禁無断転載

オバハンからの気まぐれ通信
(2005年03月&04月&05月)


■□■2005年05月31日(火)■□■
オバハンにも若い頃があった。たびたびブチ切れ怒り狂う生活をして来たが、他人の振り見てわが身を反省。オバハンも「般若」のような顔の醜さを人サマにお見せしていたのかと思うと、なんとも恥ずかしく情けない。これが歳をとるということなのか?

ごく最近は大昔の「自分のブチ切れ」の数々を省みて、他人のことをとやかく言うまい。小泉やブッシュ言動にイチイチ反応しないことに決め、悪口も止めて来たのだが、本日の「小泉首相の論語引用」に対して、人民日報の「もっと勉強せよ」には、やはり恐れ入った!同様に、ブッシュの「米国はより安全になった」との言明にも恐れ入る。指導者たるもの、かくもこうして厚顔無恥であらねば務まらないらしい…。
オバハンから見れば、極々普通の市民生活を営んで来た若者たちを戦地へ平気で送り、犠牲にできる彼らこそが本物のA級戦犯ではないのか??との思いを消しかねる。不平等な東京裁判の中で、A級戦犯として貶められた人も確かにあろうが、現代のA級戦犯がブッシュや小泉であるのは間違いない。
ブッシュが無名戦士の墓前で言うように、アメリカへのテロが終わったわけでもないし、アフガニスターンやイラクで治安が保たれているわけでもはない。何時の時代と比較するかにもよるが、911以降の世界が911以前よりも不安定なことには違いない。
小泉は靖国神社へ、またブッシュはアーリントン墓地の無名戦士の墓に献花し、「対テロ戦争は米国に大きな代償をもたらしている。(しかし)我が軍人たちの犠牲により、2つのテロリスト政権が永遠に消滅し、自由が進展し、米国はより安全になった」とは、見事な論と言うべきだ。

■□■2005年05月18日(木)■□■
夜半から遠雷と稲光りばかりで、雨というほどの雨にもならないが厚い雲に覆われ日中でも27℃と涼しい!
5月としては異例の涼しさ、この30年間で一番涼しいと言えるかも。日本も3月下旬の気温に舞い戻りストーブを出したと知り合いたちからのメールだが、こちらは湿気もなく乾燥しているから27℃は快適そのもの、有難い。ただし、イスラマバードでこんなにも涼しければ、カーブルは薄寒いかもしれない。

さて、アフガニスターンでのクルアーン侮辱事件は表面上沈静したかのように見える。しかし、昨日もイラン国境に近いヘルマンドで、米NGOで働く現地スタッフが襲撃され5人もが死亡しているから、明らかに米国に対する報復としか思えない。先日も書いたがクルアーン侮辱事件に関する暴動は、「一部NGO関係者がいうように、デモは学生の自主的なデモというようなものではなく、かなり計画され、統制されたものだという印象をうけます。なぜならUNCEF、UNDP、UNHCR、UNAMAなどすべての国連機関の事務所とゲストハウスの所在が的確に把握されていたこと、国際NGOは複数襲われているが、アフガン現地のNGOは襲われていないこと、また教育局の副局長が中学や高校の生徒を動員していたこと」とのメールを知り合いからいただいた。
ジャララバードでの暴動ではアメリカの手先、同盟国と思われているパーキスターン領事館をはじめ、30もの国際機関事務所が焼き討ちや略奪の被害にあっている。パーキスターン国内にも日本と同様、アメリカに従属するすることを善しとしない人は多い。かと言って、超大国となってしまったアメリカに物言える国が幾つあるのであろうか。

パーキスターンの物価指数というのが新聞発表された。昨年に比べると11%以上の物価上昇、ここ9年間で最大のインフレ率だと。隣国アフガニスターンでの爆発的な人口増加に伴う超バブルが影響されているし、原油の値上がりも大きく影響しているが、パーキスターン全体から見ればボトムアップがなされ生活向上したのは確か。教育を受けると都市化が進むと言われるように、最近では山村で農作業に取り組む人も大きく減り、出稼ぎからの仕送りによる現金で手軽にモノを買う人が増えた。デフレでモノ余りが進み、景気の後退を招くよりは良いのかもしれないと思いつつも、インフレは貧富の差を広げると憂慮する。
教育費を考えれば子沢山ではやっていけない、また母体への影響を考えれば…というような会話がだんだんなされるようになっているし、物凄い山奥でも裸足の子どもを見かけることはなくなったが、都市と山村との格差はまだ、まだ物凄く大きい。

■□■2005年05月17日(火)■□■
先日のISAFのコンボイに挟まれて走った6時間…。
まぁ、兵士たちの行儀の悪さには目を背けた。同行の運転手たちも「ヤツらは、まるで犬だな!」と侮蔑の眼差し、兵士たちをこき下ろしていた。世界中、どこでも戦地にいる兵士に品があるとは、オバハンも思っていない。むしろ、兵士には「羞恥心や自我は皆無」だと知っている。自衛隊もイラクでは同じであろうと認識している。兵士に自我があっては命令の遵守が出来ないし…。

さて、兵士の羞恥心。
オバハンたちはやむにやまれず装甲車の5-6m後ろをノロノロ走っていた。兵士たちが景色の良い場所で物見遊山気分、写真を取るときはオバハンたちの車も停止。兵士たちが傍若無人に放尿する時も、オバハンたちはその後ろ5mで停止。彼らは装甲車やタンクの上にある銃撃用ハッチから身体を出すと、そのまま車の屋根に仁王立ちで、オバハンたちの存在を気にもせず前をまさぐって放尿。装甲車のドアを開けて外に出ようとしている別の兵士の上に黄色の飛沫がかかろうとも、お互いに気にもせず。チョット身体を斜めにして避けながら、別の兵士もそのままドアから出た立ち位置で放尿。装甲車の後ろまで回って来た兵士は、車に身体をピッタリ寄せて万が一に備える形で放尿。

ずっと昔に読んだ、会田雄二氏の「アーロン収容所」なる著書に、欧米人は黄色人種である捕虜(日本人)を人間として見ていないという表現があったが、オバハンたちが人間扱いされていないのが、この「放尿行為」で明確に理解できた。
兵士たちは、オバハンや現地人たちをその辺の動物や石程度にしか思っていないからこそ、見られていることに羞恥心もないのだ。無防備に路傍へ行かないのも兵士の務めだとは思うが、いやぁ義務に忠実、立派。

カーブルの中心部でイタリア人女性が誘拐された。先月から市内で誘拐未遂が2件ばかり発生していたから、要注意モノだったが、ISAFの兵士たちを間近く見れば、一般人といえども反感を持って当然ではないのか。イタリア女性の誘拐は、イタリア軍への報復かと今になって考えたりしているオバハン。

■□■2005年05月16日(月)■□■
今月初旬までは平穏に見えていたカーブル市内だったが、上旬に大掛かりなアルカイーダ掃討オペレーションがジャララバードの付近であったこと、また、キューバのグアンタナモ刑務所でのクルアーン侮辱事件をきっかけに、治安悪化はパシュトーン地帯を中心に急激のようだ。
ジャララバードに駐在する知り合いのNGOからのメールによると「コーラン侮辱事件をきっかけに反米感情が噴出したことは理解できるが、他方で国連機関のほぼすべて事務所とスタッフハウス、外国NGOや現地NGOの連合体事務所までが襲われたことに驚く。また、米軍への悪感情は、米軍による度重なる誤爆、誤射事件と被害にあった人々への冷淡な対応が大きな原因になっていることは明らかだ」と。
確かに、この3週間だけでも、パシュトーン族の住む地域では大きな誤爆、誤射事件が3件おこっている。特に、今回の暴動の引き金になったのは、5月9日ジャララバード近くのラグマン県で、米軍の空爆によって民間人が少なくとも8名死亡、10名が負傷したことかもしれない。

たまたまオバハンは、このラグマン県への反政府活動グループ殲滅オペレーションに参加するISAF(イタリア国旗をつけていた)の装甲車、輸送車、タンク、護衛の警察車両など14台の中間に挟まれ(ISAFの車両を追い抜くと問答無用で撃ち殺される)、身動きが取れず待ち合わせの時間に2時間も遅れてイライラ、カリカリしていた。ラグマン県への分岐道には既に待機しているISAF軍の車両が何台もあり、幾分大きな掃討オペレーションになるのだろうと考えていた。
「このラグマン県での誤爆事件のあった時期に、カルザイ大統領は米軍の恒久的駐留を含む、戦略的パートナーシップについて民意の合意を取り付けるべく、憲法制定ロヤ・ジルガを召集していた。(中略) アフガニスタンでの、米軍駐留の半永久化がアフガンにどのような将来をもたらすかは、米軍による誤爆、超法規的な逮捕、監獄での非人間的な囚人の扱いなどの情報に日々接しているアフガン人には見えてきているのです」と。かってはロシアが駐留し、ロシアの衛星国だったこともあるアフガニスターン。誇り高いアフガン人(パシュトーン人)には、どこかに支配されることが許せないのであろう。

■□■2005年05月13日(金)■□■
「某大新聞ではアフガンの治安悪化が大きく取り上げられたそうだが、居住している者の感覚からすれば、昨年に比べると段違いに安定しており、治安の悪化は一部、そして決まった地域に限定されているように思う…」なんてことを書いたばかりなのに、キューバのグアンタナモ刑務所でイスラーム教徒にとっての「よりどころ」である「聖なるクルアーン」をトイレに置いたり流したりして受刑者を怒らせたという雑誌の記事に反応してアフガン東部で暴動。このクルアーン(コーラン)侮辱行為については、すぐさまパーキスターンでも反応があって今後の成り行きが危惧されている。
日本人である我々には絶対に理解出来がたいが、イスラーム教徒は生まれた時より家族や周囲から「神への絶対服従」を教えられるというか、DNAに深く組み込まれているようで、神の言葉が書き記されている聖なるクルアーンを侮辱すれば、その反発も大きい。
どこの家でも、聖なるクルアーンは家中の一番(上座)清潔で高い場所に置かれているし、家内の大切な行事、遠出、辛いとき悲しいとき、嬉しい時にもクルアーンをひもといて心を静めたり安全や慈悲を願うのに、まったくイスラーム教徒を取調べる係官の無知なこと。こんな些細なことが発端で大きな事件やテロに発展していくという例だとは思う。
何時の頃からか我々日本人は「絶対なるもの」の存在を忘れてしまった。忘れたというより、そうした存在自体に考えが行かなくなっている。また、そうしたものに対する教育の機会もなくなったと言って良いかとも思う。自分で「ゆるぎない」ものを持てた人は幸せだと思うが、そうではないのが凡人である。今さら「天皇絶対」とかの教育は復活しまい、しかし日の丸や君が代に続いて今後は何が「お出まし」になるのかは分からない。よおく目を見開き、変な方へ誘導されないように用心するべきだとオバハンなりに案じている。

昨夏から10ヶ月以上も続いていた北方地域の宗教抗争にようやく光明が見えた。
この外出禁止令、戒厳令状態の中でも桃源郷フンザへ来るか??と、日本の旅行会社の「儲けんかな!」根性にはホトホト感心した。外務省の言う危険度情報などには見向きもしない無神経さ、やっぱり(古い表現だが)エコノミックアニマルだと。
儲け、消費しまくり、自分さえ良く楽しければさらに良しとした生き方が何時まで出来るのであろうか?世界中から安いものを輸入し国内生産を止めてアメリカの言いなりになって行く日本にもっと危機感を持たなくては。

■□■2005年05月12日(木)■□■
ここ半年ばかりのアフガン関連ニュースを拾っていたら、日本の新聞には載っていないだけで、思っていたより多くの事件(外国人狙いのテロや誘拐など)が発生していた。今年は大統領選挙もないし、昨年に比べて少しは治安がいいようにも感じていたが、大して変わらないことが分かってガッカリだ。しかし、治安は変わらないものの、復興は(毎回書くように)物凄い勢いで進んでおり、今やカーブルは大都会へと変貌した。
街の中心にあるアスマイ・ティビィー(TV塔の山)から眺める360度の展望で、それがハッキリとわかる。カーブル盆地を取り巻く周辺近郊の丘陵なかほど、場所によっては丘陵の頂上にまで家屋が密集して来た現状に、きっとアフガニスターン始まって以来の人口をカーブルが抱えたことを確信する。
パーキスターンでもそうだが、人口が都会に集中する弊害は大きいと思うが、オバハン自身が便利な都会に住みながら、他の人には田舎で暮らせ!とも言いやならず、このへんの兼ね合いはなかなか難しい…。

「医食同源」
昨日も書いたが、無農薬、保存料や着色料、添加物のない食事がどれほど免疫効果を高めているかなどの実証を、わずかな体験から得た。
「医食同源」という言葉を身をもって体験、再認識した思いだ。それを思うと、便利さだけが追求されている先進諸国(なかんずく日本社会)は、結果的に人命軽視の道をたどっているとしか思えない。最近、急激に増えている「がん」や数々の病気を、食生活を見直すところから根本的に改めるべきだと痛感している。
日本は食料自給率が20数%で、その多くを輸入食品に頼っている訳だが、今や米を初めとする多くの食品、野菜、肉や鶏がどれだけ我々の生命を危険にさらしているのかと、多くの人が考えもしない現実に寒気している。
人間の生命を育む安心できる食べ物作りというので、今、オバハンは果樹園と畑、八升豆の葉を家畜にも食べさせようと牛や鶏を飼うことも計画中。

■□■2005年05月11日(水)■□■
並木通りの幅いっぱい、天高く霞のように広がる薄紫色の花ジャカランダが満開となり、一年中で一番美しい季節だと改めて感動している。格調高いジャカランダの花だけではなく、夏を迎えつつあるイスラマバードの街はどこもかしこも溢れんばかりの花と緑に被われ、黙って窓外をぼんやり眺めているだけで一日があっという間に終わってしまう。しかし、それを「無駄に過ごした時間」とは思えないところが素晴らしい。

3月半ばからきょうまでの約2ヶ月はHPの更新も殆どせず、何をしていたかと不審がられているのだが、オバハン自身は相変わらず病気もせず健在!
そのうちの1ヵ月半はただただ忙しかったし、ここ1週間はPCでのゲームに嵌っていたとしか言いようがない。PCを触り始めた7年くらい前にもマージャン・ゲームに凝って鼻血が出るまで根を詰めたが、今回もゴルフのゲームに嵌って根を詰め鼻血を出した。何にでもすぐさま熱中するところがオバハンのオバハンたる所以。お蔭で子どもたちがPCゲームに嵌るという状態も体験出来た。

さてさて、実は3月半ばに姪の子ども3人(7、9、11歳)を日本からパーキスターンへ連れて来て1ヵ月半ばかり預かった。11歳は先天性免疫不全の他に2つもの難病を抱え、毎月のように入退院を繰り返す大変な子どもであり、9歳も毎晩のように吸入が必要な喘息持ちの上、アトピーまで持っている子どもだったので、成田を出発する時は横着大雑把なオバハンでも、文字通り薄氷の上を歩むような不安感でいっぱいだった。が、そんな体調の子どもたちであるにもかかわらず、オバハンの大好きな素晴らしいパーキスターンを見せてやりたいとの思いが勝り、事前に医者の用意、吸入の用意、点滴準備も怠らず…と、あれやこれやを整えた。
そして…、なんと!3週間もすると薬を飲まなくても喘息は出ず、アトピーも出ず、免疫不全で病気のデパートだった子どもまでがただの一度も高熱出さず、幼い頃より一度も止まらずにいた鼻汁までがスッキリ止まって快調そのもの!!

我が家の食事はジュースやジャム、味噌にいたるまでも全てが手作り。食品添加物や着色料、保存料には縁遠く、その上に毎回15品目以上の食品摂取を心がけている。最近ではパーキスターンでも農薬の使用が増えて来たとは聞くが、それでも日本に比べたら格段に少ないのは確か。郊外にあるオバハンの畑などではモンシロチョウの毛虫で溢れている…という具合。
今までにも何人ものお客様から、「パーキスターンへ来たら皮膚の痒みが止まる」「アトピ ーが出ない」「目の痒みが止まった」「花粉症が止まった」などと聞いてはいたが、預かった3人の子どもの体調からもパーキスターン生活がいかに健康的なのか!と、驚きと共に受け止めている。オバハンが30年間ひどい風邪をひかないのも、健康でいられるのも単にパーキスターン・パワーであったと改めて納得!

■□■2005年04月27日(水)■□■
新しいカーブル事務所の白壁越しに咲き誇っていた隣の梨の花が、10日足らずですっかり艶々した若葉に変わっている。何処もかしこも畑は翡翠色で、それにかかる斜めからの木陰のコントラストが目に染みいる。
10日ばかりカーブルを留守にしていただけで、郊外の畑には居住区を明確にする塀が更に増えている。また、カーブル川沿いから、街を取り巻く丘陵の中腹まで這い上がった住宅もますます増えて、爆発的な人口増加といわれる所以だ。おそらくアフガン史上、最高の人口が首都に集まっていると思える。泥で出来た住宅は風雪にさらされ、その多くの屋根や塀が丸くなっていたのに、最近では丸く摩滅した屋根や塀が少なくなった。早い話が人の手がしっかりと入り、管理されてペンキ塗りの家や壁が増えた。今までのように泥壁で保護色化され、見えなかった家々までがくっきり見えるようになったせいで、人口の爆発が実感できる。

2-3日前のパーキスターンの新聞に、バダクシャーンで姦通した女性が石投げの刑によって殺されたとの記事があったので、好奇心の強いオバハン、事務所のスタッフに聞きまくっている…。しかし、だぁれも教えてくれないから本格的に聞きまくるつもり。

■□■2005年04月24日(日)■□■
10日ほど前までのカーブルでは、霙でも降りそうな寒さだったにもかかわらず、ここ10日ばかりで急激に暑くなり強い陽射しが肌を刺すとの事務所便り。最高気温が33℃、最低気温が10℃というから、きっと身体が気温に対応できまい。
イスラマバードも連日36℃、新緑が目に見えて濃くなり火炎樹は天に向かって燃え立ち、ジャカランダの薄紫花が空を霞みのように包みだした。例年になく長く続いた寒さから本格的な夏を迎えてみると、人間の我がまま勝手さに我ながら呆れる思いだ。

さて一昨日はイード・ミラードゥル・ナビ。預言者ムハンマッドの生誕日とやらで、朝から祝砲がたくさん鳴り響き、ガラス窓がビリビリ振動。
一晩中、お祈りすれば一年の罪がなくなるとあってはオバハンも心がけねば…。というわけで、ベッドの中で横着をしながら反省をこめて礼拝??ついでに、あつかましく、今期のアフガニスターンやパーキスターン活動が無事に行えますように!

15日にアフガンから帰って来たばかりだが、またまた今からカーブルへ向かう。

■□■2005年04月10日(日)■□■
実は、本日はオバハンの60何回目かの誕生日であり、ここのところ毎年のように誕生日はカーブルで向かえている。
さて、本格的に春めいて来たカーブルでは杏と桃の花が終わり、今は可憐な梨の花が家々の塀から咲きこぼれて風情あり、花に関してはなかなか捨て難い。しかし花曇のカーブルは底冷え、3日前の夜明けはマイナス気温にまで下がった。山々では雪に見舞われたところも多かったと人の口端にのぼり、カーブルを取り巻く周囲の山も心持ち白さが増した。カーブル暮らしも土埃さえなければ悪くはないのだが。

しかし春になったカーブルでは近隣の国外(パーキスターンやイラン)からの帰還民が例によって急増、人口が450万人を超えて首都はごったがえしている。物価も2ヶ月前の冬に比べると高騰、これには農作物以外の生産の殆どを海外からの輸入に頼っていることが因だろう。原油の値上がりは、すべての商品に満遍なくふりかかりアフガン国民の生活を大きく脅かしている。反してごく一部のアフガン人には物凄い利権(世界からの支援金の一部が流れ落ち)、その貧富の差は筆舌に尽くし難い。
でも、全般的には生活の向上や安定は素晴らしく、丸3年間アフガニスターンを定点観測して来たオバハンからみれば非常に喜ばしい状況だ。かってはゴーストタウンだった町並に日用雑貨や食料品、野菜や肉をぶら下げた店が延々と連なり、人並みに溢れ活気があるのも好もしいし、朝昼夕の3回、学校へ通う賑やかな子どもたちの行き交う声(学校は3交代式)また、スッキリ垢抜けした女性たち、役所へ通う公務員たちのキビキビした風情(もっとも役所での仕事は一部を除いては大してないようだ)が新しいアフガンを再確認させている。

■□■2005年03月04日(金)■□■
金曜礼拝の日は本当に静かだ。マーケットのざわめきも聞こえず雨上がりの湿った空気の中に立ち上る青樹の匂い。すっかり葉を落としていた桑の木にも新芽が見えるようになって来たし…と、ゆったり焙じ茶を飲んでいたら、キーン、ゴーッと甲高い戦闘機のジェットエンジン音が何機も連なる。本格的な春の訪れ、『23rd March』の練習開始だ。『23rd March』はパーキスターンの国防記念日。昨年はイラクへの米攻撃を理由に予行演習まであったものの、当日は中止になり、3週間以上も練習を重ねる各機種による編隊飛行は、晴れの日を迎えられなかった。

さて、さて、ブッシュは、ビンラディンが再びアメリカを攻撃しようとしていることを認めたとの報道。どうかしているアメリカ・ブッシュ。「オサマ・ビンラディンが、米国を含むイラク国外での攻撃を実施するためのグループ結成を促したことをつかんだ」といい、さらには新たな攻撃計画があるとの情報を公式に確認したと。
メルマガや週刊誌、または新聞などでオサマ・ビンがパーキスターンとアフガン国境の山岳地帯に潜んでいるとか、アフガン北部のワハーン回廊を通って既に中国に逃げたとか報道されているが、いつもいうようにテロリストの重要人物に限って、逮捕できない(しない)アメリカの茶番劇にはウンザリだ。どうせ、そのうちにパーキスターンからオサマ・ビンがイランへ逃げ出した確証高い情報がある、オサマ・ビン逮捕に協力しないイラン政府を非難する声明を出し、最終的には産油国であるイランをも自国のコントロール下に置くべく、遠大な計画を進めているに違いない。

インドネシア、アチェでの地震・津波の衝撃的な映像が当地でも繰り返し流れ、地震や津波に対する人々の関心は高い。というか物凄い恐怖となっている。2週間以上も前にペシャーワルから発信された地震予告は、人々を恐怖に陥れ、寒空の下で寝る人が多いと報道されていた。レンガ作りの建物は僅かな衝撃で壊れる。パーキスターンやアフガニスターンでも、地震になったらすぐさま外へ逃げるようにと教えられる。で、人々は広々したお墓や、野外の安全な場所へ車を駐車、その中で寝る人が増えたと。お蔭でペシャーワルでは空き巣の被害が甚大。

■□■2005年03月02日(水)■□■
めっきり日脚が長くなって来た。
ようやく薄緑色に芽吹いて来た柳が雨を呼びそうな重い空気の中で物憂げに垂れ下がり、足元では連翹が目も鮮やかな黄色に咲き誇っているが、ほんとうに春が例年よりもズッと遅い。でも、身体は正直、朝の目覚めが確実に早くなっている。

事務所の大住が冬休みを日本で過ごし、パーキスターンへ帰って来た。
オバハンへのお土産は何時も通りSAPIOとAERA、好物の魚の干物がたくさん。SAPIOとAERAでは、それぞれ違う立場からの日本がみられてなかなか面白い。特に今週号のSAPIOはメディア論?ともいうべきもので、オバハンを喜ばせている。中でも「フォーブス」アジア太平洋支局長が、「日本で一番信頼できるのは右翼の街宣車。次に週刊誌と夕刊紙。第三が新聞・民放で最後がNHK」と言って憚らないと書いてあるのが面白かった。
街宣車が一番信頼ができるかどうか?オバハンは知らないし、週刊誌も字面の裏をいかに読み取るか、新聞もしかりとは思いつつ、この支局長の鋭さには恐れ入った!また新聞も夕刊紙と言い切るところが凄い。メディアに限らず、何でもデカくなると腐るものらしい…などと書くと、真面目な経営者に怒られそうだが(もしあったら)。
まぁ、NHKをはじめとして日本のメディアは信頼できないと、思いっきり馬鹿にされたということだ。大メディアの中には良心的な人もいるので、なんとかそうした人に勇気を持ってもらいたいと思う。