神戸の児童連続殺害事件を題材に、重松清が書いた小説。連続通り魔事件の犯人が、同じ中学校の同じクラスにいたという事実をめぐって、エイジという中学生の心理をリアルに表現している。長編小説の抜粋なので、バスケ部のキャプテンの岡野君へのイジメの問題、相沢への恋心など、いくつかのプロットはカットしてある。


    1
 桜ヶ丘ニュータウンで、連続通り魔事件が起こる。七月二日から立て続けに起こる。後ろから自転車で近づいて棒のようなもので殴る。被害者は女性ばかり、怪我は打撲程度である。あまり力のないものの犯行といえる。犯人として、東南アジア系の外国人、三浪中の予備校生、会社をリストラされたオヤジ、みな虐げられたり失敗したりしてストレスの多い人が噂される。
 教室も、通り魔事件の話題で持ちきりである。ツカちゃんは悪ぶって年中ふざけている。それでいて、周囲の反応に敏感で、話が空回りすることを恐れている。通り魔事件もウケ狙いで冗談を飛ばす。おれだったら、どうでもいい奴を後ろから一発殴って逃げるのでなく、なむかつく奴をしっかりしめると言う。
 通り魔は、見ず知らずの通行人を殴る。特定の相手がむかつくから殴るのはわかる。しかし、見ず知らずの、自分には無関係の、好きでも嫌いでもない相手を、むかつかないのに殴るのはなぜだろう。むかつく奴がいないから、通り魔になったのか。
★通り魔事件の概要と犯人象について理解する。
★ツカちゃんの人柄について理解する。
★通り魔とは何かを考える。

    2
 通り魔が逮捕された。中学生らしい。しかも、同じ中学の生徒らしい。それは、朝から職員会議をしたり電話が鳴りっぱなしなのでわかる。ということは、今日来てない生徒の中に犯人がいる。ツカちゃんがまだ来ていない。しかし、ツカちゃんは遅刻の常習犯だし、通り魔をネタに冗談を言っていたし、三カ月も黙っていられないし、殴る理由もない。しかし、タモツは通り魔に動機はない、快楽があるだけだという。タモツくんはいつも頭がよくいつも冷静である。僕は筋は通っているが、スタート時点で違うような気がする。通り魔にも動機はあるはずだ。
 そのツカちゃんが学校に来る。安心と拍子抜けの奇妙な感覚だった。たとえ犯人が同じ中学校の生徒でも、知らない奴だったら他人事だ。
 先生が来て、タカやんが欠席だとわかる。先生の声は震えていた。教え子の犯行を信じられないのだろう。
★犯人がタカやんに絞られていく様子を理解する。
★僕の通り魔の動機についての疑問を考える。
★日野小学校の事件について振り返る。
★もし、同じクラスに通り魔の犯人がいたらどうだろうか、想像させる。

    3
 どの新聞も通り魔が十四歳の少年だったことに驚き、読者と共有しようと大きく載せていた。しかし、石川貴史という名前はなく、「公立中学に通うごくふつうの生徒」「少年」とか「A」と書いているので、タカやんに結びつかない。犯行の動機も、ストレスとか、マンガの影響とか、ゆがだ性欲とかを並べ立てていた。僕らは何かがわかったという感じがしない。結局、犯人は中学生なら誰でもよかったのだ。犯人が中学生であることが事件のウリだった。最近の中学生には、「キレる」「荒れる」「病んだ」「疲れた」「きしみ」「ひずみ」「悲鳴」「SOS」「行き詰まり」「窒息」とか、嫌な言葉がくっつく。記事を読んだ後も何かがわかったという感じがしない。
★犯人の実像とマスコミの報道のズレを理解する。

    4
 タカやんについて、学校の先生は何も言ってくれない。僕が父親に相談すると、少年法について教えてくれる。少年法では、名前、年齢、職業、住居、容貌など、本人であることを推知できること出版物に掲載してはいけない。とすると、マスコミの報道は法に反している。少年法の精神は、将来立ち直るチャンスはあるのだから、間違ったことをしただけというものである。まだ処分も決まっていない。
 逮捕後の処置について、フローチャートで教えてくれる。それでいくと、一カ月半後には帰ってくる。だから、軽々しく話せないのだ。
★少年法や少年審判の仕組みについて理解する。
★加害者の擁護の精神について考える。

    5
 週刊誌に、タカやんに襲われて流産した女性の夫の手記が掲載された。妻は精神的にひどく不安定で、毎日泣いていて、一人で外出もできない。誰かが後ろにたつと「助けて」でなく「許してください」と叫ぶのが悲しい。未成年だからというだけで、なぜ法に保護されなければならないのか。私はお前を許さないと書いてあった。世間も、実名で報道し、刑罰もオトナと同じように科し、親の責任も厳しく問うべきだと大きな反響を呼んだ。
 それを読んでクラスメイトは、自分の事を言われているような気になり、自己弁護をするようにどうでもいいことを先を争って口にする。
 母親が、タカやんが「かわいそう」、「まじめでおとなしい子」と言う。母に聞くと、自分は「まじめ」でも「おとなしく」もないが「ふつう」ではあるらしい。僕は「まじめ」なのか「まじめじゃない」のか、とりあえず「ふつう」ということなのだろうか。僕はタカやんへの気持ちは、「かわいそう」と「許さない」の間にある。
★被害者の夫の気持ちを理解する。
★被害者の心情について考える。
★少年法について考える。
★「ふつう」「まじめ」とは何かを考える。
★僕のタカやんへの気持ちを考える。

    6
 ツカやんがテレビでインタビューされた。ウケ狙いだったのだろうが、ヤンキー丸出しの格好で反感を買うことばかり話したのですごい顰蹙であった。
 父は、ツカやんは通り魔になるタイプじゃないと言うが、それなら通り魔になるタイプって何だろう。また、父は何を聞きたくて話しかけてきたのだろう。
★ツカちゃんのインタビューの感想をまとめる。
★通り魔になるタイプについてとは何かを考える。
★父が何を聞きたかったのか、何を言いたかったのかを考える。

    7
 「少年」になってからのタカやんは、自分たちの知っているタカやんではなくなっていた。でも、最近は自分たち自身の言葉で話すようになった。タカやんが通り魔になった動機は、一番知りたいのだが、答えが見つからない気持ち悪さが嫌だから触れない。
 授業中タカやんの机を見ていると、背中がゾクッとすることがある。通り魔になる前と後のタカやんを見分けることができなかった。もし、他に通り魔がいても見抜けないはずだ。タカやんは「たまたま」通り魔になり「たまたま」捕まっただけじゃないか。とすれば、僕も通り魔になる可能性もある。
 目をつぶり、通り魔になったタカやんのことを想像する。やっぱりわからない。今までは自分の答えの出せることしか考えていなかったが、最近は疑問形のまま終わってしまう考えごとが増えた。これは成長かもしれない。「わからない」がいくつも胸に残り、同じだけ「わかる」が体から離れてふわふわと漂う。
★通り魔になった人を見抜けるかを考える。
★通り魔をするタカやんをイメージし、動機を考える。
★「わかる」と「わからない」について考える。

    8
 先生の仕種で、タカやんが帰ってくる日が近いことがわかった。タカやんがいなくなってから一カ月半しかたっていないのにたいへん時間が経ったように思われる。通り魔になったタカやんは自分より幸せな人生が送れるのだろうか。
 前に座っている海老原の背中を見ると、隙だらけだった。「その気」になれば簡単にコンパスの針で背中を突くことができる。繰り返しているうちに、「その気」になるかどうかの境界線があやふやになり、「その気」がちっぽけなものに思えてくる。幻のコンパスが前の席の生徒の背中に突き刺す想像をする。手応えがあり、返り血の温かみや匂いが、
初めてなのに懐かしい。この感触は何か。僕は「その気」をどこに隠せばいいのか困ってしまう。タカやんは犯行と犯行の間、どこに隠していたのか。僕の背中を刺す機会はあったのに。
★通り魔の方が幸せになるかもしれないことについて考える。
★僕の「その気」をイメージして、考える。

    9
 また通り魔事件が起こる。「めちゃくちゃ」が「ふつう」の世の中で暮らしている。クラスでは犯人探しが話題になる。
 タモツくんの、通り魔の動機は自分でもどうしようもない暴力衝動だという推理を聞いて、僕の「その気」が動いた。
 それを聞いてツカちゃんが怒り出す。通り魔はゲームではなく人の生死の問題である。もし家族が襲われたらと考えると鳥肌がたつ。
 タモツくんは、知らない人の善意を求めるのに悪意を認めないのは身勝手であると言う。僕はどこか違うと思いながらも言い返せない。
★タモツくんの犯人や動機についての推理を理解する。
★通り魔事件を被害者の立場から考える。
★人間の善意と悪意について考える。

    10
 「キレる」とは、我慢とか辛抱が切れるのでなく、自分と他人のつながりが切れることである。人は体中を人間関係というチューブでつながれている。太いチューブは体に絡みつくのでキルのが大変だ。僕は、「中学生」「息子」「弟」「友だち」「カレシ」「卑怯者」「同級生」「後輩」「先輩」「十四歳」「オトコ」「ぼく」、どれを断ち切れるだろう。
 首の後ろで「その気」が爆ぜる。僕は、「授業を受ける中学生」「学校」「桜ヶ丘」から切れて渋谷に行く。慢性的にキレている奴がたくさんいる。一人で歩いている奴はたいていキレている。グループの全員がキレている連中もいる。こいつらは「うっとおしい」でも「うざったい」でもなく「うざい」。幻のナイフで次々刺していく。自分も幻のナイフで刺されていく。結構楽になれた気がする。
★「キレる」とはどういうことかについて理解する。
★僕がキレていく様子を理解する。
★自分のチューブと、それを切ることを考える。

    11
 自転車で家に向かう。僕もタカやんみたいに「その気」を隠そうとして隠しきれなかった。タカやんはあっち側に行って僕はこっちにとどまっているだけで、根っこはつながっている。タカやんと同じだと思うことでタカやんにはならない気がする。
 そして、僕が通り魔と間違えられる。僕はタカやんと同じになってしまった。だから、大丈夫タカやんではない。
 無断欠席を目茶苦茶叱られ、両親にむかつく方が楽になれる。それは親子という太いチューブからキレることができるからだ。そして、嫌いになってもかまわないから、「少年」になった僕も信じてもらいたい。
★僕とタカやんの違いについて考える。
★両親にむかつく方が楽であることを考える。
★「少年」になった僕も信じてほしい気持ちを考える。


第一段

0.教材プリントと学習プリントを配布する。
 ・裏表印刷で6枚、重ねて真ん中を綴じれば冊子になるようにしてある。
1.はじめ〜説も有力なのだという(2上10)を音読する。
2.通り魔事件の概要をまとめる。
 ・七月二日から立て続けに起こる。
 ・後ろから自転車で近づいて来て棒で殴る。
 ・被害者は女性だけ。
 ・怪我は打撲程度の軽傷。
3.犯人の噂について。
 1)事件の特徴から犯人像は?。
  ・犯人には夏休みがある。
  ・女性ばかりを狙い、軽傷であるから、力が弱い。
 2)どんな噂があったかをまとめる。
  ・東南アジア系の外国人
  ・三浪中の予備校生
  ・会社をリストラされたオヤジ
 3)それらの共通点は?
  ・社会に不満や、ストレスがある。
  ★東南アジア系の外国人は、言葉の不自由や差別による抑圧感もあるが、日本人の偏見も強い。
  ★事件がある毎に、どんな人物が疑われるか。そこにはどんな感情が働いているかを考える。それが、差別となって現れる。
4.「飽きちゃったよ(2上12)〜そう言ってやろう(3上20)を音読する。
5.ツカちゃんについてまとめる。
 ・ワルぶった態度をとる。
 ・年中ふざけている。
 ・周囲の反応に敏感で、話が空回りするのがこわい。
 ★一見お調子者の少年も、ポイントを押さえていることに注意する。
6.通り魔についての疑問を考える。
 1)通り魔の定義をまとめる。
  ・見ず知らずの通行人を殴る。
 2)普通、どんな奴を殴るのか確認する。
  ・むかつく奴を殴る。
 3)通り魔の疑問を確認する。
  ・見ず知らずの通行人
   =むかつかない
   →むかつかないのに殴る
   →むかつく奴がいないから通り魔になる。
  ★これといった動機がないのに犯行を起こす最近の事件との共通性に注意する。
7.その週末(3上22)〜おわりを音読する。
8.妊婦が通り魔に殴られて流産した事件を確認する。

第一段
1.通り魔事件について
 ・七月二日から八月にかけて立て続けに起こる。
 ・後ろから自転車で近づいて来て棒で殴る。
 ・被害者は女性だけ。
 ・怪我は打撲程度の軽傷。
   ↓
 ・犯人の噂
  ・東南アジア系の外国人
  ・三浪中の予備校生
  ・会社をリストラされたオヤジ
 ・通り魔とは
  ・見ず知らずの通行人→殴る←───┐
   自分には無関係             │動機?
       好きでも嫌いでもない      │
           むかつかない   ──┘
            ↓↑
           むかつく→殴る



第二段

1.はじめ〜欠けるかもしれないけど(5下08)を音読する。
2.通り魔の犯人がわかっていく過程を確認する。
 1)通り魔が逮捕された。
 2)中学生らしい。
 3)同じ中学の可能性がある。
  ・朝から職員会議をしている。
  ・職員室の電話が鳴りっぱなしである。
 4)今日学校に来ていない生徒が犯人である。
3.ベランダの話し声が(5下09)〜おわりを音読する。
4.通り魔の犯人がわかっていく過程の続きを確認する。
 5)ツカちゃんが来ていない。
  a)ツカちゃんが犯人でない根拠をまとめる。
   ・遅刻の常習犯。
   ・通り魔をネタに冗談を言っていた。
   ・三カ月も黙っていられない。
   ・殴る理由もない。
  b)タモツくんの推理をまとめる。
   ・通り魔に動機はない。
   ・快楽があるだけだ。
   ★タモツくんはいつも頭がよくいつも冷静である。
  c)僕の考えを確認する。
   ・筋は通っているが、スタート時点で違うような気がする。
   ・通り魔にも動機はあるはずだ。
  d)ツカちゃんが登校したあとの感じをまとめる。
   ・安心した、拍子抜けした、妙な気分。
   ・同じ中学でも、知らない奴だったら他人事である。
   ★事件に対する現実感覚を確認する。
 6)タカやんが犯人であることがわかる。
  ・先生の声が震えている。

第二段
2.犯人探し
 1)通り魔が逮捕されたらしい
 2)中学生らしい
 3)同じ中学の生徒らしい
  ・朝から職員会議をしている。
  ・職員室の電話が鳴りっぱなしである。
 4)今日学校に来ていない生徒が犯人である
 5)ツカちゃんが来ていない。
  ・遅刻の常習犯。
  ・通り魔をネタに冗談を言っていた。
  ・三カ月も黙っていられない。
  ・殴る理由もない。
    ↓↑
  ・通り魔に動機はない。
  ・快楽があるだけだ。
    ↓
  ・スタート時点で違うような気がする。
 6)ツカちゃんが登校する。
  ・安心した、拍子抜けした、妙な気分。
  ・同じ中学でも、知らない奴だったら他人事である。
 7)タカやんが犯人であることがわかる。



第三段

1.音読する。
2.新聞報道をまとめる。
 1)記事の内容をまとめる。
  ・人物像=公立中学に通うごくふつうの生徒
  ・呼び方=少年、A
  ・動機=ストレス、マンガの影響、ゆがだ性欲。
 2)記事の主旨を確認する。
  ・通り魔が十四歳の少年だった驚きを読者と共有する。
  ・中学生なら誰でもよかった。
  ・犯人が中学生だったことが事件のウリ。
 3)中学生にくっつく言葉を確認する。
  ・キレる、荒れる、病んだ、疲れた、きしみ、ひずみ、悲鳴、SOS、行き詰まり、窒息
 4)なぜ中学生だと注目されるのか?
  ・世間は、まだ子供だと思っているから。
  ・子供は純粋無垢で、犯罪は起こさないという神話を信じられているから。
 5)僕らの感想を確認する。
  ・何かがわかったという感じがしない。
  ★報道と現実のズレを確認する。
3.ここまでの感想を書かせる。
 ・中学生の犯罪、身近に犯人がいたことについての感想になる。
 ・昨年度、日野小学校の事件の近くの中学校に在校していた生徒がいるので、非常に身近な問題である。

第三段
3.新聞報道
 ・人物像=公立中学に通うごくふつうの生徒
 ・呼び方=少年、A
 ・動機=ストレス、マンガの影響、ゆがだ性欲。
   ↓
 ・通り魔が十四歳の少年だった驚きを読者と共有する。
 ・中学生なら誰でもよかった。
  事件のウリ。
   ↓
  ・何かがわかったという感じがしない。



第四段

1.はじめ〜難しいんじゃないかと思う(9下15)を音読する。
2.少年法について。
 1)氏名、年齢、職業、住居、容貌など、本人であることを推知できる記事や写真を掲載してはならないことを確認する。
 2)桜丘ニュータウン(住居)、中学生(職業)、十四歳(年齢)も不可であることを確認する。
  ★最近、顔写真を掲載するかどうかが問題になっている。
 3)そのように保護される理由をまとめる。
  ・立ち直るチャンスがあるから。
 4)少年法についての補足説明をする。(人生教科書「よのなか」より)
  ・少年事件の手続きを定めた少年法は、犯罪を犯した少年を非難し処罰するのではなくて、少年が犯罪を犯した原因を改善し、更生させるために国が援助し、少年を保護しようとするものです。少年犯罪の背景には、生い立ちなどの環境の問題があって本人だけを責めることはできず、そして少年は教育をしたり環境を調整していくことによって改善していく柔軟な可能性があると考えられているからです。少年法は、少年の時に犯罪を犯した者の実名を報道してはならないとしていますが、これも、改善する可能性のある少年の将来の利益を守ろうとするものです。
 5)しかし、経歴には残らないが、人の記憶は残る問題をどうするかは難しい。
3.父は、ファイル(9下16)〜おわりを音読する。
4.少年審判について
 1)フローチャートを配布して、説明する。
  ・逮捕→検察官→勾留→勾留延長→家庭裁判所→少年鑑別所→審判→保護観察
 2)学校に帰ってくる日を計算する。
  ・勾留10日+勾留延長10日+少年鑑別所3週間=40日間程。
  ・十月七、八日+40日間=十一月中旬。
 3)少年審判について補足説明する。
  ・14歳未満の児童であれば、刑事責任能力はないということで逮捕されることはないのだが、同じ20歳未満の少年でも、14歳以上の場合、刑事責任能力があるとみなされて逮捕される。
 逮捕のあと、警察官は48時間以内に検察官に身柄と書類を送る。検察官は24時間以内に裁判所に勾留を請求し、裁判所の勾留決定によって10〜20日間、警察署内の留置場に勾留して取り調べる。同じ期間内に警察官や検察官は目撃者や関係者、少年の家族などから事情を聴取し、現場の実況見分その他必要な検査をおこなう。次に、家庭裁判所にこの事件を送致する。その後、少年鑑別所に送られて2週間から3週間(限度は4週間)、心理的な分析や家庭環境などの調査が行われる。
 少年は、公開の法廷における裁判ではなく、非公開の審判廷で審判を受ける。裁判官(審判官)は、調査官(裁判所の職員で少年の問題点などを分析する人)や付添人(弁護士)の協力のもとで審理を進めるが、検察官は審判廷には立ち会えない。「審判は、懇切を旨として、なごやかに、これを行わなけれぼならない」(少年法第22条)。少年の責任を追及する立場の検察官のいない審判廷で、審判官が、少年と人格を通してふれあい、その少年が犯罪に至った原因を探り出し、改善更生させる方法を見す。
 家庭裁判所が、「不開始」か、「不処分」か、「保護処分」かを決める。「不開始」とは、犯罪をやっていないということで、審判を開始しないという意味。「不処分」は、反省もしているようだし、家庭環境も地域社会の影響もとくに問題ないようだから、処分しない、家に帰って普通にやり直しなさいという決定。
 非行事実(犯罪行為、触法行為、虞犯行為)があり、かつ保護する必要があれぼ、原則として「保護処分」を受ける。保護処分には、@保護観察、A児童自立支援施設・養護施設送致、B少年院送致等がある。
 まず、「保護観察」は、少年を家に帰らせ、通常のように学校や会社に通勤通学させたままで、保蒙観察官や保護司が指導援助をおこなつて、少年をとりまく家庭環境や地域社会との調整を行う。「少年院送致」は、対象年齢に応じて初等、中等、特別、医療の各少年院に送致する。
 なお、16歳以上になると、犯罪が悪質な場合には、「逆送」といって、家庭裁判所からふたたび検察官に事件が戻され、成人と同様に検察官も入った通常の刑事裁判を受けることがある。この場合には家庭裁判所ではなく、地方裁判所か簡易裁判所の刑事法廷が裁判の舞台となり、処分も少年刑務所での懲役や罰金で、大人同様、前科が残る。
 逆に14歳末満の場合には、「全ての事件は家庭裁判所に送られて保護処分の審判を受ける」という少年法の原則からはずれて児童相談所送りとなり、児童福祉法のなかで保護される。
 つまり、おなじ窃盗行為や喧嘩で他人を傷つけたりする犯罪行為があったとしても、13歳以下の児童がやった場合、14歳から15歳の少年がやった場合、16歳以上の少年がやった場合と、処分のされ方が違うということが起こる。
5.先生が事件について話さない理由を確認する。
 ・まだ処分が決まっていないから。
 ・十一月中に学校に帰ってくる可能性が強いから。

第四段
4.少年法について
 ・氏名、年齢、職業、住居、容貌など、本人であることを推知できる記事や写真を掲載してはならない
   ↑
 ・立ち直るチャンスがあるから。
   ↓
 ・まだ処分が決まっていない。
 ・十一月中に学校に帰ってくる可能性が強い。



第五段

1.はじめ〜問うべきだそうだ(11上17)を音読する。
2.流産した人の夫の手記について
 1)妻の様子をまとめる。
  ・精神的にひどく不安定。
  ・一人で外出もできない
  ・誰かが後ろにたつと「助けて」でなく「許してください」と叫ぶ。
 2)「助けて」と「許してください」違いを考える。
  ・「助けて」は被害者の立場。
  ・「許してください」は自分に非があるような感じ。
  ★子供を守れなかったことへの自責の念。
 3)夫の気持ちをまとめる。
  ・未成年だからというだけで、なぜ法に保護されなければならないのか。
  ・私はお前を許さない。
 4)世間の反響をまとめる。
  ・実名で報道すべきだ。
  ・刑罰もオトナと同じように科すべきだ。
  ・親の責任も厳しく問うべき。
3.手記に対するぼくらの反応をまとめる。
 ・先を争うようにどうでもいいことをはしゃいだ声で話す。
 ・自分たちが責められているような気がした。
4.少年法について、自分の意見を書かせる。
5.「まあ、しょうがないかもね(11上18)〜おわりを音読する。
6.「まじめ」と「ふつう」について
 1)エイジと母のやりとりを整理する。
  ・母に「まじめじゃない」と面と向かって言われる→まじめ
  ・「オレ」「マジ」と言う→まじめでない。
  ・言葉づかいで母に叱られて「はーい」と謝る→まじめ
  ・自分を「オレ」と呼ぶ→まじめじゃない
  ・テレビを観ておやつを食べながら母親と話す→まじめ
    ↓
  ・まじめ+まじめじゃない→ふつう
 2)生徒一人一人に、まじめかまじめでないか、ふつうかふつうでないかを質問する。
  ・まじめ−まじめでない、ふつう−ふつうでない、で4つのゾーンを板書し、「正」の字を書いていく。
  ・「まじめ+ふつう」と答える生徒が多い。次は、「まじめでない+ふつう」。
 3)「まじめ」と「ふつう」について考える。
  ・「まじめ」と「まじめでない」の区別は難しいが、「ふつう」と「ふつうでない」の区別ははっきりしている。
  ・「ふつう」とは共通部分を多く含んでいるかどうかで決まる。
  ・しかし、共通部分は相対的なもので、集団によって時代によって変化する。
  ・「ふつう」はよく使う言葉だが、「ふつう」とは何か、絶対的な基準はない。
7.ツカちゃんへの評価をまとめる。
 ・流産した女性の夫=許さない
 ・母=かわいそう
 ・僕=かわいそうと許さないの間
 ★被害者に近いほど「許さない」、加害者(タカやん)に近いほど「かわいそう」になる。
 ★エイジは母よりタカやんに近いのに、「許さない」部分が母より強い。
 ★どんな気持ちなのか、今後の課題になる。

第五段
5.流産した女性の夫の手記
 1)妻の様子
  ・精神的にひどく不安定。
  ・助けて=被害者
   許してください=子供を守れなかった自責
 2)夫の気持ち
  ・未成年だからというだけで、なぜ法に保護されなければならないのか。
  ・私はお前を許さない。
 3)世間の反響
  ・実名で報道すべきだ。
  ・刑罰もオトナと同じように科すべきだ。
  ・親の責任も厳しく問うべき。
 4)僕たちの反応
  ・先を争うようにどうでもいいことを口にする。
  ・自分たちが責められているような気になる。
6.「まじめ」について
 ・母に「まじめじゃない」と面と向かって言われる→まじめ
 ・「オレ」「マジ」と言う→まじめでない。
 ・言葉づかいで母に叱られて「はーい」と謝る→まじめ
 ・自分を「オレ」と呼ぶ→まじめじゃない
 ・テレビを観ておやつを食べながら母親と話す→まじめ
   ↓
 ・まじめ+まじめじゃない→ふつう
7.ツカちゃんへの気持ち
 ・母=かわいそう
 ・僕=かわいそうと許さないの間



第六段

1.音読する。
2.ツカちゃんのインタビューについて、服装、態度、インタビューの内容を確認する。
3.自分がツカちゃんだったら、どんなことを答えるか考えさせる。
4.父の言葉について。
 1)なぜ、塚本くん通り魔になるタイプじゃないのか考える。
  ・悪いことをして適当に発散している。
  ・思い詰めたりしないから。
 2)通り魔になるタイプとは何かを考える。
  ・普段は悪いことをしない。
  ・思い詰める。
  ・イライラしている。
  ★しかし、こんな人がすべて通り魔になるのではない。
 3)父が僕に訊きたかったこと、言いたかったことは何かが今後の課題であることを確認する。

第六段
8.ツカちゃんのインタビュー
 ・塚本くん通り魔になるタイプじゃない。
  ・悪いことをして適当に発散している。
  ・思い詰めたりしないから。
   ↓
 ・通り魔になるタイプとは何か。
 ・父が僕に訊きたかったこと、言いたかったことは何か。



第七段

1.音読する。
2.タカやんの動機について
 1)マスコミで報道される「少年」ではなく、僕たち自身の言葉でタカやんの話をするようになったことを確認する。
2)「タカやん、なんであんなことをしたのか」と口にしなくなった理由は?
  ・一番知りたいこと。
  ・しかし、答えが見つからないまま問いだけが残るのが気持ち悪いから。
 3)夏休み前と最近の違いをまとめる。
  ・最近、疑問形のまま終わってしまうことが増えた。
  ・夏休み前は、単純でシンプルな毎日
  ・自分で答えの出せることしか考えていなかった。
  ・この変化は、成長である。
 4)生徒たち自身の考えごとについて質問する。
  ・答えのわからないことを考えることがあるか。
3.通り魔をしたタカやんの心理について
 1)目を閉じて、タカやんが通り魔をするシーンを聞いて、イメージする。
 まず、自転車だ。マウンテンバイク。キャップを目深にかぶる。色は、黒。ナイキかdjホンダ。デイパックを背負う。黒っぽい色。デイパックのポケットに特殊警棒。後ろ手に取り出せるよう、ファスナーを半分開けて。夜の闇に紛れて、マウンテンバイクはゆっくりと走る。人通りの少ない道で標的を見つける。標的に気づかれないようライトを消して、後ろからそっと近づいていく。なにも知らない標的は、隙だらけで歩いている。女の人だ。年齢や外見の特徴はばらばらでも、とにかく女の人。距離が少しずつ詰まっていく。静かに、静かに、マウンテンバイクは標的に迫る。デイパックのポケットから、特殊警棒を取り出す。右手で。タイミングを計って、ペダルを踏み込み、一気にスピードを上げる。特殊警棒を握りしめた右手を振りかざす。向かい風。特殊警棒の重みと手ざわり。標的の背中を、殴りつける。
 2)どんな感じがするか、質問する。
 3)タカやんの気持ちを想像する。
  ・興奮していた。
  ・冷静だった。
  ・襲う瞬間を思い描いて舌なめずりしていた。
  ・失敗したときのことを思って不安に震えていた。
  ・成功が間違いないからこそ、震える。
4.不意に背中がゾクッとした理由を考える。
 ・通り魔になったタカの変化を見分けられなかった。
 ・もしこのクラスもう一人通り魔をした人がいたとしても見抜けない。
 ・タカやんが通り魔になったのは、「たまたま」だったんじゃなかったか。
 ・みんなが通り魔になる可能性がある。
 ・エイジ自身も通り魔になる可能性があるから。

第七段
9.タカやんの動機について
・「タカやん、なんであんなことをしたのか」と口にしなくなった。
  ・一番知りたいこと。
    ↑↓
  ・答えが見つからないまま問いだけが残るのが気持ち悪い。
  ・最近、疑問形のまま終わってしまうことが増えた。
    ↓成長
  ・夏休み前の単純でシンプルな毎日
   ・自分で答えの出せることしか考えていなかった。
 ・通り魔になったタカやん
  ・通り魔になったタカやんの変化を見分けられなかった。
  ・もしこのクラスもう一人通り魔をした人がいたとしても見抜けない。
    ↓
  ・タカやんが通り魔になったのは、「たまたま」だったんじゃなかったか。
    ↓
  ・誰もが通り魔になる可能性がある。
    ↓
  ・エイジ自身も通り魔になる可能性がある。
    ‖
  ・不意に背中がゾクッとする。



第八段

1.はじめ〜開き直って返す(17上09)を音読する。
2.タカやんが帰ってくることに対するクラスメイトの反応を確認する。
 ・一月半なのにすごく時間がたったような気がする。
    ↑
  ・いろいろなことを考えたから。
 ・通り魔のタカやんの方が幸せな人生を送るのか。
3.タカやんはどうだったっけ(17上10)〜おわりを音読する。
4.「その気」について
 1)前の人の背中を見つめながら、「その気」の部分を聞いて、イメージさせる。
 隙だらけだ───ふと、思った。
 缶ペンからコンパスを取り出しても、海老沢は気づかないだろう。握りしめてもだいじょうぶ。針を向けてもわからない。息を詰め、タイミングを計る。振りかざさなくても、ただまっすぐに突けばいい。コンパスを握る指先に力を込めて、背中の一点をじっと見つめる。海老沢の背中は、息づかいに合わせてゆっくりと上下している。まったく警戒していない。後ろから刺されるかもしれない、なんて頭の片隅をよぎることすらないんだろう。かんたんだ。その気にさえなれば、かんたんに刺せる。狙う位置を背中から首筋に変えれば、殺すことだって……。
 (窓の外に目を移す。まぶだが痛くなるくらい強くまばたく。肩から力を抜き、なーんちゃって、と笑う)
 (もう一度繰り返す)
 幻のコンパスの針が、海老沢の背中に突き刺さった。手応えがあった。血が噴き出した。返り血を浴びた頬の、ぬるりとした温みがわかる。生ぐさい、鉄錆のにおい。初めてなのに懐かしい。ずっと昔、ぼくはあふれ出る血の中にいた。血に包み込まれ、血の中を泳いでいた。いつだろう。どこでだろう。
 2)どんな感じがしたか、質問し、書かせる。
 3)エイジの「その気」のイメージをまとめる。
  ・ぬるりとした温かみ。
  ・生ぐさい、鉄錆のにおい
  ・初めてなのに懐かしい
 4)「その気」の正体を考える。
 5)新たな疑問は?
  ・タカやんは、通り魔の犯行と犯行の間、「その気」をどこに隠していたのか?
  ・「その気」はいつでも誰にでも起こる。
    ↓
   しかし、すぐに犯行を起こすわけではない。
    ↓
   犯行を起こさない時の「その気」はどうなっていたのか。
    ‖
   自分の中の「その気」をどうしたら抑えられるのか。

第八段
10.「その気」について
 ・幻のコンパスで背中を突き刺す想像をする。
  ・ぬるりとした温かみ。
  ・生ぐさい、鉄錆のにおい
  ・初めてなのに懐かしい
         ずっと昔、あふれる血の中で泳いでいた。
    ↓
  ・エイジの中にもあることを実感する。
    ↓
  ・「その気」をどこに隠すか。
    ↓
  ・タカやんは、犯行と犯行の間、「その気」をどこに隠していたのか?



第九段

1.はじめ〜ロバート・デ・ニーロが(19下28)を音読する。
2.相次ぐ傷害事件について
 1)起こった事件について確認する。
  ・通り魔(この犯人は中年の男であったことが後に分かる)
  ・オヤジ狩り
  ・エアガン
  ・レーザーポインター
    ↓
  ・僕たちも、「めちゃくちゃ」が「ふつう」の世の中で生きて状況を確認する。
 2)通り魔の犯人についてのタモツ君のプロファイリングを確認する。
  ・犯人は「愚連」(地域の非行グループ)ではない。
    ↑
  ・ずぶ濡れになって金も取らずに襲う必然性がない。
  ・犯人は一人で、集団ではない。
  ・スタンガンの威力もそれほどでもない。
  ・(被害者が女性でなく男の大学生だったことから)逆襲され捕まる可能性もある。
 3)「その気」の正体をまとめる。
  ・暴力衝動
  ・人間の本能である。
    ↓
  ・繰り返される。
  ・犯行がエスカレートする。
3.そのときだった(19下29)〜おわりを音読する。
4.ツカちゃんの怒りの理由を考える。
 ・何も悪いことをしていないのに殴られる。─┐
 ・下手をすれば死ぬ。               ├→怖い。
 ・家族が襲われる可能性もある。      ─┘
   ↓
 ・タカやん(加害者)の立場→被害者の立場
5.人間の善意と悪意について考える。
 1)タモツ君の理論をまとめる。
  ・通りすがりの人に→優しくしてもらう=善意
              →ひどい目にあわされる=悪意
    ↓
  ・困っている時に他人の善意に期待する。
    ‖
  ・いきなり他人に悪意をぶつけられることも覚悟する。
 2)タモツくんの理論をどう思うか、質問する。

第九段
11.通り魔の動機について
 ・暴力衝動=「その気」
  ↓
 ・繰り返す
  ↓
 ・犯行がエスカレートする
12.ツカちゃんの変化について
 ・タカやん(加害者)の立場
  ↓
 ・被害者の立場
  ・母や姉が襲われる可能性がある。
13.人間の善意と悪意について
 ・バスの中で知らない人に席を譲ってもらう
 ・他人の善意に期待する。
   ‖人間は何をするかわからない存在である=暴力衝動
 ・他人の悪意を覚悟する。
 ・見ず知らずの人に通り魔に会う。



第十段

1.音読する。
2.「キレる」について考える。
 1)定義をまとめる。
  大人=我慢、辛抱、感情を抑えるのが、プツンと切れること
  エイジ=自分と相手とのつながりがわずらわしなって断ち切ってしまうこと
 2)チューブの比喩の意味を考える。
  ・体じゅうチューブでつながれた重病人
    =いろいろな人とのつながりで身動きがとれなくなっている。
  ・切ってしまえば死ぬ。
 3)エイジのチューブをまとめる。
  ・東中学の中学生
  ・父と母の息子
  ・姉の弟
  ・岡野やツカちゃんやタモツくんの友だち
  ・本条めぐみのカレシ
  ・相沢志穂のひきょう者
  ・タカやんの同級生
  ・バスケ部の三年生の後輩
  ・一年生の先輩
  ・十四歳
  ・オトコ
  ・ぼく
3.エイジの「その気」について体験し、まとめる。
 ・コンパスの針で消しゴムを刺す体験をさせ、感想を聞く。
  ・最初はグッと押し返してくる感触が伝わる。
  ・あとはすんなり奥まで入っていく。
  ・針の根元まで沈めると、いったん抜き取って繰り返す。
  ・「胸がざらつく」感触=「その気」を味わう。
4.エイジがキレていく様子をまとめる。
 1)「授業を受ける中学生」からキレる。
 2)「学校」からキレる。
 3)「家」からキレる。
 4)「桜ヶ丘」からキレる。
 5)すれ違うオトコの脇腹を幻のナイフで刺す。
  ・自分もいろんな奴らの幻のナイフで刺される。
   ↓
  ・けっこー楽になれた。
5.生徒にとってのチューブを書かせる。
  1)「わたしのチューブ」の配布する。
  2)「私は○○の○○である」という文を20個書かせる。
  3)切りやすいものに×、切れにくいものに○、どちらともいえないのにに△をつけさせる。
  4)感想を書かせる。
6.「エイジ」のビデオを見せる。
 ・平成12年7月20日にNHK総合テレビで放映された番組を50分に編集した。
 ・エイジ=田中聖、父親=中村雅俊、母親=浅田美代子。
 ・教材同様、岡野との友情などについてはカットした。
 ・最初にテキストとして渡していなかったタカやんが戻ってくるシーンも入っている。
 ・生徒は、非常に興味深く見ていた。大好評だった。

第十段
14.「キレる」について
 ・大人=我慢、辛抱、感情を抑えるのが、プツンと切れること
 ・エイジ=自分と相手とのつながりがわずらわしなって断ち切ってしまうこと
         チューブ=体じゅうチューブでつながれた重病人
              いろいろな人とのつながりで身動きがとれない
               ↓
              切ってしまえば死ぬ。
 ・エイジのチューブ
  ・中学生
  ・息子−父と母
  ・弟−姉
  ・友だち−岡野やツカちゃんやタモツくん
  ・カレシ−本条めぐみ
  ・ひきょう者−相沢志穂
  ・同級生−タカやん
  ・後輩−バスケ部の三年生
  ・先輩−一年生
  ・十四歳
  ・オトコ
  ・ぼく
15.エイジがキレていく様子
 1)「授業を受ける中学生」からキレる。
 2)「学校」からキレる。
 3)「家」からキレる。
 4)「桜ヶ丘」からキレる。
 5)すれ違うオトコの脇腹を幻のナイフで刺す。
  自分もいろんな奴らの幻のナイフで刺される。
   ↓
 ・けっこー楽になれた。



第十一段

1.音読する。
2.通り魔に間違えられたエイジについて
 1)エイジの様子をまとめる。
  ・「違います、違います」と繰り返していた。
  ・腰が抜けていた。
  ・泣いていた。
 2)「その気」(暴力衝動)から通り魔になったのではないことを確認する。
3.エイジとタカやんの相違点について
 1)事件前と事件後の変化をまとめる。
  ・同じなんだと噛みしめる→タカやんにはならない
    ↓事件後
  ・ここまでお前と一緒になった→オレはおまえじゃない
 2)なぜ、タカやんと同じと思うことでタカやんにならないのかを考える。
  ・自分の中にはタカやんと同じ嫌な自分がある。
  ・その嫌な自分を受け入れることができた。
  ・そのことで安定できる。
  ★カウンセリングでいう、理想の自分と現実の自分が一つになって、あるがままの自分になった。
  ★自己受容、自己一致という。
4.親に対する考え方について
 1)事件前と事件後の変化をまとめる。
  ・嫌な親にむかつく方が子供は楽になれる。
    ↓事件後
  ・嫌いになってもかまわないから、「少年」になった僕のことも信じてもらいたい。
 2)エイジの気持ちを考える。
  ・親にとって都合のよい自分から解放されたい。
  ・親子という太いチューブからキレたい。
    ↓
  ・嫌な自分、ありのままの自分(=「少年」)も受け入れてほしい。

第十一段
16.エイジとタカやんについて
 ・同じなんだと噛みしめる→タカやんにはならない
   ↓事件後
 ・ここまでお前と一緒になった→オレはおまえじゃない
   ↓
 ・嫌な自分を受け入れる→安定できる
  タカやんと同じ自分    自己受容、自己一致
17.親に対する考え方について
 ・嫌な親にむかつく方が子供は楽になれる。
  ・親子という太いチューブからキレたい。
   親にとって都合のよい自分
    ↓事件後
 ・嫌いになってもかまわないから、「少年」になった僕のことも信じてもらいたい。
                       嫌な自分、ありのままの自分



第十二・三段

1.音読する。
2.小説の最後の部分を配布して音読する。
3.次の点を確認する。
 1)タカやんは、うんと遠くにいて誰よりもそばにいた。
 2)ぼくはタカやんじゃないし、タカやんはぼくじゃない。
 3)タカやんの人間でなく、体の根っこが大きくなった。
 4)相沢が疑われたように、自分でも知らないうちに誰かを傷つけてしまう可能性がある。
 5)それは怖いけど、負けていられない。
 6)ちっぽけな存在だか、ちっぽけはちっぽけなりにいろいろ大変だが、負けていられない。
 7)「Eiji」ではなく「Age」、こういう年代である。
4.テーマを絞って感想を書かせる。



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