16.わたしの木  9月27日(月)

〜ネイチャーゲーム〜

台風一過の秋晴れの中、カウンセリング実習にも少し飽きたという声もあったので、今回はぐっと趣を変えて、野外でネイチャーゲームを試します。生徒が喜んでくれるか、うざったいと思うか、悲観的に見れば2対8ぐらいかなぁ。まぁ、悪いけど、この授業は壮大な?実験の場でもあるので(といいながら生徒には普通の授業では身につかない素晴らしい力がつくと自己満足しているが)、ダメモトでやってみることにしましょう。作文の時間は、教室です。前回は、長所と短所の具体例を考えるところにポイントがありましたが、今回は、自分の体験の中から例を探すところにポイントがあります。また、書き出しも、書き終わりも自分で考えなければならないのでタイヘンです。
ワークの時間は、学校から歩いて5分、世界文化遺産の五重の塔がある醍醐寺に出かけます。土曜日に下見しておいた、ちょっと奥まった、それでいて平らで、いろいろな太さや枝ぶりの木立がある所へで、ネイチャーゲームの中から、「わたしの木」をやります。
ネイチャーゲームは、自分の子供の小学校の催しで少し体験した程度です。面白かったので、本を買ってきて読みました。その中から出来そうなものを選びました。
2人1組になって、1人が目隠し(画用紙を切って輪ゴムをつけた自家製)をし、1人が手を引いてある木まで連れて行ってあげる。目隠しをした人は、その木の感触を手で触るだけでなく、匂いをかいだりして確かめます。確かめ終わったら、また手を引いて元の場所に戻ります。そして、目隠しをとってわたしの木を探す、というゲームです。これを交代して行います。
校舎内でよくやるブラインド・ウォークの野外版の要素もあります。相手を信頼し、相手に信頼してもらう体験ができます。また、木にも1本1本特徴を持っていることに気づきます。カウンセリング実習をしていますが、共感という感受性は、人間に対してだけでなく、自然に対しても必要です。それが、環境教育につながっていく、なんてこじつけたりして。
今日は、体育祭準備で45分授業です。

時間 学習項目      活 動 内 容(★留意点 ▼生徒の反応)     
45 意見文を書く4  1)前回の作文を返却する。
・裏に、高得点者の作品が印刷してある。
2)「意見文を書く4『友情(家族)』」を配布する。
3)書き方を説明して、35分で書かせる。
・小論文を書く手順のメモを作ることを段階的に進めていく。第4回は、構成と手順を示す。まず、結論に当たる題についての定義をして、自分の体験の中から適切なものを探す。そして、適切な書き出しを考えて書かせる。
4)次の時間、校門に集合するように指示する。
5)ふりかえりシートを配布し、今日中に提出するように指示する。
45 わたしの
1)醍醐寺まで連れていく。
★色々な形状の木が散在していて、足場が平坦で、あまり人目につかない場所を予め探しておく。
2)「わたしの木」のワークシートを配布する。
3)ねらいを説明する。
・人間だけでなく、自然に対しても共感する。
・視覚だけでなく、触覚や嗅覚や聴覚を働かせて、自然を感じる。・木にも1本1本特徴があることに気づく。
・相手を信頼し、相手に信頼してもらう体験をする。
4)やり方を説明する。
・2人1組になる。
・順番を決める。
・1人が目隠しをして、1人が手を引く。
・手を引く人は、手を引きながら、自分が一番気に入った木を探す★目隠しをした人は相手を信頼し、手を引く人は相手に信頼してもらえるようにする。
・その木が見つかったら、目隠しをした人に触らせる。
・目隠しをした人は、木の特徴を調べる。
・手を引く人人は、「両手で抱えられる?」「この木は何歳ぐらいだと思う?」「木の皮に何か生えている?」「木の匂いをかいでごらん?」「耳を当てて木の息吹を聞いてごらん?」など、なるべく具体的なヒントを与える。
・木を特徴を探り終わったら、手を引いて元の場所に戻る。
★できるだけ回り道をして戻る。
・目隠しをとって、さっき調べた「わたしの木」を探す。
・手を引いた人は後についていき、正しければOKを出す。間違っていればヒントを出す。
・交代する。
5)体験する。
★時間の都合で、片方しかできないかもしれない。昼休み前なので、5時間目に間に合うように居残ってしてもいいことにしておく。
振り返り 1)今日中に、「ふりかえりシート」を提出する。

資料

ネイチャーゲーム・ワークシート

わたしの

「わたしの木」というワークは、目隠しをした人の手を引いて、自分の気に入った木に触らせてあげ、後でその木を当てるというゲームです。

ねらい

1.人間だけでなく、自然に対しても共感する。
2.視覚だけでなく、触覚や嗅覚や聴覚を働かせて、自然を感じる。
3.木にも1本1本特徴があることに気づく。
4.相手を信頼し、相手に信頼してもらう体験をする。

やり方

1.2人1組になります。(なれないところは3人1組でもよい)
2.手を引く人目隠しする人の順番を決めます。(3人組は、1人で2人の手を引いたり、2人が1人の手を引く)
3.手を引く人は、目隠しをした人の手を引きながら、自分が一番気に入った木を探します。
4.その木が見つかったら、目隠しをした人に触らせてあげます。
5.目隠しをした人は、目隠しをしたままその木の特徴を調べます。
6.手を引く人は、なるべく具体的なヒントを与える。
  両手で抱えられる?」
  「この木は何歳ぐらいだと思う?」
  「木の皮に何か生えている?」
  「木の匂いをかいでごらん?」
  「耳を当てて木の息吹を聞いてごらん?」など
7.目隠しをした人が木の特徴を調べ終わったら、手を引く人はまた手を引いて、できるだけ回り道をして元の場所に戻る。
8.目隠しをした人は、目隠しをとって、さっき調べた「わたしの木」を探す。
9.手を引く人は、後をついて行き、正しければOKを出す。間違っていれば、ヒントを与える。
10.交代する。



生徒の感想

理解度  5−4 4−5 3−4 2−3 1−3
興味度  5−5 4−5 3−6 2−1 1−2
▼久し振りに自然に触れ合えたという感じで、楽しかったです。苔好きにはたまらない1日でした。▼今日は外に遊びに行けてよかった。また時々遊びに行きたい。▼三宝院は家の近くにあるけど、最近全然行かなかったから、久し振りに行けて本当によかった。いい天気で静かな自然に触れ合えて安らげた。先生、ありがとうございました。▼三宝院に行って、木をさわるゲームはなかなか面白かったけど、場所が遠かったこともあって、返って来たらお昼が始まっていて嫌でした。▼何をしに行ったのか、もう一つ理解できなかった。▼自然との一体感を味わうことができてよかった。▼外が気持ちよかった。▼授業中に外に出られるのはうれしかったけど、歩くのがすごくしんどかった。木を当てるのは簡単なようで難しかったです。でも、今日みたいな授業は、今までで初めてで、結構面白かったです。▼木を探すのは、相手も分かったし、私もすぐ見つけたので人間の感覚って凄いんだなぁと思った。でせ、目が見えないと、とても不自由だった。▼目隠しをしていても、だいたい光の当たり具合と地面で場所が特定できた。▼国語表現とどう関係があるか理解できない。▼かなり自信があったのにバズレてて残念だった。自然の中、山の中は楽しい。▼意味も分からなかったし、暑かったけど、外に出れてよかった。しかし、涼しくて時間のいっぱいある時に行きたかった。▼教室の授業とは違う感じがあってよいと思う。



教師の感想

秋晴れの空のもと、いい気分転換が出来ました。とはいえ、ここ一週間続いている原因不明の熱が下がらず、肩で息をしながら、体を張った(?)授業でした。起死回生のホームランとはいかないまでも、ツーベース・ヒットぐらいでした。
往復で授業の半分を取るというのはやはり厳しいものがありました。もっと早く集合すればいいのですが生徒の都合もありますし、終わりを延長すればいいのですが生徒の都合もあります。でも、その割には、好評でした。木も少なく平坦な土地だったので分かりやすかったのかもしれませんが、生徒は思いの外早く見つけました。結構楽しんでいたようです。そりぁ、こんな授業は、過去8年間にネイチャーゲームに興味のある先生にでも当たらない限り体験できないでしょう。苦し紛れの思いつきに近いものもありましたが(実は2月の構想には入っていました)、やってみてよかったと思っています。とってつけたような、自然に親しむという狙いもあながちではないなぁと実感しました。長年探していた「へちま苔」を発見した生徒もいました
今度やる時は、2時間連続で、3つぐらいプログラムを用意しましょう。



参考文献

・ジョセフ.B.コーネル「ネイチャーゲーム1」柏書房



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