−最高に美しかった5日間の旅−


督永家15年来の友人、糸田さん(80歳)が、ひとりでパキスタンに遊びに来られる事になり、

スカルドへ飛行機で行くという計画が持ち上がった。

18年もパキスタンに住んでいて、一度も飛行機で北方へ行った事のない私は、思わず「私も行ってもいい?」

北方への飛行機は有視界飛行のため、悪天候の時はキャンセルになる。

私の場合、この18年間ずっと、何度トライしてもキャンセル続き。

知っている人は「お願いだから留守番していて!」とまで言う。

さて、当日。

糸田さん、旅行者の黒住さん、日パ旅行社の督永、それに私の4人は、

朝5:30、まだ薄暗い中を空港へと向かった。

私以外の3人は自称『バリバリの晴れ女』

「晴れ女の実力を見よ!」「モンスーンの雨雲を吹っ飛ばせ!!」と朝から元気がいい。

そ・し・て、18年目の奇跡が起った。


日数 日程 交通機関 宿泊先
1 イスラマバード
スカルド
サドパラ湖
スカルド
飛行機

ジープ
PTDC
K2モーテル
ツイン1泊
1600ルピー
2 スカルド
デオサイ高原

タルシン
ジープ ナンガパルバット
ホテル
ロイヤルスイート1泊
750ルピー
3 タルシン
ルパール村
タルシン
アストール
徒歩

ジープ
シャングリラ・モーテル
ツイン1泊
450ルピー
4 アストール
ジャグロット
合流点
ギルギット
ジープ フンザ
ツーリスト・ハウス
ツイン1泊
800ルピー
5 ギルギット
ダッソー
ベシャム
イスラマバード
ハイエース 帰宅

イスラマバードからスカルドへ−空路

その日の機長はキャプテン・サラフッディーン。高度8300m。飛行時間45分。

飛行機の窓からは、雄大なナンガパルバットやインダス河が見え隠れし、

スケールの大きさに眼をみはった。

コックピットへも入れてもらったが、残念ながら雲が多く、K2は見えなかった。

窓からのナンガパルバット(8125m)

コックピットから


しばらくすると、インダス河沿いにスカルドの街が見え始め、

飛行機は旋回しながら砂丘の陰にある滑走路へ無事着陸。

空港撮影は禁止されているのだが記念に隠し撮り。

飛行機には『Azad Kashmir & Northern Area』大臣、

アブドゥル・マジード・マリクも乗っていて

その歓迎にたくさんの人たちが並んで待っていた。

スカルドの街

登山基地スカルドの街。

K2登山やバルトロ氷河トレッキングはスカルドから出発する。

最近はスカルドの街も発展し、昔より便利になった。

宿泊は PTDCK2モーテル。

糸田さん曰く「昔は、ここにもナンキンムシがいっぱいいたけど、きれいになったわね。」

K2モーテルの庭

向かいの山にはカーラポチョ城


サドパラ湖

午前中はサドパラ湖へ。

スカルドからは約8km程の道のりだ。

ジープ道を揺られながら行くと、突然、眼の前に湖が広がった。

湖の底まで見渡せる、澄んだ水。

もと氷河湖で水は冷たい。中央に島があり、ボートも浮いていた。

《サドパラ湖の不思議》

湖の中程に小さな島が一つ。
その島に伝わる、不思議な話し。
「夏になると、放牧のために山羊を船に乗せて小島に渡るんだが、50匹の山羊を数えて船に乗せても、島に着いて下ろしてみると、いつのまにか山羊が49匹になっている。」「1匹しか乗せなかったら、その1匹もいなくなってしまう。」「100匹乗せても、80匹でも、向こうに着いたら、1匹減ってしまっているのだよ。」なんとも不思議な村人の話である。

サドパラ湖


《スカルドの蕎麦の食べ方》


そば粉を、熱したバターと砂糖で練って、そこへ熱い塩ミルクティーを加えて練り、食べる。見た目は蕎麦がきみたい。砂糖が入っているので甘い。

他に蕎麦粉のパンケーキも、モチモチしていておいしい。

サドパラ村の蕎麦畑


《デオサイ高原》

エーデルワイスが一面に広がる平均高度4500mの高原。

約50km×80kmの広がりをもつ広大な高原。

険しい山道をジープで喘ぎながら登り切ると、「どうしてこんな大草原が広がるの…!!!」と思うくらいに美しい。

晴天でその紺碧が、水に映えていた。

パキスタン北部で産出する宝石、アクアマリンやトルマリンの色そのものだった。

池塘など360度の展望が広がるデオサイ高原


デオサイ高原の川には吊り橋がかかっていた。
その吊り橋をジープで渡った。
川で採った魚をフライして食べた。
うまかった。

恐ろしい吊り橋

デオサイ・フウロ

ミセバヤ(Sedum sieboldii)
能政美知子さんに
教えていただきました。


切り立った断崖絶壁のジープ道。

スカルドからデオサイ高原を越えて、10時間。

ナンガパルバット麓のタルシン村へと続く。

途中、トルマリンの原石がいっぱいあるというので眼をこらしていたが、

ジープで走っているので見つけられなかった。

険しいジープ道

タルシン村への途中で


ルパールの村へ向かう途中に見上げたナンガパルバットは、

やっぱりとてつもなくでっかくて、そしてつくづく

『見るからに恐そうなこの山に、人はどうして登りたがるのだろう…。』と思わされた。

山登りをしない者には、その魅力はわからない。


タルシンから20分のところにある氷河
(手前、河原のように見えている)から見える山々


《タルシンの夜空》


星空が素晴らしかった。イスラマバードでは絶対に見る事のできない、射手座やペガサス。初めて尻尾の方まで見る事ができたさそり座。ミルキーウェーという名の通りに白く流れる天の川。久しぶりに星をたんのうした。

朝日に輝くナンガパルバット山群南面(ラキオット・ピーク)


《編集後記》

最終日はギルギットからイスラマバードまでノンストップ14時間。

エネルギーを使い果たした5日間でしたが、最高に美しく、楽しい旅でした。

大自然の雄大さ、空気の冷たさ、爆走ジープの面白さ、夜空の美しさ・・・。

ホームページで伝えられる範囲は、やはり限られています。

一度、パキスタンまで遊びに来てみて下さい。