【イモ焼酎のつくり方】


 




麹の原料となる米を洗って蒸す工程です。
タイ産の破砕米を主に使ってきましたが、現在は国産米を使う蔵も多くなっています。地元産コシヒカリやヒノヒカリの他、遠く福井産、宮城産のブランド米を使う蔵もあります。中には赤米や黒米といった古代米を使った銘柄も-。
また、わずかですが洗米を昔ながらの手桶を使い、手作業で行っている蔵もあります。 

 

蒸しあがった米に、麹菌をまぶす工程です。
麹室で一晩寝かせた後、もろ蓋に移し、平らにして更に寝かせます。麹菌には白麹、黒麹、黄麹の3種類があります。
自動製麹機(河内式ドラム型自動製麹装置)が普及していましたが、手作業にこだわる蔵元がまた増えてきています。でき上がったものを「麹(こうじ)」あるいは「米麹」と言います。
米の代わりにイモでつくった芋麹を使用した銘柄も発売されています。 

 

一次もろみ米麹に水と酵母を加え、タンクやかめ壷で仕込む工程です。
米のデンプン質をブドウ糖に変える「糖化」は麹菌の持つ酵素によるもの。また酵母によりそのブドウ糖をアルコールに変える「発酵」も行われています。この糖化と発酵が平行して同時に行われるために、並行複発酵と呼ばれています。
1次仕込みの期間は1週間程度で酵母を大量に培養するのが目的です。 

 

二次もろみ1次仕込みでできた1次もろみに、破砕した蒸しイモと水を加える工程です。イモのでんぷんを使うことでさらに発酵が進みます。
2次仕込み甕
33度を超えると酵母菌が死滅するために温度管理が重要になってきます-。そのために櫂(かい)で混ぜたり、冷却水で冷やしたりと、いろいろな方法でもろみを冷却します。8日から10日間程度。

かめ壺で仕込むと素焼きの陶器特有の表面にある小さな気孔からもろみがゆっくりと呼吸します。地中に埋められているので温度も一定に保たれ、やわらかい味わいに仕上がります。一方、ステンレスやホーローのタンク仕込みは、味が均一に仕上がりますが、容量が大きいために、容器内の温度管理が重要になり、熟練の技と勘が求められるようです。
1次仕込みのみかめ壺で仕込む蔵や、1次も2次もかめ壺で仕込む蔵もあります。 

 

蒸留機ステンレス製の常圧蒸留機の他に木樽蒸留機(注@)や、減圧蒸留との組み合わせなど、その装置、製法はさまざまです。
同じもろみを蒸留しても、蒸留機の形状や材質、蒸留時間、蒸気圧、蒸留終了時のアルコール度数などでその風味は全く異なってくるといいます。
常圧蒸留では多くの微量成分が抽出されるために原料特有の香りや旨味が生かされた味わいになります。減圧蒸留では沸点が低くなるために、微量成分は抽出されにくくなり、クセのないすっきりとした味わいになります。木樽蒸留の方は木樽の隙間からガスが少しずつ抜けるためにまろやかな味わいになります。
蒸留の初めに出てくる「初垂れ」だけを使った贅沢な焼酎もあります。 

 

貯蔵タンク
↑かめ貯蔵  ↓樽貯蔵
貯蔵タンク
原酒の刺激臭の原因であるフーゼル油などのろ過・精製をその目的に応じて行った後、貯蔵する工程です。
大型タンクの他にかめ壷、あるいは樫樽貯蔵などがあります。一般にタンク貯蔵は原料の味わいが生きた味わいに、かめ壺貯蔵の方は遠赤外線効果や、かめの無機質が溶け出すことで熟成が進み、まろやかな味わいになると言われています。また貯蔵中にクラシック音楽を聞かせて熟成させる(注A)蔵もあります。
長期貯蔵も最近のこだわり焼酎の傾向として増えてきている一方で、あえてろ過しない昔ながらの荒々しい銘柄も-。
尚、長期貯蔵とは3年以上貯蔵した焼酎を半分以上含んでいる場合に使われます。 

 

原酒に割り水して目的のアルコール度数へ調整します。25度の焼酎をつくるのに割り水の割合は3分の1前後にもなり、その品質に大きく左右します。
霧島山系や高隈山系などの地下水、伏流水を使ったり、温泉水を使う蔵もあります。

 

サツマイモは洗い、イモの両端や傷んだ部分を手作業で切り落とした後、蒸します。
コガネセンガンが主流ですが、シロサツマ、シロユタカ、ミナミユタカなどの品種もあります。その他に焼酎用として開発されたジョイホワイトも-。また製菓用の紫いもを使った銘柄も増えてきています。
鮮度が重要なため、収穫期の9月頃に合わせて焼酎の仕込みも始まるのが普通です。 


(撮影協力 濱田屋伝兵衛)


注@柔らかな味わいになるという木樽蒸留機を使っている蔵元:
師魂蔵(小正醸造)・白石酒造・白金酒造・杜氏の里笠沙・濱田屋伝兵衛・万膳酒造・明治蔵(薩摩酒造)・山元酒造・若潮酒造

注A音響熟成:音楽を振動に変えるトランスデューサーという装置を貯蔵タンクに取りつけて、音楽を流し熟成させるもの。振動を与えることで水とアルコールの分子が小さくなり、より熟成が進み、味がまろやかになる-という。(田苑酒造・奄美大島開運酒造・高崎酒造)