくちゃになっている)
*暫時=しばらく
(3)どんな感情がわいてきたか。
・ある強い感情
(4)言い換えると。
・六分の恐怖と四分の好奇心
(5)恐怖と好奇心の混じった感情を理解する。
・怖いもの見たさ。
・お化け屋敷やホラー映画を見る感情を想定させる。
7.「その髪の毛が〜とうに忘れていたのである」を音読させる。
8.髪の毛が抜けるに従って抜けるのを見た下人の心理について
(1)状況を確認する。
・老婆が死人の髪の毛を抜いている。
(2)どんな感情がわいてきたか。
・恐怖が少しずつ消える。
(恐怖は、正体のわからないものに対して抱く感情である。)
・老婆に対する激しい憎悪
(3)理由は。
・この雨の夜に、この羅生門の上で、死人の髪の毛を抜いているから。
・なぜ老婆が死人の髪の毛を抜くのかわからない。
・合理的には善悪のいずれにかたづけてよいか知らなかった。
★老婆をただ者ではないと思ったのと同じだが、こちらは不合理である。
(4)言い換えると。
・あらゆる悪に対する反感
*語弊がある=誤解を招いたり不快感を与えたりする言い方。
(5)「老婆に対する」から「あらゆる悪に対する」への飛躍の根底にあるものは。
・単純な正義感に燃えている。
★このあたりから、下人の心理が変化し始めている。
(6)この時の下人なら、飢え死にか盗人かどちらを選んだか。
・飢え死に
9.「そこで、下人は、〜話しさえすればいいのだ。」を音読させる。
10.太刀を老婆に突きつけた下人の心理について
(1)状況を確認する。
・老婆に太刀を突きつける。
(2)どんな感情がわいてきた。
・激しい憎悪が冷めてしまった。
・安らかな得意と満足。
(3)理由は。
・ある仕事が成就した。
・ある仕事=老婆をとらえる。
*成就=できあがる。なしとげる。
★正義感
・老婆の生死が自分の意志に支配されていることを意識した。
・今までの支配される身分から、初めて人を支配する気持ちを体験した。
★支配感
11.下人の言葉について
(1)嘘の部分は。
・門の下を通りかかった旅の者。
(2)正しくは。
・主人から暇を出されて門の下で途方に暮れていた。
(3)嘘を言った理由は。
・正義の味方らしく見せるため。
・首になった身分では正義の味方にふさわしくない。
・老婆に対して絶対優位を保ちたい。
12.「すると、老婆は〜こんなことを言った。」を音読させる。
13.老婆の答えを聞いた下人の心理について
(1)状況を確認する。
・老婆の答えを聞く。
・「死人の髪を抜いてかつらにする」
(2)どんな感情が起こったか。
・前の憎悪と冷やかな侮蔑。
(3)憎悪の理由は。
・老婆の答えが存外平凡なのに失望した。
・もっと恐ろしい答えを期待していた。
(4)下人はどんな答えを期待していたか。
・例えば、死人の髪の毛を抜き、頭の皮を剥ぎ、目玉をくり抜き、首を切り取り……。
(5)もっと恐ろしい答えを期待した理由は。
・さらに正義感を満たすため。
★老婆が極悪人であればあるほど、正義の味方としてのグレードが上がる。
(6)前の憎悪との違いを確認する。
・前の憎悪は、純粋に悪に対する憎悪であった。
・今の憎悪は、下人の勝手な思い込みを裏切られたことに対する私的な憎悪である。
(7)老婆の描写に注意する。
・まぶたの赤くなった
・肉食鳥のような
・しわで鼻と一つになった唇
・細いのどでとがったのどぼとけ
・カラスの鳴くような声
・蟇のつぶやくような声
★動物の比喩が多い。
1)(上で誰かが火をともしている) ・ただの者ではない。 理由・この雨の夜に ─┐ ・この羅生門の上で │ 合理的 ・火をともしている ─┘ 2)(死骸の中に老婆を見た) ・ある強い感情 ‖ 六分の恐怖と四分の好奇心。 3)(老婆が死人の髪の毛を抜いている) ・恐怖が少しずつ消える ・老婆に対する激しい憎悪 ‖語弊がある ・あらゆる悪に対する反感=正義感 理由・この雨の夜に ─┐ ・この羅生門の上で │不合理 ・死人の髪の毛を抜く ─┘ ・飢え死にを選ぶ 4)(老婆に太刀を突きつける) ・安らかな得意と満足。 理由・ある仕事を成就した 老婆をとらえる 正義感 ・老婆の生死を自分の意志が支配している。 支配感 5)(老婆の答えが聞こえる) 死人の髪を抜いてかつらにする ・前の憎悪と冷やかな侮蔑。 理由・答えが平凡なのに失望する。 ‖ ・もっと残酷な答えを期待していた。 ★さらに正義感を満たそうとしていた。 |
結末(なるほどな、死人の〜終わり)
1.「なるほどな、死人の髪の毛〜こんな意味のことを言った。」を音読させる。
2.老婆の論理について
(1)死んだ女は何をしていたか。
・蛇を干し魚だといって売った=詐欺。
(2)死んだ女がそうした理由は。
・せねば飢え死にをするので、仕方なくした。
(3)老婆の行為を確認する。
・死人の髪の毛を抜く。
(4)そうする理由は。
・せねば飢え死にをするので、仕方なくした。
★生きるために仕方がなくする悪は許される。
(5)老婆が死んだ女のしたことを許す理由は。
・死んだ女も老婆のすることを許してくれる。
*大目に見る=あまりとがめないで許す。
★自分が相手の悪を許せば、相手も自分の悪を許してくれる。
(6)この論理の矛盾は。
・死んだ女が許してくれるかどうかわからない。
★自己中心的な考え方。エゴイズム。
3.「下人は、太刀を鞘におさめて〜終わり」を音読させる。
4.下人の論理について
(1)下人の論理を考える。
1)老婆は、せねば飢え死にをするから仕方なく、死んだ女の髪の毛を抜いたことを確認する。
2)下人は何をするのか。
・老婆の着物を引剥ぐ。
・盗人になる。
3)そうする理由は。
・せねば飢え死にをするから。
4)老婆に「恨むまいな」と言った理由は。
・下人が老婆を許す。→老婆も下人を許す。
★老婆の論理をそのまま当てはめている。
5)老婆と女の場合との違いは。
・女は死んでいたが、老婆は生きている。意思表示ができる。
★老婆は、自分の論理によって、加害者から被害者になる。=自業自得
★下人は、老婆の論理によって盗人になる決意をする。
(2)ある勇気について
1)ある勇気とは、盗人になることを確認する。
2)盗人になることが勇気と言えるのか。
・以前保留していた問題。
・一般的に、勇気は良いことをするのに使われる。
・この場合、盗人になるのは悪であるが、生きるための強い意志と解釈できる。
3)「羅城門」を「羅生門」とした理由は。
・生きることに対する強い意志の物語である。
4)老婆の着物をはぎとってどうするのか。
・老婆の着物は売れない。
・何かを盗むことによって、盗人になったことを証明したかった。
5.にきびについて
(1)下人の心理の変化を象徴しているものは何か。
・にきび
(2)「にきび」の効果を考える。
1)右のほおにできた、大きなにきびを気にしながら、ぼんやり、雨の降るのを眺めて いた。
2)短いひげの中に、赤くうみを持ったにきびのあるほおである。
3)右の手では、赤くほおにうみを持った大きなにきびを気にしながら聞いていたので ある。
4)不意に右の手をにきびから離して、
(3)「にきび」の意味は。
★善と悪との境目。
6.結末について
(1)表現を押さえる。
・またたくまに急なはしごを夜の底に駆け下りた。
・外には、ただ、黒洞々たる夜たる夜があるばかりである。
*黒洞々=底知れず奥深い暗さ
(2)「夜の底」「黒洞々たる夜」のイメージは。
・真っ暗闇。不気味、不安。出口がない。
・現実社会。エゴイズム。人間の心。救いのない未来。
(3)結末部分の書き換えについて考える。
・「下人の行方は、誰も知らない。」
・「下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ、強盗を 働きに急ぎつつあった。」(大正十一年『帝国文学』)
★読者にその後を想像させる。
★下人を冷たく突き放している。
4)下人はどうなったと思うか。
・盗人になった。
・下人が老婆にしたように、誰かに引剥ぎされた。
7.この小説の主題は何か。
・極限状況での善悪。
・受動的な死より、主体的な生。
・生きることの正当性を捏造する大人の論理。
・少年の心の変わりやすさ。
・自己中心的な論理の破局、矛盾。
・生き抜くために悪事さえしなければならない苦悩。
・子供が大人になる儀式。
・人間が生きることのたくましさと恐ろしさ。
8.主題についての自分の考え、あるいは、羅生門の続きを書かせる。
・女 =蛇を干し魚と偽って売っている。 ↑│ ↑ ││許す しなければ飢え死にをするので、仕方がない │↓ ↓ ・老婆=死人の髪の毛を抜く。 ★生きるために仕方なくする悪は許される。 ★自分が相手の悪を許せば、相手も自分の悪を許してくれる。 ★自己中心的。エゴイズム。
・老婆=死人の髪の毛を抜く。 ↑│ ↑ ││許す しなければ飢え死にをするので、仕方がない │↓ ↓ ・下人=老婆の着物を剥ぐ。 ★老婆は、自分の論理で、加害者から被害者になった。=自業自得 ★下人は、老婆の論理によって盗人になる決意をした。 ある勇気 生きることへの強い意志
・外には、ただ、黒洞々たる夜があるばかりである。 ・下人の行方は、誰も知らない。 (下人は、既に、雨を冒して、京都の町へ、強盗を 働きに急ぎつつあった。) ★読者にその後を想像させる。 ★下人を冷たく突き放している。 |
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