13.カウンセラー適性チェック 9月6日(月)
〜カウンセリング実習1〜
2学期最初の授業。文化祭前なので45分短縮授業です。
作文の時間は、いよいよ小論文を書いていきます。小論文と作文の違い、小論文を書く手順、評価のポイントについて説明します。その後、第1弾として、構成と書く材料を与えて、材料を並べ替えたり接続詞等を使って小論文を書かせます。
ワークの時間は、カウンセラー適性チェックをします。いきなりロールプレイも考えたのですが、2学期の最初で夏休みボケもあるだろうし、文化祭前で落ち着かないこともある。そこで、チェックシートを使います。これなら、あまり気が向かなくてもやってくれるでしょう。ただ、以前も何回か体験したチェックシートの難しさ、生徒によってペースが違うこと、雰囲気が沈みがちになることなどに注意する必要があります。そこで、チェックシートは1枚ずつ配布し、区切りをつけるというささやかな工夫をします。
チェック1と2は、事例に対して自分ならどのように対応するか回答することによって、カウンセリング的かどうかをチェックします。結果を解説しながら、カウンセリング的な対応とアドバイスの違いなどを説明します。チェック3はカウンセリングに必要な要素をチェックします。結果を解説しながら、カウンセリングに必要な要素について説明します。チェックすることで興味づけをしながら、カウンセリングとは何かについて理解させようというのがこの時間の目的です。
時間 | 学習項目 | 活 動 内 容(★留意点 ▼生徒の反応) |
15 |
小論文の書き方 | 1)「小論文の書き方」を配布する。 2)作文と小論文の違いを説明する。 3)小論文を書く手順を説明する。 ★メモを作ることの重要性を強調する。 4)小論文のポイントを説明する。 ★小論文の評価の観点を説明することで、何に注意して書けばいいのかを説明する。 |
30 | 意見文を書く1 | 1)「意見文を書く1『日本人と英語』」を配布する。 2)書き方を説明して、30分で書かせる。 |
20 |
カウンセラー適性チェック1、2をする | 1)ワークのねらいを説明する。 ・1学期は、自分を理解することと、自分を表現することをワークして来ました。 ・2学期は、相手の話を聞いて、相手を理解することをワークしていきます。 ・相手の話を聞くには、カウンセリングという方法があります。 ・そこで、今日から中間試験までをめどに、カウンセリングについてワークします。 2)「カウンセラー適性チェック1」を配布する。 3)事例を読んで、自分ならどのように対応するかを4段階で回答させる。 ・非行に走ってしまった高校3年の女子の事例。自分に近い年齢の相手なので自分に引き寄せて回答できる。 ★教師がカウンセラーらしく音読すると雰囲気が出る。 4)レベル毎に合計し、自分はどのレベルの点数が高いかを知る。 5)「カウンセラー適性チェック2」を配布し、2)3)をさせる。 ・成人した息子の対応に悩む50歳の男性の事例。自分が父親の年齢になったらという気持ちで話を聞く。 6)レベルの違いを説明し、自分の対応の特徴を知る。また、カウンセリング的な応答とそうでない応答を理解させる。 レベル1 カウンセリングとは反対の態度です。 やむにやまれぬ相手の気持ちを十分理解しようとせず、相手の対応を頭ごなしに否定し、断定的な判断を下す。一般的には正しいかもしれないが、相手のケースにとっては非現実的な解決策を一方的に押しつける。 相手を絶望的な気持ちにし、二度と話したくない気持ちにさせる。 レベル2 部分的、表面的な繰り返しや同情や励ましの態度です。 表面的に受け止め、なんとか原因を突き止めて、解決してあげようとするのだが、相手の気持ちを深い部分で理解しようとしていないので、本当の解決に結びつかない。 相手も受け身的になる。 レベル3 カウンセリングの態度です。 相手の深い感情に触れ、それをはっきりと言葉で表現している。解決策を示すのではなく、相手に自分の感情に気づかせ、自分で解決策を考えさせようとする。 相手もより自由に自分を語り、自分を素直に見つめられるようになる。 |
20 | チェック3をする | 1)「カウンセラー適性チェック3」を配布する。 2)各項目について、はい・いいえ・時々の数字を○で囲ませる。 3)A〜Fの該当する項目の点数を合計させる。 4)「カウンセラーの適性」を配する。 4)A〜Fの項目について説明する。 ・自己概念、傾聴、明確な表現、感情の取り扱い、自己開示、責任 性、これらはカウンセリングに必要な条件である。 ★ここで、カウンセリングに必要な条件について説明する。 5)A〜Fの項目の高い場合と低い場合について理解させる。 ・自分のカウンセラーの適性について考えさせる。 ・24点満点で、8点以下が低得点、18点以上が高得点になる。自分の中で高い点数と低い点数の特徴を知る。 ・点数は高い方がカウンセラーとしての適性に優れている。 ★すべての項目で高い点数であることに越したことはないが、低い所は自分が人の話を聴く場合に足りない部分であることを自覚させ、高めるように心がけさせる。 |
5 | 振り返り | 1)「ふりかえりシート」を配布する。 ・今回から、理解度と興味度を5段階で評価させる。 2)本日のワークを振り返らせる。 |
資料
カウンセラー適性チェック1 次の高校3年生の事例を読んで、後の1)〜9)の応答について、必ずそう応答するは 「3」、たぶんそう応答するは「2」、たぶんそう応答しないは「1」、絶対そう応答しないは「0」と答えなさい。
1)両方であきらめてしまったら、もう本当におしまいですね。( )
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カウンセラー適性チェック2 次の50歳の男性の事例を読んで、後の応答について、必ずそう応答するは「3」、たぶんそう応答する は「2」、たぶんそう応答しないは「1」、絶対そう応答しないは「0」と答えなさい。
1)自分の育て方のせいもあるかもしれないけど、息子さんがだらしない生活をしていることには、目をつぶっていられないという気持ちなのですね。( )
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カウンセラー適性チェック3 1から48までの項目について、よく当てはまる・たいていそうだの場合は「はい」、あまり当てはまらない・たいていそうでないの場合は「いいえ」、時には・相手によっては・状況によっては当てはまる場合は「時には」の数字を○で囲んでください。
A.自己概念 =6+7+13+23+24+28+41+48= |
カウンセラーの適性 A.自己概念
B.傾聴
C.明確な表現
D.感情の取り扱い
E.自己開示
F.責任性
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生徒の感想
今回から、理解度と興味度を5段階でアンケートしてみました。
理解度 5−6 4−8 3−6 2−1 1−0
興味度 5−10 4−6 3−3 2−0 1−0
▼私はこの頃進路のことで悩み、とても精神が不安定です。本当カウンセリングしてほしい程です。カウンセリング・チェックでは、自己概念が4点と非常に低く、コメントが書かれている文は「ズバリその通り!」というようなことが書いていて、とても驚きました。▼とてもカウンセラーについて興味があるので、今日のワークの時間はとてもよかった。▼いろいろなことが分かってよかった。▼楽しい。もっといろんなことが知りたいと思った。今日の適正チェックは、当たっている気がしました。▼すごく楽しい。心理テストみたいで好きです。すごい当たっていると思った。▼私はあんまりカウンセラーに向いてへんなって感じた。▼チェックは、平均的に高くて驚いた。▼今いち何をやったか分からない。とりあえず、自分の性格とかはなんとなく分かった気がする。▼自分に当てはまった結果が出て、少しびっくりしました。今日のワークは、自分を知ることができたので、とても勉強になったし、なんだか面白かったです。▼自分でもそうやなって見ていたことが当たっていて、楽しかった。もっと、こんなワークがしたいと思った。▼カウンセリングには、前から興味を持っていたので楽しめそうです。▼私は、人の話を聞いたり相談に乗ることが、結構あるんだけど、レベル3やったし、結構高得点だったのでよかった。▼心理的なことなのでとても興味が持てました。
教師の感想
2学期最初の授業。夏休みに練りに練ろうとして練りきれなかった。やはり、「今、ここで」、目の前の生徒に対してみないと最終決断はできません。そのためにも、本当にいい授業をしようとすれば、いくつか選択肢を持っていて、臨機応変に組み合わせていかなければならないと改めて思いました。道は、遠くて深い。
29人中6人も休んでいて、出鼻を挫かれた。チェックをしていても、笑い声は起こらないまでも、ニコニコしてくれたらいいのに無表情、反応がない。エエイッと思ってふりかえりシートを書かせてみた。読んでみると、案外好評だった。それならそれなりの反応をしてくれたらいいのに・・・というのは贅沢で、これだけ「面白かった」「楽しかった」と言ってくれれば満足です。
生徒は予想以上に心理学やカウンセリングに興味を持っている。自分を知りたいという気持ちが強い。さらに、人の話を聞く力もつけてくれたら、とってもいい人間関係が築けるでしょう。やってよかったと思ってもらえるようなカウンセリング実習をしたいです。
参考文献
福山清蔵『独習入門カウンセリングワークブック』日本・精神技術研究所
福山清蔵『独習実践カウンセリングワークブック』日本・精神技術研究所
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