5.やりとりを理解するワーク 5月24日(月)     

私を知るワーク、私に気づくワークをやりながら、交流分析の構造分析を学んできました。生徒は、5つの自我状態についてはだいたい理解したようです。しかし、自分の言葉や態度がどの自我状態に当たるのかという具体的な識別は十分には出来ません。
次に進みましょう。自己理解ができたとして、次はコミュニケーションです。自分のある自我状態から相手のある自我状態に向けてメッセージを発します。すると、相手のある自我状態から、自分のある自我状態へメッセージが返って来きます。このやりとりがコミュニケーションです。そして、それを考えるのに役立つのが、交流分析のやりとり分析です。今回は、やりとり分析を学んで、自分のコミュニケーションについて考えます。
まず、「やりとり分析シート」を使って、「相補交流」「交差交流」「裏面交流」の3つのパターンについて説明します。
次に、5人ずつ6グループに分かれて、やりとり分析練習シートを使って実例を分類させます。そして、実演しながら解答して行きます。その時に、向かい合わせに椅子を3つずつ2列並べます。それぞれP・A・Cの札を張ります。最初にメッセージを送る方をX、メッセージを返す方をYとします。Xは自分に該当する自我状態の椅子に座ってセリフを言い、送ったはずの相手の自我状態の椅子にぬいぐるみを置きます。Yは自分に該当する自我構造の椅子に座ってセリフを言い、返したはずの相手の自我状態にぬいぐるみを置きます。こうして、体験的視覚的に理解を深めて行きます。

時間 学習項目      活 動 内 容(★留意点 ▼生徒の反応)     
30 組み合わせ要約
1)前回提出させたものを添削して返却。ポイントを説明する。
2)組み合わせ要約第4弾「現代の言葉としての敬語」を配布して、20分間で解答させ、回収する。
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自我構造の復習 
1)前回提出させた「物になる」をまとめたプリントを配布する。
2)内容と自我構造が合っているかチェックする。
★まだ、理解が不十分なため、間違ったものが多くある。前回の振り帰りをするのが目的で゛いちいち訂正するのでなく、指摘するにとどめる。
▼やはり、人のことが気になると見えて、これは誰々のはちがう?と関心を持ってみてくれた。やはり、生徒のものは生徒に返すのは鉄則ですね。
10 やりとり分析の説
1)「やりとり分析シート」を配布する。
2)3つの交流パターンについて説明する。
3)図に矢印を入れながら、例の解答をする。
★作業を取り入れることによって、少しでも睡魔からこちらの世界へ引き込む。
50 やりとり分析の練習    1)次ワークのために、5人のグループに分ける。
★ビンゴのルーレットを使って、分ける。小道具で生徒の雰囲気を盛り上げる。
2)「やりとり分析練習シート」を配布する。
3)グループで正解を考えさせる。
★理解度を確認するため、グループの解答を回収しておく。
▼どのグループも熱心に話し合ってくれた。
4)椅子を3つずつ2列並べ、椅子に「P・A・C」の札をはる。
5)グループから2人ずつ出させる。
6)Xに当たる人が自分の自我状態だと思う椅子に座り、Xのセリフを言い、送った相手の自我状態の椅子にぬいぐるみを置く。
7)Yに当たる人が自分の自我状態だと思う椅子に座り、Yのセリフを言い、送った相手の自我状態の椅子にぬいぐるみを置く。
8)人やぬいぐるみの位置を確認して、正しいかどうかを判定し、交流のパターンを確認する。
9)これを繰り返す。
★個人作業になると単調になるのでグループで考えさせる。また、実演や考案の作業の準備としても、この段階からグループで話させる。
★椅子に座って実演することによって、気持ちが確かめられる。特に、交差交流は不愉快な感情が体験できるし,裏面交流は隠されたメッセージが体験できる。ぬいぐるみは場を盛り上げる小道具。
▼嫌がらずに各グループから2人ずつ出てくれて、恥ずかしがらずに実演してくれた。ただ、ぬいぐるみの反応はイマイチだった。あまり小手先にはしらないほうがよいのかな。
★時間の関係で、全問を実演で解答しないこともある。


資料

やりとり分析練習シート

1.X「今日は何曜日ですか。」
   Y「月曜日です。」
2.X「こんな仕事も出来ないのか? しょうがないなぁ。」
  Y「すみません。私は本当に不器用なんです。」
3.X「今日は何曜日ですか。」
  Y「それくらいご自分でしらべて下さい。あんたが、いちいち私に物をたずねるんで、うるさくて仕事ができませんよ。」
4.X「お母さん。あたしのこと、ちっとも愛してくれないのね。」(ひがんだ口調で)
  Y「親子の愛って何かしら。ゆっくり研究してみる必要がありそうね。」(冷静に、客観的)
5.X「まぁ、素敵なお洋服ですこと!いつまでもお若いですわ。」
6.X「こちらの方が品物はいいのですが、ご予算ではちょっと無理ですかねぇ。」
  Y「いえ、その高い方で結構です。それを下さい。」
7.X「おいっ、いつまで待たせるんだ。この食堂のサービスは一体どうなってんだ。」(怒った批判的な口調で)
  Y「はい、1分30秒経過しております。あと45秒程で状況をご報告します。」(テープレコーダーのように冷静に)
8.X「おいっ、いつまで待たせるんだ。」(怒った批判的口調で)
  Y「相すみません。すっかりお待たせしてしまいまして……」(恐縮した態度で)
9.X「タ、タイヘンダ!大事な財布をおとしてしまった!」(うろたえて)
  Y「そりぁ大変だ。でも心配するなよ。必ず見つかる。手伝ってやるよ。」(保護的に)
10.X「タ、タイヘンダ!大事な財布をおとしてしまった!」(うろたえて)
  Y「いつどこで最後に見た? 入っていた現金の額は?」(うろたえている相手の耳に入らないくらい冷静に)




教師の感想

今回も疲れました。
理論を説明して、どれだけ理解しているかを練習問題によって確認する。これは授業です。ただ、練習問題の答えを考えるのにグループ討議をさせるというのが参加型授業の面目躍如というところでしょうか。まぁ、生徒も熱心に取り組んでくれたので65点ぐらいの出来でしょうか。生徒の答案(?)を採点(?)してみると、7〜8割は理解しているようでしたが、やはり裏面交流は難しいようでした。
小道具として利用したビンゴのルーレット(ディスカウントショップで850円で買ったもの)は、なかなか好評でした。ぬいぐるみの方は、6つの椅子を教壇に並べられればステージのようになってみんなからも注目できてよかったのでしょうが、ゴチャゴチャしているうちに終わってしまったような感じです。でも、椅子に座ったりものを使うことによって、考えていることが具体的に確かめられてよかったのではないでしょうか。
時間の関係で、生徒の振り返りが出来ませんでしたが、次の時間は、今日のグループで3つの交流のパターンの例を考えさせて、また椅子とぬいぐるみを使って実演させてみようと思います。


参考文献

・柳原 光監修『Creative O.D. 第2集』行動科学実践研究所
・杉田峰康ほか『交流分析入門』(チーム医療)



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