一瞬を生きる
 
原田宗典


教材観
 彼は「ボーヤ」と呼ばれていた。二十三歳ではなるが、背が低く、顔だちも幼なかったからである。当然彼は気に入っておらず、「むかむか」していた。《しかし後で、老カメラマンに出会って認める。》専門学校を出で二年ほどフラフラしていて、スタジオマンとして頼み込んで雇ってもらった。写真が好きなのだ。
 スタジオマンはスタジオを利用するカメラマンのアシスタントをする。そのカメラマンは若いか二流三流で、商品撮影のおもしろくない仕事が中心である。彼らはアシスタント上がりの者が多く、復讐するようにスタジオマンにつらく当たる。だから、スタジオマンは奴隷以下、虫けらのような仕事と自嘲する先輩が多く、志もなく漫然と仕事をしている。
 しかし、彼は、いつかいい写真を撮って賞をもらってのし上がろうと思っている。しかし、なかなか変化が訪れない現状に「いらいら」していた。
 ある日、有名な老カメラマンがスタジオを借りに来た。彼はすかさずアシスタントを申し出た。写真について多くを学ぶ絶好のチャンスである。彼は緊張して初対面する。背が高く、がっしりした肩幅、顔つきも精悍で、力強い光を放つ瞳が一流の男の風貌を表していた。彼は自分がちっぽけな少年「ボーヤ」にすぎないことを思い知った。沈黙のまま三時間が過ぎ、彼は「何を撮るんですか」とつまらない質問をする。《アシスタントはただカメラマンの仕事を手伝えばいいのであって、仕事に口出しをしてはいけない。》彼は老カメラマンの気分を害したのではないかと赤面する。しかし、老カメラマンは長い沈黙の後真摯な顔で「おれにもわからない。一週間の間に撮れればいいのに」と言う。《目的も明確でないのに期間だけが区切られている。癌で蝕まれた残り少ない余命の中で撮っておかねばならない物があるのだが、自分自身にもそれが何であるかわからないのだ。しかし、不思議と焦りはみられない。見つからなければそれだけの人生だったと諦めているのか。》
 三日間、老カメラマンは何もせず、彼はいらだちを募らせた。アシスタントとして何も学べないからである。老カメラマンは昼食を我慢する彼に気づき「人間というのは、少し空腹の方が鋭くなる」と言う。《老カメラマンはかつてのハングリー精神を思い出したのかもしれない。》その会話がきっかけで少しずつ会話するようになる。老カメラマンは毎日「君はいくつだ」「写真は好きか」と尋ねる。《まるで、自分の原点を確かめるように。》そして、過去の仕事について語り始める。その話は機知に富んでいて、まるで目の前にその風景が広がるように驚くべき表現力を備えていた。《今までの自分の仕事を振り返り、自分は何であったのかを確認しているのかもしれない。》
 四日目の朝、老カメラマンはそれまでと違う厳しい顔でスタジオを訪れ、一人で準備を始め、彼を被写体にして写真を撮り始める。《撮るべき物を見つけたのだろう。》「君は今いくつだ」といつもの質問の後、「自分の年について、どう思う」と質問する。「若くて嫌だ」と答えると「どうしてだい」と会話が続く。《老カメラマンは、彼の若さが今ではうらやましい。しかし、昔は彼のように嫌っていた自分をそこに見出したのかもしれない。そして、彼の現状を打破したいという向上心にも触発されたのだろう。》その間老カメラマンは一時間ほどシャッターを切り続ける。彼は自分が被写体になっていることを忘れた。撮り終わって、老カメラマンはふっと寂しそうな表情になる。疲れ切った様子である。《癌で蝕まれている体の残っている全精力を使い果たしたのだろう。》それから二日間、スタジオに誰も入れないで一人でひそかに何かを撮り続けた。《何を撮り続けたのか。スタジオの中で撮れる物は何か。かつて撮った女優や異国の風景はない。あるものはカメラと彼自身である。今までの生き方を確かめるように、カメラを据えて自分自身を被写体にして写真を撮り続けていたにちがいない。自分自身を撮る姿は誰にも見られたくなかったし、集中したかったのだろう。》一週間のレンタルを一日早く切り上げた。《満足できる写真が撮れたのだろう。》そして、二度とスタジオを訪れなかった。彼は挨拶もなく、何を撮っていたのか教えてもらえず、深く傷ついた。
 二週間後、老カメラマンが癌で死んだことを知った。最後にスタジオで撮った写真は故人の意志で現像されないまま柩に収められた。《柩に入れるのは生前故人が大切にしていたものである。現像しなかったのは、他人に見せる必要のない、自分自身の存在確認だったからであろう》その話を聞いて彼は、老カメラマンが何を撮ろうとしていたのかわかった気がした。そして、ごみ箱から拾っておいた「二十三です」と答えた瞬間のあまりにも生き生きとした若者のポラロイドを眺めた。《老カメラマンは、若くて写真が好きだった頃の自分に戻って自分自身を撮っていたのだろう。そして、それは誰かに見せるものでなく、自分自身の存在の証明として、一緒にあの世へ持っていきたかったのだろう。死に直面しても、自暴自棄になることなく、最後まで自分とは何だったのかを確かめながら死んで行った老カメラマンに、彼は人生のモデルを感じたのだろう。たとえ今は不孝な境遇にあったにしても、情熱を持って一瞬一瞬を生きていたなら、人生の最後に自分の存在意義が見つかる。》老カメラマンの撮った彼は、あまりにも生き生きとしていた。
 
生徒観

 生徒は若いスタジオマンに近い年齢である。好きなことを仕事にして打ち込む姿に共感するだろう。そして、人生の偉大な先輩に出会うことによって、自分の人生のモデルを見つける。高校一年で、まだ自分がしたいことがわからない生徒も多いと思う。カメラマンになろうと思っている生徒はいないかもしれないが、人生の出会いを仮体験してほしい。
 
指導観
 まず、最後まで読んで、老カメラマンが何を撮っていたかを書かせる。それを元にして、
始めから読み返しながら、伏線に気づき、答えに近づいていく。0.【指】学習プリントを配布し、読みと意味を宿題にする。


0.【指】学習プリントを配布して、漢字と語句の意味を調べさせる。
1.【L1】漢字の読みを確認する。
 お世辞  復讐  奴隷  自嘲  志  漫然  撮る  愚痴  行方  喉 
 壁際  魅力  精悍  魅せる  風貌  赤面  真摯  煙草  被写体
 募る  機知  山の端  有無  面食らう  絶妙  装塡  明後日  茫然
 傍ら  請う  務める  訃報  癌  蝕む  柩
 原稿  地味  見栄え  老練  勘  優れた  模倣  営み  余地  
2.【説】語句の意味を確認する。
 自嘲=自分で自分をつまらぬものとして軽蔑すること
 漫然=りとめのないさま。ぼんやりとして心にとめないさま
 鼻で笑う=相手を見下してあざけり笑う。鼻先でふんと笑う。
 精力的=疲れを見せずに物事に積極的に対処していくさま。
 精悍=つきや態度に勇ましく鋭い気性が現れていること。
 風貌=身なりや顔つきなど、外から見たその人のようす。
 真摯=まじめで熱心なこと。
 機知=その場に応じて、とっさに適切な応対や発言ができるような鋭い才知。
 制する=人の行動などを押さえとどめる。
 有無を言わせない=相手の承知・不承知にかかわりなく。無理やり。
 面食らう=突然の事に驚きとまどう。
 装塡=中に詰め込むこと。
 歯がゆい=もどかしい。
 訃報=死去したという知らせ。

【W】用紙を配布し、老カメラマンは何を撮ったのか、そう考えた理由を書かせる。

4.【指】教師が音読する。

【W】老カメラマンは何を撮ったのか、そう考えた理由を書くことを書かせる。
 ・次の時間に、いくつかを紹介する。


第一段落(はじめ〜3904)
 ★彼がボーヤと呼ばれる理由と、彼の気持ちを理解する。
 ★スタジオマンの仕事の内容と評価を理解する。
 ★彼の夢と今の気持ちを理解する。

1.【指】一文ずつ音読させる。

2.彼の経歴について。
 1)【L1】年齢は。
  ・二十三歳。
 2)【L1】経歴は。
  ・専門学校を出て二年ほどふらふらしていた。
  ・今の職場に就職した。
 3)【L2】「就職した」と「頼み込んで雇ってもらった」の違いは。
  ・就職したは、単に生活の金を得るため。
  ・頼み込んでは、仕事にやりがいを見つけて積極的に選んだ。
 4)【L2】専門学校を出てからの二年間は何をしていたか。
 ・やりたい仕事を探していた。

3.スタジオマンについて
 1)【L1】彼の仕事は何か。
  ・スタジオマン。
 2)【L1】どんな仕事か。
  ・スタジオを利用するカメラマンのアシスタントをする。
 3)【L1】どんなカメラマンがスタジオマンを利用するのか。
  ・若いカメラマンか二流三流のカメラマン。
  ・有名なカメラマンは専属のアシスタントを何人も抱えているので利用しない。
 4)【L1】そのカメラマンの仕事の内容は。
  ・商品撮影。
  ・面白い仕事とはいえない。
 5)【L4】カメラマンとして面白い仕事とは。
  ・人物を撮る。
  ・風景を撮る。
  ・事件を撮る。
 6)【L1】彼らのスタジオマンへの対応は。
  ・つらく当たる。
 7)【L1】それはなぜか。
  ・自分がスタジオマン時代にこき使われた復讐をしている。
  ・負の連鎖ですさんだ世界。
 8)【L1】スタジオマンの評価は。
  ・奴隷以下。
  ・虫けら。
 9)【L1】先輩のスタジオマンはその評価をどう思っているか。
  ・自嘲的に認めている。
  ・志もなく、漫然と仕事をこなしている。

4.彼が「ボーヤ」と呼ばれていたことについて
 1)【説】「ボーヤ」の意味を確認する。
  ・目上の人間が、職場で駆け出しの人間を呼ぶ時に用いる言い方。
 2)【L2】なぜ、彼が「ボーヤ」と呼ばれているのか。
  ・背が低い。
  ・顔だちが年齢より幼い。
  ・専門学校を出て二年もふらふらしていたから。
 3)【L1】彼は「ボーヤ」と呼ばれることをどう思っていたか。
  ・気に入っていない。
  ・むかむかしていた。
 4)【L2】なぜか。
  ・二十三歳なのに見下されて馬鹿にされているように思ったから。

5.彼の仕事に対する気持ちについて
 1)【L1】今の境遇は。
  ・フィルムを買うお金もない。
 2)【L1】彼の夢は。
  ・いつかいい写真を撮って、賞を獲得し、のし上がる。
  ・先輩を鼻で笑う。
 3)【説】つまり、スタジオを利用するカメラマンと同じである。
 4)【L3】彼にとって「いい写真」は撮る意味は。
  ・賞を撮って有名になる。
  ・アシスタントを何人も引き連れる。
  ・表面的な利益。
 5)【L4】いい写真とは何か。
 6)【L1】今の彼の気持ちは。
  ・なかなか変化が訪れない現状にいらいらしていた。
 7)【L4】生徒の夢は。

【W】自分の夢と、その理由を書かせる。


第二段落(3905〜4201)
 ★老カメラマンの様子を理解する。
 ★彼と老カメラマンの初めての会話について理解する。
 ★老カメラマンが何を撮りに来たのかを考える。

1.【指】一文ずつ音読させる。

2.老カメラマンについて
 1)【L2】どんな経歴を持っていたか。
  ・二十年前まで精力的に写真を撮り続けていた。
  ・誰でも記憶にある作品を残していた。
  ・引退して、海外に渡って行方不明になっていた。
  ・伝説の人物。
  ・七十歳。
 2)【L3】一言で言うと。
  ・過去の栄光を抱えた謎の人物である。
 3)【L2】一流の男の風貌とは。
  ・背が高い。
  ・がっしりした肩幅。
  ・精悍な顔つき。
  ・力強い光を放つ瞳。
  ・魅力的な笑顔。
 4)【L3】5つの条件を2種類に分けると。
  ・初めの3つは、外面的で、絶対的ではない。
  ・後の2つは、内面的で、絶対的。
 5)【L3】大きなスタジオを一週間借りたことからわかることはか。
  ・久し振りに大きな仕事をしに来た。

3.私の気持ちについて
 1)【L1】老カメラマンをみてどう思ったか。
  ・自分がちっぽけな少年にすぎない。
 2)【L2】一言で言うと。
  ・「ボーヤ」であることを認めた。
 3)【L3】なぜ、アシスタントを申し出たのか。
  ・有名な老カメラマンから多くのことを学べるから。
  ・変化のない現状を打ち破るチャンスだから。

4.彼の質問について
 1)【L3】なぜ、「何を撮るのですか」が「つまらない質問」なのか。
  ・ありふれた質問だから。
  ・出しゃばった質問だから。
 2)【L1】なぜ、赤面したのか。
  ・老カメラマンの気分を害したと思ったから。
 3)【L2】なぜ、そう思ったか。
  ・老カメラマンの返事がぞんざいだったから。

5.老カメラマンの返事について
 1)【L1】返事と様子は。
  ・「おれにもわからない」
  ・「その間にとれればいいけどな」
  ・ずいぶん間を置いてから返事をした。
  ・真摯な表情だった。
  ・初めての煙草に火をつけた。
 2)【L3】なにがかわかるか。
  ・自分でも何を撮りたいかわからない。
  ・スタジオに着てから、ずっと考えていた。
  ・自分の余命との関係も考えている。生きている内に撮れればいいが。

【W】今までに出会ったすごいと思う大人とその理由を書かせる。


第三段落(4202〜4313)
 ★三日目の老カメラマンと彼の様子を理解する。
 ★二人の初めての会話を理解する。
1.【指】一文ずつ音読させる。

2.三日間の老カメラマンの様子と彼の気持ちについて
 1)【L1】老カメラマンの様子は。
  ・何もない空間をじっと見つめているだけ。
  ・昼食すらとろうとしない。
 2)【L3】なにをしているのか。
  ・何を撮るのか考え続けている。
 3)【L3】なぜ、昼食とらないのか。
  ・考えることに集中している。
  ・癌だから物が喉に通らない。
 4)【L1】彼の気持ちは。
  ・いらだちを募らせた。
 5)【L3】なぜ、いらだっているのか。
  ・伝説のカメラマンのアシスタントができるという期待感が大きかった。
  ・何かが変わると期待していた。
 6)【L3】なぜ、彼は昼食を我慢したのか。
  ・カメラマンが食べないのに、アシスタントが食べるわけにはいかないから。
  ・律儀。
 7)【L3】なぜ、老カメラマンはうれしそうにほほえんだのか。
  ・自分のことを心配してくれてうれしかった。
  ・彼への労い。

4.空腹について
 1)【L1】なぜ、カメラマンは腹ぺこの方がいいのか。
  ・少し空腹の方が鋭くなるから。
  ・創造活動をするカメラマンの感受性を鋭くするから。
 2)【L3】何に対する空腹か。
  ・生理的だけではない。
  ・精神的。
  ・経済的。
 3)【L2】彼の空腹感は。
  ・今はフィルムも買えないほど、経済的に空腹である。
  ・今は奴隷以下のスタジオマンだが、いつかのし上がって有名なカメラマンになろうと思っている。
 4)【L3】老カメラマンはどうか。
  ・昔は、貧しく、有名になろうと夢見ていた。
 5)【L3】なぜ、この会話をきっかけに交流が深まったのか。
  ・老カメラマンが、自分の原点を確認した。
  ・自分の若い頃を彼と重ね合わせている。

5.老カメラマンの質問について
 1)【L3】なぜ、老カメラマンは、毎日「君は今、いくつか」「写真が好きか」と質問したのか。
  ・自分の若い頃を思い出し、重ねるため。
  (・そう答える彼の生き生きとした顔を見たかったから。)
  (・それが被写体になるかもしれないと思ったから。)
  【注】後の2つの答えは、次の段落で聞くか。
 2)【L3】なぜ、満足そうにうなずくのか。
  ・彼の写真への率直な情熱を感じたから。
 2)【L1】老カメラマンの話の特徴は。
  ・機知に富んでいた。
  ・驚くべき表現力があった。
 3)【L1】驚くべき表現力とは。
  ・目の前に風景が広がってくる。
 4)【L3】なぜ、そんな特徴があるのか。
  ・頭の回転が早い。
  ・被写体を鋭くとらえてきた一流のカメラマンだから。
 5)【説】老カメラマンの変化の兆しがある。

【W】自分の年齢についてどう思うか書かせる。


第四段落(4314〜4515)
 ★四日目の老カメラマンの変化を理解する。
 ★老カメラマンが彼を被写体にした理由を理解する。
 ★写真を撮り終わった老カメラマンの様子を理解する。
 ★最後の二日間の老カメラマンの様子を理解する。
 ★挨拶もせず立ち去った老カメラマンに対する私の気持ちを理解する。

1.【指】一文ずつ音読させる。

2.四日目の老カメラマンの変化について
 1)【L1】老カメラマンの変化は。
  ・それまでと違う顔で入ってきた。
  ・厳しい顔で彼が手伝うことを制した。
 2)【L1】何を撮り始めたか。
  ・彼。
 3)【L1】私の反応は。
  ・面食らう。
  ・突然のことで戸惑う。

3.老カメラマンの撮り方について
 1)【説】「ポラ」の説明をする。
  ・ポラロイドカメラ。
  ・撮って、しばらくすると、その場で写真ができあがる。
  ・今の、「チェキ」。
  【注】彼が最後に見たのは、この時の写真である。
 2)【L1】老カメラマンの質問は。
  ・「君は、今いくつだ?」
  ・自分の年についてどう思う?」
 3)【L1】彼の返事は。
  ・「二十三です」
  ・「若くていやだ」
 4)【L3】その時の表情は。
  ・生き生きしている。
  【注】最後に見た写真がこの時のものである。
 5)なぜ、「君は、今いくつだ」と質問するのか。
  ・彼が生き生きとした表情を引き出すため。
 6)【L2】一流のカメラマンである撮り方は。
  ・絶妙のタイミングで撮る。
  ・一枚ずつ撮りながら照明を調整する。

【W】「今いくつですか?」と質問しながらデジカメで写真を撮ってみる。

4.撮影後の老カメラマンについて
 1)【L3】なぜ、撮り終わって寂しそうな表情をしたのか。
  ・彼の若さがうらやましいと思ったから。
  ・自分には余命がないことを改めて感じたから。
  ・人生の最後の仕事になると思ったから。
 2)【L3】なぜ、疲れ切った様子を見せたのか。
  ・撮影に全精力を使ったから。
  ・癌で体力が衰えていたから。
 3)【L1】最後の二日間の老カメラマンの様子は。
  ・スタジオに誰も入れない。(彼も)。
  ・機材はその(彼を撮った)まま。
  ・一人でひそかに何かを撮り続けた。
  ・一日早く切り上げた。
  ・その後、二度とスタジオに顔を見せなかった。
 4)【L3】なぜか。
  ・自分が撮るべきものを見つけて、撮り終えた。

5.彼の気持ちについて
 1)【L1】彼の気持ちは。
  ・ひどく傷ついた。
  ・歯がゆくて仕方がなかった。
 2)【L1】なぜか。
  ・アシスタントとして控え、モデルまで務めたのに、一言の挨拶もないから。
 3)【L3】彼はどう思ったのか。
  ・一流のカメラマンに認められなかった。
  ・スタジオマンだから軽く扱われた。


第五段落(4516〜おわり)
 ★老カメラマンの最期を理解する。
 ★老カメラマンが最後に撮ったものを考える。
 ★彼の変化を理解する。

1.【指】一文ずつ音読させる。

2.老カメラマンの最期について
 1)【L1】死因は。
  ・全身を癌で蝕まれていた。
  ・立って歩く力もないはずだった。
 2)【説】しかし、一週間、スタジオで写真を撮り続けた。
 3)【L3】老カメラマンを動かしていたものは何か。
  ・最後の仕事をしたいという執念。

3.最後に老カメラマンが撮ったものについて
 1)【L1】最後の写真はどう扱われたか。
  ・現像されない。
  ・柩に収められた。
 2)【L3】なぜ、現像されないのか。
  ・人に見せる必要がなかったから。
 3)【L3】なぜ、柩に入れたのか。
  ・自分にとって最も大切なものだから。

4.彼の気持ちについて
 1)【L1】彼の気持ちは。
  ・老カメラマンが何を撮っていたかわかった。
 2)【L1】手掛かりは何か。
  ・あのときのポラロイド。
 3)【L2】あの時とは。
  ・四日目、彼を被写体に撮り続けた時。
 4)【L1】その写真には何が写っていたか。
  ・あまりにも生き生きとした若者の姿。
 5)【L2】写真を撮った時の彼の言葉は。
  ・二十三です。
  ・若くて嫌だ。
 6)【L3】なぜ、若くて嫌だといった彼の表情が生き生きしていたのか。
  ・好きな写真に打ち込んでいるから。
  ・それを死を目前にした老カメラマンから一瞬の生の素晴らしさを捉えた。
 7)【L3】彼はそれに気づいてどう思ったから。
  ・自分の表情に驚いた。
  ・「若くていやだ」と言っていたが、生き生きとした表情をしていた。
  ・若さの素晴らしさに気づいた。

5.【L3】老カメラマンは何を撮っていたのか。
 ・自分自身。

6.【L3】彼はそれに気づいてどう思ったから。
 ・自分の表情に驚いた。
 ・「若くていやだ」と言っていたが、生き生きとした表情をしていた。
 ・若さの素晴らしさに気づいた。



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