人権学習(就職差別)グループワーク


人権学習の就職差別というと、N電池の問題や、社用紙や、大昔の資料を出してきて、
「こんな酷いことがありました。
こうして改善してきました。
でも、まだまだ残っています。
面接の時は気をつけましょう」
というのが定番でした。
N電池の問題は、京都の事件ですが、僕が新採の時から使っています。
もう、時効だろう。許してやれや。と思ってしまう。
生徒も、またかという顔で聞いている。
 
今回の教材は、参加型のプログラムです。
差別される側でなく、差別する側からの疑似体験です。
5〜6人のグループを作って、1つの会社と見立てます。
そして、5人の就職希望者を順位づけるというゲームです。


1.5人組を作る。(近くの席で分ける)
2.何の会社かと社長を決め、黒板の表に書く。
3.ワークシートを配布する。
4.やり方を説明する。
5.個人で順位を付ける。
6.グループで話し合って、順位を決める。
7.順位を黒板の表に書く。
8.社長が選考過程と基準を説明する。
9.教師がコメントする。
 
ワークシートの就職希望者と次の通り。
Aは、高卒の18歳の男子。試験の点数は一番良い。しかし、家庭環境が悪い。えなりかずき似。
Bは、有名大学卒の32歳の女性。試験の点数は2番目。元外資系社員。光浦靖子似。
Cは、有名大学卒の22歳の男性。試験の点数は3番目。体育系クラブに所属していた。陣内智則似。
Dは、短大卒の20歳の女性。試験の点数は4番目。保育士の資格を持っている。長澤まさみ似。
Eは、無名大学卒の24歳の男性。試験の点数はAの半分。社長の甥。亀梨和也似。
(顔写真をワークシートに印刷してある。これだけでもすごく盛り上がる)


Aを採用したグループは1つ。理由は、高卒だから、家庭環境が悪いから。
Bの採用が最も多く、理由は、有名大学を出ているから。英語ができそうだから。
Cの採用は次に多く、体育系だから。有名大学を出ているから。バランスが取れているから。
Dの採用は少なく、保育士の免許で採用を決めたグループが一つ。
Eは採用ゼロ。社長の甥だからというコネは認めない。ただ、ゴマをする社員もいた。
 
生徒の考えにも差別的なものが見られる。
生徒は雇う側に立って、なぜそんな差別をしてしまうのかを体験する。
でも、それを頭ごなしに間違っていると否定しない。
教師がコメントで次のように説明する。
人種や性別や容姿や親など、自分の力ではいかんともしがたい「属性」と、
成績や職歴や資格など、自分の力である「業績」がある。
それでは学歴はというと難しい。
本人の努力の結果、「業績」と言える部分もある。
しかし、親に経済力がなくて大学へ行けない人もいる。
とすれば、「属性」とも言える。
 
このように、生徒は差別する側の論理も考えた上で、
それでも差別はいけないと考えるようになるように指導するのが教師の腕の見せ所。
やりっぱなしでは、かえって差別を助長することになるので、注意が必要。



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