12.文書表現から音声表現へ〜脱学級通信〜 2003/2/22

 昨年度は、毎日学級通信を出していました。180号ぐらいまで出した。毎晩、ノルマとしてこなしたので、ストレスフルな夜を過ごしました。ところが、生徒への伝わり方はイマイチ。伝え方は生徒の意見もフィードバックしたりしたので、間違ってはいなかった。で、一年近く考えた結果、結論がわかりました。簡単です。文字言語は音声言語を越えられない。やはり、リアルタイムで、生徒の生の姿を見ながらビビットに反応するからこそ、ライブ感覚が成立します。今の生徒は感覚的です。世代の壁を越えるには、真正面から向き合うしかないのです。

11.クレジット追試 2001/9/23

 百人一首を覚えるのは僕が高校生の頃から続いている永遠の宿題。本校では、冬休みに一括して100個覚えるのは不可能と判断し、夏休みに前半の50個を覚える宿題を出しています。休み明けに、上の句を50個書いておき下の句を書かせる、というテストをします。結果は、予想どおり散々な出来です。となると、教師も意地になって何とか覚えさせようと追試をする。でも、合格ラインを25個に下げても難しい。そこで、導入したのがクレジット方式。1回で25個覚えた場合は、一括返済で50点。一括返済が無理な場合は、前回の答案用紙を返却し、続きを解答して25個正しく書ければ合格。但し、2回2回分割なら40点、3回分割なら35点とだんだん点数が減っていきます。こんな追試を週に2回、昼休みに実施します。去年もこの方式で全員追試合格しました。こんな労力を使ってまで覚えさせなければならないのかという疑問も沸いてきますが、ゲーム感覚で、教師も生徒も結構楽しくやっています。

10.HR役員自己推薦書 2001/4/16

 年度当初のクラス役員選挙は頭のいたい行事の一つです。すんなり立候補してくれることもありますが、確率的にはあまり期待してはいけません。全員立候補で決めること、一人一役当たることを宣言し、さらに安易な委員に流れないために、中心になる委員を決めてから他の委員を決めるというセーフガードをかけます。この時点で、生徒の動きは止まります。「今日は、決まるまで終わらないからな!」と言って戒厳令を敷いても、生徒は籠城を決め込みます。事態が膠着状態になった時、「HR役員・係自己推薦書」を配布します。なりたい委員に○をつけるか、できる係名を記入させ、その委員や役員になって、自分ができること、やりたいことを書かせます。みんなの前では名乗れなくても紙になら書ける生徒もいるでしょう。楽な委員に逃げを打つ生徒に真意を問うこともできます。書いたからといってその通りにならないことを確認して回収します。自己推薦書を見ながら、呼び出して調整したり、みんなの前で不足している委員について相談したりして、原案を作って提示します。

9.教師に対する一問一答 2001/4/16

 最初の授業やホームルームで、教師がする自己紹介&自己開示です。教師自ら生徒が知りたくもないことをペラペラ喋って、生徒に退屈な顔をされるより、生徒が聞きたいことを質問し、教師が答えていけば双方幸せです。生徒一人一問、質問は板書していき重ならないようにします。その質問にできるだけ誠実に答えていきます。関連することは補足します。例えば、質問「子供はいますか?」。回答「います。3人いて、上が中1の男の子、中が小4の女の子、下が4歳の女の子です」。全員終わった後で、板書をふり返ります。関連質問をチェックしたり、内容の深さで分類したり、良い質問と悪い質問に分類したり、人権的に注意すべき質問を指摘します。このイベントは、いわば教師という人物を読解していくのと同じです。質問が論理的・継続的に行なわれるなら、より深く読解できます。国語の読みにつながります。質問のパスを許すと、生徒の興味や好奇心が激減します。どんなことでも質問させるようにした方がいいでしょう。最初は、補足部分を面白くし、生徒の目を引きつける工夫が必要です。

8.音声入力 2000/1/27

 活字で書かれたものはスキャナで取りこんで、OCRで読みこめば、ワープロソフトのテキストになる。ところが、活字になっていないものは取り込みようがない。その最たるものが生徒の感想文である。昔の先生は、いちいち手書きでロウ原紙やファックス原稿用紙に書き込んでいた。最近はワープロで打ち込むのだが、いくら早打ち大変な労力である。そこで登場したのが、音声入力ソフト。認識率はまだまだOCRレベルまでいかないが、使い込めば精度が上がっていく。私は言語不明瞭なので苦労しているが、声の通る人なら認識率は非常に高くなくだろう。これで、生徒の感想文を読み上げ、ワープロソフトに転送して、修正していく。時間にして遅くても半分以下に短縮できる。ソフトは何種類か出ているが、私が使っているのは、IBMのVia Voiceである。アカデミーパックならマイクが付いて1万円もしない。一太郎はVia Voiceと合体した製品を出しているが、予算的に抑えたいなら、別々に買った方がいい。

7.国語読解の智 2001/1/27

 入試問題を毎時間実施することは時間的にも無理です。また、問題が多岐に渡っていてポイントがずれてしまいます。そこで短時間でポイントを絞ってできる問題集を探しました。研数書院から出ている「短文による現代文読解の練成」「中文による現代文読解の練成」を見付けましたか、使える問題数が少ない。そこで、発見したのが、日本語文章検定の問題集です。要旨を選択肢で選ぶ問題、問題提起の文を選ぶ問題、文の並べ替え問題、段落分けの問題、小見出しを選ぶ問題など、入試問題のエッセンスがぎっしり詰まっています。それをスキャナで取り込んで、OCRで読んで、体裁を整えて40回シリーズのB5版のプリントにしました。ネーミングも「国語読解の智」。「知」であり「友」でもあります。それを毎時間授業のはじめに解かせて解答と解説をします。受験生には大好評でした。

6.五本指靴下&い草草履 2000/11/19

 足の指一本一本が入る靴下を愛用しています。指と指の間を乾燥させておくことは健康にもよいそうです。それに何より、水虫には最適です。しかも、スーパー「イズミヤ」で3足680円とお手頃価格で手に入るのも魅力です。馴れるまでは履きにくいですが、すぐに馴れます。
 それに、い草の草履を履いています。俗に言う「雪駄」です。鼻緒は白で風格十分です。鼻緒で親指と人指し指の間を刺激し、親指に力がはいるのも健康にいいそうです。
 初めて見る生徒はシゲシゲと見つめてくれます。コミュニケーションのきっかけになります。
 そもそも、このスタイルを始めたのは、転任した当時の前任校で二足制問題で揉めていたことがきっかけでした。校舎を改築したので校長は二足制にしようとしたのですが、説明が不十分だったため徹底しませんでした。生徒部長も他校から転任してきて二足制を徹底させようとしました。しかし、前からいた教師の多くは生徒の側に付きました。生徒に上履きを履かされ、教師は上履きを履かずに運動靴を履いていました。生徒部長とともに転任してきた我々は生徒にとって悪者でした。僕は出身校だっただけに、なんとかしたいと思いました。校長の手際の悪さも情けないけど、生徒には履かせておいて自分だけ運動靴を履く教師にも腹が立ちました。そこで、僕は、裸足で校舎を歩きました。見かねた教頭(教頭も一緒に転任したのですが、人情味のあるいい先生でした)に何とかならないか、と言われたので、それならい草草履にしましょうとして履き始めました。そう言えば、畳屋の息子なので予定調和かもしれません。冬になると寒いので、い草草履の履ける五本指靴下にした次第です。

5.出前スタイル 2000/11/19

 配布するプリントや回収したプリントを、クラスごとにB4版の木箱に入れてあります。まとめて印刷して箱にポイ。教室で回収して箱にポイ。それを、左腕の脇を閉めて肘を180°曲げて、手のひらの上に乗せて持つ。ちょうど出前のように。こうして持つと、力がいらずに楽なのです。生徒も注目してくれます。そういえば、授業というのは勉強の出前ですよね。
 この木箱が老朽化しています。もともと、前任校で廃物になった棚の引き出しを利用していたのです。プラスチック製のものも探せばあるのでしょうが、木だからこそ味があるというもの。こだわるなら、自分で作るしかないか。

4.思い出スピーチ 2000/11/7

 毎年、3年生の中間試験開けから開始する恒例行事。よくある3分間スピーチです。テーマは「3年間で考えたこと」という漠としたものです。話し手は原稿を用意して発表するのですが、どうしても見てしまうのが課題です。工夫したことは、聞き手が、「主題」「まとまり」「面白さ」「姿勢や仕種」「声の速さや大きさ」「全体」をABCの3段階で評価することと、コメントを書くことです。それを回収して、綴ってホチキスで留めて、表紙をつけて、話し手に返します。それが思い出になると毎年評判で、今でも大切に持っているという卒業生も多くいます。授業のはじめに3人ずつスピーチします。1回に、スピーチ2分以上3分以内+コメント2分=5分×3人=15分、かかります。
 順番は、例の席替えマシーンを使います。最初に出た球の数字の名簿の人から、次に出た球が最初の数字より大きければ昇順、小さければ降順。タイマーは例のキッチンタイマーを3分にセットして使います。2分経過すると100円ショップで買った猫の陶器の呼び鈴を鳴らします。

3.キッチンタイマー 2000/11/7
 これもホームセンターで見つけました。電器の量販店でも見ました。つまりはストップウォッチです。しかし、普通のストップウォッチと違うのは、カウントダウンできることです。デジタルタイマーで1秒ずつ99分まで測ることができます。例えば3分なら、300と打って、スタートボタンを押すと、2分59秒、58秒、57秒、・・・とカウントダウンしていき、3分たつと「ピピピッ」と電子音で知らせてくれます。小テストで時間を測ったりするのに便利です。デザインは、私の持っているのは人参ですが、トマトもあります。他にもいろいろな形のものがあるでしょう。気になるお値段は、1000円とお手頃です。

2.席替えマシーン 2000/9/8
 よくホームセンターに行きます。3年前のクリスマス前後だったでしょうか、玩具コーナーにビンゴゲームで使う小さなルーレットが980円で売っていました。見た瞬間、閃きました。席替えに使える。
 残念ながら、買ってからいまだに担任を持っていません。で、担任の先生に貸し出しています。すると、ある先生は、こんな工夫をされました。「席替えマシーン」によって席替えをするのですが、縦1列が男子ばかり女子ばかりになると左右が逆になる、横1列が揃うとなんと前後が逆になる。左右は許せるが、前後になると大騒ぎ、を通り越して阿鼻叫喚の様相を呈します。その先生は、御神籤型のルーレット?を見つけて来られて活用されています。
 担任のない私は、授業でグループ学習をする時のグループ分けに使ったり、漢文の書き下し文を黒板に書く人を決めるのに使ったりしています。


1.100円のこまいぬ 〜徒然草「丹波に出雲といふ所あり」〜 2000/9/8
 よく100円ショップに行きます。雑多な品物を眺めるのが楽しい。春休み、近所の100円ショップを子どもを連れてブラブラしていると、「おとうちゃん、あれ何?」と指さす彼方に金と銀の2色の狛犬の置物がありました。見た瞬間、閃きました。1年の国語で「徒然草」を教える時に使える!
 幸い、今年度1年を1クラスだけ教えることになり、しかも教科書に「丹波に出雲といふ所あり」が収録されていました。売りきれるはずはないのですが、早速、近所の100円ショップで金と銀を買い求めました。
 授業で使うと案の定好評でした。授業が終わると、多くの生徒が教卓に寄ってきました。生徒が言うには、「これ、シーサー?」。こいつら授業聞いてるのか!と思いましたが、丁寧に訂正してやりました。生徒にとっては、日本古来の置物より、シンガポールのシーサーの方が知名度が高いようです。
 たった1時間、たった1クラスの為の「補助教材」でしたが、200円の投資は安いものでした。今も職員室の机の横においてあります。通りかかる生徒が頭をなでて行きます。3年生にとって受験のお守りのようになっています。100円と聞くと、ビックリします。100円ショップは教材の宝庫です。



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