作者は木が好きな理由は、「黙っている」「歩いたり走ったり」「愛とか正義とかわめかない」。
  「ほうとうにそうか」。
  ある人は、「ゆったりと静かな声で」「囁いている」、「空に向かって」「歩いている」、「地の下へ」「稲妻のごとく走っている」と言う。
  よく考えてみると、木は、「たしかにわめかない」。しかし、「小鳥が飛んできて」「枝にとまる」から「愛そのものだ」。「地下水を根から吸いあげて」「空にかえす」から「正義そのものだ」。
 「若木」も「老樹」も、「ひとつとして同じ」ではない。
 そんな木を「大好きだ」。
 作者は最初、木の物静かな所が好きだと言っていた。しかし、ある人は、風にさやいだり、上に向かって伸びたり、地下に向かって根を伸ばしたりしていると言う。それを聞いて、小鳥たちを温かく包む様子は愛であり、水を吸い上げて空に返す様子は正義であると思う。そうして木を見てみると、一本として同じ木はない。そういう、個性的な木を改めて大好きになる。


1.生徒と何度も音読する。
2.感想を聞く。

第一連
3.作者が木を好きな理由は。
 ・黙っているから。
 ・歩いたり走ったりしないから。
 ・愛とか正義とかわめかないから。
4.これらの技法は。
 ・擬人法。
5.「しゃべっている」「歩いている」「走っている」「愛や正義をわめく」という人間 の行為の共通点は。
 ・人間の軽薄さ。
 ★「わめく」はマイナスの表現。
6.結局、作者は木のどういう所が好きなのか。
 ・どっしりと落ち着いているところ。

第二連
7.何に対して、「本当にそうか」と疑問を持っているのか。
 ・木が黙っている、歩いたり走ったりしない、愛とか正義とかわめかないこと。

第三連
8.「見る人」とはどんな人か。
 ・真実を見極めることのできる人。
9.「木は囁いている」とは具体的にどういうことか。
 ・木が風に揺れて葉がこすれあう音。
10.「木は歩いているのだ 空に向かって」とは具体的にどういうことか。
 ・枝を伸ばしている。
11.「木は稲妻のごとく走っているのだ 地の下へ」とは具体的にどういうことか。
 ・根を伸ばしている。
12.なぜ、木は「愛そのもの」なのか。
 ・小鳥が飛んできて枝にとまるから。
 ・自然に優しいから。
13.なぜ、木は「正義そのもの」なのか。
 ・地下水を吸い上げて空に返すから。
 ・自然の循環の営みをしているから。

第四〜六連
14.作者が木が好きな理由は。
 ・一本一本の木が独自性を持っているから。
 ・個性的であるから。
15.第一連で木を好きだといったこととの違いは。
 ・人間が文明化するために急速な成長や人間中心の思想を展開してきた。
 ・自然の中にある。
 ・一つ一つ違う。

全体
16.この詩で使われている修辞は。
 ・比喩。
 ・木に、人間の本来あるべき姿をたとえて表現している。
 ・木に対する作者独自の視点がある。



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