14.かかわり技法 9月13日(月)
〜カウンセリング実習2〜
今日も、文化祭後の大掃除で45分短縮授業です。
作文の時間は、意見文2で、構成を指示して、材料を後の中から選択したり付け加えたりしながら書きます。材料の分類と新たな材料収集が加わり難しくなります。
ワークの時間は、カウンセリングの初歩の初歩、かかわり技法です。
まず、好きな者と2人組になり、話しやすい聴きやすい距離や位置、聴いてもらっていると思える姿勢や目線を確認します。
次に、カウンセリングの3条件について、簡単に説明します。
次に、かかわり技法について説明します。かかわり技法には、目線、姿勢、あいづち、短い言葉、短い繰り返しなどがあります。
次に、文化祭、進路、友だちなど、今自分が一番気になっていて、話してもいいと思うことについて、3分間話します。聴く方は、うなづいたり、あいづちを打ったり、短く繰り返したりしながら真剣に聴きます。交代して行います。2人とも終われば、互いに感想を述べ合います。
次に、2人組が2組合体して4人組を作ります。先程、相手から聴いた話を1分間に要約して、相手の組の2人に伝えます。これを4人がします。全員終われば、感想を述べあいます。
最後に、ふりかえりシートを配布して書いてもらいます。
時間 | 学習項目 | 活 動 内 容(★留意点 ▼生徒の反応) |
45 | 意見文を書く2 | 1)「意見文を書く2『動物園』」を配布する。 2)書き方を説明して、40分で書かせる。 ・小論文を書く手順のメモを作ることを段階的に進めていく。第2回は、構成を示し、材料をアトランダムに準備しておく。そして、構成ごとに材料を選択し、さらに、新たな材料を付け加え、接続詞等を使ってつなげていく作業をさせる。 |
5 | 2人組をつくる | 1)ワークのねらいを説明する。 ・できるだけ言葉を使わずに、相手の話を聴く練習をする。そし て、カウンセリングとはどういうものかを把握する。 2)2人組をつくる。 ・好きな人と2人組を作る。 ・この組を基本にしてこれらの数時間の授業をする。 ・1人余る場合は、3人組を1組だけ作る。 |
15 | 非言語的コミュニケーション | 1)1人が、相手の前に立ったり、後ろに立ったり、肩に手をかけてみる。交代してやってみて、感想を述べあう。 ★立つことは相手に威圧感を与える。さらに、後ろであると自由を奪われたようで不安も感じる。 2)話しやすい聴きやすい距離を確認する。 ・椅子を近づけたり遠ざけたりして、ちょうどいい距離を確認す る。 3)話しやすい聴きやすい位置を確認する。 ・対面、横、斜めの位置関係で座ってみて、ちょうどいい位置を確認する。 ★一般には、斜めの位置がよい。理由は、面と向き合うことも目をそらすこともでき、自由度が高い。 ★対面は対決になりやすく、横は親密になりすぎる。 4)聴いてもらっていると思える姿勢を確認する。 ・1人が、腕組みをしたり、頬杖を付いたり、足を組んだり、椅子にのけ反って座ったりする。交代してやってみて、されている方がどんな感じがするか確認する。 ・一番聴いてもらっていると思える姿勢を確認する。 ★椅子に真っ直ぐ座るのでなく、やや前傾姿勢で乗り出して座る姿勢が最も聴いてもらっている気になる。 5)聴いてもらっていると思える目線を確認する。 ・1人が、相手の目を見つめたり、床を見たり、横を見たりする。交代してやってみて、されている方がどんな感じがするか確認す る。 ・一番聴いてもらっていると思える目線を確認する。 ★相手を凝視するのでなく、相手の鼻から口を見るのが最も聴いてもらっている気になる。理由は、日本人の特徴でもあるが、逃げ場がないと不安になり落ち着かなくなる。 |
7 | カウンセリングの3条件とかかわり技法 |
1)「ワークシート2かかわり技法」を配布する。 2)カウンセリングについてロジャーズの3条件について、ワークシートを見ながら簡単に説明する。 ・受容=相手の人格を尊重し、相手の可能性や成長を信じ、思いやりをもって、相手をそのまま受け入れる。 ・共感=相手の話をよく聴き、相手の立場に立って、相手の感情のレベルまで深く理解すること。 ・自己一致=今の自分自身をありのままに受け入れ、自分自身が安定していること。 ★専門家でさえ、解釈が分かれて難しいことなので、サラッと説明し、感じをつかませる。 3)かかわり技法について、ワークシートを見ながら説明する。 ・目線、姿勢、あいづち、短い言葉、短い繰り返しについて説明する。 |
8 | ロールプレイ | 1)文化祭、進路、友だちなど、今自分が一番気になっていて、話してもいいと思うことを決める。 ★好きな者同士が組んでいるので、話しやすいと思うが、あとに残るので、話しても後悔しないないようにする。 2)カウンセラー役とクライエント役の順番を決める。 3)1回2分間で交代してロールプレイをする。 ・クライエント役は、ひたすら話す。 ・カウンセラー役は、かかわり技法を使って聴く。 |
10 | ふりかえり | 1)2人組が2組合体して4人組を作る。 ・これから数時間のカウンセリング実習のグループになる。 2)順を決めて、ロールプレイで聴いた話を他の組の2人に1分間で話す。 3)全員が話し終わったら、ロールプレイの感想を話し合う。 4)「ふりかえりシート」を配布して、記入させ、回収する。 |
資料
カウンセリング実習ワークシート2 かかわり技法 1.言葉を使わないコミュニケーション
2.カウンセリングの3条件
3.かかわり技法
4.ロールプレイ 5.ふりかえり |
生徒の感想
理解度 5−9 4−4 3−7 2−4 1−1
興味度 5−8 4−3 3−9 2−2 1−3
▼カウンセリングをして何かあるのでしょうか。僕は別にカウンセラーになりたいわけではないし、自分を話すなんで本当に気の許せる相手でなくては無理です。この時間は、何がしたいのかということの理解はできましたが、これに対する興味は全くありません。もう少し他に何かないものでしょうか。▼話す内容が指定されてなかったので、席を変って、 慣れていないし、話しにくかったです。▼カウンセラーょて難しいなと思った。相手の感情のレベルまで深く理解するとか、理解しようと思っても、なかなか難しいことが分かった。▼席替えはなかなかみんなが動かなくてイライラした。「かかわり技法」はよく分からない。姿勢や目線はこうした方がいいっていうのは分かったけれど、ずっとその姿勢で聞いているのは疲れると思った。私はしゃべる方が好き。▼よく分からん。▼喋るのは楽しくてよかったけれど、あまりわからなかった。▼すごく面白くて楽しい授業でうれしいです。▼いざ自分がカウンセリングすると難しかった。▼今の相手には何もいう事も聞く事もないので毎時間こんな感じになると思う。▼急に話をするのはあんまりできない事が分かった。▼二人で話するのはあまりないし、結構難しかった。けど話をしていくうちに止まらなくなり、2分があっと言う間だった。また、カウンセラーをやっていて、話を聞いてみて面白い話をしてくれた。また、それを伝えるのは大変だった。▼カウンセリングは向いていないと実感した。▼なんかあんまりよく分からなかった。▼カウンセリングは楽しい。▼一緒にやりたい人とできなかったしっていうのもあったけど、なかなかうまく喋ったり聞くことができた。ある意味、普段そんなに仲良くない人とであっても、又違う考え方が聞けていいかもと思った。▼話もルールみたいなものを作られるとちょっと話しづらかった。自分は喋る方より聞く方が好きなんだなぁと思った。▼たくさん話を聞き、話を聞いてもらいと、今までよく話さなかった人と話せて面白かった。▼なかなか興味深かった。▼自分から喋るのが何言っていいかわからんくて難しかった。▼聞き上手になる予感がした。普段友達と話しているときにも「かみあってる」と話も弾み、楽しいけど「かみあってないなぁー」と感じると雰囲気が悪くなるから、聞き上手になりたいと思っていた。だから細かいところまで会話について勉強してよかったです。
教師の感想
ペアの決め方でまずこけてしまった。好きな者同士とするとどうしてもはみ出る人がいます。しかし、生徒に聞くと好きな者同士がいいといいます。また、カウンセリング実習で自分のことを話さなければならないので、ある程度知っている人のほうがいいとも思いました。で、実際、好きな者同士で2人組を組み始めたのですが、どうしても組めない人が4人ほど出てきたので、男女別に下の名前のアイウエオ順という事にしました。苗字は仕方ないとして、名前は親がつけてくれたので・・・なんて言いながら、何とか組分けができたのが25分ぐらいの時点。男女を分けたのは、やはり自分のことを話すのは同性の方がいいと判断したからです。
そこから、生徒同士確かめてほしいワークは1人の生徒と私がデモンストレーションをしながら、残りの生徒にどう思う掛け合いながら、なんとか説明をしました。ここらあたりは、慣れてないと難しいですね。誰でもできるカウンセリング実習の授業とはいきません。
そうして、ようやくロールプレイまでこぎつけました。女子はだいたい乗ってやってくれました。男子は、たまたま中の悪い者同士のペアがあったりして、5組のうち3組ぐらいかなぁ、やれていたのは。感想を読んでみても、男子の中に、「自分を話すなんで本当に気の許せる相手でなくては無理です」という意見があって、もっともだなぁと思いました。それに、カウンセラーになるつもりはないからというのも、ネーミングの難しさを感じました。「聞き上手になろう」でもよかったのですが、「カウンセリング実習」の方が分かりやすいしインパクトがあるかなぁと思ったのですが、難しいですね。でも、ココロは、カウンセラーの養成ではなくて、日常生活においていい人間関係を築くために、相手の話をうまく聞くスキルを体験しようというものです。それをちゃんと伝えなければいけませんねぇ。
嫌いだと言っていた2人は、たまたま別々に放課後職員室に来たので、詳しい話を聞いて、来週なんとかしようと約束しました。「来週からワークの時間は休もうと思っていた」と言っていたので、タイムリーでした。人間関係を扱う授業は、授業の人間関係に留意しなければならないという当然と言えば当然のことです。教科書のある授業なら、生徒も教科書の権威で仕方ないと思う部分もあるでしょうし、講義形式の授業なら、1時間我慢していれば自然に終わります。ところが、教科書もなく、参加体験型の授業になると、何のためにやるのか、やりたくないという生徒も出て来ます。これは、「総合的な学習の時間」にも共通する問題です。試行錯誤しながら進めていくしかないですね。
参考文献
アレン・E・アイピィ著福原真知子他訳『マイクロカウンセリング』川島書店
玉瀬耕司『カウンセリングの技法入門』教育出版
國分康孝『カウンセリング教授法』誠信書房
全国教育研究所連盟編『だれもが身につけたい生徒指導・学校教育相談の技法』ぎょうせい
諸富祥彦『学校現場で使えるカウンセリング・テクニック上』誠信書房
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