いも焼酎の飲み方はそれこそ十人十色、濃さや割り方などお好みの飲み方で愉しむに超したことはないでしょうし、またそういったいろんな飲み方ができるのも、いも焼酎の醍醐味ならでは…!
 せっかく購入した焼酎を飲んでみても「ん・・? あの店で飲んだ味と違う…」。はたまたその逆のこともあるかもしれません。酒席と我が家のダイヤメとではその雰囲気に違いがあるのは当然としても、いったいなぜ?
 おいしく飲むためにそれなりのちょっとした”手間”をかけさえすれば、味わいはグ〜ンとよくなること請け合いなのですが‥。

黒じょか
桜島を模した黒千代香
 蒸留酒である本格焼酎を醸造酒(清酒)なみの濃さに薄めて、なおかつ温めた状態で飲むのは世界的にも例がないと言われています。
 もともと黒千代香を囲炉裏や火鉢でゆっくりと燗をつけて猪口でいただく飲み方は昔ならごく普通のダイヤメの光景であり、それこそ今でいう「スローライフ」そのものの愉しみ方だったわけです。
 もっとも、昔の焼酎は多少、造りが荒く、ろ過もかけていなかったためにフーゼル油が多い「にごり焼酎」とも呼ばれるものが多く、臭みも強かったといいます。そのためにゆっくりと燗をすることでその臭み成分を飛ばす意味合いもあったようですが…。
 何はともあれ黒千代香でゆったりと味わえれば「だれ」も「止む」というもの・・! っと、そうは言っても何かと忙しいご時世。そんな環境になくても、最近の銘柄は蔵元の努力によって、口当たりのいい、よりまろやかな味わいのものが増えてきていることもあり、手っ取り早いグラスのお湯割りでも十ニ分に愉しむことができます。
 という訳で、お湯割りにして頂くのがイモ焼酎のもっともポピュラーな愉しみ方と言えますが、いったいなぜ…? それはイモ焼酎がアルコール以外の微量成分を多く含むことに起因しています。そのために薄めたにもかかわらず水っぽくなるどころか逆に風味が向上することになり、醍醐味である原料の持つ素朴な香りと飾り気のない味を愉しめる、というわけです。

徳利 一方で、この特有の風味を抑えて愉しむにはオン・ザ・ロックで、ということになります。冷やすことによって香りが抑えられ、また刺激も柔らぎ、甘味を強く感じさせる効果が生まれ、飲みやすくなります。ただ、含まれる風味成分のバランスが崩れ、時として苦味を感じる場合もあるようです。そこで最近はこの苦味成分を取り除きやや淡麗化させロックに適した銘柄も造られています。
 また、暑い季節などに冷たくして飲みたい場合や、もともと冷やを好む人にもロックが向いているといえるでしょう。時にレモンを添えてみればその香りと酸味は焼酎の味わいに幅を持たせ清涼感を与えてくれます。
徳利 水割りもロックと同様のことがいえますが、アルコール度数をお好みに薄められることで、それほどお酒に強くない向きにも適した飲み方といえます。蛇足ながら「都会ではロックより水割りの方が多いような気がする‥」とある関係者から聞いたことがあります。もともと清酒のアルコール度数に慣れた舌先には焼酎の度数は高いために、水で薄めるのではないかと推察するのですがどんなものでしょう・・?
 もっともお湯割りで飲む場合も「ロクヨン」で割ればその度数は清酒並みになることからも分かるとおり、適度に飲みやすくして愉しんでいるわけですから、「焼酎イコール強い酒、かごっまん衆(し)は強(つ)え」は食中酒として愉しむ現在では当てはまらない表現といえるでしょう。確かに食後酒として、あるいは少量の肴で飲んでいた頃は度数も高く、売られている原酒を25度位に薄めて愉しんでいたと聞きます。度数が高いために猪口など小さな酒器でも十分に事足りていた側面もその昔あったようですが…。

 さて、ひとくちにイモ焼酎といっても原料の違いあり、造り方の違いあり、とその”酒類”は本当にさまざまです。さつまいもで見ればコガネセンガンがポピュラーですが、ジョイホワイト、シロサツマ、紫いもなど香味の多様化に応えるべくいろいろなイモが使われています。麹造りひとつとってみても、主流となっていた白麹に加え、黒麹や黄麹といった昔ながらの仕込みの復活があります。アルコール度数でみても初垂れや原酒など度数の高いものから、そのままで飲めるように割り水したものまで製品化されています。そして蒸留酒ならでは、といえる長期貯蔵酒もあちらこちらの蔵元から満を持して登場するなど、そのバリエーションはバラエティに富んでいて、まさに百花繚乱といった感じです。
 「お勧めの銘柄は?」と尋ねられてもなかなか答えられるものではありません。それは冒頭で述べたとおり、愉しみ方は人それぞれであっていいですし、いろんな飲み方ができるからです。つまり、百人いたら百とおりの愉しみ方があると言っても過言ではないでしょう。

篤姫 音楽の世界もそのジャンルはクラシックやジャズ、ロックに歌謡曲、はたまた演歌に至るまで、実にさまざまです。ふとしたきっかけでそれまで”聴かず嫌い”だったものを聴き、そこからハマっていく場合もあるでしょう。その際に好きなアーティストの曲だけを片っ端から聴いていくのか、それともメディアに取り上げられた曲だけを参考に聴いていくのか、それぞれでしょう。またメジャーでなくてもアーティストの生(ライヴ)を見ると一段と好きになるでしょうし、そんなアーティストを数え上げたらきりがありません。いずれにしても自分の感性で確かめるに超したことはありません。

 焼酎の世界も数多くの銘柄があり、個性豊かなそれらの中からどれを選べばいいか、迷うところだと思いますが、自分に合った銘柄やその愉しみ方を見つけられるに超したことはなく、そのためには自分の味覚でまず確かめてみることが肝要ですし、その呑み方には酎意が必要といえるでしょう。

 そこで、その呑み方です。生(ストレート)で愉しむ分には問題はありませんが、水で割って愉しむ場合には酎意が必要になってきます。
 「さつまいもと水が最も重要」とした、ある杜氏の言葉に言い表されるように鮮度のいいさつまいもはもちろんのことですが、水もその味わいを大きく左右します。原料の洗浄や仕込み、そして割り水などいろいろな工程で使われるために、どの蔵もこだわりの水を使用しています。特に割り水には気を遣い、軟水を使用しているところが多いようです。硬水に比べてミネラル分が少ないため、マイルドに仕上がるのがその理由です。
 そんなこだわりの焼酎を水道水で割ってしまってはせっかくの味わいが半減してしまいます。冒頭の味わいの違いは案外、ここらに起因しているような気がします。そのため最近では、蔵で使用している割り水をペットボトルに詰め、酒屋で販売しているところもありますが「こだわりの味わいを損なうことなく、よりおいしく愉しんでもらいたい」ためといえるでしょう。
 このようにミネラル分の少ない軟水で割ると、味わいが素直でまろやかな飲み応えに、また逆にミネラル分の多い硬水で割ると豊かな香味になると言われています。
 そこでやむなく水道水を使う場合にも、十分に沸騰させ、せめてカルキ臭を取り除くことぐらいは必要といえるでしょう。

 何はともあれ良き出会いを、そして、よかダイヤメを・・・!

 

飲み方 酎 意 点
お湯割り 〇黒千代香(くろじょか)
お好みに割った焼酎をゆっくりと人肌程度に燗をつける。(手で触り、大体のカンをつける)
前日(できれば3日前)から、空き瓶等を利用してあらかじめお好みの濃さに割って保存しておくとさらにまろやかになる。
直火は不可。そのため土鍋の材料で作った直火用の黒千代香もある。
〇徳利(カラカラ)
黒千代香同様に焼酎を入れ、湯煎で人肌程度に温める。
〇グラス割り
先にお湯から入れるとまろやかに、焼酎から入れるとパンチの効いた味わいになる。いずれの場合も沸騰したてのお湯は厳禁。急激な温度変化により風味が失われるため。薄める量にもよるが割ったときに人肌程度になることがポイント。風味が際立つ。
お湯からの場合、黒千代香同様にグラスを手で触り、焼酎を注ぐときの湯冷まし加減がわかるようにカンをつけたいところ…。
オン・ザ・ロック グラスに氷を入れ、ごく少量の水を入れて、かき混ぜてから焼酎を注ぎ入れる。これも急激な温度変化を避けるため。そして焼酎と水の分子がなじむように丁寧に何回も何回もかき混ぜることがポイント。20回かき混ぜれば十分。よりまろやかさが増す。
生(ストレート) 香りを愉しみ、そのままの味わいを愉しむ方向き。
初垂れや原酒など度数の高いものは、冷凍庫で冷やしたパーシャルショットも旨い。(度数が高いので固まらない)
水割り オン・ザ・ロック同様に氷に直接、焼酎を注ぐのは厳禁。水を入れた後、焼酎を注ぎ、よくかき混ぜること。

 

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