22.LIFE R.P.G. 11月22日(月)
〜自分史を書こう3〜
前回は、授業の直前、国語表現の教材作成中にギックリ腰を起こし、痛恨のリタイヤで自習になった。2学期もあと2回、自分史は完成するのだろうか。
まず、前回の「Life Simulation」の集計結果を返し、簡単な解説をします。
就職ステージでは、将来を想像するのが困難な生徒が多い。仲間と楽しく過ごせる仕事に就きたいが一番多いが、自分の能力を試す仕事も次に多い。このあたりは予想通りで、社会性という感覚は希薄でした。
結婚ステージでは、ほとんどが結婚したいで、26歳までと希望している。利点は、精神的な安らぎと人間的な成長が多く、不利益は、やりたいことができないが多い。結婚相手の条件は、性格と愛情が男女とも多かった。スイートホームが築けるマイホーム主義のタイプが圧倒的に多いが、ほとんど生活感覚は希薄である。結婚しない人が増えている中で結婚願望がしかも若くしての結婚願望が多かったのが意外でした。ただ、生活感覚は希薄なようです。
出産・育児コースでは、子供は2〜3人両方欲しい。男の子には大学が多いが女の子には短大と大学と高校が同じぐらいになる。子供の生き方は、男の子は家族らと円満にと個性や趣味を大切にが多いが、女の子は家族らと円満に集中している。子育ての意味は、家族の絆が最も多く、自分の成長、楽しいが続く。結婚や出産と女性の仕事は、仕事の継続か出産後の再就職が多い。少子化の原因は、結婚しない子供を作らない人の増加と多様な楽しみをあげたものが多かった。少子化傾向の中にあって明るい材料です。子供の教育もほどぼとで受験戦争も終結の方向に向かうのでしょうか。子育てについても明るい解答が得られました。
中年期では、仕事と余暇が相半ばした。もっと余暇を楽しむが多いと思っていたのに、仕事も大切に考えているのは明るいことです。
老年期では、仕事は50歳までと働ける限りに分かれた。自分の親は同居して面倒をみるが、自分の老後は配偶者と娘にみてほしいが多かった。寿命は80歳までが多く、生まれ変わりは、男は男が多く、女は半々であった。自分の親の介護についてもよく考えているようですが、自分があまり長生きしたいとは望んでいないようです。やはり、女の方が損なのかなと考えたようです。
自分史の完成が気にかかりながらも、先週その作成中にギックリ腰で志半ばで実施できなかった最後のイベントを打ちたい。これは2年越しの構想で、国語表現を引き受けたのもこのゲームのためでもあります。そのゲームとは、人生ゲームのようなものです。リクルートの出している進路情報誌「キャリアガイダンス」の1986年4月号に掲載されていた「GOOD LUCK GAME」を改良した「LIFE R.P.G.」です。
大学・短大・専門学校の進学コース、企業就職コース、家業・自営業コースの5つのスタートラインを選んで始めます。
進学コースは、転部転科の危機を経て入社します。
就職コースは、職場になじめないとか、仕事が面白くないとかの危機を、我慢するか退社するかを選びながら進みます。いずれ結婚するかしないか、子供を作るか作らないかを選びます。ここで一時男性コースは女性コースに分かれます。女性コースは出産後仕事をやめるか続けるか、続けるならその後専業主婦をするかパートをするか再就職をするかを選びます。専業主婦やパートを選べば、お受験や離婚の危機を経て老後へ至ります。男性コースや結婚しない女性コース、子供を作らない女性コース、出産後仕事を続ける女性コース、出産後再就職女性コースは、異動や転勤の危機を経て、のんびりコースか出世コースか専門職コースに分かれます。そして、残留・転職・リストラの危機を経て老後へ至ります。
家業・自営業コースは、家業手伝いコースか同業者修行コースに分かれ、父親や上司とのトラブルを経て、結婚や出産の有無を選びます。そして、一人前になったところで、家業を継ぐか自分で会社を起こすを選びます。事業不振・商売がたきの登場・不況・持ち逃げの危機を経て、老後へ至ります。最後に、どの老後も幸せな老後か不幸な老後かという過酷な宣告が待っています。
これらの過程を、サイコロの目で運試ししたり、自分の価値観によって選択して行きます。このゲームの特徴は、選択する時に、時間・視野・お金・人間関係・地位・安定・気持・家族・自分らしさの価値観を尊重したり切り捨てたりして、老後を迎える時に人生でどんな価値観を大切にしたか振り返るところにあります。ここが、ただの人生ゲームと大きく違うところです!!
こんな遊びをしながら、将来の興味づけをして、後はひたすら自分史作成の作業に専念させます。
時間 | 学習項目 | 活 動 内 容(★留意点 ▼生徒の反応) |
20 | LIFER.P.G. | 1)好きなもの同士4〜5人のグループに分かれる。 2)グループに「LIFE R.P.G.ボード」を1枚・サイコロ(サイコロキャラメル。中身入りで、一番早く幸せな人生を得た人が食べられる)を1個・進め方と価値観の説明プリントを1人1枚・価値観プロフィールシートを1人1枚配布する。 3)進め方を説明する。 4)グループごとに進める。 |
10 | LifeSimulation集計 | 1)「Life Simulation集計」を配布する。 2)全体の傾向を説明する。 |
65 | 自分史の続き | 1)個人年表を完成させる。 2)構想を立てさせる。 3)目次を完成させる。 4)できたら、書けるところから書き始めさせる。 |
5 | 振り返り | 1)「ふりかえりシート」を配布し、記入させ、回収する。 ・ふりかえりシートの項目は、1)本日の進行状況、2)次の時間の予定、3)本日の反省および感想、4)国語表現に対する意見 |
資料
LIFE R.P.G.の進め方 1.「大学進学」「短大進学」「専門学校進学」「企業就職」「家業・自営業」の5つのスタートラインがあります。各自、進路希望にふさわしいものを選び、駒を置きます。
ゲームボードは複雑なのでwebでは公開できません。ご希望の方は、nobu-nisi@pat.hi-ho.ne.jpへご連絡ください。(郵送費とその送料をご負担ください) |
生徒の感想
「LIFE R.P.G.」について
▼面白かった。双六みたいにもっと長くしてほしい。▼ただの双六なのに結構考えさせられた。自分らしさを重視する人生らしく、少し自分の進路と重ねてみると、当たってるなと思った。自分らしさを追求しすぎて時間もなくなった。▼あまり変化のない人生だった。
こういう人生もいいかもしれないと思った。▼かなり平穏な人生を送ったって感じだった。
でも離婚はつらかった。▼満足しています。こんな風になりたい。▼なかなか面白かったです。本当に人はこんな風になるとは思えないけど楽しめました。
自分史について
▼頑張った。進んだ。楽しい。▼思い出が1つ1つよみがえって楽しかった。▼「たかが18年の人生、書くことなんてないわ」と思っていたけど、振り返って目次にしようと思うと、なかなかいろいろなことがあって苦戦した。何十年か後に見ても「いい」と思えるような自分史を作ろうと思った。▼自分のことやけど、赤ちゃんの頃のは分からないので中途半端やった。▼自分史を早く仕上げてどんなものよなるのか見てみたいです。すごく楽しみでしょうがないけど、仕上がるかが少し不安です。▼思ったより小さい頃を覚えているので驚きました。▼自分のことを書くのって楽しいと思う。▼懐かしい思い出を思い返せて新たに人をいとおしく思えた。
教師の感想
自分史の完成が気になる生徒もいるので、「LIFER.P.G.」は希望者だけにした。やっている生徒は楽しそうで、まずまず成功だった。予定通り先週できていたら……と後悔しています。自分史の作成は予想以上に遅れています。2週に渡って自習になったのは痛かった。進め方を十分理解できるように説明したつもりだったが、難しいものです。
教師がいないとついつい遊んでしまうらしい。私の今までの指導の賜物かもしれませんが、生徒の自発性だの自主性だのがこれからの教育の課題になるのに、力不足を感じます。
参考文献
・佃直毅、渡辺三枝子「GOOD LUCK GAME」キャリアガイダンス1984年4月
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