2.インタビュー&チームプレイ(2) |
ねらい と成果 | 1時間目は他者紹介のためのインタビューである。他者を紹介するには相手を観察し、インタビューで情報を引き出すことが大切である。どのようにすれば良い情報を引き出すことができるのかを体験する。 まず、そのモデルを示すために「教師への一問一答」をする。教師について生徒一人一人に質問をさせる。質問に対して、掘り下げる質問であるとか、広げる質問であるとか、コメントをする。答え方も一言で済ますのではなく、関連する情報を付加する。質問と答えを板書しておき、後で検証できるようにしておく。生徒は板書された質問を見ながら、次の質問を考える。質問もチームワークである。すべての質問が終わった後、板書で質問を振り返り、良かった点、悪かった点を分析す る。 その後で、2人組になって互いにインタビューする。インタビューの際のポイントは教えておく。質問したことを元にして、次回に相手を紹介することを事前に予告しておく。相手のプライベートな部分には細心の注意を払い、なおかつ相手が反応した質問は掘り下げて質問していく。一段落すれば話題を広げていく。相手の答え方や表情を見ながら、良い面を引き出す質問をするように配慮する。インタビューを元にして紹介メモを作らせる。 |
2時間目は、チームプレイの第二弾。前回は情報交換という知的な課題であったが、今回は運動的な芸術的な課題をする。 1つ目は「月面軟着陸」。紙コップを紐のついた輪ゴムで挟んでもう一つの伏せた紙コップの上に移動させる。難易度の低いものから成功体験を積み重ねながら難易度の高いものに挑戦していく。一人一人の力の入れ具合など、全員の協力がなければ成功しない。自然発生的にリーダーが出てくる。集中力と根気がなければ成功しない。チームワークが要求される課題である。 2つ目は「無言共同絵画」。無言で1枚の絵を描いていく。言葉を使わず相手の意図を理解し、言葉を使わずに伝えていく。日常生活においても言葉を使わずにコミュニケーションする機会が多い。それを体験的に学んでいく。また、共同で1枚の絵画を完成させることによってチームの達成感や一体感も味わえる。 |
時間 | ねらい/目標 |
活動内容/問い | |
1 | 05 | 前回のふりかえりをする。 |
1)出席をとる。 2)『前回のふりかえり』を配布する。 ・代表的なものを紹介する。 |
2 | 25 | インタビューによって情報を引き出すには何が大切かを体験する。 | 手法集団インタビュー 1)一人一問ずつ教師に質問させ、教師はできるだけ答える。 2)質問と答えは順番に板書する。 3)板書された質問を分析する。 ・方面、関連など。 4)どのようにすれば効果的な質問ができるのかを説明する。 |
3 | 20 | 実際にインタビューして情報を引き出し、引き出した情報を構成する。 | 手法個別インタビュー 1)『インタビューの仕方』『他者プレゼンテーション』を配布する。 2)インタビューの仕方について説明する。 3)2人組を作る。 4)何を質問するか、考えさせる。 5)先攻後攻を決める。 6)3分回ずつインタビューし合う。 ・インタビューしたことはメモする。 7)インタビューしたことを元にして、20項目からなる他者紹介メモを作らせる。 8)次の時間にメモを見ながら相手を紹介することを予告する。 |
4 | 25 | 共同作業を通じて力を合わせることの難しさと大切さを体験する | 手法共同作業 1)5人組になり、机を合わせる。 2)輪ゴム2個、紐5本、大きな紙コップ1個、小さな紙コップ1 個を配布する。 3)2個の輪ゴムを紐を結びつける。 4)道具の意味を説明する。 1)大きな紙コップが月のクレーターである。 2)小さな紙コップはロケットである。 3)紐のついた輪ゴムはアームである。 5)第1試行を説明し、実施する。 1)クレーターを机の中央に伏せる。 2)ロケットをアームで挟み、移動して、大きな紙コップの上へ 移動する。 3)アームを広げて、ロケットをクレーターに着陸させる。 6)第2試行を説明し、実施する。 1)ロケットをアームで挟み、持ち上げる。 2)回転させて、ロケットの矢印がクレーターの指定した目盛に 合うように着陸させる。 7)第3試行を説明し、実施する。 1)小さな紙コップを配布する。小さなクレーターである。 2)第1試行と同じ要領で着陸させる。 8)第4試行を説明し、実施する。 1)マジックを配布し、ロケットの中に入れる。有人ロケットで ある。 2)第1試行と同じ要領で着陸させる。 ・成功しなくても時間が来ればやめる。 9)ふりかえりをする。 1)自分に対してどんな気持ちが起こったか。 2)他のメンバーに対してどんな気持ちが起こったか。 |
5 | 20 | 言葉を使わないで人の気持ちや考えを理解し伝える | 手法共同描画 1)各チームに画用紙1枚とクレバス1組を配布する。 2)ねらいを伝える。 ・言葉を使わないで、気持ちや考えを伝える。 3)順番を決める。 4)描き方を説明する。 1)1人目が好きな絵を描く。 ・絵の上手下手は関係ない。 ・無言で描く。 2)次の人は前の人の絵を見て、伝えたかったことを理解し、描き加える ・無言で描く。 3)次の人も同じ要領で描き加える。 4)この要領で2周する。 5)書いた順番に、どんな気持ちで書いたのか話す。 6)絵のタイトルを決める。 7)各チームが発表する。 |
5 | 05 | 本時をふりかえ る。 |
1)『ふりかえりシート』を配布する。 2)本時のふりかえりを書かせる。 ★半分以上書くこと。 |
前回のふりかえり
1.インタビュー&チームプレイ(2) 10月6日
生徒の感想
1)みんなで絵を描いたりして楽しかった。インタビューもその人のことがよく知れてよかった。2)人それぞれの発想があっていろいろ積み重ねて一つのものを作り上げていくって良いなぁと思った。3)無言共同絵画は何を考えているか考えてやって完成した時は結構いい感じの絵になった。4)無言共同絵画はいろいろと絵が膨らんで面白かった。5)インタビューは聞くことがなくて相手が聞いてきた質問と同じ質問をしてしまったから、次があったらオリジナルの質問をしたい。6)「月面」はバランスをみんなで合わせなければならないので難しかった。7)チームワークは大切だと思いました。喋らなくても相手の心は読めるのかもしれないと思った。8)共同絵画ではみんなが何かを理解して書くのがたいへん。9)インタビューは一つの質問から話が広がって行くのがすごいと思った。10)インタビューは聞く側は何でも聞くのではなく相手のプライバシーを尊重しながら聞いたりすることを知って、ちょっと遠慮して会話しようと思いました。11)インタビューでは人にどんな聞き方をしたらいいかわかった。人のことを知るのは楽しかった。12)インタビューは全然喋ったことのない人だったが、この人がこんな人だと結構面白かった。13)西村先生がどんな人か奥さんまで知ることができた。14)初めてのメンバーだったのに2時間目の課題はめっちゃすんなりできました。人のことって分かるようで分かってなかったりするけど、観察することでだんだん分かるのだろうなぁと思って楽しかった。
教師の感想
まず隗より始めよ、教師が自己開示することで生徒も自己開示してくれる。その意味で教師に対する集団インタビューは効果的だった。質問にイチイチコメントを付けることで、自分がする時にどんな質問をするか参考にもなったと思う。その甲斐があって、トランプで強引にペアを決めたことに不安かあったけれども、インタビューはすべてのペアがとても良い表情でインタビューし答えていた。教壇の僕まで楽しくなった。2時間目の「月面軟着陸」も予想通り受けた。協力することの難しさ大切さが端的に分かる優れたゲームです。ただし、最後の有人ロケットはできないとイライラしてストレスが溜まるので、適当な所で切り上げることが必要です。無言共同絵画は、教師向けの研修では何度かしたことがあったが、生徒向けには初めてであった。絵を描くことの苦手な生徒もいるが、みんな実に協力的でした。無言で心が伝わるのかというテーマ設定も効いていたし、生徒がその意図をよく理解してくれた。鋭い勘性の光る絵もでてきて、生徒の秘められた才能を感じた。
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