夢応の鯉魚
 
雨月物語


 昔、三井寺に興義といふ僧がいた。絵がうまく、湖で漁師から買い取って湖水に放した魚を描いているうちに、見事に描けるようになった。ある時、湖水で魚と遊ぶ夢を見たのを絵に描いて「夢応の鯉魚」と名付けた。
 ある年、病気で急死した。しかし、生き返って話し始めた。
 「死んだのも忘れて、熱を冷まそうと琵琶湖畔に来た。服を脱いで飛び込み泳ぎ回った。次第に魚を羨ましく思うようになった。すると大魚が願いを叶えようという。海神は、生前捕らえた魚を逃がしてくれたお礼に、金色の鯉の服を与え、自由に泳ぐようにしてくれた。ただし、よい香りのする餌を食べて釣り上げられないようにと忠告した。
 興義は魚の服を着て自由に泳ぎ回った。急に腹が減ってきて、食べ物を探していると、知り合いの文四の釣り糸に出会った。一旦は我慢したが、空腹に堪えられず、餌を食べても大丈夫だろう、まして知り合いの文四だからというので餌を食べた。
 すると、たちまち文四に釣り上げられた。いくら叫んでも通じない。文四は私を捕らえて平の助の家へ連れていった。みんな大喜びで、いくら叫んでも通じない。とうとう料理人が切ろうとした時に、目が覚めた。


1.【説】『雨月物語』について説明する。
 ・作者は、上田秋成。読本作家。国学者。
 ・成立は、江戸時代中期。
 ・ジャンルは、読本。
 ・中国の白話小説をもとにした、伝奇的な内容。
2.【指】学習プリントを配布し、学習の準備を宿題にする。
3.【指】漢字の読み方の確認をする。
 暇  海人  大小  鯉魚  徒弟  睦まじ  詣で  柩  杖  籠  雲居 畔  碧  現なき  躍る  彼此  戯れ  傍ら  大魚  冠装束  海神
 詔  放生  功徳  金鯉  芳し  鰭  逍遙  戒め  甚だし  烏滸  腮  蘆間  奔す  鱠手  指  俎板  例  哭

第一段落
 
4.昔、延長のころ、三井寺に興義といふ僧ありけり。絵に巧みなるをもて名を世にゆるされけり。常に画くところ、仏像・山水・花鳥を事とせず。寺務の暇ある日は湖に小船を浮かべて、網引き釣りする海人に銭を与へ、獲たる魚をもとの江に放ちて、その魚の遊ぶを見ては画きけるほどに、年を経て細妙にいたりけり。
 1)設定は
  1)いつ
   ・延長のころ。
   ・醍醐天皇のころ。九二三〜九三一年。平安時代中期。
  2)どこ
   ・三井寺。
   ・滋賀県大津市、琵琶湖畔。
  3)だれ
   ・興義
   ・僧
  4)何で有名か。
   ・絵を描く。
  5)何を描いたか。
   ・魚の絵。
   ・漁師が釣った魚を買い取って、湖水に放った魚を描いた。
 2)助動詞は
  ・ゆるされ(受身)けり(過去)。
 3)訳す。
  ・昔、延長のころ、三井寺に興義といふ僧がいた。絵がうまいので名声を世の中で認められていた。いつも描くものは、仏像・山水・花鳥を選ばない。寺の仕事の暇がある日は湖に小船を浮かべて、網を引き釣りをする漁師に金を与へて、捕った魚をもとの湖水に放って、その魚が遊ぶを見ては描いているうちに、年を経て細部まで見事に描くようになった。

5.ある時は絵に心を凝らして眠りをさそへば、夢のうちに江に入りて、大小の魚とともに遊ぶ。覚むればやがて見つるままを画きて壁に貼し、みづから呼びて夢応の鯉魚と名付けけり。
1)語句
 ・やがて=すぐに
2)どんな夢を見たか。
 ・「江に入りて、大小の魚とともに遊ぶ」
3)自分の絵をなんと名付けたか。
 ・「夢応の鯉魚」
 ・夢にあらわれた鯉。
4)訳す。
・ある時は絵に思いを込めて眠くなると、夢の中で湖水に入りて、大小の魚と一緒に遊ぶ。目を覚ますはすぐに見たままを描いて壁に貼り、自分で夢応の鯉魚と名付けた。


第二段落
 
6.ひととせ病にかかりて、七日を経てたちまちに眼を閉ぢ息絶えてむなしくなりぬ。徒弟友どちあつまりて嘆き惜しみけるが、ただ胸のあたりの少し暖かなるにぞ、もしやと居めぐりてまもりつも三日を経にけるに、手足少し動き出づるやうなりしが、たちまちため息を吐きて、目を開き、醒めたるがごとくに起きあがりて、人々に向かひ、
1)語句
 ・ひととせ=ある年。
  ・たちまち=急に
  ・むなしくなる=死ぬ。
 ・まもる=じっと見守る。
2)日数的な経緯は。
 ・病気にかかって七日後に死ぬ。
 ・死んで三日目に生き返る。
3)三日間見守った理由は。
 ・「胸のあたりの少し暖かなる」
4)文法
 ・むなしくなりぬ(完了)
 ・暖かなるに(断定)ぞ(係助詞・強意)→経にける(流れ)に(格助詞)
 ・経に(完了)ける(過去)に(接続助詞・逆接)
 ・やうなりし(過去)が
5)訳す。
・ある年、病気にかかって、七日たって急に目を閉じ息絶えて死んでしまった。弟子の僧や友だちが集まって嘆き惜しんだが、ただ胸のあたりが少し暖かいので、もしかしたらと周りに座ってずっと見守りながら三日がたったが、手足が少し動き出したようであったが、急に息を吐いて、目を開き、目覚めたように起きあがって、人々に向かって、

7.「我、人事を忘れて既に久し。幾日をか過ごしけん。」
 衆弟ら言ふ。
「師、三日前に息絶えたまひぬ。寺中の人々をはじめ、日ごろ睦まじく語りたまふ殿ばらも詣でたまひて葬りのことをもはかりたまひぬれど、ただ師が胸の暖かなるを見て、柩にも納めでかく守りはべりしに、今や蘇生りたまふにつきて、『かしこくもものせざりしよ。』と怡びあへり。」
1)語句
 ・人事=正気。
 ・詣で=「来」の謙譲語。
2)「蘇生りたまふ」に該当ずる前の部分は。
 ・手足少し動き出づるやうなりしが、たちまちため息を吐きて、目を開き、醒めたる  がごとくに起きあがりて、
3)「ものせざり」とは何を指しているのか。
 ・柩にも納めで
4)文法
 ・か(係助詞疑問)→けん(過去推量連体)
 ・たまひぬ(完了終止)
 ・はべりし(過去連体)
 ・せざり(打消連用)し(過去連体)
5)敬語
 ・息絶えたまひ(尊敬・弟子→興義)
 ・語りたまふ(尊敬→殿ばら)
 ・詣で(謙譲→興義)たまひ(尊敬→殿ばら)
 ・はかりたまひ(尊敬→殿ばら)
 ・守りはべりし(丁寧→興義)
 ・蘇生りたまふ(尊敬→興義)
6)訳す。
・「私は、正気失ってすでに長い。何日過ごしただろうか。
弟子たちが言う、
 「お師匠様は、三日前に息が途絶えなさった。寺中の人々をはじめ、日ごろ仲良く語りあっていらっしゃった皆様方も参上なさって葬儀の計画なさったけれど、棺桶にも納めないでこのように守りましたが、今や生き返りなさったことについて、よくも葬らなかったものだと』と喜び合った。


第三段落
 
8.興義語りて言ふ。
「我、このごろ、病に苦しみて堪へがたきあまり、その死したるをも知らず、熱き心地少し冷まさんものをと、杖にたすけられて門を出づれば、病もやや忘れたるやうにて、籠の鳥の雲居に帰る心地す。
1)語句
 ・雲居=大空。
2)「その」の指示内容。
 ・自分
3)私語の気持ちは。
 ・籠の鳥の雲居に帰る心地す。
4)文法
 ・冷まさん(推量終止)
 ・たすけられ(受身連用)
5)訳す。
・興義が語って言うには。
「我、このごろ、病気に苦しんで堪えきれない余り、自分が死んだのも知らず、熱き心地を少し冷まそうと、杖に助けられて門を出ると、病も少し忘れたようで、籠の中の鳥が大空に帰る心地がする。

9.山となく里となく行き行きて、また江の畔に出づ。湖水の碧なるを見るより、現なき心に『浴びて遊びなん。』とて、そこに衣を脱ぎ捨てて、身を躍らして深きに跳び入りつも、彼此に泳ぎめぐるに、幼きより水になれたるにもあらぬが、思ふにまかせて戯れけり。今思へば愚かなる夢心なりし。されども人の水に浮かぶは魚のこころよきにはしかず。ここにてまた魚の遊びをうらやむ心おこりぬ。
1)語句
 ・現なき心=夢見心地
 ・されども=しかし。
2)湖水を見てどんな気持ちになるか。
 ・現なき心。
3)「愚かなる夢心」とは。
 ・思ふにまかせて戯れけり。
4)それでも、どんな気持ちになったか。
 ・人の水に浮かぶは魚のこころよきにはしかず。ここにてまた魚の遊びをうらやむ心  おこりぬ。
5)文法
 ・遊びな(強意未然)む(意志終止)
 ・あらぬ(打消連体)
 ・愚かなる(形容動詞連体形語尾)
 ・夢なり(断定連用)し(過去連体)
 ・おこりぬ(完了終止)
6)訳す。
・山となく里となく行って、また琵琶湖の畔に出た。湖水が緑色であるのを見るとすぐに、夢見心地で『浴びて遊ぼう。』と、そこに衣を脱ぎ捨てて、身を躍らして深い所に飛び込んでも、あちらこちら泳ぎ回っていると、幼い頃から泳ぎに慣れたようでもないが、思い通りに戯れた。今思えば愚かな夢心だった。しかし人が水に浮かぶのは魚の心地よさには及ばない。ここでまた魚の遊びをうらやましく思う心が起こった。

10.傍らにひとつの大魚ありて言ふ。『師の願ふ事いとやすし。待たせたまへ。』とて、はるかの底に行くと見しに、しばしして、冠装束したる人の、前の大魚にまたがりて、あまたの鼇魚を率ゐて浮かび来たり、我に向かひて言ふ。
1)「師の願ふ事」とは何か。
 ・魚の遊びをうらやむ心
 ・魚になりたいこと。
2)新たな登場人物(?)は。
 ・大魚と冠装束したる人。
3)敬語
 ・待たせ(尊敬)たまへ(尊敬・大魚→興儀)
4)訳す。
・傍らに一匹の大魚がいて言ふ。『お師匠様の願うことはたいへんたやすい。お待ちになってください。』とて、はるかの底に行くと見えたが、しばらくして、冠や装束をつけた人が、先程の大きな魚にまたがって、多くの魚類を率いて浮かび上がってきて、我に向かって言ふ。

11.『海神の詔あり。老僧かねて放生の功徳多し。今、江に入りて魚の遊びを願ふ。仮に金鯉が服を授けて水府の楽しみをせさせたまふ。ただ餌の芳しきにくらまされて、釣りの糸にかかり身を亡ふことなかれ。』と言ひて去りて見えずなりぬ。
1)語句
 ・詔=偉い人のお言葉。詔勅。
 ・放生=捕らえた生き物を放してやる。
 ・功徳=善行。
 ・仮に=そこで
2)「冠装束したる人」の正体は。
 ・海神の使い。
3)興義の願い事は。
 ・魚の遊び。
4)海神が興義の願いをかなえた理由は。
・放生の功徳多し。
5)どのようにして願いをかなえたか。
 ・金鯉が服を授けて
6)その時、忠告したことは。
 ・餌の芳しきにくらまされて、釣りの糸にかかり身を亡ふことなかれ
7)文法・敬語
 ・せさせ(使役)たまふ(尊敬・冠装束したる人→海神)
 ・くらまされ(使役)
 ・見えず(打消連用)なりぬ(完了終止)
8)訳す。
・『海神のお言葉がある。老僧は以前から捕らえた魚を放してやるという善行が多い。今、湖水に入って魚の遊びをすることを願っている。仮に金色の鯉の服を与えて水中の世界を楽しみをさせなさる。ただ餌の芳しい匂いに惑わされて、釣り糸にかかり身を失うことがないように』と言って去って見えなくなった。
12.不思議のあまりにおのが身をかへり見れば、いつのまに鱗金光を備へてひとつの鯉魚と化しぬ。あやしとも思はで、尾を振り鰭を動かして心のままに逍遥す。」
1)語句
 ・あやし=不思議な。
 ・逍遙す=泳ぎ回る。
2)変身後の気持ちは。
 ・あやしとも思はで、尾を振り鰭を動かして心のままに逍遥す。
3)文法
 ・化しぬ(完了終止)
4)訳す。
・不思議のあまりに自分の身をかへり見ると、いつのまに金色に光る鱗を身につけて一匹のひとつの鯉となっていた。不思議だとも思わないで、尾を振りヒレを動かして心のままに泳ぎ回った。」

第四段落
 
13.「にはかにも飢ゑてものほしげなるに、彼此にあさり得ずして狂ひゆくほどに、たちまち文四が釣りを垂るるにあふ。その餌はなはだ芳し。心また河伯の戒めを守りて思ふ。『我は仏の御弟子なり。しばしものを求め得ずとも、なぞもあさましく魚の餌をのむべき。』とてそこを去る。
1)興義の葛藤は。
 ・にはかにも飢ゑてものほしげなる
 ・なぞもあさましく魚の餌をのむべき
 2)「河伯の戒め」とは。
  ・ただ餌の芳しきにくらまされて、釣りの糸にかかり身を亡ふことなかれ。
 3)文法
  ・のむべき(可能連体)
 4)訳す。
  ・「急に腹が空いてものがほしくなるが、あちこち餌をあさることもできず狂ったように探し回っていると、すぐに文四が釣り針を垂れているのに出会った。その餌はたいへんよい香りがする。心ではまだ海神の戒めを守って思う。『我は仏の御弟子である。しばらくものを求めなくても、どうしてあさましく魚の餌をのむだろうか、いや飲まない。』と言ってそこを去る。

14.しばしありて飢ゑますます甚だしければ、重ねて思ふに、『今は堪へがたし。たとへこの餌をのむとも烏滸に捕られんやは。もとより彼はあひ識るものなれば、何のはばかりかあらん。』とてつひに餌をのむ。
1)語句
 ・烏滸=愚かな。
 ・はばかり=遠慮。
2)「彼」とは誰か。
 ・文四。
3)餌を食べることを正当化する理由は。
 ・文四は知り合いだから、釣り上げられても、興義と気付いて逃がしてくれるだろう。
4)文法
 ・捕られ(受身未然)ん(推量終止)や(係助詞反語)は【あらむ】
・はばかりか(係助詞反語)あらん(推量連体)
5)訳す。
・しばらくして空腹がますます激しくなるので、重ねて思うのに、『もう堪へがたい。たとへこの餌を飲んでも愚かにも捕らえられるだろうか、いや捕らえられないだろう。もとより彼(文四)は知り合いなので、何の遠慮があるだろうか。』と言ってとうとう餌を飲んだ。

15.文四はやく糸を収めて我を捕らふ。『こはいかにするぞ。』と叫びぬれども、彼かつて聞かず顔にもてなして、縄をもて我が腮を貫き、蘆間に船を繋ぎ、我を籠に押し入れて、君が門に進み入る。君は賢弟と南面の間に奔して遊ばせたまふ。掃守、傍らにはべりて菓を食らふ。文四がもて来し大魚を見て人々大いにめでさせたまふ。
1)語句
 ・聞かず顔=素知らぬ顔。
2)「こはいかにするぞ。」の会話の主とそう言った理由。
 ・興義。
 ・文四が興義だと気付かないから。
3)興義と文四との断絶は。
 ・叫びぬれども、彼かつて聞かず顔にもてなして
4)「君」の説明をする。
 ・第三段落からの興義の語りは、夢から醒めた興義が、鯉の膾でげ宴会をしているはずの平の助を呼んで語っている設定になっている。
5)文法・敬語
 ・遊ばせ(尊敬)たまふ(尊敬→君)
 ・傍らにはべり(謙譲→君)
 ・めでさせ(尊敬)たまふ(尊敬→人々)
6)訳す。
・文四は早く糸を収めて我を捕らえる。『これは、どうするのだ。』と叫んだけれども、彼は全く知らない顔でもてなして、縄で私のエラを貫き、蘆の間に船を繋ぎ、我を籠に押し入れて、あなたの家の門に進み入る。あなたは弟君と南面の間で囲碁をして遊んでいらっしゃる。掃守は傍ら仕えて菓を食べている。文四が持ってきた大魚を見て人々大いにおほめになる。

16.我、その時人々に向かひ、声をはりあげて、『方々らは興義を忘れたまふか。ゆるさせたまへ。寺に帰させたまへ。』としきりに叫びぬれど、人々知らぬさまにもてなして、ただ手を拍つて喜びたまふ。鱠手なるもの、まづ我が両眼を左手の指にて強くとらへ、右手に研ぎすませし刀をとりて俎板にのぼし、既に切るべかりし時、
1)「寺」とは。
 ・三井寺。
2)興義と人々との断絶は。
 ・しきりに叫びぬれど、人々知らぬさまにもてなして
3)文法・敬語
 ・たまふ(尊敬・興義→人々)
 ・知らぬ(打消連体)さま
 ・切るべかり(意志連用)し(過去連体)
4)訳す。
・私が、その時人々に向かって、声を張り上げて、『みなさまは興義をお忘れになったのか。お許しください。寺にお帰しください。』としきりに叫んだけれど、人々は知らぬ様子でもてなして、ただ手を打ってお喜びになる。料理人がまず私の両目を左手の指で強く抑えて、右手に研ぎすませた刀をとりて俎板に乗せ、今にも切ろうとする時、

17.我苦しさのあまりに大声をあげて、『仏弟子を害する例やある。我を助けよ、我を助けよ。』と哭き叫びぬれど、聞き入れず。つひに切らるるとおぼえて夢覚めたり。」
と語る。
1)語句
 ・例=理法。
2)興義と人々との断絶は。
 ・哭き叫びぬれど、聞き入れず。
3)文法
 ・例や(係助詞反語)ある(ラ変連体)
 ・切らるる(受身連体)
4)訳す。
・私が苦しさのあまりに大声をあげて、『仏弟子を殺すという法があるだろうか。私を助けよ、私を助けよ。』と哭き叫んだが、聞き入れず。つひに切られると思ったところで夢が覚めた。」と語る。

18.その後の話。
 ・平の助は膾の残りを湖に捨てさせた。
 ・興義は天寿を全うして死んだ。
 ・死ぬ間際に鯉の絵を湖に散らすと、鯉が絵から抜け出て泳ぎだした。

19.もし変身できるとしたら何に変身したいか、その理由は。
 ・変身譚は『山月記』でもま学習した。

20.この物語では、主人公は鯉に変身したが、作者は何が言いたかったのか。
 1)興義は、変身することで何を手に入れようとしたか。
  ・自由。
  ・「籠の鳥の雲居に帰る心地す」
   「されども人の水に浮かぶは魚のこころよきにしかず」
 2)変身した結果どうなったか。
  ・言葉が通じなくなった。
 3)何が言いたかったのか。
  ・現実から逃避して自由を手に入れても幸福になれるのか。

21.出典について
 ・『薛録(せつろく)事魚服シテ仙を証スルコト』『魚服記』
 ・第一段落の放生の夢を付け加えた。夢を主題にしている。
 ・原典では主人公は役人だが、雨月物語では僧になっている。



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夢応の鯉魚  学習プリント点検  月  日

学習の準備
1.次の語の読み方を書け。
 暇  海人  大小  鯉魚  徒弟  睦まじ  詣で  柩  杖  籠  雲居 畔  碧  現なき  躍る  彼此  戯れ  傍ら  大魚  冠装束  海神 詔  放生  功徳  金鯉  芳し  鰭  逍遙  戒め  甚だし  烏滸  腮  蘆間  奔す  鱠手  指  俎板  例  哭
2.次の語句の意味を調べよ。
 やがて  ひととせ  むなしくなる  たちまち  人事  雲居  放生  功徳 あやし  逍遙す  あさまし  烏滸  かつて  
3.訳を本文プリントの左側に書きなさい。

学習のポイント
1.興義の身分や特技を理解する。
2.大魚の申し出の伏線を理解する。
3.絵を描いていて眠った時の夢の話を理解する。
4.興義が息絶えた時の周囲の対応を理解する。
5.死んだ後の興義の気持ちを理解する。
6.湖水で泳いだ時の気持ちを理解する。
7.大魚が興義の願いを叶えた理由を理解する。
8.大魚が興義に注意したことを理解する。
9.変身した時の気持ちを理解する。
10.餌に食いつくまでの心の葛藤を理解する。
11.釣り上げられた興義と周囲の人間との断絶を理解する。
12.興義の変身の意味を理解する。