16世紀半ばの巨大な城砦



イスラマバードからラホールへ向かうGTロード途中、

ディナの街で右に折れ、しばらく(6km程)行くとジェ

ヘルム川の支流カハーン川に出る。その川の対岸に

古い城壁が見える。そこがロータス城跡だ。


《ベスト・シーズン》

夏は暑いので、10月〜3月がベスト

1540年〜1547年、

スール朝のシェール・シャー・スーリーが作った巨大な城砦。

今もほとんどが壊れずに残っている。

スーリー朝建築様式の代表的な建物でもあり、

当時は重要な西の防砦であった。

支流をを渡る必要があり(橋はない)、

乗用車では行けないが、その分、

人が少なく、静かなところである。
カハーン川を渡る


ロータス・フォートの周囲は約5km。

現在では、遊牧民がそのまま住みついて城砦の中に

『ロータス村』ができ、学校やモスクもある。

このトラック型乗合バスは、ロータス村とディナの街を行き来する。

雨量の多い季節でも、楽々とカハーン川を渡るこのトラックは、

ロータス村の人々の必需品なのです。
頑丈な乗合バス

【見所】

ソヘール門(SOHAIL GATE)

いくつかある門の中で一番美しい。
名前の由来はソヘール・ブカーリィーとういう聖者からで、
この門の南西に葬られている。
二重門で高さ約21m、幅約21m。
スーリー朝の彫刻が施されている。

この門の外側に巨大なスズメ蜂の巣があって、
行く度に大きくなっていたり、焼き払われていたり、
また新しくできていたりと、それも楽しみの一つである。
堂々としたソヘール門


井戸(BAOLI)


ロータス城内には2つの井戸がある。
城内で必要とされる水を貯えるために、石灰岩を切って作られた。


ツラ・モリ門側の井戸には148段の階段があり、
井戸の底まで行けるようになっている。
井戸の底は、夏場はひんやりとして気持ちがいい。
現在も少しだが水が残っている。


また、カブリ門側の井戸は60段ほどの階段で小さいが、
いくつもの部屋に分かれていて、王族の沐浴場として
使われていたと考えられている。
今はもう、水は涸れてしまっている。
残念ながら薄暗く、写真を撮る事ができなかった。
井戸へと続く階段


シャー・チャーンドワリ門(SHAH CHANDWALI GATE)


この門は要塞と城とを連結する目的で建てられたものだが、
年々崩れてきている。
名前の由来は聖者シャー・チャーンドワリからで、
彼はこの門の建設にも労働力として携わったが
けっして賃金を受け取ろうとはしなかった。
また、仕事中に亡くなった彼は、門のすぐ横に葬られ、
今も墓に訪れる人がいる。
城からシャー・チャーンドワリ門を望む


ハヴェリィ・マン・シング(HAVELI MAN SINGH)


ハヴェリィとは大邸宅を意味する。
ロータス城内で最も人目を引く2階建ての、
要塞とは異なった建築物である。
煉瓦造りでその上に丁寧に漆喰が塗られている。
このハヴェリィは4部屋あったと思われるが、
現在では1部屋しか残っていない。
部屋の大きさは5.5平方m。
バルコニーから手を振ると、昔の王族になったようなきがする。
崩れ落ちているハヴェリィ

《編集後記》

ロータス・フォートは、私がパキスタンで一番好きな場所です。
緑が多く、あちこち見て歩くのも楽しいし、芝生の上でボーッとするのも幸せ。
また、ここでは紹介できませんでしたが、カブーリィ門に座って、カハーン川の向こうへ沈んで行く夕日を眺めるのも最高です。
本当は、もっともっと見所があるのですがスペースの都合で紹介できないのが残念です。
冬に訪れるべき名スポット。是非お立ち寄り下さい。

最後になりましたが、このページを作るにあたり、奈良女子大の増井正哉先生にご協力を頂きました。
先生、どうもありがとうございました!!