◆ 旧・シャム猫亭 ◆


中国茶の先生現る。

紅茶好きも昂じてくると、
守備範囲を広げたくなるものかもしれない。
ラプサンスーチョンのようにくせのあるお茶から、
ガンパウダーのような台湾茶に興味は移ってゆき、
最近では中国茶に興味津々である。

ジャスミンのお茶が大好きである。
最初はティバッグのお手軽なものを緑茶代わりに飲んでいたのだが、
より香りのよいもっと美味しいものを飲みたいと思うようになるのに、
そう時間はかからなかった。
やがて、中国茶の魅惑の迷宮へと足を踏み入れる。

さて中国茶を、と思っても、
初心者には、どこから踏み出していいのかわからない。
分からないから、最初は質より量とばかり、
いろいろなお茶を方々で買い込んでいった。
でも、そんなときでも、烏龍茶だけは買わなかった。
烏龍茶なら、自販機でも、何処にでも売ってるし、
スーパーにだってお徳用のパックが置いてある。
どれもこれも同じ味だし。
そう思い込んだ頭は、急には柔らかくはならない。

この初心者の前にあらわれたのが、
猫やの旧友・猫八さんであった。
猫やオープン後一ヶ月になるかならないかの頃に、
初めてメールをくれた、ほんとうに一番古くからの
大切な大切な友達である。
中国に詳しい彼女が、迷える初心者の案内役となってくれた。
実際彼女はものすごく、中国茶について詳しい。
ただの知識ではなく、生活の一部としてちゃんとわかっている。
さらっと、次々と色んな話をしてくれる。
さらさらと流れ出る話に感動・感激しつつも、
オーバーフローとなった頭からは、覚えておきたいあれこれが
哀しいかな、どんどんとこぼれ落ちていく始末である。

とりあえず、猫八さんの話を参考にしつつ、
美味しそうなお茶を買う。
猫八さんの話の中に、
中国で飲んだものすごくおいしかったという烏龍茶の話があった。
すごく美味しそうだ。
そう思ったけど。
まだまだ、烏龍茶には打ち破れない、既成概念があった。
偏見というのかもしれない。
凍頂烏龍がまずポピュラーな入門編と教えられても、
その時はまだ飲みたいとは思わなかった。
まだもう少し、回り道が必要だったのだ。

中国茶の師となった猫八さんから、
工夫茶のことや、中国のお茶のデザートのことを教えてもらったり、
大紅包のことなどさまざまなお話をしてもらったおかげで、
あっという間に、初心者からちょっとした物知りさんに
なれた気がする。ありがとう、猫八さん。

その後、
猫八さんのお話がきっかけとなって、
くるくると、回り道をしたその曲がり道で、
私も私なりに美味しいなあと、
感嘆するお茶に出会えたのである。  (シィアル)

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