3.他者プレゼン&自己理解(1)                                                10月20日
ねらい 成果    前回のインタビューを元にして、ペアの人を紹介する。ペアの人がどんな人かわかるように、しかも良い所を強調する。まさにプレゼンテーションである。前回いかに相手の特徴や長所を引き出したか、それをどのように構成したか、伝え方はどうであったか、それらを総合した力が必要になる。プレゼンによってその人がどのような人であるか表現されるのだが、それはその人の実像と一致しているかどうか分からない。さらに言えば、その実像とはその人が思っている像であるとは言い切れない。逆に言えば、人から見た像の方が世間的には実像と言えるのかもしれな い。そんなことを確かめるために、チェックリストで、自分の思っている自分、インタビューや紹介してくれた相手から見た自分、そして、紹介された、あるいは紹介している様子を他者が見た自分について確認してみる。そのズレが、実像に近づく鍵になる。
 こうした実習を前半にした上で、後半は理論づけに入る。まず、ジョハリの窓 で、自分の知っている自分と知らない自分、他者の知っている自分と知らない自分という4象限の概念を説明し、自分も他者も知っている自分を広くすることの重要性を認識させる。その上で、エゴグラムを使って自己理解を深めていく。エゴグラムをした後、交流分析の大まかな理論を説明してエゴグラムの意味を理解させる。8つの基本パターンを提示することによって、総合的な見方を理解させる。その上で、改善したい自我状態について考えていく。交流分析を利用するのは、心理テスト的なものは多くあるが分かりやすい理論に裏打ちされているものは少ない中で、比較的分かりやすい理論であるからである。発達論的に見ても、父親的なものの影響、母親的なものの影響、自由な子どもの名残、従順な子どもの名残がそれぞれの人の中にあり、それらを統括する大人の部分がある。そういえば父親は厳しかったな、母親は甘えさせてくれたな、やんちゃだったな、いい子だったななどと思い出すことも多いだろう。もっとも、父親や母親は的なものであって、父親が母親的なものを持っていたり、母親が父親的な役割を果たしてきた部分もある。
 こうした一連の自己理解をワークをした後、自分についてまとめてみる。それを次の時間、アクティブ・トーキングの材料にして、人に語ることによってさらに自己理解を深めていきたい。                         
時間 ねらい/目標
活動内容/問い プリント 形態 手法             
05 前回のふりかえりをする。     1)出席を取る。
2)『前回のふりかえり』を配布する。
3)前回のワークをふりかえる。
 ・人を理解することの難しさと面白さを体験した。
 ・何も話さなくても気持ちが通じるかどうかの実習で、難しいけれども達成感があった。
05 自分のポジティブ・ポイントを考える。
手法チェックリスト
1)『ポジティブ・ポイント』を配布する。
2)24の選択肢はどれも、ポジティブなものばかりである。
3)
「自分」の欄に、現在の自分に当てはまると思う言葉を5つ選んで「○」を付ける。5つもないと思う人も、よく考えて5つ 選ぶ。
40 自分をプレゼンテーションし、プレゼンたーのいいところを探す。   手法プレゼンテーション/相互評価
1)『他者プレゼン評価票』を配布する。
2)『評価票』の順番で他者紹介をする。
3)ペアで前にでて、互いに1分ずつ紹介する。
4)紹介された人は、一言コメントをする。
 ・ここが嬉しかった。ここが意外だったとか。
 ・ありがとうだけよい。
5)互いの『ポジティブ・ポイント』を交換して、「ペア」の所に その人に当てはまるものを5つ選んで「○」をする。
6)聞いている人は、紹介された内容や紹介している様子を見ながら、その人に当てはまるものを5つ選んで、番号を書く。
7)12ペア、24人が全員する。
15 自分の見る自分と他人の見る自分の違いを考える。  手法レクチャー
1)『他者プレゼン評価票』を返却して、他人の評価を集計する。
 ・自分の見た自分と、人から見た自分の違いを考える。
2)『ジョハリの窓』を配布する。
3)ジョハリの窓を説明する。
 ・開いている窓を広げるには、自分の知っている自分を多くするには自己洞察が必要である。
 ・他人の知っている自分を大きくするためには 自己開示が必要である。
20 自分の自我状態を考える。     手法心理テスト/レクチャー/チェックリスト/自由記述
1)『エゴグラム』
2)エゴグラムの質問に答える。
3)集計して、グラフを書く。
4)『交流分析』を配布する。
5)5つの自我構造について説明する。
 ・5つの自我状態には優劣はなく、どの自我状態にも良い面と悪い面がある。
 ・そのバランスを見る。パターンは243種類ある。
 ・年齢やその時の心理状態によっても変化する。
 ・意識的に変えることもできる。
6)『エゴグラムの8つの典型例』を配布する。
7)エゴグラムの典型的な8つのパターンを説明する。
 ・243種類の内、典型的な8つについて説明する。
 ・パターンに優劣はない。
 ・どちらかといえば、自分に当てはまるものもある。
8)『エゴグラム・チェンジ』を配布する。
9)エゴグラムの変え方について説明する。
 ・高い部分を下げることはできないが、低い部分を上げることはできる。
 ・CPとNP、FCとACはペアで、一方が上がれば他方は下がる。
 ・自分の上げたい部分を考える。
10)できそうなものにチェックを入れる。
11)『私って何?』を配布する。
12)自分のエゴグラムについてまとめる。
 ・次の時間、それを元にして話してもらう。
05 本時をふりかえ る。
プリント『ふりかえりシート』
1)本時のふりかえりを書かせる。
 ★半分以上書くこと。

 

前回のふりかえり

3.他者プレゼン&自他理解
  10月20日

生徒の感想
1)相手の紹介するのがちゃんと上手く伝えられたか不安に感じました。エゴグラムではやっぱりと思う結果がでました。2)自分では余り気づいていなかったことに気がつくことができたと思うし、自分と人が思っていくことが同じだということもあった。人にどう思われているのかが分かった。3)エゴグラムの結果がショックだった。自分でも自分はこういう人だと分かっていたけど、どこかで実は違うと言う気持ちがあったから、結果がはっきり出てやっぱりそうなんだと改めて思った。4)自分で思っている性格と他人が思っている性格が違うこともあって驚いた。人を紹介する時その人のことを考えて伝えることはとても大切だと思った。5)自分の思っている自分と他人が思っている自分が違うことがよくわかった。もっと意識を高めなければいけない。今の自分は回りに流されがちなことが分かりました。時間を守ったり自分の意見をもっと言っていきたい。6)自分でも気づいていない部分がたくさんあった。7)人に自分のことを紹介してもらうのは緊張しました。8)自分のことを紹介されている時、とても恥ずかしかった。自分のことを自分で知る機会がないから自分に向き合えた。9)インタビューを通していっぱい喋って仲良くなれた。10)自分を理解できた。人の考えってやっぱり大切だなと思いました。11)自分の持っているイメージと相手から見たイメージが違うこともあるので、相手の言葉に耳を傾けるって大事だなぁと思いました。12)人はそれぞれ違う感性を持っているからお喋りや遊ぶことが楽しいのかな。13)自分がこう見てほしいと思っていたことをみんなも思っていてくれてびっくりした。14)知らない自分を知った。みんなが私のことをどう思ってくれているのか、意外な答えがあってびっくりした。15)心理学が好きなのでこの授業は楽しかった。16)他者プレゼンの時原稿を見ていたので、そこは前を見て話そうと思った。17)人を紹介するのは自分を紹介するよりも圧倒的に難しいと思いました。18)自分では分かっていたつもりなのに分かっていないことも多い。19)人のことを紹介するのは自分のことじゃないから楽しかった。
教師の感想
ジョハリの窓で言えば、インタビューを受けることは他人の知っている窓を大きくすることです。それを紹介してもらうことによってより多くの人にも窓を広げることができます。これが自己開示です。エゴグラムで自分の知っている窓を広げます。これが自己洞察です。自分の思っていた自分と他人の思っている自分のギャップに驚いた人が多かったようです。それは、普段は人が自分をどう思っているか確かめることができないからです。また、自分について深く考える時間も少ない。この時間はその為の貴重な時間になったと思います。開かれた窓を大きくして言ってほしいと思います。エゴグラムが当たっていることに驚いている人がいますが、それは当たり前です。なぜなら自分がそう答えているからです。これは占いではありません。自分のことを客観的にみる一つの方法です。こご、授業でも言ったように、この結果は絶対的なものではなりません。変えることができるし、時と場所か違えばまた違う結果ができこともあります。



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