なめとこ山とは
なめとこ山の熊のどこがおもしろいのか。端的にいえば、命の奪い合いの話である。
なめとこ山は、大きな山で、なたかも生き物のように冷たい霧か雲かを吸ったり吐いたり、山のなかごろに大きな洞穴が空いていて、そこから地下水脈になった雨水が淵沢川として流れ出てくる。また、熊がごちゃごちゃいて、熊の胆が名高いものになっている。この熊の胆は、腹の痛いのや傷にも効く。
渕沢小十郎とは
渕沢小十郎は熊捕り名人で、なめとこ山の熊を片っ端から捕った。その名はなめとこ山から流れ出る川と同じで、なめとこ山に由来する。彼は赤黒くごりごりしていて、胴は小さな臼ぐらいで、手のひらは毘沙門の手形ぐらい大きく厚かった。菩提樹の皮のけらを着て、はんばきを履き、荒々しい生蕃の使うような山刀と、大きな重い鉄砲を持ち、たくましい黄色い犬を連れて、なめとこ山を自由に歩き回る。小十郎は熊の世界と人間の世界の境界的な存在として位置づけられている。姿形も人間よりも熊に近い。生蕃とは漢民族に同化しなかった台湾先住民族への蔑称であり、日本でも差別的に使われている。家族は、小十郎が四十歳の夏に赤痢で妻と息子を失い、九十歳の母と五人の孫がいる。母と孫の生活費は小十郎一人の稼ぎにかかっている。小十郎が死ねば飢え死にするしかない。
小十郎と熊の関係
なめとこ山の熊は小十郎が好きである。その証拠に高いところから黙って見ている。しかし、小十郎とぶつかって鉄砲を向けられることは好きでなかった。たいていの熊は迷惑そうに手を振って断った。気の激しい熊は立ち上がってかかっていくので鉄砲に撃たれて死んでしまう。「鉄砲」が小十郎と熊を関係づけている。小十郎は、「熊を憎んでいない。しかし、商売だから撃たねばならない。畑もないし、山もお上のものになったし、里でも相手にされないので、仕方なしに猟師になった。熊に生まれたのも因果であるし、猟師になったのも因果である。だから、次は熊に生まれるな」と言う。農耕に適した土地も与えられず、共同地であった山も国有となった。生きていくために熊を殺す、殺されるのは因果であるとしか説明のしようがない。しかし、鉄砲を持っているものと持っていないものの立場の違いは歴然としている。これは熊と人間の関係だけでなく、先住民と外界からの侵入者である文明人の関係でもある。近代の作り出した因果といってよい。皮を剥ぎ、ぐんなりしたふうで谷を下る。そこには熊を殺すことでしか生きていけない罪償感の表れである。これが最後の場面で小十郎の命を決定づける。
熊の母子
ある日、登り口を間違えてなめとこ山に入る。長年なめとこ山で猟をしている小十郎にはあり得ないことである。山の神の悪戯である。そこで、熊の母子に出会う。小十郎にとっては商品はなるとずの獲物である。当然、銃を構える場面である。ところが、二匹の熊から後光がさすように思えた。熊捕りにとっては職業生命を絶つような重大な感覚である。小十郎の職業観が大きく転換する出来事である。小十郎は熊と同じ視線でものを見たことによって熊の言葉がわかった。小熊は冬眠から冷めて初めて見る景色を知ったかぶりして母熊に説明しようとする。母熊は小熊の言葉を優しく受け取りながら、春先の少ない食べ物を探しに昨日歩いて見たことをもとに小熊に話す。小十郎は胸が一杯になり、音をたてないようにこっそりと、風が吹いて気配を悟られないように思いながら、後ずさりした。この時、熊を獲物としてでなく一つの個性を持った生きた存在として認めた。このことは熊捕りにとって致命的なことである。
小十郎と荒物屋の主人の関係
小十郎は熊に対しては優位であるが、荒物屋の主人に対しては気の毒なぐらいみじめだった。小十郎と熊の関係は、そのまま主人と小十郎の関係である。小十郎は主人に代表される里の人間によって山に追いやられた立場である。小十郎は山で殺した熊の胆と毛皮を金銭に替えることで生計を立てている立てている。主人は、また来たかというように薄笑いをし、落ち着きはらって熊の皮を断る。小十郎は、家族のために米を買う金を手に入れるために、しわがれた声でお辞儀をして嘆願する。主人は、にかにか笑うのを隠して買いたたく。その金額は、一家七人の生活の為に殺された熊の値段であり、一家七人の当面の命の値段である。熊と人間の命を金銭に替えてしまうのが資本主義経済社会である。小十郎は安すぎる金をにかにかしながら金を受け取る。主人は安くて熊の皮が手に入ったので機嫌よくなり、小十郎に御馳走する。小十郎はわくわくして、かしこまって山の様子を申し上げる。売値はあまりに安いが、他の人には売れない仕組みになっている。熊は小十郎にやられて、小十郎は主人にやられる。主人は熊には食われない。しかし、嫌なずるい主人は世界が進化すると自然に消えていく。
命乞いする熊
ある年の夏、おかしなことが起こった。いきなり出会った大きな熊が、「何が欲しくておれ殺すのか」と聞く。小十郎は、「毛皮と胆が必要だが、高く売れるわけではない。自分は栗かしだのみでも食べて、飢え死にしてもかまわない」と言う。母子熊との出会いから、熊の言葉がわかるようになり、自分の中に芽生えた疑問をダイレクトに熊から問われたのだ。殺す相手から殺す正当性を問われても、それが因果としか説明できない以上、答えることはできない。小十郎の鉄砲には一家て七人の命が懸かっているのだが、この時の小十郎は自分一人のことしか考えられない。一対一の命を賭けた会話である。熊を殺して生計を立てているにしても、なぜ偶然あったこの熊を殺さなければならないのか。他の熊でもよい、でもその熊に同じ質問をされれば、また他の熊を探すことになり、結局熊を全て殺すことができなくなる。熊は、「し残した仕事があるから二年待ってくれ」と言う。熊は小十郎に飛びかかることもできた。命乞いをするなら、子どもがいるからとか色々あるはずである。熊は自分が殺される因果にある事を納得した。自分が殺されなければ、他の熊が殺される。自分だけが助からねばならない正当性も熊にはない。自然界に生きるものにとって、生死は偶然が決定することである因果を受け入れるしかない。小十郎が後ろから撃たないことをわかっているようにゆっくり去って行った。小十郎も熊の気持ちが十分にわかるから、説明できる正当性はないから、「せつなさ」だけを感じた。猟師としての本分を見失う。猟師ならば、いかなる理由があろうとも自分の生活のために熊を撃つべきなのである。そして二年後、約束どおり熊は小十郎の家の前で舌を噛んで死んでいた。小十郎の前に現れで銃で撃たれるという死に方もあったのだが、それを選ばなかった。小十郎が思わず拝むようにしたのは、熊が約束を守ってくれたからだけではない。小十郎は約束どおりこの熊を銃を撃つということはできなかっただろう。熊は小十郎の「せつなさ」を熊が分かっていたから、そういう事態を回避する死に方を選んだのである。また、熊にとっても、受動的な死ではなく能動的な死を選んだのである。単なる自己犠牲ではない。「鉄砲」を仲立ちとする生死の関係を崩壊させるという大きな意味も含んでいる。
小十郎の死
一月のある日、小十郎は祖母に年をとって水に入るのか嫌だと弱気なことを言い出した。祖母は笑うか泣くかするような顔つきをした。小十郎は夏に目をつけておいた冬眠中の熊を探しに出かけた。しかし、小十郎の目は雪をまぶしく感じてはっきり見えなくなるぐらい衰えていた。その時、その熊が突然小十郎の後ろに現れ、襲ってきた。小十郎は鉄砲を撃つが熊は倒れず、小十郎の頭を殴った。小十郎は「おまえを殺すつもりはなかった」という声を聞いて、自分はもう死んだと思った。この言葉は、小十郎がいつも熊に言っていた言葉。小十郎はこのとき初めて熊の立場になれた。そして青い星が一面に見えた。それは死ぬ時に見る火だと思った。そして、母子熊に出会った時に天上に輝いていたコキエと同じ青い色だった。最後に小十郎は「熊ども、許せよ」と熊たちに許しを乞うた。今まで因果によって殺されていった熊と同じように、自分の死も因果である。
それから三日目の晩、小十郎の座った死骸を囲んで黒い大きなかたまりが輪になっていた。黒い大きなかたまりとは、なめとこ山の生きている熊たちか、小十郎が殺した熊たちか。小十郎は回々教の祈りを捧げられている、いわばオサマビン・ラディンのようだと言うのは冗談として、小十郎の顔は、生きている時のようにさえざえとし、笑っているようにさえ見えた。それは生き死にのやりとりから解放された喜びであったのかもしれない。そしてなめとこ山の自然に帰ることができた喜びなのかもしれない。
板書
0.学習プリントを配布し、宿題にする。
1.音読する。(教師またはテープ)
2.感想を書かせる。
3.漢字の読みと語句の意味を確認する。
因果=原因と結果。前に行った善悪の行為が、それに対応した結果となって現れるとする考え。前世あるいは過去の悪業の報いとして現在の不幸があるとする考え。
柄にもない=ふさわしくないこと。
後光がさす=輝かしい存在になる。
余念なく=他の事を忘れて、その事を熱心にする。
豪儀=勢いがはげしいようす。
豪気=強く勇ましい気性。大胆で、細かいことにこだわらないこと。
思案=[どうしたらよいかと]考えをめぐらすこと。
1.なめとこ山についてまとめる。(はじめ〜片っ端から捕ったのだ。)
1)地形的な特徴は。
・大きな山。
・冷たい霧か雲かを吸ったり吐いたりしている。
・なかごろに大きな洞穴があいていて、淵沢川が出てくる。
2)重要な内容は。
・昔は熊がごちゃごちゃいた。
・熊の胆が名高い。
3)熊の胆の効能は。
・腹痛や傷が治る。
2.渕沢小十郎についてまとめる。(淵沢小十郎は〜少し曲がりながらやってくる。)
1)名前の由来は。
・淵沢川から取っている。
2)職業は。
・熊捕りの名人。
・熊を片っ端から捕った。
3)姿形は。
・赤黒いごりごりしたおやじ。
・胴は小さな臼ぐらいあった。
★雪焼けしている。肉体労働者の特徴で筋肉質。
・手のひらは大きく厚い。
4)持ち物や行動は。
・菩提樹の皮のけらを着ている。
・はんばきを履く。
・山刀と大きな重い鉄砲を持っている。
★生蕃とは、漢民族に同化しなかった台湾先住民族への蔑称であり、日本でも差別 的に使われている。
・たくましい黄色な犬を連れている。
・なめとこ山を自由に歩き回る
5)これらのことからどんな存在と言えるか質問する。
★さまざまな答えが期待できる。
・山の主。
・姿形は、人間よりも熊に近い。
・熊の世界と人間の世界の境界的な存在。
6)家族構成をまとめておく。(この部分には書かれていない)
・四十歳の夏に赤痢で妻と息子を失う。(8910)
・九十歳の母と五人の孫がいる。(9309)
・母と孫の生活費は小十郎一人の稼ぎにかかっている。(9309)
★特殊な家族構成であることを確認する。
3.小十郎と熊の関係について(そこであんまりいっぺんに〜たしかなのだ。)
1)熊は小十郎をどう思っているか。
・好きである。
2)その証拠は。
・黙って高いところから見送っている。
3)鉄砲を持っている小十郎と出会うとどうなるかを確認する。
・たいていの熊は、迷惑そうに手を振って鉄砲を構えられることを断る。
・気の激しい熊が小十郎にかかっていく。
4)銃を持つことの意味を考える。
★いろいろな意見を期待する。
・鉄砲が小十郎と熊の関係を変える。
・鉄砲を持っているものと持っていないものの立場の違いは歴然としている。
・これは熊と人間の関係だけでなく、先住民と外界からの侵入者である文明人の関係でもある。
5)小十郎は熊をどのように思っているか。
・憎くて殺すのではない。
・商売だから射たてければならない。
・ほかの罪のない仕事がしたい。
・しかたなしに猟師をしている。
6)なぜ猟師をしているのか。
・畑もない。
・木はお上のものになった。(国有林として伐採を禁止された)
・里へ出ても誰も相手にしてくれない。
7)小十郎はこのことをどのように思っているか。
・因果だから。
・猟師になったのも因果。
・熊に生まれたのも因果。
8)小十郎がぐんなりしたふうで谷を下る気持ちは。
・熊を殺すことでしか生きていけない罪償感。
9)本当に因果なのかを考える。
・因果ではなく、社会的な差別である。
・因果と思うことであきらめている。
10)十郎の性格は。
★いろいろな意見を期待する。
・運命論者。
・従順な人物。
6.小十郎が母子熊に出会ったことについて(小十郎はもう熊の〜すうっとさした。)
1)出会う原因を確認する。
・柄にもなく登り口を間違えた。
★なめとこ山は自分の庭のようなものなのに、運命の導きである。
2)母子熊を見てどのように感じたかを確認する。
・後光がさすように思えた。
・神聖な感じがする。
3)熊の親子の会話の内容を考える。
・小熊=冬眠から冷めて初めて見る景色に感動している。
知ったかぶりして母熊に説明しようとする。
・母熊=小熊の言葉を優しく受け取る。
春先の少ない食べ物を探しに昨日歩いて見た経験をもとに話す。
4)小十郎が胸いっぱいになった理由を考える。
・神聖な姿に心を打たれたから。
5)「音をたてないようにこっそりと」、「風があっちへ行くな」と思いながら立ち去った理由は。
・熊に気づかれないため。
・気づけば、殺さなければならない。
・母子熊を殺したくないから。
6)小十郎が母子熊と出会った意味を考える。
・熊捕りという職業にとっては致命的なことである。
7.小十郎と荒物屋の主人について(ところがこの豪儀な〜さわってたまらない。)
1)荒物屋の主人の強い姿勢を確認する。
・また来たかというように薄笑っている。(初めから見下している。安く買いたたいてやろうという気持ちで待ち構えている)
・どっかり座っている。(優位を保つために落ち着いている)
・「今日はなんのご用です。」(冷たくあしらう。作戦1))
・「この前のもまだあのまましまってあるし、今日ぁまんついいます。」(値段交渉の前段。作戦2))
・落ち着きはらって、きせるをたんたんと手のひらへたたく。(優位を示すための余裕)
・顔の少しでにかにか笑うのをそっと隠して言った。(安い買いたたくことに成功)
・「二円あげろじゃ」(商行為なのに恩を着せている)
・こんどはだんだん機嫌がよくなる。(安い買いたたいた満足)
・ゆっくりいろいろ話す。(余裕を見せて優位を保つ)
2)荒物屋の主人の意図は。
・できるだけ安く買いたたこうとしている。
・資本家の立場。
3)小十郎の卑屈な態度を確認する。
・「先ころはどうもありがとうごあんした」(下手に出すぎる)
・丁寧に敷板に手をついて言う。(へりくだっている)
・「どうがなんぼでもいいはんて買ってくなぃ」(値段交渉にはまっている)
・心配そうに顔をしかめた。(売れないかもしれない不安)
・「どうかなんぼでもいいはんて買ってくんない」(値段交渉に負けた)
・改めておじぎさえしたもんだ。(態度でも示す)
・押しいただくようにしてにかにかしながら受け取った。(買ってもらって嬉しい)
・うれしくてわくわくしている。(酒を飲める楽しみ。だまされている)
・かしこまって山の模様や何やを申し上げている。(主人の機嫌をとる)
・また丁寧なあいさつをしている。(立場が固定している)
・ちゃんとかしこまってそこへ腰掛けて、(立場の固定)
・うやうやしく黄色な酒を小さな猪口についだりしている。(卑屈な態度)
4)それでも小十郎が熊を売らなければならない理由を考える。
・九十歳になる祖母と子どもばかりの7人の家族に米を買わなければならない。
・いくら安くても買ってもらわなければ生きていけない。
・労働者の立場。
5)熊の値段の二円の価値について確認する。
・当時の米10キロの値段が3円20銭として2円は3分の2強である。
・現在の米10キロの値段が3200円として、2000円に当たる。
・2円で買えるのは6キロ強である。
・7人家族では7日分にしかならない。
★非常に安いことを確認する。
6)猟師と旦那と熊の三すくみの関係を考える。
1)狐拳ではどうかを確認する。
・狐は、猟師に負ける。
・猟師は、旦那に負ける。
・旦那は、狐に負ける。
★完全な三すくみで平等である。
2)現実にはどうかを考える。
・熊は、小十郎にやられる。
・小十郎は、旦那にやられる。
・旦那は、熊に食われない。
しかし、世界の進歩でなくなる。
★三すくみになっていない。
★世界が進歩するとひとりでになくなるとは限らない。
★旦那の一人勝ちである。
7)小十郎の他の打開策を考える。
・荒物屋以外の高く買ってくれる人に売る。
8)それができない理由は。
・資本主義の仕組みである。
・荒物屋でなくて他の人に売る方法を知らない。
★現在は、この仕組みが壊れて、価格破壊が進行している部分もある。
8.熊との約束について(こんなふうだったから〜思わず拝むようにした。)
1)熊の問いを確認する。
・何が欲しくておれ殺すのか。
★「熊」一般ではなく「おれ」という個を問題にしている。
2)以前の因果説を確認する。
・因果で済ましていた問題を再提起された。
3)小十郎の考えをまとめる。
・憎んで殺していたのではない。
・毛皮と胆が高く売れるわけではないが、仕方がない。
↓
・おれも死んでもいいような気がする。
★小十郎も「おれ」という個として答えている。
★この熊が死ぬか自分が死ぬか、命を賭けた一対一の対等の関係である。
★母子熊との出会いから、熊を獲物としてでなく、一つの個性をもった存在と見るようになった影響である。
★家族のことを考えていない。
4)熊の答えを確認する。
・おれも死ぬのはもうかまわない。
・し残した仕事があるから二年待ってくれ。
5)他の選択肢は考えられないか。
・小十郎に飛びかかる。
・逃げる。
・命乞いをする。
・その場で撃たれて死ぬ。
6)他の選択肢を選ばなかった理由は。
・死ぬという運命を受け入れた。
・自分が殺されなければ、他の熊が殺される。
7)小十郎の態度と気持ちを考える。
1)「ぼんやり立っていて、熊を撃たなかった」意味は。
・猟師ならば、いかなる理由があろうとも自分の生活のために熊を撃つべきである。
2)「せつなそうにうなって谷を渡って帰る」気持ちは。
・なぜ熊を殺さなければならないのかという疑問と罪の意識に苛まれている。
8)熊の死に方とその意味を考える。
・小十郎の家の前で舌を噛んで死んでいた。
・小十郎の鉄砲に撃たれて死ぬことも可能であった。
★受動的な死ではなく、能動的な死を選んだ。
9)小十郎が思わず拝むようにした理由は。
・熊が約束を守ってくれたからだけではない。
・熊を銃を撃つことを回避できる死に方を選んでくれたことに感謝している。
・この死に方は、熊にとっても小十郎にとってもよかった。
9.小十郎の死を迎える気持ちを考える。(小十郎は白沢の岸を〜おわり)
1)小十郎の死を予感した言葉を確認する。
・おれも年老った。
・生まれて初めて水に入るのが嫌になった」
2)熊を撃ち損なった理由は。
・年老いていた。
・雪で目が見えにくくなっていた。
・なぜ熊を殺すのかという意識で一瞬ためらって手元が狂った。
★熊の母子との出会いが強く影響している。
3)「お前を殺すつもりはなかった」は誰の言葉か。
・目の前の熊。
・小十郎が今まで殺した熊。
・小十郎自身。
4)殺すつもりはなかったのに、なぜ殺したのか。
・熊が、自分を守るために小十郎を殺した。
・小十郎も、家族の生活を守るために熊を殺した。
5)「熊ども、許せよ」と言った小十郎の気持ちを考える。
・今まで殺した熊の気持ちがわかった。
・熊と同じ立場になった。
6)「死んだしるし」とは何か。
・青い星のような光。
・母子熊に出会った時に天上に輝いていた胃(コキエ)と同じ青い色だった。
★ここでも、熊の母子との出会いが関係している。
7)情景描写に注意する。
・青白い月、青白い雪、青白い水、緑や橙の星。
・参の星はオリオン座のことで、オリオン座は猟師の星座である。
・小次郎は死んで星になったと言うイメージ。
8)「黒い大きなもの」とは何か。
・なめとこ山の熊たち。
・小十郎が殺した熊たち。
9)小十郎の顔が、笑っているようにさえ見えた理由は。
・熊に対して罪滅ぼしができた喜び。
・熊を殺すことから解放された喜び。
・なめとこ山の自然に帰ることができた喜び。
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