少子化が引起す問題点

少子化問題は、一般に次のような波及効果を引起すと言われています。しかし、これらの問題点は、あくまでも「経済学的に考えた」場合であって、尚且つ少子化を原因と捕らえたものです。個人的には、少子化を何かの原因ととらえるよりも、何かの結果ととらえる必要性が高いようには思うのですが・・・。


(1)社会保障制度の崩壊

・各種社会保障制度は間違いなく大打撃を受けます。別欄でも触れますが、現在の社会保障(特に厚生年金)は、いわゆる『ネズミ講』のシステムをとっています。自分の給与から天引きされた厚生年金は、将来自分の懐に入ってくるわけではなく、現在の受給者の方々に配分されています。このシステムは、将来納税者(労働人口)と所得が増えつづけることが前提として作られています。少子化が進むだけでなく、景気悪化に伴い所得が減少してくれば、ますます崩壊の一途を辿ります。

・現在の社会保障制度は、1995年には約5人で1人の受給者を支えています。それが、2000年には約4人で、2010年には2.8人で、そして2020年には2.3人で1人の受給者を支えていくこととなります。(厚生省推計)現在私は、36歳で2020年においても普通に考えればサラリーマンをやっているでしょう。本当に払えるのでしょうか?現在払っている2倍以上の厚生年金を・・・。しかもこの数字は、つねに楽観的推計しか行わない厚生省発表のものです???

・富士総研の調査によると、このままのペースで少子化が進んでいった場合、2040年度に年間2.4兆円不足する計算になるそうです。

・現在、政府の政策は、「消費税UP」・「健康保険制度改革」・「介護保険制度導入」によって切り抜けようとしています。しかし「介護保険制度導入」を除けば、すべて小手先の政策であると言わざるをえません。

・深い切り傷を負っているのに、ばんそう膏だけで直そうという政府の発想には頭が下がります。私は、崩壊しなかった『ネズミ講』を聞いたことがありません。

 

(2)経済活動の崩壊(労働市場への影響)

・一般的に、総労働力数=生産年齢人口数であらわされ、 15歳〜64歳までが労働力として解釈されています。1995年には8700万人(労働者が)いたものが、2020年には7500万人程度に減少するのではないかと推測されています。この生産年齢人口が減少していくと同時に、老年人口(65歳以上)が増え、年少人口(14歳以下)が減少していったとき、つまりこれが(超)高齢化社会と呼ばれるものです。

・生産年齢人口(特に若年の)が、減少していく中で、世界を相手に技術競争・価格競争で勝利を収めようとすれば、日本の企業には単純に二者選択を迫られることになります。一つは、外国への脱出(多国籍化)、後者は、外国籍労働者の受け入れ。いずれにしても、われわれの労働環境に大きな影響を与えるのは必至であると考えられます。

・これからの世界の主力産業は、ハードからソフトに移っていくことは容易に想定されます。ソフト開発など情報関連分野において必要とされる労働力は、明らかに”やわらか頭”の若年層であり、この分野でリードできなければ、いわゆる先進国から脱落する可能性をも秘めています。

・2010年頃からは、労働力不足が発生するといわれています。(300万人ぐらい?)
良かったですね、政治化の皆さん。後10年我慢すれば、失業率問題は解決します。
我が子が、就職する頃は売り手市場でしょうか?その点は、ちょっと良いことかもしれません。

 

(3)子供の社会性の低下

・最近電車の中などで、恐ろしい言葉遣いの女の子(中学生かな?)によく遭遇します。道端には、我が家のように座り込んでいる若者を多く見かけます。
私達の時代も言葉遣いが悪いとか、態度が悪いとか、入社したころは「新人類」などなどあまりよい評価は受けていませんでした。(これは個人的な問題?)将来子供の数が減っていったとき、どんな子供が多くなるのでしょうか?集団生活の中で常に切磋琢磨していったほうが良い!などど一方的に決め付ける気はありませんが、科学技術の発展ともあいまってどのような社会生活を送るのでしょうか?不安になるのは、私だけではないはずです。

・本来なら、子供の数が減る=個性の尊重が行える=それは良いこと! となるはずなのでしょうが、何となく不安感が拭い切れません。学校の教育プログラムも徐々に変わっている様ですが、本当に追従してくれるのでしょうか?何も無いところに新たな道を開こうとしているときに、過去の業績だけで選出された、いわゆる”賢者””識者”の方々だけで、ホントに大丈夫なんでしょうか?

・唯一、期待感がもてるのは、子供の大学受験が楽になりそうなことぐらいです。(あと13年後)でもやっぱり難しい大学は、ますます難しくなっていくんでしょうね?

 

上記のような、問題を解決する為だけに、「子供をドンドン産みましょう!」と言おうとしている訳ではありませし、そんなことを言われたからって「じゃあ、私が子供を生んで解決しよう!」なんて誰も思わないですよね?

子供をもうける/もうけない・育児をする/しない・将来の社会設計をどのように描くか・・・。と言うのは、全て良識ある個人の裁量に委ねられるべきであって、国や行政が左右すべきことではありません。間違いなくその通りです。
日本の人口密度は高すぎるから、人口が減ってもちょうど言い具合だ。とか、地球規模で考えれば、人口が爆発的に増加しており、日本の少子化問題など問題ではない!と言うご意見も伺います。少子化問題をあらゆる角度で考えれば多くのご意見や解決策が出てこようかと思います。

私が考える少子化問題と言うのは、子供を欲しいにもかかわらず、生む事が出来ない!生んだとしても育てていける環境がない!子供を生む事によって自らの生活が一方的に制約されてしまう!そんな意識や現状が、間違いなく私達のすぐ横まできてしまっている・・・。
それが本当の少子化問題ではないかと思っています。

また、少子化そのものが問題であるとともに、何かが「少子化」を引き起こしているわけですね。その原因についてしっかりと認識していかない限り、ある側面だけについて小手先の対策を講じたとしても、それらはただ単に女性の労働力確保などの解決策にしかならず、少子化問題そのものの解決には至らないと思っています。