丸山真男


「権利の上に眠る者」
 時効は貸した金を返してもらえないという不人情な法律であるが、ある期間請求をしなければという条件付きである。債権者であるという権利の上に眠っている者は民法の保護に値しないという法理である。請求することをしないで債権者であることに安住していると債権を喪失する、逆から言えば、請求することによって債権者である、ということである。
 日本国憲法についても、第十二条に「自由や権利は国民の不断の努力の成果」であるとしている。自由や権利は過去からの多年にわたる獲得の努力の結果である。そして、未来にも努力を継続することによって自由を保持し続けなければならない。時効と同じように読み替えると、主権者であることに安住し権利を行使することをしなければ主権者でなくなる、権利を行使することによって主権者である、ということである。それはナポレオンやヒットラーで実証済みである。ヒトラーを首相に選ぶ所までは、国民は主権を維持していたかもしれないが、その後ヒトラーに独裁を許してしまった。
 自由についても、ある社会学者が「自由を祝福するのは容易だが、自由を擁護することは困難であり、自由を行使することはさらに困難である。」と言っている。祝福するのは自由であるという状態であり、すでに与えられたものである。擁護するとは、与えられたものを保持しようとすることでやや努力を必要とする。行使するとなると、一層の努力が必要になる。だからより困難になるのである。自由である状態に満足して祝福していると、いつの間にかその自由は中身を伴わない置物になってしまう。自由になろうとすることによって自由である、ということにある。近代の自由や権利は努力を厭う怠け者には厄介なものである。
  
近代社会における制度の考え方
 自由であると信じている自由人は、偏見から最も自由でない。一見矛盾しているようであるが、それは、自分の思考や行動を点検しないからであるという逆説して成立する。逆も同じである。自分はとらわれている、自由でないと思っている者は、自由になり得るチャンスに恵まれている。それは、より自由に認識し判断したいと努力するからである。
 そして、民主主義についても、民主主義が民主主義という制度の自己目的化を不断に警戒し監視し批判すること、つまり民主化するによって、民主主義であり得る。定義や結論より、プロセスを重視する。民主主義という制度はまさに「する」ことである。
 債権のロジックは、近代社会の制度やモラル、物事の判断の仕方を深く規定している。ハムレットの時代は「である」ことが最大の問題であったが、近代社会は「する」ことが大きな問題になる。
 近代社会では「である」けとより「する」ことが問題になるとはいえ、「である」ことに基づく血族関係人種団体価値判断の仕方は将来的になくなることはないので、近代社会においても問題である。また、「する」ことが重要であるといっても、あらゆる領域で無制限に謳歌されていいものではない。「である」ことと「する」ことの二つの図式を想定することによって、「する」ことである民主化の実質的な進展の度合い、「する」ことに価値を置く制度と「である」思考習慣のギャップを測定する基準を得ることになる。また、ある面では非近代的に「である」価値が居残り、他の面では過近代的に「する」価値が行き過ぎている現代日本の問題を反省する手がかりにもなる。
 ここまで、時効、権利、自由、民主主義を通して、「である」ことと「する」ことの認識を確認してきた。この二つの物差しを使って、政治、経済、民主化、制度、思考習慣について非近代的な面と過近代的な面を考えていく。
 
徳川時代を例にとると
 
徳川時代は、現実の行動によって変えることができない出生家柄年齢が決定的な役割を担っている身分社会である。支配者である大名武士は、被支配者である百姓や町人に、サービス「する」ことによってではなく、「である」価値である身分的な「属性」によってに支配するという建て前になっている。
 人々の振る舞いも、相手が何であるかによって変わってくる。相手によって自分の振る舞い方をそれ「らしく」するのであるが、そのためには相手もそれ「らしく」してもらわないと自分の振る舞い方を決めることができない。互いに、「らしく」「ふさわしく」「分」に安んじることが社会の秩序維持に必要である。上の階級と戦って権利を勝ち取る努力をすることより、上を見ずに下だけを見て自分の階級に満足している方が楽なのである。従って、同郷同族同身分などの既定の「である」関係が人間関係の中心になる。同じ階級同士でも、相手が何者かわからなければどのように振る舞えばいいかわからず、未知の人々との横のつながりも煩わしい。
 
「である」社会と「である」道徳
 このような社会で、コミュニケーションが成立するには、服装身なり言葉づかいなどの見た目ですぐに判断できる外部的条件によって、相手が何者であるか識別できることが第一要件になる。徳川時代に服装や髪形などが身分によって決められていた。これは窮屈なように思えるが、逆に言えば、相互に何者かが判明していれば話し合いもスムーズに軌道に乗る。暗黙の了解のもとにものごとを進めていくことができる。言い換えると、見知らぬ人々との公共道徳は発達する必要がない。それは、上下関係を重んじる儒教的な道徳が作る儒教的な人間関係の、「である」社会である。
 
「する」組織の社会的台頭
 
しかし、赤の他人と関係を取り結ぶ必要が増大してくると、政治や経済や教育が分業化し、組織や制度の内部が分化していく。すると、人間は状況によって違った役割を演じなければならなくなる。人間関係がまるごと関係から役割関係に変わる。
 
業績本位という意味
 生産力が高まると、その地域で生産したものをその地域だけで消費しきれず、他の地域に輸出するようになる。逆に、その地域に不足していて他の地域で大量に生産しているものを輸入するようになる。さらに、交通の発達が貿易を促進する。すると、その地域だけの社会関係におさまらず、複雑多様になる。否が応でもあかの他人との関係を結ばなくてはならなくなる。人間関係も、家柄とか同族とかいう素性に基づく人間関係から、何かをする目的で取り結ぶ関係が増加する。そうしてできた会社や政党や組合や教育団体という機能集団は「する」ことの原理に基づいている。特定の目的に向かって、内部の地位や職能も分化していく。上役やリーダーは、上役であることからでなく、業績という基準で価値を判断される。彼が上司であるのは、その職能集団の中の仕事という側面だけであって、日常的な生活では対等な関係のはずである。日本でそうなっていないのは、職能関係が身分的になっているからである。
 この例からわかるように、「する」社会と「する」論理の移行は、すべての領域に同じテンポで進行するのでもなく、自動的に人々の考え方や価値意識を変えていくものでもない。そこから様々なバリエーションが生まれる。
 ここまで、江戸時代から明治時代へと近代化する中で、「である」価値と「する」価値の変遷を考えてきた。ここからは、すべての領域で同じテンポで進行しなかった日本特有の社会について考えていく。
 
政治の世界では
 
政治の民主化において「する」原理を適用すると、指導者は人民と社会に不断にサービスを提供する用意がありことであり、人民は指導者の権利乱用を監視し業績を点検する姿勢が整っていることが基準になる。
 徳川時代の勧善懲悪というイデオロギーは、善人からは必然的に善事だけが、悪人からは必然的に悪事だけが流れ出る、という単純な考え方である。これは、特定の人物が意識的に作り出したものではなく、その社会が「である」原理に基づいて組織化されている証拠である。
 社会が複雑化し役割関係が進展すると、具体的な状況での具体的な行動を判断しなければならない。良い人か悪い人かではなく、良い行動か悪い行動かという基準が必要になる。同じ一人の人間は、よい行動もするし悪い行動もする。行動の善悪はその人の属性ではない。より複雑な判断が求められる。
 当然、近代社会の制度も複雑な判断が求められる。制度を状態として判断するのでなく、運動や過程として判断しなければならない。
 しかし、民主主義という制度を建て前だけから判断する時、制度の現実的な働きの過程や運動を検証せずに、制度自体を固定した状態として、いいか悪いかで決めてしまう。民主主義は理想的な制度であり、よい働きが自然に流れ出る。民主主義の制度の中で起こる悪事は、民主主義という制度が悪いのではなく、偶然的な一時的な一部の人々のせいである。民主主義を静止したものとして想定し、神聖化する。既存の状態が民主主義であり、この状態を攪乱するものは反民主主義であるとレッテルを貼る−。
 日本では、近代の制度はあらかじめ出来上がったものとして上から降りて来て、我々を規制するものという実感が強い。その発想は徳川時代の考え方と全く同じである。身分社会を与えられその中で分に安んじたように、民主主義も与えられたものであり、現在の状態を維持することが基本的なモラルになっている。さらに、ものごとは一部の役人が決め、その決め方も前例を遵守するという官僚的思考様式が拍車をかける。
 制度の建て前の論理は、具体的な政策があって、その実現に必要な法律を提案し、国民が選んだ代表者によって構成される国会において多数決するという民主的な手順によって議決されたものは、国民の意志であるという首尾一貫した還元論法によって処理されたものが民主主義であり、その決定がいかにばか馬鹿馬鹿しくて間違っていると多くの人が気づいていても、具体的な状況での具体的な行動を測定し検証することをせずに、無条件に受け入れてしまう。
 
日本の急激な「近代化」
 福沢諭吉は「日々のおしへ」のなかで、「貴賤はする仕事の難しさで決まるものであって、大名や武士や公家といった身分ではない」と書いている。ここには「である」価値から「する」価値への歴史的な変遷が述べられている。たしかに、近代日本の躍進は、「する」価値によるものである。しかし、このような「する」価値が浸透の一方で、「である」価値が根を張り、「する」原理を建て前とする組織が「である」社会のモラルによって固定化されたことに、近代日本の混乱の原因がある。
 急速に伝統的な「身分」が崩壊しながら、自発的な集団形成自主的なコミュニケーションの発達が妨げられ、会議や討論の社会的基礎が未熟な時に、近代的組織や制度は閉鎖的な「村」を形成し、「うち」の意識「うちらしく」の道徳が強くなる。組織や会議などの民主主義を促進するはずの制度は作られるのであるが、組織の内部の人間関係や会議の進め方は、徳川時代同様「うち」の仲間意識と「うちらしく」の道徳が通用する閉鎖的な「村」であった。日本人は、場所に応じて「である」行動様式と「する」行動様式を使い分けなければならなくなり、ノイローゼ症状を呈している。
 
「する」価値と「である」価値との倒錯
 しかし、この矛盾も、戦前は「臣民の道」への「帰一」によってなんとか誤魔化されてきた。御国のため、天皇陛下のためと言う言葉で、深く追及されなかった。しかし、戦後、大衆社会的諸相が蔓延すると、「臣民の道」では誤魔化せなくなり、問題が噴出する。「する」ことが必要な制度の中に「である」ことが蔓延しており、どのように「する」のか分からなくなった。
 手を着けやすいのは、「する」ことが必要なのにそれが難しく「である」ことが蔓延している本質的に改善しなければならない部分ではなく、さほど「する」ことが必要ではないのに「する」ことが容易にできる部分である。「する」価値が不足している所では欠けており、過剰な所では進展している。
 特に大都市の消費文化で著しい。休日や閑暇は本来なにもせずにゆっくり休むことであったはずなのに、レジャーなど「する」価値が過剰になっている。学芸の在り方も、大衆的な効果卑近な実用の「する」基準が押し寄せている。学芸の世界では、彼がすることでなく彼があるところ価値の蓄積が大切である。それなのに、古典は軽視され、絶えず新しいものが求められ、大衆の嗜好多数決がその価値を決めるような風潮がある。
 
学問や芸術における価値の意味
 ジークフリートは教養について、しかるべき手段を用いて果たす機能が問題ではなく、自分について知ることが問題だと言っている。彼がすることでなく彼があるところに、果実よりに、結果よりそれ自体に価値がある。文化では、大衆の嗜好多数決に価値はなく、古典に価値がある。
 政治は、それ自体に価値はなく、結果で判断される。文化的創造では、絶えず前進することより、。
 
価値倒錯を再転倒するために
 政治の時代では、文化の蓄積の確信に支えられた発言と行動が生きてくる。否定しがたい意味を持つ「である」社会に「する」価値が蔓延し、「する」価値によって批判されるべき所に「である」価値が居すわっているという倒錯を再転倒する可能性がある。現代日本に必要なものは、ラディカルな精神的貴族主義がラディカルな民主主義と内面的に結びつくことである。


第一段

板書

1.学習プリントを配布し、学習の準備を宿題にする。
2.漢字の読みを確認する。
 1 催促  債権者  2 著しく  若干  怠って  威嚇  掌握  3 易しい  代物  5 辛うじて  7 謳歌  甚だしく
3.語句の意味を確認する。
1時効 長期間続いた事実を尊重し、それが道徳上は不当であっても、法律上は違法とは認めないこと。一定期間が経過して効力のなくなること。     
 債権 金銭を貸した者が借り手に対して、その返還を請求する権利など。債務。
 ロジック 論法。論理。
2投射 光線や影などを投げかけること。                   
 威嚇 威力をもっておどすこと。                      
 空疎 見せかけだけでしっかりした内容や実質がないこと。          
 掌握 全面的に自分の支配下に置くこと。                  
 道程 ある地点に着くまでの距離。                     
3荷厄介 物事が負担になること。                      
 代物 人や物を、価値を認めたり、あるいは卑しめたり皮肉ったりするなど、評価をまじえていう語。
4偏見 かたよった見方・考え方。
 偏向 考え方がかたよっていること。
5物神 呪力があるとして崇拝の対象とされる物。               
7謳歌 恵まれた幸せを、みんなで大いに楽しみ喜び合うこと。
1.時効について(1)
 1)人に物を貸して返してもらえなかった体験があるか質問する。
  ・なぜ返してもらえなかったのか。
  ・催促したか。
 2)様々な時効を説明する。
  ・金を貸す→1年間、授業料→2年、給料→1年、医者代→3年、家賃→5年、土地の上の建物→20年。
 3)時効の不人情的な面を確認する。
  ・気の弱い善人が損をして、不心得者が得をする。
  ・しかし、途中で請求すれば、時効の期間は延長する。
  ・請求しつづければ、永久に債権は保証される。
 4)規定の根拠にある趣旨は。
  ・権利の上に長く眠っているものは民法の保護に値しない。
 5)言い換えると。
  ・請求するという行為をしないで、債権者であるという位置に安住していると、債権を喪失する。
  ・「権利の上に長く眠っている」の言い換えは、「債権者であるという位置に安住している」。
 6)このことから導ける、時効のロジックとは。
  ・請求することによって、債権者である

2.憲法について(2)
 1)第十二条を確認する。
  ・自由や権利は不断の努力によって保持しなければならない。
  ★これが過去に獲得したもので、将来も維持してかいなければならないことを確認する。
 2)憲法の精神を「時効」のロジックに当てはめて言うと。
  ・主権者であることに安住して、権利を行使することを怠っていると、主権者であることを失う。
  ・権利を行使することによって、主権者である。
 3)ナポレオンやヒトラーの例を説明する。

3.自由について(3)
 1)アメリカの社会学者の話を確認する。
  ・自由を祝福することは易しいが、自由を擁護することは難しく、さらに自由を行使することはより難しい。
 2)「時効」や「主権」のロジックに当てはめて言うと。
  ・自由を祝福していて、自由を行使しないでいると、自由を失う。
  ・自由になろうとすることによって、自由でありうる。

4.自由人について
 1)自由人とは。
  ・自分は自由であると信じている人
 2)自分は自由人であると思っている生徒に手を挙げさせる。
 3)「自由であると信じている人が自由でない」と言える理由は。
  ・自分の思考や行動を点検したり吟味したりしないから。
  ★「する」ことをしない。
 4)逆に、「不自由だと思っている人が自由になれる」と言える理由は。
  ・自由に認識し判断したいと努力するから。
  ★「する」ことをするから。
 5)ロジックを当てはめると。
  ・自由に認識し判断したいと努力することによって、自由人である。

5.民主主義について(5)
 1)民主主義とは何か、生徒に質問する。
  ・人民が権力を所有し行使する政治形態。
  ・リンカーン「人民の、人民による、人民のための政治」
 2)筆者の定義する民主主義とは。
  ・制度の自己目的化(物神化)を不断に警戒し、制度の現実の働きを絶えず監視し批判する制度。
 3)「警戒し」「監視し批判する」について
  1)言い換えは。
   ・民主化
  2)「である」か「する」か。
   ・する。
   ・つまり、民主主義は「する」価値である。
 4)定義の中の「である」部分は。
  ・制度の自己目的化(物神化)
  ★制度とは、絶えず「する」ことを継続しなければならないものであるのに、すでに出来上がって変えることのできない「である」ものになっている。
 4)民主主義にロジックを当てはめると。
  ・不断に民主化することによって、民主主義である。
 4)民主主義の「である」と「する」をさらに言い換えると。
  ・である=定義や結論
  ・する =プロセス

5.まとめについて(6〜7)
 1)時効、憲法、自由、自由人、民主主義のロジックを一般化すると。
  ・「する」ことによって、「である」ことになる。
 2)このロジックの応用範囲は。
  ・近代社会の制度、モラル、哲学
 3)中世と近代社会の違いは。
  ・中世は、to be or not to beの「である」ことが最大の問題。
  ・近代は、to do or not to doの「する」ことが大きな関心事。
 4)「もちろんA、しかしB。」の表現に注意する。
  ・Aという留保条件をつけながらも、Bを強く肯定する。
  ・「もちろん、みんなの言うことはわかる。しかし、私はこうしたい。」
 5)留保条件について
  1)留保条件は。
   ・「である」ことはなくならない。
   ・「する」ことがあらゆる領域で無差別に通用してもいけない。
  2)「血族関係」や「人種団体」が「である」組織であることを説明する。
   ・自分の力以外で決められて、自分では変えることのできないもの。
  3)ここまでは、「である」ことが駄目で「する」ことが素晴らしいような書き方であったが、「する」ことが無制限で素晴らしい訳でないことを確認する。
 6)強い肯定について
  1)「二つの図式」とは。
   ・「である」ことと「する」こと
  2)この二つの図式で何ができるか。
   ・「民主化」の実質的な進展の程度や、制度と思考習慣のギャップを測定する基準になる。
   ・現代日本の非近代的な面と過近代的な面が共存する問題を反省する手がかりになる。
  3)それぞれの「する」ことと「である」ことは。
   ・「民主化」の実質的な進展=する
   ・制度=する
   ・思考習慣=である
   ・非近代=である
   ・過近代=する
  4)つまり、「である」ことと「する」ことのバランスを考える上で有効である。

第二段

板書

1.学習プリントを配布し、学習の準備を宿題にする。
2.漢字の読みを確認する。
 8 出生  11 朋友
3.語句の意味を確認する。
8出生 ある土地・境遇・家柄の生まれであること。              
 検証 実際に物事に当たって調べ、仮説などを証明すること。         
9分に安んじる その人の持っている身分や能力に満足する。          
10識別 物事の種類や性質などを見分けること。
11パブリック 公衆。大衆。また、公であるさま。公的。            
 人倫 人として守るべき道。                        
4.徳川時代について(8〜9)
 1)徳川時代のイメージを質問する。
 2)筆者の定義を確認する。
  ・出生、家柄、年齢が決定的な役割を担っている社会。
  ・身分制度。
 3)それらの特徴は。
  ・私たちの現実の行動によって変えることができない。
 4)それらはどちらの価値か。
  ・である
 5)大名や武士が百姓や町人を支配する根拠は。
  ×サービスをする
  ○身分的な属性
 6)人々の振る舞い方について
  1)「である」か「する」かで分類すると。
   ・「である」
  2)基本的なモラルは。
   ・「〜らしく」「〜にふさわしく」
  3)言い換えると。
   ・「分」に安んじる。
   ・与えられた役割や身分を守ることに専念し、余分なことはしない。
   ・不満があっても、諦めて、我慢する。
   ・そうすると、世の中に変化が起きず、秩序が維持できる。
   ・支配者にとっては都合のよい社会。
   ・多くの人々にとっても、多少不満はあるが、大きな変化がないので安心して暮らせる。
 7)中心になる人間関係は。
  ・同郷、同族、同身分。
  ・既定の間柄。
  ・仕事や目的を通じた未知の人との関係は起こらない。
5.徳川時代について2(10〜11)
 1)コミュニケーションが成立する要件は。
  ・相手が何者であるかが、外部的に識別されること。
 2)外部的に識別するとは、例えば。
  ・服装、身なり、言葉づかい。
  ★時代劇を思い出して、実際の服装や言葉づかいを考える。
  ★ちょんまげや着物や帯刀。
 3)この社会の欠点は。
  ・一見して相手が何者か分からなければどういう作法で相手に対していいか見当がつかない。
  ★水戸黄門や遠山の金さんは、一見してわからないから悪人が間違った振る舞いをする。
 4)この社会の利点は。
  ・相手が何者であるかが分かれば、ルールを作らなくても、話し合いは軌道に乗る。
  ★共通の仲間意識があるので安心感がある。
  ★東京で関西弁を話す人と出会うと安心する。
  ★暗黙の了解がある。世間の常識がある。以心伝心。阿吽の呼吸。
 5)このことを言い換えると。
  ・あかの他人の間のモラルは発達する必要がない。
 6)「あかの他人の間のモラル」とは。
  ・公共道徳、パブリックな道徳。
 7)それに対して、儒教道徳の五倫は。
  ・君臣、父子、夫婦、兄弟、朋友。
 8)君臣、父子、夫婦、兄弟はタテの関係であることを確認する。
 9)ということは、公共道徳の関係は。
  ・ヨコの関係。

第三段

板書

1.学習プリントを配布し、学習の準備を宿題にする。
2.漢字の読みを確認する。
 13 素性  14 行住坐臥
3.語句の意味を確認する。
13素性 血筋。家柄。また、生まれ育った境遇。
 職能 物事がその機構の中で果たす役割。
14行住坐臥 日常の振る舞い。                       
 事由 事柄の生じた理由・原因。                     
15バリエーション 物事の変化。また、物の変型・変種など。         
4.近代化について(12)
 1)明治になり、近代化によって社会はどのように変わってきたか。
  ・あかの他人同士が関係を結ぶ必要が増大した。
  ★徳川時代に必要のなかった関係が重要になってきた。
 2)組織や制度はどのように変化するか。
  ・各分野に分業する。
  ・各分野の内部が活動に応じて分化する。
  ★小学校では、一人の先生がすべての科目を教え、担任もしていた。
   中学校や高校になると、教科によって先生が代わり、担任も授業を持たないこともある。
   これらも、学習量が増大し専門的になるからである。
 3)人間関係はどう変化するか。
  ・状況によって違った役割を演じなければならない。
  ・まるごとの関係から、役割関係へ。
  ★クラスの担任であり、教科の担当であり、クラブの顧問であり、忘年会の幹事であり、夫であり、父親である。
  ★「舞姫」で、相沢は友人として豊太郎に話す場合と秘書官として話す場合で、役割を変えてきた。
5.業績本位という意味について(13)
 1)「である」論理から「する」論理へ推移した原因は。
  ・生産力が高まり、交通が発展して社会関係が複雑多様になったから。
  ★昔はある地域で、すべての分野を生産し消費していたが、生産力が高まるとその地域の消費ではおさまらなくなる。
   また、交通が発達するので、余剰分を他の地域に売りにいくことができる。
   従って、違う地域の人々との交流も増えてくる。
 2)人間関係はどのように変化するか。
  ・素性に基づく関係から、何かをする目的で取り結ぶ関係へ。
 3)12の語句に対応させると。
  ・素性に基づく関係=まるごとの関係
  ・何かをする目的で取り結ぶ関係=役割関係
 4)素性に基づく関係とは。
  ・家柄、同族。
  ・いつでもどこでも身分が変わらない関係。
  ・偶然的にある条件の元にできた関係。
  ・「である」関係。
 5)何かをする目的で取り結ぶ関係とは。
  ・職能集団。
  ・会社、政党、組合、教育団体。
  ・目的に応じて、団体内部の地位や職能の分化から生まれる。
 6)機能集団の目的とは。
  ・業績。
  ★家柄や同族などの素性に基づく関係は、業績を求めない。
  ・「する」関係。
 7)リーダーの価値判定の基準は。
  ×上役であること=「である」こと。
  ○業績=「する」こと。
 8)例えば「学校」について
  1)学校の目的は。
   ・次の時代を担う人材を育成する。
  2)学校の職能の分化は。
   ・担任、進路指導部、生徒指導部、教務部、保健部、図書部、企画部、事務部。
  3)教師の価値判定の基準は。
   ・教師であることではなく、
   ・どれだけ生徒の自己実現を援助し、立派な人間に育てられたか。そこには、学力も入るし、性格や物の考え方も入る。
5.「である」ことと「する」ことの交錯について(14〜15)
 1)武士と課長の違いは。
  ・武士=常に上下関係にある。
  ・課長=仕事の面だけの上下関係である。
  ★アメリカ映画の例を確認する。
 2)日本社会の問題点は。
  ・仕事以外まで上下関係がつきまとう。
  ・職能関係が「身分」的になっている。
  ・まるごとの関係。
  ★アフター5の過ごし方を問う。
   ・会社が終わって上司と付き合うか。
   ・教師は聖職といわれるが。
   ・タレントのプライバシーは。
   ・政治かのスキャンダルは。
 3)このことから、何がわかるか。
  ・「する」ことへの移行は、すべての領域に同じテンポで進行するのではない。
  ・自動的に人々の物の考え方や価値意識を変えるのではない。

第四段

板書

1.学習プリントを配布し、学習の準備を宿題にする。
2.漢字の読みを確認する。
 13 素性  14 行住坐臥
3.語句の意味を確認する。
17勧善懲悪 善事を勧め、悪事を懲らすこと。特に、小説・芝居などで、善玉が最後には栄え、悪玉は滅びるという筋書きによって示される、道徳的な見解にいう。勧懲。
 イデオロギー 歴史的、社会的立場に制約された考え方。           
18アクセント 強調したい部分や人目を引きつけようとする点、変化をつける点。
 青写真 おおよその計画。                         
 逸脱 本筋や決められた枠から外れること。                 
 事を好む 事件が起こるのを好む。変わったことが起こるのを待ち望む。
 やから 同類の者たち。仲間。連中。ともがら。特に、よくない連中。     
19氾濫 事物があたりいっぱいに出回ること。あまり好ましくない状態にいう。  
20攪乱 かき乱すこと。混乱が起きるようにすること。             
21周知 世間一般に広く知れ渡っていること。                 
 官僚 役人。官吏。特に、政策決定に影響力をもつ中・上級の公務員。
 拍車をかける 物事の進行を一段とはやめる。                
22施行 実際に行うこと。政策・計画などを実行すること。           
 首尾一貫 方針や考え方などが始めから終わりまで変わらないで、筋が通っていること。                             
 還元 物事をもとの形・性質・状態などに戻すこと。             
4.政治の民主化について(16〜17・18)
 1)政治の民主化を判断する考え方には何と何があるか。
  ・「する」原理で判断する考え方
  ・制度の建て前だけで判断する考え方
 2)「する」原理で判断する基準は。
  ・指導者=人民と社会に不断にサービスを提供する用意があるか。
  ・人民 =指導者の権力乱用を常に監視し業績を点検する姿勢を整えているか。
 3)制度の建て前だけで判断する考え方について
  1)それは何と一緒か。
   ・「である」原理
   ★民主化という近代的なものと、徳川時代のものがどのような点で同じなのか。
  2)「である」原理の一つの例に何があるか。
   ・勧善懲悪イデオロギー。
  3)勧善懲悪イデオロギーとは。
   ・善人からは善事が必然的に流れだし、悪人からは悪事が流れだす。
   ・善い人か悪い人かという基準。
   ★白か黒かの単純な考え方である。
  4)それはどのようにして生まれたか。
   ・特定の人物が意識的に作ったものではない。
   ・「である」原理に基づいて組織化された社会から。
   ・徳川時代はまさにそのような社会である。
 4)社会関係が複雑化し人間関係が役割関係になると、判断の基準はどうなるか。
  ・よい行動か悪い行動かという基準。
 5)判断に必要なことは。
  ・人で判断するのでなく、行動で判断する。
  ・具体的状況での具体的な行動を見る必要がある。
  ★よい人はよい行動もするが悪い行動もする。
   悪い人も悪い行動だけでなくよい行動もする。
 6)このことが「する」原理で判断することであることを確認する。
  ・西宇治高校の生徒は真面目である。
  ・西宇治高校の六百人は全員まじめであることになる。
  ・しかし、実際は、真面目な生徒もいるし、不真面目な生徒もいる。
 7)政治の民主化を建て前だけで判断する考え方とは。
  ・制度の現実的な働きを点検しないで、それ自体の善悪を決める。
  ・「する」ことを検証しないで、「である」状態で判断する。
  ★勧善懲悪のイデオロギーと同じ、「である」原理に基づく判断である。
 8)「する」原理の判断と「である」原理の判断の重視するものの違いは。
  ・「する」原理の判断=運動や過程。
  ・「である」原理の判断=状態。
 9)政治の民主化の「である」原理の判断の背後にはどんな状態が想定されているか。
  ・理想的な社会や制度の「模範的」な状態。
  ・民主主義の社会で起こる出来事は、すべてよい事である。
 10)そこで起こる悪はどのように片づけられるか。
  ・偶然的
  ・一時的
  ・特定の個人
 11)「美しい花園」とは。
  ・理想的な社会や制度。
  ・民主化された社会。
 12)このような状態はどのような時に生じるか。
  ・ある制度の建て前が神聖化されるとき。
  ★徳川時代もそうであった。
  ★戦前の日本もそうであった。
6.現代日本の民主主義について(19〜20・21〜22)
 1)現代日本の民主主義に氾濫している思考は。
  ・「状態」的思考
  ・「今は民主主義の世の中だから……」
  ・「日本は民主主義の国である以上、この秩序を破壊する行動は……」
 2)「……」に入る言葉は。
  ・すべて民主主義である。
  ・すべて反民主主義である。
 3)この民主主義の考え方の特徴は。
  ・日々作られるのではない。
  ・既存の「状態」が民主主義である。
  ・既存の「状態」の攪乱は反民主主義である。
 4)現代日本がこのような状況になった理由は。
  ・民主主義があらかじめ出来上がったものとして持ち込まれたから。
  ・民主主義の建て前があってそれが生活の上に降りてくるという実感があるから。
  ・「である」論理。
  ★徳川時代の身分社会と同じ構造である。
 5)その比喩表現は。
  ・チューブから練り歯磨きが出るように、条文の既定から具体的な政策が押し出されてくる。
  ・すでに出来上がったものがあって、それが自動的に出てくるだけ。
 6)それに対して、「する」論理が働いていればどうなっていたか。
  ・生活と経験を通じて制度の設立を要求し改めていく。
 7)こうした現代日本の状況に拍車をかけるものは。
  ・官僚的思考様式。
 10)官僚的思考様式とは。
  ・権威主義、独善性、秘密主義、形式重視。
  ・規則に対する執着、権限の墨守、新奇なものに対する抵抗、創意の欠如、傲慢、上からの命令は絶対である。
  ・お役所仕事。
 11)建て前の民主主義とは。
  ・具体的政策→法の施行→国会の多数決→国民多数の意思という還元論法。
  ・国民の多数が選んだ、国会議員の多数が賛成した、法律から生み出された、具体的な政策が実施されることが民主主義である。
  ★形式的には国民の意志が政策に反映されていることになる。
 12)本来の民主主義がなすべきことは。
  ・政策を実施した具体的な効果を測定し検証すること。
 13)建て前の民主主義を例を挙げる。
  ・選択しがセットになった選挙。
  ・議論のない多数決。
第五段

板書

1.学習プリントを配布し、学習の準備を宿題にする。
2.漢字の読みを確認する。
 23 賤しき  貴き  公卿  正味  24 強靱  25 妨げ  浸潤  26 臣民
 彌縫  蔓延  27 著しく  28 甚だしい  享受  閑暇  憩い  卑近
3.語句の意味を確認する。
23正味 余分なものを取り除いた、物の本当の中身
24強靱 しなやかで丈夫であるようす。ねばり強く、困難などによくたえるようす。
25浸潤 水がしみ込むように、思想・勢力・雰囲気などが広がっていくこと。   
 臣民 君主の支配の対象となる人々。明治憲法下の、天皇・皇公族以外の国民。
 彌縫 取り繕う
 国体 国のあり方。
 大衆社会 産業の発達による大量生産、大量消費の普及、あるいはマスコミの発達や教育の普及などにより、一部のエリートではなく、大衆の行動が社会の動向を決定する反面、生活様式・生活意識の画一化、政治的無関心、孤独感と不安にとらわれた大衆の現実逃避の傾向が強まる社会。第一次大戦後の先進諸国に現れてくる状況。
 蔓延 病気や悪習などがいっぱいに広がること。               
 享受 受け入れて自分のものとすること。受け入れて、味わい楽しむこと。   
 閑暇 することが何もないこと。ひま。                   
 大衆的 一般大衆に受け入れられるさま                   
 卑近 日常的で手近なこと。俗っぽいこと。                 
4.日本の急激な「近代化」について(23〜25)
 1)福沢諭吉の「日々のおしえ」を訳して説明する。
  ・世の中では、難しい事をする人を、貴き人と言う。
  ・大名や公卿や侍は何もしないので、貴き人ではない。
  ・先祖代々の財産が有るだけで、本当は賤しき人である。
 2)どんな意味が書かれているか。
  ・家柄や資産などの「である」価値から「する」価値への歴史的な変革。
 3)しかし、実際の近代日本に起こった宿命的な混乱の原因は。
  ・「する」価値の猛烈な勢いでの浸透。
  ・「である」価値が強靱に根を張る。
    ↓
  ・「する」原理を建て前とする組織が「である」社会のモラルによってセメント化。
 4)「セメント化」とは。
  ・固める。
  ・十分に機能していない。
 5)混乱の状況は。
  ・伝統的な「身分」が急激に崩壊。
  ・自発的な集団形成と自主的なコミュニケーションの発達の妨害。
  ・会議と討論の社会的基礎の未成熟。
 6)その結果どうなるか。
  ・閉鎖的な「村」を形成。
  ・「うち」のメンバー意識と「うちらしく」の道徳。
 7)しかし、現実は。
  ・あかの他人との接触が待ち構えている。
 8)どのような対応が必要か。
  ・同じ人間が「場所柄」に応じていろいろに振る舞い方を使い分けなければならない。
 9)場所柄とは。
  ・内は、「である」社会。
  ・外は、「する」社会。
 10)こんな状況の中で生活するとどうなるか。
  ・ノイローゼになる。
  ・漱石の明治の時代からそうだった。
5.「する」価値と「である」価値の倒錯について
 1)明治から混乱しているのに、戦前はどうしていたか。
  ・「臣民の道」という行動様式への帰一によって取り繕われていた。
 2)「臣民の道」とは。
  ・日本国民が天皇に臣下として仕える生き方。
  ・すべての矛盾点を天皇に仕えるというロジックで誤魔化していた。
 3)戦後どうなったか。
  ・「国体」という支柱が取り払われた。
  ・「大衆社会」の諸相が急激に蔓延した。
  ・問題点が明らかになった。
 4)「国体」とは。
  ・天皇を中心にした国の在り方。
 5)「大衆社会」とは。
  ・生活様式や意識の画一化、政治的無関心、孤独感と不安。
 6)問題点は何か。
  1)「する」価値に基づく検証が必要なところでは欠けている。
  2)「する」価値の必要のない部分では過剰に進展している。
 7)第一段落の内容と重ねる。
  1)非近代的
  2)過近代的
 8)近代化の例を、生徒の体験や認識を確認しながら検証する。
  1)「見せる」床の間付きの居間→「使う」台所や居間。
   ・「する」価値への適正な近代化。
  2)日本式宿屋→ホテル
   ・「する」価値への適正な近代化。
  3)休日や閑暇→レジャー
   ・「である」価値であるべき部分を「する」価値が過剰に進展した過近代化。
  4)教養としての学芸→大衆的な効果と卑近な実用性
   ・「である」価値であるべき部分を「する」価値が過剰に進展した過近代化。
 9)政治と学問について考える。
  ・政治は非近代的な世界なので、「する」価値が必要である。
  ・学問は過近代化しているので、「である」価値が必要である。

6.穴埋め式要約プリントを配布して、復習をさせる。



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である」ことと「する」こと 第一段 学習プリント 「権利の上に眠る者」 近代社会における制度の考え方   点検日  月  日
                  組  番 氏名

学習の準備
1.読み方を書きなさい。
 1 催促  債権者  2 著しく  若干  怠って  威嚇  掌握 3 易しい  代物  5 辛うじて  7 謳歌  甚だしく
2.語句の意味を調べなさい。
1時効  
 債権  
 ロジック  
2投射  
 威嚇  
 空疎  
 掌握  
 道程  
3荷厄介  
 代物  
4偏見  
 偏向  
5物神  
7謳歌  

3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。
 11)時効の根拠のある趣旨は。
  2)時効のロジックは。
 23)憲法の規定を時効のロジックで読み替えると。
 34)自由を時効の発想で考えると。
  5)その言い換えは。
 46)自分は自由であると信じている者はどうなるか。
  7)自分が自由でないと意識している者はどうなるか。
 58)民主主義の自由と同じような本質的な性格は。
 69)時効のロジックは何にまで広げて考えられるか。
 710)二つの図式とは何と何か。
  11)二つの図式を想定することによって何を得ることができるか。2つ。

学習のポイント
1.時効のロジックを理解する。
2.憲法における、「である」ことと「する」ことを理解する。
3.自由における、「である」ことと「する」ことを理解する。
4.自由人が却って不自由であること、またその逆の論理を理解する。
5.民主主義の本質的な性格を理解する。
6.「である」ことと「する」ことを想定する意義を理解する。


『である」ことと「する」こと 第二段 学習プリント  徳川時代を例にとると 「である」社会と「である」道徳  点検日  月  日
                  組  番 氏名

学習の準備
1.読み方を書きなさい。
 8 出生  11 朋友
2.語句の意味を調べなさい。

8出生  
 検証  
9分に安んじる  
10識別  
11パブリック  
 人倫  

3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。
 81)徳川時代の社会関係の決定的な役割を担う要素は。
  2)価値判断の重要な基準は何か。
  3)大名や武士が百姓や町人を支配する建て前は何か。
 94)基本的なモラルは。
  5)秩序維持の要求は。
 106)コミュニケーションが成り立つための第一要件は。
 117)発達する必要のないものは。

学習のポイント
1.徳川時代の価値判断の基準の特徴と具体例を理解する。
2.人間関係や社会の秩序を維持するのに必要なものと具体例を理解する。
3.コミュニケーションの成立に必要なものと具体例を理解する。
4.公共道徳の価値について理解する。
5.儒教社会について理解する。


『である」ことと「する」こと 第三段 学習プリント 「する」組織の社会的台頭 業績本位という意味      点検日  月  日
                  組  番 氏名

学習の準備
1.読み方を書きなさい。
 13 素性  14 行住坐臥
2.語句の意味を調べなさい。

13素性  
 職能  
14行住坐臥  
 事由  
15バリエーション  

3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。
 121)あかの他人同士の間に関係を取り結ぶ必要が増大すると、組織や制度の性格はどの   ように変わるか。2つ。
  2)また、人間関係はどのように変わるか。
 133)「である」論理から「する」論理への推移の原因は。
  4)すると、どんな関係や制度の比重が増していくか。
  5)例えばどんな職能集団か。
  6)リーダーの偉さの根拠は。
 147)娯楽や家庭の交際まで会社の「間柄」がつきまとう原因は。
 158)「する」社会と「する」論理への移行は具体的な歴史的発展の過程ではどのように   進んで行ったか。

学習のポイント
1.近代化によって組織や制度や人間関係がどのように変化するかを理解する。
2.「である」論理から「する」論理へ推移する原因と過程を理解する。
3.職能関係と市民関係の違いと日本の現状を理解する。
4.「する」社会や論理への移行の問題点を理解する。  


『である」ことと「する」こと 第四段 学習プリント   政治の世界では                     点検日  月  日                  組  番 氏名

学習の準備
1.読み方を書きなさい。
 16 歌舞伎  読本  勧善懲悪  逸脱  19 氾濫  20 攪乱  21 練り歯磨き  22 施行  還元
2.語句の意味を調べなさい。

17勧善懲悪  
 イデオロギー  
18アクセント  
 青写真  
 逸脱  
 事を好む  
 やから  
19氾濫  
20攪乱  
21周知  
 官僚  
 拍車をかける  
22施行  
 首尾一貫  
 還元  

3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。
 161)政治において「する」原理を指導者側に適用すると。
  2)人民側に適用すると。
 173)勧善懲悪のイデオロギーとは。
 184)社会関係が複雑化すると善悪の基準はどのように変わるか。
  5)よい制度からよい働きが出るという見方の背後には、何がどのように設定されてい   るか。
 216)日本の制度には、どのような実感が強く根を張っているか。
  7)また、どのような発想が広がらないか。

学習のポイント
1.政治における「する」原理を理解する。
2.勧善懲悪的なイデオロギーを理解する。
3.民主主義の神聖化について理解する。
4.日本人と制度の関係を理解する。


『である」ことと「する」こと 第五段 学習プリント 日本の急激な「近代」 「する」価値と「である」価値との倒錯 点検日  月  日
                  組  番 氏名

学習の準備
1.学習プリントを配布し、学習の準備を宿題にする。
2.漢字の読みを確認する。
 23 賤しき  貴き  公卿  正味  24 強靱  25 妨げ  浸潤  26 臣民 彌縫  蔓延  27 著しく  28 甚だしい  享受  閑暇  憩い  卑近
3.語句の意味を確認する。

23正味  
24強靱  
25浸潤  
26臣民  
 彌縫  
 国体  
 大衆社会  
 蔓延  
28享受  
 閑暇  
 大衆的  
 卑近  

3.次の問題の答えにあたる部分に線を引き、番号をつけなさい。
 241)福沢諭吉の「日々のおしへ」は何を表現していたか。
  2)日本の近代の混乱はどういうところに発しているか。
 253)こうした混乱の結果、近代的組織や制度はどういうことになるか。
  4)「そと」に出れば何が待ち構えているか。
  5)その状況の中で、人々は何をしなければならないか。
 266)この矛盾を戦前はどうしていたか。
 277)戦後の日本社会で厄介な点は。

学習のポイント
1.福沢諭吉の先進性を理解する。
2.近代日本の混乱を理解する。
3.近代日本の組織や制度の矛盾を理解する。
4.戦前と戦後の違いを理解する。
5.現代日本の厄介な点を理解する。
6.近代化の具体的な例を理解する。