ガンダーラとはインド亜大陸の西北部にある古い地域名である。



古い記録には 『コーフェス河(カブール河)の流域』 とあるが、それは、現在のパキスタン北西辺境州ペシャワール地域とスワート地域一帯で、スワート河とカブール河とがインダス河に合流する地帯であった。

濁流のカブール河と清流のインダス河がアトックで交わるが(右写真)ここは、東西文明の融合した所でもある。



タキシラ

イスラマバードから北西に35km。もっとも手軽に行けるガンダーラ最大の遺跡、タキシラ。

丁寧に見て周ると2〜3日を要するので、ここでは代表的な所だけを紹介する。



入場料 : 大人 4Rs、子供 2Rs。



夏の時間( 4月1日〜9月30日)
08:30〜12:30
14:30〜17:30

冬の時間(10月1日〜3月31日)
09:00〜16:00

休館日 : 毎月第一月曜日

《タキシラ博物館》

蔦の絡まった石造りの建物で風格もある。

タキシラの各遺跡からの出土品が陳列されている。







出土品

年代は不祥だが
横長の2点は
銀化が進んでおり、
AD2〜3世紀頃と
想われる。

カドフィセス銅貨(上)
カニシカ銅貨(下)
ヴァースデーヴァ金貨
ガラス・ビーズと
貴石の飾り玉
クシャン朝の貨幣
穏やかな顔の仏 釈迦の誕生(中央がマーヤ夫人)

《シルカップ》

整然とした大路をはさんで各ブロック毎に家が建ち並んでいたであろうシルカップ遺跡。

AD2世紀から約300年にわたって栄えたギリシア様式を色濃く残す都市である。


神殿跡 双頭の鷲のレリーフ 日時計の跡

《モホラ・モラ・ドウ》

階段を上るとストゥーパが見えはじめ、その奥に僧院跡がある。

AD2〜5世紀のもので、ストゥーパの基壇は縦20m、横18m、高さ4.6mある。

僧院の東隅にある奉献塔の中には、3000に分けられた釈迦の遺骨の一部が収められていたといわれる。

《ジョーリアン》

丘の上にあるAD2世紀の遺跡。

80mほどの石段を登り切ると、目前が塔院部。

僧院は左側にあり、正方形の中庭を囲んで29の小室が並んでいる。

僧院の東側には集会所、台所、食堂跡などがある。


塔院部を守るように並ぶ仏像の数々。

皆、穏やかな顔をしている。
大ストゥーパの周囲に約20基の四角い奉献ストゥーパがあり、浮き彫りが見事だ。

スワート

緑豊かなスワート渓谷。古くから仏教文化が栄えた。

ガンダーラの遺跡を語るには欠かせない。


《タクト・バーヒー》

山岳仏教寺院の代表ともいえるタクト・バーヒー。

1世紀〜7世紀までに建設された寺院で、修復状態も良く、昔の漆喰の白い壁も所々に残っている。
山陰にあったので、破壊を免れたといわれる。

ガンダーラ平野の中の小高い丘の上にあり、その後ろの小山に登ると、遺跡と平野が一望できる。
晴れた日にはヒンズークシュの山並みも見える。

《シャンカルダールのストゥーパ》

スワート・ミンゴーラの街から約14km。
三蔵法師も見たという巨大なストゥーパはAD3〜4世紀ごろのもの。(高さ27.4m。直径12.8m。)

ガンダーラにおけるストゥーパ信仰は大変なものだったといわれる。

春には周り一面が菜の花と梨の花で埋まる。

《シャホーリィの磨崖仏》

ミンゴーラからシャホーリィ村まで約12km。

気を付けていないと見過ごしてしまう村の中の径を、子供に案内されながら10分も歩くと磨崖仏の下にたどり着く。

穏やかな表情のこの仏像は7〜8世紀の作と考えられる。
大きさは約4m。

《編集後記》

何回勉強しても(?)理解できないガンダーラ美術。

この特集のために、『東西文明の合流点』まで、往復3時間もかけて写真を撮りに行きました。

あまりにも範囲が広く、遺跡が多すぎて紹介しきれないのが残念です。

また、ペシャワール博物館やラホール博物館を語らずして、何がガンダーラ美術?という気もしますが、

時間・距離 etcで行けませんでした。(お許しを〜。)