4.私に気づくイメージワーク  5月17日(月)

今回は、イメージワークです。やや宗教的なムードが漂いますが、安全であることを保証して進めていきましょう。
でも、いきなりはしんどいので、いつもと順序を入れ換えて、1時間目は作文の時間。今回も組み合わせ要約。前回の提出分を添削して返し、違うものを時間制限でやらせます。2時間目はイメージワーク。まずは、体調べ。自分が最も安定した姿勢を確認して腹式呼吸して、体を正します。そして、基本的なセンタリングから。呼吸を整えて、センターを感じ取ります。次は、イメージワーク1「小川の散歩」。五感を研ぎ澄ましてどれだけイメージできるか試してみます。こうして、リラックスして心を静かに集中したところで、イメージワーク2「自我状態を味わう」。前後左右に移動することによって、様々な自我状態を確かめるワークをします。最後にイメージワーク3「物になる」。自分がある物になってみて、どんな感じがするか、それは自分のどの自我状態から出ているかを確かめます。

時間 学習項目      活 動 内 容(★留意点 ▼生徒の反応)     
45 組み合わせ要約
1)前回提出させたものを添削して返却。ポイントを説明する。
2)組み合わせ要約第3弾「センスのある日本語のために」を配布して、25分間で解答させ、回収する。
10 体調べ  リラックスして、一番エネルギーのみなぎる姿勢を確かめる。
1)親指と人指し指で輪を作らせ、隣の人に、両手でこじ開けさせ、力の入り具合を確認させる。
2)座ったまま、体を前に倒して腹式呼吸した方が楽か、後ろに倒してした方が楽か確かめさせる。
3)右に倒してした方が楽か、左に倒した方が楽か確かめさせる。
4)右にひねってした方が楽か、左が楽か確かめさせる。
5)楽な方の3つを組み合わせた姿勢をさせ、その姿勢のまま3回複式呼吸をさせる。
6)体を真っ直ぐにして、1)と同じことをさせる。
7)1)の時より指に力が入って、開きにくくなっていることを確かめさせる。
★これは、新潟の整体師にならったもので、人間は楽な姿勢で呼吸をすると、体に力がみなぎるらしい。それほど、呼吸は大切であるらしい。
▼1)の段階で、異性が隣だと恥ずかしがってしない生徒が何人かいた。いきなりなので戸惑っているまま、進行してしまった。
▼7)で変わらない生徒が多く、うまく指示が伝わっていなかったことを反省した。
 5 センタリング   1)イメージワークのためにリラックスした状態をつくる。
2)次のことを、ゆっくり落ち着いた、温かい、それでいてはっきりした声で指示する。
a)背骨を真っ直ぐにし、腰骨の上に乗っかるように座ります。
b)足の裏を全部床につけて、体を地球につなぎます。
c)両手は力を抜いて膝の上に置きます。
d)太股の力も抜いて、膝から下の体の重さを足の裏にかけます。
e)ゆっくりと目を閉じます。
f)左手をお腹に、右手を右の胸に軽く置きます。
g)鼻から、ゆっくりと、息を胸いっぱいに、右手が動くぐらいに吸い込みます。
h)その息を、お腹に入れます。
i)お腹に入れた息を、左手で押し出すように口から吐きます。最後にもう一息吐きます。
j)もう一度、同じようにして、呼吸の流れを感じます。
(g)〜i)の指示をゆっくり繰り返す)
k)息が折り返す点を感じてください。そこが、あなたのセンターです。センターは、おへそから握り拳一つぐらい下にあります。
l)あなたのセンターを意識しながら、呼吸を繰り返してください。(g)〜i)の指示をゆっくり繰り返す)
m)息をセンターまで吸い込むことによって、体中をエネルギーで満たし、息を吐き出すことによって、体をリラックスさせます。
n)静かに、目をあけます
★時間があれば、耳のセンタリングや目のセンタリングもやりかたった。
▼最初は参加しなかった生徒も数人いたが、次第に参加するようになった。
10 イメージワーク1(小川の散歩)
1)五感を鋭敏にして、イメージの中でどれだけのものを感じることができるか試してみる。
2)「子どもの感性がすくすく育つイメージワーク」付録のCDをかける。
a)背筋を真っ直ぐ伸ばして座り・・・目を閉じて・・・じっくりと深い呼吸をします・・・。
b)では、あなたが野原のなかの小道を歩いているのを思い浮かべてみます・・・。
c)よく晴れた日で、太陽があたたかーく照っています・・・。あなたは、そのあたたかさを肌に感じています・・・。
d)すると、そよ風が吹いてきて・・・さわやかで、とってもいい気持ちです・・・。足もとには、小さな花がたくさーん咲いています・・・。
e)ときどき、小鳥のさえずりも聞こえます・・・。
f)ふと目を上げると・・・向こうに木の茂みが見えます・・・。
g)そして、耳をすませると・・・どこからか、川の水音が聞こえてきます・・・。
h)あなたは、その水音のほうにずっと歩いていきます・・・。そうすると、きれいな小川に出ます・・・。
i)小川の水は、サラサラと流れていて・・・太陽の光にキラキラと輝いています・・・。
j)小川のほとりには、座るのにちょうどよい岩があります・・・。あなたは、その上に腰掛けています・・・。
k)そして、両足を水の中に入れて・・・ブラブラと動かしています・・・。ひんやりとして、とてもいい気持ちです・・・。
l)そこへ、一枚の葉っぱがヒラヒラと飛んできます・・・。そし て、流れの中にふわっと落ちて・・・スウーッとすべっていきます・・・。あなたは、それをじーっと眺めています・・・。
m)しばらく、ゆっくりと、この静けさを楽しみます・・・。
n)では、そろそろ教室に戻る時間です・・・。椅子に座っているあなたのからだや・・・床にふれているあなたの足に気づきます・・・。では、目を開けて、大きく伸びをします。
3)「私に気づくワークシート」を配布する。
4)感想を書かせる。
★BGMをかけて自分の声で指示しようかと用意していたが、センタリングまでが必ずしもスムーズにはいかなかったので、気分を変える意味でCDにした。
▼最初は、「気色わる」「宗教みたいや」と口々に言っていたが、すぐにイメージの世界に入っていっていた。全員が集中してやっている姿は感動とも異様(威容)ともいえる。
10 イメージワーク2(自我状態を味わう)   1)自分の自我状態の感じを味あわせる。
2)黒板の真ん中にA、左上にCP、右上にNP、左下にFC、右下にACと書き、前時の自我状態の復習をし、この図を覚えさせる。3)次のことを、ゆっくり落ち着いた、温かい、それでいてはっきりした声で指示する。
a)机の横に立って、目を閉じてください。
b)ゆっくりと深く息をして、自分のセンターを感じてください。
c)今立っている位置が、あなたのAの状態です。なるべく感情を入れないで、自分の姿勢を冷静にコントロールしてください。
d)一歩左前に歩みだしてください。その位置が、あなたのCPで す。目の前に、悪い子どもがいます。叱ってみてください。できれば身振りもして、今の感じを味わってください。元の位置に戻ってAの状態を回復してください。自分のペースで、CPになったりAに戻ったりして、感じを味わってください。Aの位置に戻ってください。
e)一歩右前に歩みだしてください。その位置が、あなたのNPで す。目の前で赤ん坊が泣いています。抱き上げて「よしよし」と優しく泣き止ませてください。今の感じを味わってください。元の位置に戻ってAの状態を回復してください。自分のペースで、NPになったりAに戻ったりして、感じを味わってください。Aの位置に戻ってください。
f)一歩左後ろに下がってください。その位置が、あなたのFCの状態です。とんだりはねたり自由に体を動かしているイメージを想像してください。できれば実際に動いてみてください。今の感じを味わってください。元の位置に戻ってAの状態を回復してください。自分のペースで、FCになったりAに戻ったりして、感じを味わってください。Aの位置に戻ってください。
g)一歩右後ろに下がってください。その位置が、あなたのACで す。あなたは幼い頃に戻って、お父さんに叱られています。今の感じを味わってください。元の位置に戻ってAの状態を回復してください。自分のペースで、ACになったりAに戻ったりして、感じを味わってください。Aの位置に戻ってください。
h)今度は、自分の一番気持ちのよい位置に立ってください。いろいろ確かめて、もらっても結構です。そして、その気持ちをゆっくり味わってください。Aの位置に戻ってください。
i)次は、一番居心地の悪い位置に立ってください。その気持ちをゆっくり確かめてください。Aの位置に戻ってください。
j)深い呼吸をして、静かに目を開けてください。今の体験を振り返ってみましょう。
3)感じたことをワークシートに書かせる。
★h)i)は途中で思いついて指示したが、これがよかった。最後に自分の意志で移動することで、主体的に自分に気づくことができた。▼生徒は気持ち悪いほど、のめり込んでくれた。教師の指示で、生徒が動きだした時は、感動した。しかも、いやいやではなく、本当に自分を確かめ味わっているように自然に動いてくれた。
10 イメージワーク3(物になる)   1)ある物になって、どのような感じがするか、それが自分の自我状態の表出であることに気づく。
2)「黒板消し」でデモンストレーションをする。「あなたは黒板消しです、あなたは黒板消しです。さぁ、どんな言葉が出てきます か。私は黒板消しです。私は黒板消しです。いつも真っ白になってしまいます。先生が書かなければこんな目にあわないのに。」など。
3)目を閉じて、深い呼吸をさせ、椅子・カメラになってみる。
4)その物になった感じを文章に書く。
5)それがどの自我状態から出たものをを判断させる。
 5 振り返り 1)今日のワークの感想を書かせる。



生徒の感想

イメージワーク1 〜小川の散歩〜

▼なんかどっかの童話の世界に入っているようだった。▼人がいなかった。自分が一人で歩いていた。自然のなかにいた。自分が女の人だった。(この生徒は男)。▼小さかった頃に行ったことのある所へ夢の中で行っているような感じだった。▼一人でのんびりして静かな時間を満喫した。▼太陽の光でポカポカしてとても気持ちよくて笑顔でハキハキと散歩していた。▼すごいリアルだった。岩に座るっていうのが、崖っぷちって感じの所を想像したけど、話している人の声が柔らかかったから、何も恐怖を感じなかった。一緒に歩いている人も想像した。

イメージワーク2 〜自我状態を味わう〜

▼NPの所に立つと、涙や鼻を垂らした泣き崩れた甥っ子が自分の足元で僕の名前を呼んで助けを求めている。思わずニッコリ笑って名前を叫んでトントンしてしまう。ニッコリ笑ってご機嫌になった。▼一番気分が落ち着いたのはAの状態だった。自分がいないみたいで何も考えずにいたからかもしれないけど、一番気持ちよかった。▼大人の位置からそれぞれの位置に立って気持ちが落ち着く所と落ち着かないところがあった。でも、大人の場所に戻ると4つの位置が客観的に感がられた。▼FCの左後ろに下がる時が一番行きやすかった。子どもの頃の楽しかった頃の場面を思い出してきて、何となく心が落ち着きやすかった。一方ACの右後ろに下がる時が一番行きづらく、子どもの頃のよく叱られたり、殴られたりした頃の嫌な思い出が頭に浮かんできて、何か落ち着いていられなかった。▼自由に遊んだり笑ったりしている自分を思うと、ちょっとうらやましいように思った。▼自分の中にいろんな自分がいたような気がします。自分が小さい子を叱っている時はあまりいい気はしなかったです。泣いている子をあやしている時は、お母さんになったような気がして少しうれしかったです。でも、一番楽しかったのは自由に遊び回っている自分の姿を思い浮かべた時でした。自分が自由に動き回っているのが自分にとって一番楽しいということが分かりました。

今日のふりかえり

▼けっこうイロイロ、ワーッとイメージが広がってきて、すごいその時の気持ちに入って行った。私はやっぱりACが強く、それを嫌がっているのかもしれない。▼授業って感じがしなくて、すごくキョーミがわく。▼今までは、何かを考えて書かされて提出してって従順な感じだなーって思った。今日はすごく素の自分が出たって感じ。こういうの、スキ。
▼思ってた自分と本当の自分の違いが分かって、ちょっとショックだった。自分の出てくる言葉が相手を不快にさせるのばかりで考えさせられた。▼今日の授業はリラックスできた。自分の事が分かってくるような気もした。でも、ちょっと眠くなった。私は集中力がなかったのかなぁ。▼すごく気持ちがよかった。すごい集中ができて楽しかった。すがすがしい気持ちになったのに、目を開けると、いつもとかわらない日常にあきれる自分がいた。でも、あの気持ちのよかった空間が毎日続くと、また日常になり、何も思わなくなるのだろうか。▼初めてこんな体験をして楽しかったです。想像というのは、こんなに鮮明にできるものだと知りました。それに自分のいろいろな姿を見て、知らなかった自分を発見したような気がしました。



教師の感想

疲れました。でも心地よい疲れです。
僕自身、こういうイメージワークは苦手でした。いろいろなワークショップに参加することで少し慣れましたが、なかなかFCになれません。だから、今回のワークは不安がいっぱいでした。性急な性格と不安で、ともすればはやる気持ちを抑えるに必死で、自分自身なかなかリラックス出来ませんでしたが、生徒がイメージの世界に入っている様子が見えて来ると、少し気分が落ち着きました。
特に、イメージワーク2「自我状態を味わう」は、ゲームセンターではやっているダンスゲームが連想されてなかなかのヒットワークです。交流分析を学習するのに有効な方法です。
生徒の感想を読んでいると、こんな授業を受けたのは初めてということだった。さすがにこういう授業をするのはエネルギーと冒険心とある程度の経験が必要です。多くの生徒が楽しかったは書いていたのでホッとしました。生徒の感受性の豊かさは、枯渇しつつある僕の感性を遥かに凌いでいて、うまく引き出してやるともっと素晴らしいものが表れると思いますが・・・。
さて、また、来週。何をしようか、終わった直後から苦悩が始まります。やすらぎはいつ訪れるのでしょうか。



参考文献
・手塚郁恵・高尾威廣「子どもの感性がすくすく育つ イメージワーク」学事出版

・C.ヘンドリックス+R.ウィルズ著・手塚郁恵訳「センタリング」春秋社

・伊東博「ニュー・カウンセリング」誠信書房
・柳原 光監修『Creative O.D. 第2集』行動科学実践研究所





 5 耳のセンタリング 1)どれだけ多くのまわりの世界に起こっている音を聞くことができるか、試してみる。
2)次のことを、ゆっくり落ち着いた、温かい、それでいてはっきりした声で指示する。
a)目を閉じて、からだをらくに、静かにして下さい。深く、ゆっくり、センターを感じながら呼吸をして下さい。からだの緊張がぜんぶ洗い流されたような気持になって下さい。完全に力を抜いて、らくな感じがからだの中にゆきわたるようにして下さい。
b)気持をらくにしたまま、耳に注意を集中して下さい。
(10秒)
c)部屋の外から聞えてくるすべての音を、あなたの耳でとらえて下さい。
(約1分)
d)部屋の中で聞えてくるすべての音を、あなたの耳でとらえて下さい。
(約1分)
e)さあ、こんどは、うんと静かにして、あなたの耳の中の音を聞いて下さい。その音をよく聞いて、頭の中をその音でいっぱいにして下さい。
(約1分)
f)さあ、こんどは、その音を、耳で聞くのではなく、センターで聞いて下さい。
(約1分)
g)さあ、目をさまして、この部屋にもどりましょう。ゆっくりと、手を目ざめさせましょう。はい、足も、胸も、頭も、ゆっくり動かしながら、目をさまさせましょう。落ちついて、スツキリした気持になれましたね。
 5 目のセンタリング 1)目の感覚を強めたり、目をもっと休ませたりするのに役立つワーク。
2)次のことを、ゆっくり落ち着いた、温かい、それでいてはっきりした声で指示する。
a)二、三回呼吸をして、からだをリラックスさせてください。自分の意識をすべて目に集中させてください。
b)これ以上行かないというところまで、目をゆっくりと上下に動かしてください。これを五回くりかえし、目を中央の位置で休ませてください。
c)これ以上行かないというところまで、目をゆっくりと左右に動かしてください。これを五回くりかえし、目の中央の位置で休ませてください。
d)目を左上から右下へ五回動かし、中央で休ませてください。(目を動かす方向を指で示してあげる)
e)目を右上から左下へ五回動かし、中央で休ませてください。
f)目を時計のまわる方向にぐるっと五回動かし、中央で休ませてください。
g)目を時計と反対の方向にぐるっと五回動かし、中央で休ませてください。
h)では、両手にぬくもりを感じるようになるまで、両手をこすり合わせてください。目を閉じ、両手で目をおおい、そのぬくもりを目に吸収させてください。手のふたの暗闇の中で目を開け、目にそのぬくもりを楽しませます。
(10秒から30秒)
i)では、目を閉じて、手をはずしてください。さあ、目をゆっくりと開けると、目に光が入ってきます。



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