毎年、気候の良い秋に開催されるLOK VIRSA祭。
今年も10月10日〜10月18日に、イスラマバードのLOK
VIRSA博物館庭でありました。
パキスタン全土の様々な民族が自分達の文化を持って集う、年に一度の民族祭りです。
パキスタンには4つの州(パンジャーブ州・シィンド州・バロチスターン州・北西辺境州)とカシミール、
そして北方地域とがあります。
各州には、また、たくさんの民族がいて、その数は100とも200とも言われています。
今回の民族祭は『女性祭』とサブタイトルが付くほど、女性中心の祭りとなっていました。
「女性が自分達の足で立ち上がれる様に。」とは今回の実行委員長(女性)です。
パキスタン人口の過半数を占める最大の民族、パンジャーブ人。
全体として農耕民族といえるが、伝統的な社会階級と職種能力等によって、数多くの小集団に分かれていた。
(インドに近い為、カーストが残っていた。)
詩や歌など豊かな口承文芸が今に伝わっている。
パンジャーブは展示品の数が一番多いと思います。
木版、刺繍、ラッカー細工、クッサ(皮の民芸靴)、かぎ針編み等、楽しんで下さい。
![]() |
![]() |
![]() |
木版 | キャメル・ランプ | かぎ針刺繍 |
![]() |
![]() |
『大地の踊り』 親から子へと代々受け継がれていく |
シィンディー民族はシィンド州に集中しているが、バロチスターン北部にも住み、シィンディ語を母語とする。
この民族も、多くの部族や職能集団に分かれているが、主に商業、手工業に従事している。
シィンドの女性の到着は少し遅れるかもしれません。
針刺繍、特にミラー・ワーク(鏡を縫い込む)と機織りがきっと、眼を引く事でしょう。
また、シィンドの特産品アジュラックも是非、ご覧になって下さい。
![]() |
![]() |
![]() |
シィンド刺繍の数々 | シィンド州特産アジュラック(木版) | ミラー・ワーク(鏡刺繍)をする人 |
北西辺境州の支配的民族であるパシュトゥーン人。
彼らはアフガニスタンに跨る、世界最大の部族社会(約2900万人)を形成している事でも良く知られている。
また、伝統的な掟によって生活し、客人へのもてなし、復讐、など中世そのままといえるような
男性中心の社会を形成している。
北部山岳地帯チトラール地方には、異教徒と呼ばれるカラーシャ族が住んでいる。
北西辺境州からの女性参加者は少ないけれど、手刺繍、石細工、木彫り、かご細工等を展示します。
また、『カッタク・ダンス』は、男が戦場に向かう時、その景気付けに踊られた伝統舞踊です。
お楽しみ下さい。
![]() |
![]() |
![]() |
『カタック・ダンス』 | 好戦的な民族 パシュトゥーン人 | カラーシャ族の女の子達 |
バローチ民族も、パシュトゥーン民族と同じように幾つかの部族に分かれた部族社会を形成している。
バロチスターン州よりも他の州に、約半数が数世代前から住みついている。
しかし、基本的にはバロチスターンの乾燥地帯に住む遊牧の民で、彼らが話すのはバローチ語である。
その他、バロチスターン州のアラビア海に面した沿岸地方には、黒人系のマクラーニー族がいる。
バロチスターンの女性は、各々が芸術家だと言っていい程ですが、残念な事に、それはあまり知られていません。
これを機会に、彼女たちの芸術が知れ渡れば良いと思います。
![]() |
![]() |
マクラーニーのおばちゃん | バローチ民族 |
北は中国に接する広大な山岳地域。
ヒマラヤやカラコルム山脈に抱かれたオアシスで、氷河の融水を命脈として息づく桃源郷の村々。
8000m、あるいは7000m級の銀峰を眺めながら、厳しい冬の間に民芸品は育まれます。
![]() |
![]() |
刺繍をするフンザのおばちゃん | 毛を紡ぐ |
爽やかな山の空気と緑の森につつまれた、地上の楽園。
インドカシミールに2/3、パキスタンカシミールとして1/3に分断されてしまったが、ここは伝統的に民芸品が多い。
羊の毛から作る『ナムダ・マット』、紙粘土で作って絵を描いた『ペーパー・マーシュ』の数々、
世界的に有名なカシミール・ショール等々。また、カシミールは胡桃の木彫り細工でも有名です。
![]() |
![]() |
![]() |
カシミールの特産ペーパー・マーシュ | カシミール刺繍をする人たち | ナムダ・マットを売る店 |
いろいろな民族に一度で出会えた、そんな祭りでした。
けれど、なかなか良い写真が撮れずに、結局、4回も行きました。
あちこちで、顔なじみができ、「また来ているのか」という顔もされましたが、祭りを満喫できました。
パキスタン人同士、筆談で買い物をしている姿や、通訳を通して話をする姿に、民族の多さを感じました。
また、パンジャーブ州の豊かさ、北西辺境州の男社会、カシミールの紛争の厳しさなどを改めて考えさせられました。