白金酒造

 

 白金酒造は明治2年(1869年)創業の老舗の蔵だ。西南戦争が明治10年のことだから、西郷どんはまだ健在でここの焼酎を愛飲していたという。
石蔵 蔵は姶良町脇元にある。鹿児島市から国道10号線を錦江湾沿いに15q程北上したところだ。この日は天気も良く、すっかり春の陽気で恰好のペダリング日和ともなった。仙巌園(磯庭園)前からは潮風を受けながらの道程で気持ちがいい。
 国道が海岸線に別れを告げると脇元だ。「確かこの辺りだったはずだけど、通りすがりの人にでも聞いてみよう」と思っていたが、その必要はなかった。急に濃厚な焼酎の匂いが漂ってきたからだ。目の前に国道を挟んで石蔵が建っていた。
 1時に電話をかけてから40分しか経っていない速攻での見学だったにもかかわらず、快く応対して頂いた。笑顔で案内して下さったのは竹之内さん。
かめ壷 平成13年に国の有形登録文化財に指定されたという石蔵にさっそく案内してもらった。ここでは手造り焼酎「石蔵」とPB銘柄「姶良」をつくっているそうだ。1次仕込み用と2次仕込み用のかめ壷がずらりと埋まっている。中は人が立って入れる程の大きさだ。
蛇管 隣には蒸留設備の間があった。管が巻かれた形の”オブジェ”がある。「蛇管(じゃかん)」といい木桶蒸留機の中に納まっているものとか。ここを伝って、蒸留された原酒が滴り落ちるのだそうだ。木桶蒸留機の方は今年、更新させるそうでそこにはなかった。石蔵の裏手にその役割を終えた木桶がどこか寂しげに横たわっていた。県内には1人しかいないという木桶職人の手によって造られる新しい木桶で、この秋にはまた旨い焼酎がつくられることだろう。
文化財指定の蔵 蔵の2階は座敷になっていて、ビデオを見せて頂いた。もろぶたで水稲うるち米に麹菌を丹念にまぶす作業風景が映し出される。「室づかれ」というものがあるそうで、途中で天日に干すなどして、均一に麹菌がつくようにしているそうだ。まさに手造りならではの丹精込めた作業だ。「繊細な味と香りは人の手が入って培われる」との竹之内さんの言葉に思わず何度もうなずくことだった。
石蔵の2階 焼酎のおいしい飲み方についても話を伺った。さつまいもにはテルピンという旨味成分があるが、時に渋味に変わるという。グラスで飲む場合に、沸騰したてのお湯で割るとそうなるのだそうだ。黒ヂョカを火鉢や囲炉裏でゆっくりと燗をつけて飲むのが最もおいしく飲める方法だが、グラスでも湯冷まししたお湯割りならおいしく飲めるという。またロックで飲む場合も氷の入ったグラスに、直接焼酎を入れないで水を少し入れてよく混ぜてから焼酎を入れるといいそうだ。つまり、百度と零度では焼酎の旨味を十分に引き出せないということになる。
白銀坂 これからは焼酎のおいしい飲み方についても、もっと広く伝えていきたい-と話された。石蔵の2階は火鉢を囲むゆったりとした座敷になっているのも、おいしい飲み方を伝えるためのこだわりになっているような気がした。
 最後におちょこでちょこっと試飲させて頂いた。レギュラー酒の「白金乃露」、黒麹を使った「黒 白金乃露」、「姶良」に「石蔵」、そして「白銀坂」。ほんの少しずつだったのにほんわりとした気分になった。「仕込み時期にまた、いらして下さい」と言われ、秋を楽しみにしながら、蔵を後にした-。ありがとうございました。 (02年3月)

 

 白金酒造株式会社
 姶良郡姶良町脇元1933
 電話:0995-65-2103
 URL:http://www.synapse.ne.jp/shirakane/

 

03秋 リ・ロード

木桶蒸留機 秋とは名ばかりの残暑の中、仕込みが始まっている蔵を見学させていただいた。
 早速、石蔵に案内してもらうと、昨年更新された木桶(木樽)蒸留機が稼働している最中だった。蛇管を通り、滴り落ちている蒸留されたばかりの原酒をグラスに注ぎ、差し出された。
 手造り焼酎「石蔵」の37〜38度あるという、その原酒の味わいは、きつい香りもなく、まろやかですーっと入っていき、お代わりをしたくなるほど^^ゝ飲みやすいのどごし・・。「木樽蒸留だからこそ、飲めるんです」という。「ろ過をしない」というのも十分に頷ける味わいだった。

一次もろみ
一次もろみ
二次もろみ
二次もろみ
 一次、二次もろみの入ったかめ壷が並ぶ間を通り抜け、2階の座敷へ案内していただき、1人しかいないという木樽職人のビデオを見せてもらう。画面に目をやっていると、グラスに注がれたロックの焼酎を差し出された。2杯もある。「・・・」。すかさず「飲み比べてみてください」と竹之内さん。
 1杯目もおいしいと感じたが、次のグラスは更にまろやかな味わいで旨い・・。どちらも「石蔵」なのに・・・。
 感想を聞かれ、そのように答えると納得されたような表情で”種明かし”をして下さった。
 1杯目は氷の上から焼酎を普通に注いだもの。2杯目の方は氷にほんの少し水を入れてかき混ぜ、その上から焼酎を注ぎ、更によくかき混ぜたもの。前回、見学した際に説明された”テルピン”という旨味成分を十分に引き出すためのちょっとした作り方の違いでこんなにも味が変わるなんて・・・!
蒸した米を丹念に冷やす作業 焼酎(アルコール)と水はなじみにくいためによく攪拌することがポイントという。また、風味がもっとも出るお湯割りでは、ゆっくり燗をするのが一番・・・と、いかに旨く焼酎を飲むかという話になり、ビデオどころではなくなったような・・^^。
 仕込みは8月の末から1月いっぱいまでで、黒瀬杜氏4人と蔵子5人の丹精込めた作業が続くそうだ。”味が濃い”昔ながらの丁寧な焼酎造りをされる蔵人の”濃い〜”思いを感じながら蔵を後にした。ありがとうございました。

 

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