11.1学期をふりかえる自己評価 7月5日(月)
いよいよ1学期最後の授業です。アサーション・トレーニングのまとめに「論理療法」を取り上げようかと思いましたが、1学期を振り返り自己評価もさせたいし、中途半端になるのを恐れて断念しました。
学期の終わりが近づくにつれて気になっていたのが評価の問題です。作文の時間の要約文は点数化しているものの、ワークの時間の評価をどうするか。そこで思いついたのが、自己評価。これについては、1か月前から密かに準備を進めていたのですが、3日前から具体的に作っていく内にいろいろアイディアがわいてきました。それに、以前計画して作ってあった確認テストも復活させました。これで、ワークの方も評価の材料が揃いそうです。ワーク中心の授業とは言いながら、評価をしなければならないという問題をどのようにクリアーするか、今後も工夫を続けましょう。
時間 | 学習項目 | 活 動 内 容(★留意点 ▼生徒の反応) |
40 | 要約 |
1)前回提出させたものを添削して返却。ポイントを説明する。 ★どこがポイントになるかを説明するので、組み合わせ作文の解説よりもう少し時間がかかる。 2)要約第7弾「未婚化の社会学」を配布して、40分間で要約させ、回収する。 ★今回はノーヒントで字数制限だけ、内容もさらに難しくなっています。 |
25 | 確認テスト | 1)『確認テスト』を配布し、15分間で解答させる。 ★1番は、5つの自我構造の問題。定義を分類させたり、実際の行動を分類させたりする記号問題。 ★2番は、やりとり分析の問題。以前渡したシートの説明文をそっくりそのまま問題にして、3つの交流パターンに分類させる記号問題。 ★3番は、自己主張も問題。ロールプレイのシナリオの中から2 問、3つの対応の仕方を文章で書かせる記述問題。 ★4番は、実は今回したかった論理療法の問題。間違った思い込みを正しい考え方に書き換えさせる記述問題。確認というより発展問題になってしまった。 ▼予定よりも10分も時間がかかってしまった。 |
25 | 自己評価 | 1)教師の方から、1学期を振り返って感想などを話する。 ★みんなが非常に協力的であったことを評価し感謝する。 ★振り返りシートを読んでいると、なぜワークをするのか説明不足の感があったので、1学期末ではありますが2学期もことも考えてもう一度説明する。 2)『自己評価シート』を配布する。 ★自己評価はそのまま加点して評価の1つの資料にする。いい評価がほしい生徒は高い自己評価をすればいい。 ★作文の時間とワークの時間と2学期に向けてに分けてある。 ★作文の時間の自己評価は、6つのチェック項目を点数化するの と、200字の作文。書かせるのが国語表現である。 ▼作文の自己評価をそのまま点数化すると言うと、満点をつける生徒もいたが、多くの生徒が不十分な項目はそれなりの点数をつてけいた。 ★ワークの時間の自己評価は、各時間の概要をまとめたものを読んで、興味を持ったか、理解したかを5段階で評価する。これは、生徒の自己評価という意味以上に、私への評価である。それと、400字の作文。具体的な感想が聞きたい。 ★2学期に向けては、私のおおよその計画を述べ、生徒が強く望むものがあれば夏休みを研究期間として実現させたい。 3)自己評価させながら、ノートパソコンを持ち込んで、ホームページにしていたものを生徒に見せる。 ▼時間がなく昼休みに突入したが、5、6人の生徒が見に来てくれた。写真が気になるらしい。 |
資料
国語表現確認テスト 組 番 氏名 1.次の自我状態は、P,NP,A,FC,ACのどれにあたるでしようか 2.次のやりとりは、相補交流(相)・交差交流(交)・裏面交流(裏)のどれか。 ( )1)期待に反するやりとりで、コミュニケーションが中断される。 3.次のケースに対して、1)攻撃的、2)受け身的、3)アサーションな対応を、「『○○』と言って○○する」という形で書きなさい。 1.友だちと映画を観ようということになって待ち合わせをしました。何を見るか相談しようと思っていましたが、友だちがいきなりホラー映画が見たいと言い出しました。あなたはどうしますか。 2.買って間もないお気に入りのCDを、ちょっと聞かせてと言われて友だちに貸してあげました。ところが、すぐに返してくれません。二度ほど催促したが、今度持ってくるといっていまだに持ってきません。あなたはどうしますか。 4.アサーションな反応を妨げる原因の一つに、間違った思い込みがあります。次の間違った思い込みを、例にならって正しい考え方に書き換えなさい。 例 :人は誰からも愛され、常に受け入れられるようであらねばならない。 |
自己評価シート 組 番 氏名 国語表現の1学期も今回で終わりました。今年の国語表現は、文章を書くだけでなく、その文章を書く自分自身から見つめなおす、また、音声表現についても学習していこうと考えました。そして、1時間は作文の時間、もう1時間はできるだけ実習を伴ったワークをしています。 作文の時間について 作文の時間は、要約文を中心に、各段落の要約文を選択して組み合わせて書くレベルから、ヒントだけをもとにして書くレベル、そして、ノーヒントで書くレベルまでやりました。 あなたの要約力について自己採点しなさい。
作文の時間で学習したことや気づいたことについて200字程度で書きなさい。
ワークの時間について ワークの時間は、「心理学みたい」と書いている人がいましたが、心理学から多くのヒントを得ています。初めての試みですので試行錯誤、当たり外れも大きかったと思います。 ワークの内容を思い出して、「興味」は興味をもったかを5段階で、「理解」は目的や内容を理解したかを5段階で評価してください。
ワークの時間で学習したことや気づいたことについて400字程度で書きなさい。
2学期に向けて 2学期以降は、作文の時間は要約文から意見文の書き方へ、ワークの時間は自己主張から聴き方(カウンセリング)へ、また、アンケート調査の仕方などを考えています。なにか、やりたいことがあれば書いてください。 |
生徒の感想
▼ワークの時間の時には、1回目からなんでこんなことするいやろと思っていたんだけど、すごく楽しくて、「今日は何をするのかなぁ」って楽しみにしていました。自分を表現すること、自分を知ること、自己主張することは、これからの社会でもとても大切なことだと思うし、恥ずかしがらずに発表できた。自分を見直すことができたから、自分の悪い所も分かったので、そこが直せたらいいなぁと思います。▼一人で作業するのでなく、班になって何人かで相談しあって相談しあって行うことで、自分の考えだけでなく他の人の考えを知り、「こういう考え方もあるんだ」と発見できることがたくさんありました。▼ワークの時間は授業の中で一番楽しめたと思う。もともと心理テストとかが好きなので、興味津々で取り組むことができた。最初の授業で先生の自己紹介の時、一人一人質問していくのを、ちょっと変わったやり方だと思っていたけど、そこからもう国語表現の授業が始まっていて、感動した。先生の分析が面白かった。国語表現の時間は2時間もあるのに楽しいから、すごく早く感じた。▼自分のコトをもっと知りたいと思った。もっと心理学みたいなのがしたいです。私は、自分のコトがあまりわかっていない。だから、自分の自我状態を知って、そういえばそうだなと思った。あまりよいとは言えない嫌な自分といい自分を知った。でも、改造するのってムズカシイと思った。今の自分の直したい所は分かったし、それを直せばいいんだけど、すごく理想の自分はいい奴になってしまった。そんないい奴面白くないと思った。やっぱり嫌な所もあった方がいい。 でも、理想の自分になりきらないで理想に近づこうとしていたいと思った。私は、今の自分の悪い所も良い所も嫌いじゃない。とりあえず、月曜日の4限目は好きだ。▼この授業は、小中学校で今まで習ったことのないことを習った。特に一番心に残ったことは、「私を知る」というワークだ。僕は自分の自我状態にけっこう満足していた。それまで知らなかった「私」を知ることができた。心理学みたいな感覚もありいろいろ楽しめました。僕はこれから授業だけでなく日常生活に役立てようと思う。▼私はこの時間が一番きらいでした。なぜかというと、私は自分から何かをするとか、自分で考えて表現したり行動したりすることがとても苦手だからです。それを克服するために、とても役立った授業だったと思います。それに初対面の人といろいろ喋れたのもよかった。だからこれからは、この経験を生かしてこれから先、この弱点を克服したいです。▼僕は男一人女三人の班で構成されていました。たいへんやりずらかった。でもそれもよかったかなぁと思います。いつもの自分じゃない自分がいて、それをどうこなしていくかということが体験できて、今から思えば別にどうってことないです。▼一番興味を持ったのは「アサーション・チェック」です。この自己主張パターンは、国語表現に限らずというより学校に限らず、もっといろいろな場所で学習を行うべきです。今の世の中、人とのつき合い方が分からない人がたくさんいると思います。そんな人にこの学習はうってつけなんじゃないでしょうか。
教師の感想
ようやく1学期が終わりました。ワークの時間は、概ね好評のようでした。しかし、動機付けと、ワークの趣旨説明が不十分だったため、楽しいけれども何をやっているのかわからないと感じている生徒が少なからずいるようでした。それでも、子どもは偉大で、僕の意図する以上に多くのことを学んでくれたようです。
ワークの中で最も興味の高かったものは、「バスは待ってくれない」でした。さすがによくできたゲームは強いです。次に、自己紹介をしてファーストインプレッションを書かせた「私を語るワーク」でした。理解度も最も高く、目的がよくわかる授業だったのでしょう。エゴグラムを使った「私を知るワーク」や、アサーション・チェックをした「自己主張トレーニング」も好評でした。いずれも、チェックリストで自分を分析するもので、生徒は自分を知りたがっている、心理学のようなものに興味をもっていることが分かりました。ロールプレイや出会いのワークのような実習もよかったようです。逆に、理論に走り過ぎたやりとり分析などは不評でした。
これからしばしの休息の時間が与えられる、とはいきそうもありません。2学期に向けての宿題が山積みで、この夏休みはその準備に追われそうです。
では、また2学期にお会いしましょう。
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