日本における主な少子化対策は、次のようになっています。
1966年 | ・合計特殊出生率 1.58(丙午) |
1989年 | ・いわゆる 1.57ショック |
1990年 | ・厚生省「これからの家庭と子育てに関する懇親会」報告書提出 |
1991年 | ・政府「健やかに子供を産み育てる環境づくりに関する関係省庁連絡会議とりまとめ」 ・児童手当法改正 ・育児休業法成立 |
1994年 | ・政府「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(エンゼルプラン)策定 ・「当面の緊急保育対策等を推進するための基本的考え方(緊急保育対策5ヵ年事業)策定 ・児童手当法改正(第1子、3歳より支給) ・「児童の権利に関する条約」批准 |
1995年 | ・雇用保険法改正(育児休業給付) |
1996年 | ・中央児童福祉審議会が中間報告書提出 |
1997年 | ・児童福祉法の改正 ・人口問題審議会「少子化に関する基本的な考え方について」報告書を提出 |
1998年 | ・厚生白書「少子社会を考える」 ・総理が主宰する「少子化への対応を考える有識者会議」設置 「夢ある家庭ずくりや子育てができる社会を築くために」を報告 |
1999年 | ・「少子化対策推進関係閣僚会議」を開催 ・「少子化への対応を推進する国民会議」を開催 ・少子化対策推進関係閣僚会議「少子化対策推進基本方針」を決定 ・政府「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(新エンゼルプラン) |
2000年 | ・児童虐待の防止等に関する法律施行 |
そして、平成6年12月16日、文部・厚生・労働・建設の4大臣によって合意を得た
「今後の子育て支援の為の施策の基本方向について」というのが、いわゆるエンゼルプランと呼ばれているものです。
策定のねらい (1) 社会全体の子育てに対する気運を醸成し、企業・職場・地域社会などの子育て支援の取組みを推進する。 (2) 今後10年間において、文部省・厚生省・労働省・建設省が事業官庁として子育て支援の取組みを推進する。
基本的視点 (1) 子どもを持ちたい人が、安心して子どもを生み育てることができるような環境を整備する。 (2) 家庭における子育てが基本であるが、家庭における子育てを支えるため、あらゆる社会の構成メンバーが協力していくシステムを構築する。 (3) 子育て支援システムは、子どもの利益が最大限尊重されるよう配慮する
一般的な対策 国民生活に関するもの ・結婚、出産、育児支援
・年金、医療保険、税金等の支援措置
・教育機会の充足
・住宅環境の向上
・地域活動への積極的(男女の)共同参画経済全般に関するもの ・高齢者、女性の雇用促進
・賃金体系の変革
・企業の福利厚生システムの改革
・労働時間短縮による男性の育児への積極的参画又、エンゼルプランをより具体化していくために、厚生・大蔵・自治の各大臣の合意により、平成7年度から平成11年度までの5ヵ年計画「緊急保育対策等5ヵ年事業」が策定されました。
項目 平成6年度 ⇒ 平成11年度 低年齢時(0〜2歳)保育の推進 45万人 60万人 18:00以降の延長保育施設の増設 2,230ヶ所 7,000ヶ所 緊急一時保育施設の増設 450ヶ所 3,000ヶ所 乳幼児健康支援デイサービス事業の促進 30ヶ所 500ヶ所 放課後児童クラブの増設 4,520ヶ所 9,000ヶ所 多機能保育所の整備促進 − 1,500ヶ所 地域子育て支援センターの増設 236ヶ所 3,000ヶ所 計数目標は掲げられていませんが、その他に保育料の軽減措置の推進・保育所の人的充実・母子保険医療体制の充実・地方版エンゼルプランの策定推進もあります。
よく聞く対策ですよね。けしておかしな対策ではないのですが、決定打というのはやはり存在しないのでしょうね?また、緊急保育対策等5ヵ年事業は、この平成11年が最終年です。本当にこの通り推進されているのでしょうか?私たちは、その動向に注意する必要があると思います。
2000年4月から5ヵ年の少子化対策を進める「新エンゼルプラン」の全容が、
1999/12/18発表されました。
新エンゼルプランの主な数値目標(1999年度は予算措置ベース) 整備項目 1999年度末 ⇒ 2004年度末 0〜2才児の保育所受入れ 58万人 68万人 11時間を超える延長保育所 7000ヶ所 10000ヶ所 休日・祝日保育所 100ヶ所 3000ヶ所 多機能保育所など - 2000ヶ所 地域子育て支援センター 1500ヶ所 3000ヶ所 一時預かり保育 1500ヶ所 3000ヶ所 放課後児童クラブ 9000ヶ所 1万1500ヶ所
上記項目以外に、
@2002年から学校が完全週休二日制に移行するのに伴い土曜日に通信衛星を利用した「子供放送局」の増加。
(現1300ヶ所→5000ヶ所)
A出産や子育ての為退職した女性の再就職セミナー開催など(現22都道府県→全都道府県)
B妊産婦や新生児の高度医療機関のネットワーク整備、不妊に悩む夫婦に対する不妊専門相談センターを全都道府県で実施す る。などが策定されました。数値目標が向上しているのは良いことだと思います。しかしながら、どうして公務員の作る資料には、過去の反省とか・その結果どの部分をどのような理由で見なおした・・・、などの資料が無いんでしょうね?
お役所だから仕方ない!と言えばそれまでなんでしょうが、普通、民間企業なら中長期計画に対しては、実施済み項目とその効果・それらを踏まえた上での微調整部分などが同時に発表されないと、発表された新数値目標に正当性があるかどうか誰も判断できないのです。
元祖?エンゼルプランを実施してみて何がどう変わったと判断されているんでしょうね?お役所では・・。
それがないと、いつまでたっても「絵に描いた餅」で終わってしまいます。
(この項目は、1999年12月18日、京都新聞夕刊を参考に一部引用しました。)
(1999年12月19日記載しました。)
まず、次の表をご覧ください。
厚生省は、昭和61年版「日本の将来推計人口」のなかで将来の出生数を予測しています。その序文で記載されているように経済問題・年金問題などの最も基礎となる数字です。推計した昭和61年〜62年(’86年〜’87年)こそその差は誤差範囲と考えられますが、’96年に至っては、単年度だけで492,000人もの誤差を生んでいます。10年間でなんと約308万人もの読み間違いをしています。結果的にこの数字の読み間違いが、年金問題に大きな影響を与えているのです。
現在の日本の厚生年金の仕組みは、一言で言うと『ネズミ講』と同じですから、子供(子会員)が増えつづけないと破産してしまいます。(消して極論ではありません)。厚生省は、今後団塊の世代の子供たちが結婚を迎え、少子化は2000年をこえるころから上向くと予測しています。しかしどうでしょう?私はあまりあてにならないと思います。何故なら、今まで外し続けた予想屋を誰が信用します?
今後あと20年も30年も厚生年金を払いつづける世代の人々は、今後の厚生省予測と、実出生数の差が広くなればなるほど、年金負担率は上昇すると考えて間違いないでしょう!!!(サラリーマン、やめようかしらん)
良いことも悪いことも、行動をおこせば必ずコストが発生します。コストを考えずに行動を続けることは不可能に近いのです(特に行政の場合)。当然この施策は、大蔵省の耳にも入っていたでしょうに。少子化がすすむにつれて、年金問題にも、労働者人口の減少など幅広い影響を与えるのは確実です。
にもかかわらず、大蔵省はノータッチ?です。国の税収にも大きな影響を及ぼすでしょうに・・・。あんまり政府が真剣に考えていない証拠なのでしょうか?
それとも、もっと大事なことがあるんでしょうか?
少子化問題は、今の日本の問題点の根源であると私は考えています。住専問題も、ゼネコン・銀行倒産も勿論重大な出来事ですが、それは海の上に顔を出している表面的な出来事です。
もうそろそろ、根底に流れるマグマの流れを変えるような方針・施策・見識をもたないと本当にダメになっていくと思います。小手先だけの変革を繰り返してきた日本が、現在どのような状況になっているか・・・、私たちは痛いほど理解しているはずです。
選挙の時など、「高齢者問題」「高齢者福祉」を第一声とする政治家は山のようにいます。やはり、「少子化問題」は票にならないのでしょうか?20代・30代の人々は、今はそんなに危機感を持っていませんが、気がついたときには間違いなく脳天直撃を受けるような問題です。
次回、地方統一選・国政選挙の際、候補者が「少子化問題」を取り上げているかどうか注目しましょう!!政治家は、票になることしか言いません。とすれば、票になるように仕向けましょう!!今私達ができる、手っ取り早くて、金のかからない方法です。次回の国政選挙・首長選挙においては、候補者にアンケートでも行ってみようと思っています。結果は、HPで発表します。(つもり)